感染者増加率トップで致死率最低のロシアの特異性について検証2
過去2回の以下のエントリーの続きです。
(未読でお時間のある読者は是非御一読あれ。)
2020-04-14
なぜか理由はわからないが、東アジア諸国では感染者数の爆発が抑制されており、また人口あたりの死亡者も欧米ほど増えていない事実
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/04/14/160555
2020-04-28
感染者増加率トップで致死率最低のロシアの特異性について検証する
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/04/28/065338
さてロシアの「感染者爆発」が止まりません、ロシア政府は、1日で1万633人増 累計が13万人を超えたことを3日発表しました。
今や1日当たりの新規感染者数が世界で最も多い国となっています。
(関連記事)
ロシアの新型コロナ感染者、24時間で1万633人増 累計13万人超え
2020年5月4日 8:49 発信地:モスクワ/ロシア [ ロシア ロシア・CIS
https://www.afpbb.com/articles/-/3281555
このAFP記事で着目いただきたいのは記事の結び部分です。
ロシアが公式に発表した致死率はイタリアやスペイン、米国と比較して低くとどまっている。過去24時間の死者数は58人で、これまでの死者の総数は1280人となった。
「ロシアが公式に発表した致死率はイタリアやスペイン、米国と比較して低くとどまっている」、ここを正確な最新のデータで検証いたしましょう。
なお以降、感染者数・死者数等の基礎的情報ソースは以下のサイトよりを参照いたします。
人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html?kw=japan外務省海外安全情報ホームページ
各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
感染者数上位13ヵ国と参考までに日本を加えた14ヶ国の感染者数と死者数を図表にまとめましょう。
※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成
さて6位にランクされているロシアに注目いただくと、感染者数145072人に対して死者数は1354人であり、日本を除き上位13ヵ国で飛び抜けて死者数が少ないことが確認できます。
感染者数の中でどのくらいの割合が死に至るかを『致死率』といいます。
『致死率』は次式で求まります。
致死率 = 死者数 × 100 ÷ 感染者数 (%)
致死率も含めた表にまとめましょう。
※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成
疫学的にBCG接種状況と死亡率の相関関係が指摘されています。日本では基本的に1951年以降生まれの人には接種されていますが、イタリアやアメリカはBCGの普遍的な接種プログラムがありません。またスペイン、フランス、ドイツなどはBCG接種が推奨されていません。
一方、中国、トルコ、ロシア(ここまでロシア株)、そして日本(日本株)はBCGが定期接種されております。
BCG株にはいくつかの亜種があるのですが、ヨーロッパでもちいられたのはデンマーク株であり、BCG株の種類による違いもあるようです(日本株とロシア株が有効?)。
これは仮説なのですが、もし新型コロナウイルス感染の予防効果があるとすると、そのメカニズムはどのようなものでしょう。一般的にBCGの効果は10数年だと言われており、小児以外では効果がなく感染拡大を防ぐことはできないように思われます。しかし、オランダのグループの研究ではBCG接種によりエピジェネティックに免疫状態を変化させ、長期的にウイルス感染を抑制する可能性があるようです。実際にオランダやオーストラリアなどで医療従事者に対してBCG接種を行って新型コロナウイルス感染を予防する研究が始まったようです。
致死率を比較した最新データをグラフにしてみます。
※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成
日本ではBCG接種を多くの人が受けていることで、ウイルスの増殖が抑えられ症状が出にくい、また感染させにくい状態になっている可能性はあります。
もしBCG接種国であるロシアによる感染爆発において、このまま致死率が抑えれれたとすれば、またひとつこの『仮説』を裏付けるデータとなるかもしれません。
(木走まさみず)