木走日記

場末の時事評論

EUの渡航解禁リストに選ばれし日本〜だがしかし発生感染者密度がいまだ10倍以上の開きがある現状

欧州連合(EU)27ヵ国は7月1日から渡航を解禁する域外14カ国の「安全リスト」を公表しました。

観光や出張目的での渡航制限が解除されるのは日本のほか、アルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージアモンテネグロ、モロッコニュージーランドルワンダセルビア、韓国、タイ、チュニジアウルグアイ

中国については、EUからの渡航が認められれば、受け入れ対象国となるのだそうです。

(関連記事)
ロイター
2020年07月01日 09:14
EU、日本など14カ国の渡航解禁リスト公表、米は含まれず
https://blogos.com/article/468350/

ロイター記事によれば、米国のほか、ロシア、ブラジル、トルコは、新型コロナウイルス制御を巡る状況がEUと同等の水準に至っていないとして、渡航解禁は見送られたそうです。

少し引っ掛かったのは「状況がEUと同等の水準に至っていない」というところです。

今回は「EUと同等の水準」について、人口当たりの新規感染者数という公正な指標で検証してまいりましょう。

なお最新の感染者数(死者数)情報は米ジョンズホプキンス大学のサイトをデータソースとし、各国の人口推計は国連人口部の2019年の推計をデータソースとします。

ジョンズホプキンス大学(JHU)のシステムサイエンスおよびエンジニアリングセンター(CSSE)によるCOVID-19ダッシュボード
https://coronavirus.jhu.edu/map.html

国連人口部の推計人口統計「World Population Prospects, 2019 Revision」ベース。
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/33798/

さて、中国を含めたEUに選ばれし15ヶ国の、直近1日の新規感染者発生数
は次のとおり。

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※上記情報ソースより『木走日記』作成

それぞれ人の数が違いますので、本来は人口当たりの新規感染者数という公正な指標で見ると、例えば人口1.26億人の日本では、人口10万人当たりの新規感染者数は0.102人となります。

10万人あたり0.1人、つまり100万人に一人の割合なんですよね、現在の日本の新規感染者比率は。

この15ヶ国は、比率が一番高いカナダでも10万人あたり0.582人と、新規感染者数が抑制されている国ばかりなのであります。

で、EU27ヵ国です。

直近の発生者数は次のとおり。

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※上記情報ソースより『木走日記』作成

U27ヵ国で総数6014人になるわけです。

それにしてもスウェーデンの2536人と突出ぶりは、やはり政府の政策の失敗なのでしょうか?

(関連記事)
スウェーデンの新型コロナ感染者数が1日最多に、死亡率も世界屈指
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/1-157.php

EU発生数上位10ヵ国と日本において、公正な指標である人口10万人当たりの新規感染者数で比較してみましょう。

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※上記情報ソースより『木走日記』作成

U27ヵ国で総数6014人になるわけですが、EUの総人口が4.45億人ですから、EUでは、人口10万人当たりの新規感染者数は1.35人となります。

中国を含めてEUの渡航解禁リストに選ばれし15ヵ国ですが、今日本を例に検証したとおり、「EUと同等の水準」より確かに新型コロナウイルスの感染者発生数が抑制(しかも桁違いにです)されているわけです。

外交は相互主義なのは理解はしていますが、EUの渡航解禁リストに選ばれたからといって、日本にとって喜ばしいことなのかどうか。

発生感染者密度が10倍以上の開きがある限り、日本も対EU渡航解禁とはいきません。

時期尚早でありましょう。



(木走まさみず)

韓国政府、ユネスコに日本の世界遺産登録取り消しを要求〜事実を軽んずる韓国政府による歴史への不当な介入を許すな


まずは大事なことなので事実だけ時系列に整理しておきます。

ここに来て、韓国が「日本が約束を破った」と叫んでいる、日本がユネスコに対してした「約束」、これについて正確に検証しておきましょう、ユネスコの第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言を外務省が公式サイトで公開しています。

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定
(第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について)

議長,

日本政府を代表しこの発言を行う機会を与えていただき感謝申し上げる。

日本政府としては,本件遺産の「顕著な普遍的価値」が正当に評価され,全ての委員国の賛同を得て,コンセンサスで世界遺産登録されたことを光栄に思う。

日本政府は,技術的・専門的見地から導き出されたイコモス勧告を尊重する。特に,「説明戦略」の策定に際しては,「各サイトの歴史全体について理解できる戦略とすること」との勧告に対し,真摯に対応する。

より具体的には,日本は,1940年代にいくつかのサイトにおいて,その意思に反して連れて来られ,厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと,また,第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である。

【注1】
「意思に反して連れて来られ(brought against their will)」と「働かされた(forced to work)」との点は,朝鮮半島出身者については当時,朝鮮半島に適用された国民徴用令に基づき徴用が行われ,その政策の性質上,対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。

【注2】
「厳しい環境の下で (under harsh conditions)」との表現は,主意書答弁書(参考)にある「戦争という異常な状況下」,「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」との当時の労働者側の状況を表現している。

【参考】
近藤昭一衆議院議員提出の質問主意書に対する答弁書(平成14年12月20日閣議決定)(抜粋)
「いわゆる朝鮮人徴用者等の問題を含め,当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えており,戦争という異常な状況下とはいえ,多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾なことであったと考える。」

日本は,インフォメーションセンターの設置など,犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む所存である。

【注3】
「犠牲者」とは,出身地のいかんにかかわらず,炭坑や工場などの産業施設で労務に従事,貢献する中で,事故・災害等に遇われた方々や亡くなられた方々を念頭においている。

日本政府は,本件遺産の「顕著な普遍的価値」を理解し,世界遺産登録に向けて協力して下さったベーマー議長をはじめ,世界遺産委員会の全ての委員国,その他関係者に対し深く感謝申し上げる。

【注4】
今回の日本代表団の発言は,従来の政府の立場を踏まえたものであり,新しい内容を含むものではない。

【注5】
今回の日本側の発言は,違法な「強制労働」があったと認めるものではないことは繰り返し述べており,その旨は韓国側にも明確に伝達している。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/pr_pd/mcc/page3_001285.html

重要なポイントはここ。

より具体的には,日本は,1940年代にいくつかのサイトにおいて,その意思に反して連れて来られ,厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと,また,第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である。

で、「厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと」や「徴用政策を実施していたこと」を理解できるように「インフォメーションセンターの設置」を約束します。

日本は,インフォメーションセンターの設置など,犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む所存である。

さて、ここに内閣官房の公式サイトがあります。

令和2年3月31日に「産業遺産情報センター」の開所式を実施したことを伝えています。

産業遺産情報センターの開所について

産業遺産に関する総合的な情報センターとして、同センターでは、平成27年7月にユネスコ世界遺産委員会において世界文化遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を中心とした産業遺産に関する情報発信を行って参ります。
 なお、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、これまで臨時休館していましたが、令和2年6月15日(月曜日)より一般公開いたします。

https://www.cas.go.jp/jp/sangyousekaiisan/centre200331.html

つまり、ユネスコ世界遺産委員会において世界文化遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に関わる情報発信施設なのであります。

3月31日に開所式はしたものの、2ヶ月半の臨時休館を余儀なくされ、晴れて6月15日より一般公開となったのであります。

15日の一般公開開始に先立ち、前日の14日に報道陣に公開されます。

ここで朝日新聞が「朝鮮半島出身の徴用工に関し、虐待や差別は「聞いたことがない」とする元島民のインタビューが紹介されており、韓国が問題視する可能性」を大々的に報じます。

軍艦島元島民「徴用工差別、聞いたことない」施設で紹介
太田成美
2020年6月14日 22時16分
https://www.asahi.com/articles/ASN6G73DFN6GUTFK003.html

日本が韓国との約束を破ったという印象を与えるこの朝日新聞記事なのでありますが、事実の検証は後でするとして、朝日報道と同日の15日、早速、韓国政府は富田浩司 駐韓日本大使を召致し、日本が「強制徴用を歪曲」と強く非難します。

(関連記事)
韓国政府「強制徴用を歪曲」…日本の“産業遺産情報センター”に抗議
6/15(月) 15:39配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/495857a3e7005e0c26b1272df69e1da4b9c7166c

韓国政府は22日、ユネスコ軍艦島世界遺産登録取り消し要求の書簡を送ります。

(関連記事)
韓国外相、ユネスコ軍艦島世界遺産登録取り消し要求の書簡を送る
6/23(火) 16:02配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/35e4993a0641c2b3b5ad8a7dcc84d0f689c53831

記事によれば、韓国のカン・ギョンファ(康京和)外相は、ユネスコのオードレ・アズレ事務局長に書簡を通じて登録取り消しの可能性の検討を含め、世界遺産委員会で日本から忠実な措置履行をもとめる決定文が採択されるよう、積極的な協力と支持を要請したとあります。

記事は、「日本政府は、軍艦島に関する歴史歪曲と約束不履行の事実を全面否認している」と結ばれています。

まずは大事なことなので、ここまで事実だけ時系列に整理しておきました。

さてです。

日本は世界遺産委員会の決議や勧告を真摯に受けとめ、約束した措置を誠実に履行しています。

もう一度、2015年7月5日に日本がユネスコの委員会にて約束した内容を確認します。

より具体的には,日本は,1940年代にいくつかのサイトにおいて,その意思に反して連れて来られ,厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと,また,第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である。

日本は,インフォメーションセンターの設置など,犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む所存である。

日本は2015年の世界遺産委員会で「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」がいたことを認め、当時の徴用政策について理解できるような措置を講じると説明、センターの設置も表明していたのです。。

そしてセンターでは、軍艦島や長崎造船所、八幡製鉄所など登録された23資産について、パネルや動画で解説、「国民徴用令」など「官あっせん、徴用、引き揚げについて理解できる五つの文書」をパネルで列挙しています。

当時の労働者(半島出身者だけでなくです)がたいへん「厳しい環境の下で働かされた」事実も写真付きで説明されています。

また1944年8月から朝鮮半島出身者にも徴用が適用され、一部の労働者が「意思に反して連れてこられた」事実も明確に記されています。

その隣には1965年の「日韓請求権協定」の全文が掲示され、元徴用工らへの賠償問題に関し、この協定で解決済みとの日本側の立場を明確にしています。

その上で、同じ部屋には、元島民らのインタビューも紹介。父が端島軍艦島)炭鉱で働いていたという在日韓国人2世の元島民が「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」などと証言しているわけです。

加藤康子センター長は「政治的な意図はない。約70人の元島民へのインタビューで、虐待を受けたという証言はなかった」と説明しています。

つまり、日本は約束を忠実に守っています、日本は世界遺産委員会の決議や勧告を真摯に受けとめ、約束した措置を誠実に履行しているのです。

韓国政府は何とか当時の「軍艦島朝鮮人労働者差別があった事実」を日本に認めさせたいようですが、そのような「事実」はそもそもないのです。

当ブログは3年前のエントリーで、軍艦島関連で「いつまで日本は韓国による歴史捏造行為を放置し続けるのか?」と問題提起しています、時間のある読者は御一読あれ。

韓国映画軍艦島」のでたらめ大嘘を検証しておく〜いつまで日本は韓国による歴史捏造行為を放置し続けるのか?
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20170210/1486673929

エントリーの一部を抜粋して引用。

事実として、日本人と朝鮮半島出身者は、戦後この島で20年以上ながらく仲良く一緒に暮らしていたのです。

 当時を知る、宮崎県在住の元坑内員で朝鮮半島出身者や中国人とも働いた松本栄(88)さんは、 朝鮮半島出身者の子供は日本人の子供と同じように学校に通い、机を並べて勉強したと話しています。
 アパート内には朝鮮半島から来た家族も多く入居していたといいます。

 さらに事実をいえば、軍艦島の労働者人口のピークは戦中ではなく戦後に迎えます。

 続々と高層住宅が建てられ家だけでなく、学校、病院、寺社に映画館まで。ただでさえ小さな島に炭鉱施設と都市が共存し、わずか200メートル四方の居住エリアに5千人が暮らします。

 やがて、日本が石炭から石油へエネルギー政策の転換を迎えたことで、昭和49(1974)年、軍艦島は閉山し、住民は島を離れることを余儀なくされるのですが、戦後も長らく半島出身者が家族ごとこの島で日本人と共に働いていたのです。

 この事実はなにを語っているでしょうのか、映画の言う「ここの出来事を記憶する朝鮮人は一人たりとも残してはいけないということです」とのアウシュビッツのような惨劇が戦中展開していたとしてなぜ戦後も半島出身者は日本人と仲良く同じ島で働き続けたのでしょうか。

 戦時中そのような悲劇はこの島では起こっていない、

 戦後も半島出身者は日本人と仲良く同じ島で働き続けた事実から、当たり前ですが普通に考えればわかる単純な事実です。

・・・

韓国政府は人道に反するような強制労働があったとしますが、事実を反映していない主張です。

当時の炭鉱労働がどこでもそうだったように、苛酷な労働条件にあったことはきちんと展示してあります。労働者には日本人とともに朝鮮半島出身の人がいたことも明示してあります。

文化財保護を目的とするユネスコに対し、韓国が史実を曲げた主張を押し付けるのは筋違いです。

国民徴用令に基づき、昭和19年9月以降働いていた朝鮮半島出身者がいたのは事実ですが、韓国側のいうような強制労働ではありません。賃金の支払いを伴う合法的な勤労動員にすぎず、日本人も同じように働いていたのです。

事実を軽んずる韓国政府による歴史への不当な介入を許してはなりません。



(木走まさみず)

河井夫妻逮捕の私怨的背景

昨年、大きな番狂わせが、起きていた。

圧勝が予想された自民党のベテランが、まさかの落選。しかも得票を前回の半分にまで減らす大敗だった。
破ったのは、同じ自民党から立った女性の新人。激しい同士討ちの結末だった。

落選したのは溝手顕正

当選は、河井案里。いずれも自民党の候補だ。

定員2の広島選挙区は、長らく自民党旧民主党系の候補が議席を分け合う状態が続き、直近の2回は自民党の候補が、2位の候補にダブルスコアを超える大差をつけていた。

今回も波静かな選挙と思われたやさきの去年暮れ、県連に衝撃が走る。

「広島なら2議席取れるだろう」

安倍総理大臣や菅官房長官ら政権幹部の意向をくんだ党本部から県連に対し、2人目を擁立することが打診されたのだ。

2人目として、白羽の矢がたったのは、県議会議員河井案里だった。

彼女の夫は、衆議院広島3区選出で、安倍総理大臣に近いとされる河井克行・総裁外交特別補佐だ。

県連は、党本部に方針を撤回するよう繰り返し求めた。

しかし、昨年3月、党本部は県連を押し切る形で、河井案里の擁立を決定。

県連と党本部による“仁義なき戦い”が勃発したのだ。

全国に4つある定員2の選挙区で、自民党が2人を擁立したのは広島だけ。
県連では「なぜ広島だけが…」という嘆きと怒りの声が錯そうした。

選挙結果は次のとおりだ。

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https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/sangiin/2019/34/skh43424.html

・・・

さて、話は13年前に遡る。

仇敵とは溝手顕正のことだ。

2007年夏の参院選、安倍首相は小沢民主党に惨敗したが、続投に拘泥した。

当時防災相だった溝手は会見で「首相本人の責任はある。(続投を)本人が言うのは勝手だが、決まっていない」と痛烈に批判した。

その五年後、12年2月にも、野田佳彦政権に対し、消費税増税関連法案への賛成と引き換えに衆院選を迫る「話し合い解散」を主張した安倍晋三を、会見で「もう過去の人」とこき下ろし、波紋を呼んだ。

安倍晋三は、そうした恨みを片時も忘れない。参院議長を決める16年夏、岸田派は溝手氏を推したが、「首相が反対して止めた」(党幹部)。

そして、今回の参院選。定数2の広島選挙区で楽々と当選を重ねてきた溝手氏に、同じく自民公認の新顔として、河井克行総裁外交特別補佐の妻・案里元県議を刺客としてぶつけたのだ。

すでに安倍事務所のスタッフ数人を広島に常駐させるほど力を入れている。

6月2日に広島で開かれた案里氏の決起集会には、首相に近い塩崎恭久厚労相の他、森山裕国対委員長山口泰明組織運動本部長、吉川貴盛農水相らが出席。

森山ら3氏はいずれも菅義偉官房長官に近く、官邸こぞって案里氏に肩入れする構図だ。水面下では他の党幹部にも溝手氏の応援に入らないよう要請。「首相は『野党が弱い広島では2人通せる』と表では言うが、『溝手は落ちていい』という本音が透けてみえる」(政治部記者)。

・・・

自民党内で30日、2019年7月の参院選で党本部が河井案里参院議員の陣営に計1億5千万円を振り込んだことを巡り、執行部の説明責任を求める声が相次いだ。

ある幹部は同日、河井氏と同じ広島選挙区に党公認で出馬して落選した溝手顕正氏の陣営への入金が1500万円だったことに関して「正直言ってびっくりした。2~3倍のケースはあったが10倍は初めて見た。(執行部に)説明してほしい気持ちはよくわかる」と述べた。都内で記者団に語った。

石破茂元幹事長は派閥総会で「党員が払う党費や(税金を使った)公的助成金で党は運営されている。執行部は党員や国民に説明責任を果たさなければならない」と指摘した。

・・・

昨年7月の参院選広島選挙区で広島県内の地方議員や首長ら94人に投票や票の取りまとめを依頼し、計約2570万円の報酬を渡したとして、検察当局は18日、前法相で衆院議員の河井克行容疑者(57)=衆院広島3区=と、広島選挙区で初当選した妻の案里容疑者(46)をそれぞれ公選法違反(買収)の疑いで逮捕した。

案里容疑者の陣営を巡る公選法違反事件は、元閣僚と参院議員の現職国会議員2人が逮捕される事態となり、地元政界を巻き込んだ大規模買収事件に発展した。

・・・

首相は29日の参院予算委員会で「個別には承知していない。報告は受けていない」と関与を否定した。

(文中敬称略)


(木走まさみず)




<関連記事>

河井前法相、「公選法違反で立件」の政治的背景
逮捕か在宅起訴か、揺れる検察の最終判断
https://toyokeizai.net/articles/-/350680

「首相の責任」「もう過去の人」 安倍首相はかつてこき下ろされた“あの男”を許さない
https://bunshun.jp/articles/-/12426

仁義なき戦い” 敗者は誰か
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/20374.html

河井氏陣営に1億5千万円、自民に異論続出
執行部に説明要求
2020/1/30 22:09
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55048660Q0A130C2PP8000/

河井前法相夫妻を逮捕 参院選巡り買収の疑い 検察当局、94人に2570万円
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=653716&comment_sub_id=0&category_id=256

日本も油断できない、移動制限解除後の影響が出現するここ2〜3週間の発生感染者数に注目せよ

国内では23日、新型コロナウイルスの感染者が新たに57人確認され、累計で1万8028人にのぼりました。

東京都では31人の感染を確認。1日当たりの感染者は2日ぶりに30人を超えました。20~30歳代の若年層が6割超の20人を占め、キャバクラなどの接待を伴う飲食店の従業員や客ら「夜の街」関連の5人が含まれています。

さてここのところ、日本国で発生する感染者数の過半数を東京都が占める傾向が顕著であります、23日も57人中31人と、東京都が54.4%を占めています。

日本全体の感染者数の発生動向に東京都のそれが大きく影響していることがわかります。

では、東京都の感染者数の動向を過去4週間で見てみましょう。

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※東京都公式サイト・都内の最新感染動向
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
※上記サイトを情報ソースに『木走日記』作成

ご覧のとおり、東京では、一週間平均の感染者数は、16.29人、17.86人、30.14人、32.29人と、じりじりと増加の傾向にあります。

これから東京アラート解除(6月12日)後の影響が6月26日以降から出現始め、さらに注目したいのが、県外移動制限解除(6月19日)後の影響が出現し始める7月3日以降の動向です。

国際的に見て、日本は新型コロナウイルスを十分に封じ込めていると高評価を受けている(一部海外メディアは「日本マジック」と報道している)わけですが、東京を中心に感染者が発生続けている(しかもじりじり数を増やしている)現状はしっかり警戒し続けなければなりません、油断をするわけにはいきません。

特に県外移動制限解除(6月19日)後の影響が出現し始める、これから2〜3週間の国内の発生感染者数の動向は要注意です。

今回の新型コロナウイルスパンデミックの動向を世界的規模で見てみると、感染拡大のスピードが加速しているわけです。

(関連記事)
世界で新たに18万人感染 1日あたり最多 WHO「再び対策強化を」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200623/k10012480241000.html

アメリカなど北米大陸、ブラジルなど南米大陸、インドなど南アジアで、感染者が急増しているわけですが、特に気になるのはアメリカです。

アメリカは、全50州で経済活動を部分再開し、国民の国内移動も活発化したのですが、一旦おさまるかにみえた感染者数が再び増加に転じたわけです。

(関連記事)
新型コロナ アメリカは感染再び急増 ブラジル死者5万人超に
https://www.fnn.jp/articles/-/55566

今回の新型コロナウイルスのたちの悪い特性のひとつが、感染者の8割が無症状でありかつウィルスを保持したままそのような無症状キャリアが国内移動を繰り返せば、感染者を再び増やしてしまうことです。

世界的には1日の感染者発生数が過去最多を更新しており、いまだピークアウトを迎えていません。

おそらくワクチンができるまでは、経済活動を活性化しつつ、発生者数の動向を徹底的に監視しながら、感染者数が増加しないように必要に応じて疫学的対処をすることを繰り返していくのでしょう。

いずれにせよ、県外移動制限解除(6月19日)後の影響が出現し始める、これから2〜3週間の国内の発生感染者数の動向に注目いたしましょう。

活動再開がアメリカのように感染再び急増を招いてしまうのか、またしても「日本マジック」が起こり、感染が見事抑制されるのか、ここ2〜3週間ではっきりします。



(木走まさみず)

山本太郎氏の目指すのは、平壌市民だけが特権市民として優遇されている北朝鮮そのもの

ここに「財政力指数」という自治体の財政力を示すひとつの指標があります。

財政力指数

財政力指数(ざいせいりょくしすう)とは地方公共団体の財政力を示す指標として用いられるもので、基準財政収入額を基準財政需要額で除した数値の、通常は過去3カ年の平均値を指す。

財政力指数が1.0を上回れば地方交付税交付金が支給されない不交付団体となり、下回れば地方交付税交付金が支給される交付団体となる。したがって、地方交付税交付金地方公共団体間の財政力の格差を調整するために支給されるものであることからすると、その性質上必ずしも全ての地方公共団体地方交付税交付金が支給されるわけではないことになる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%8A%9B%E6%8C%87%E6%95%B0

財政力指数とは財政収入額を財政支出額で除した数値でありますから、1以上ならば黒字、1未満ならば赤字自治体という単純な指標なのであります。

そして1未満ならば赤字自治体として、地方交付税交付金が支給される交付団体となるのです。

47都道府県の決算内容は総務省の「平成30年度決算状況(都道府県)」を調べれば「財政力指数」も含めて詳細を押さえることができます。

総務省の公開資料によれば、その財政力によって47都道府県は、F、B1、B2、C、D、Eの6つのグループに仕分けされています。

f:id:kibashiri:20200622110614p:plain
https://www.soumu.go.jp/main_content/000681603.pdf

より視覚的にご覧いただけるように直近3年の各都道府県の財政力指数を図表にまとめてみます。

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※情報ソース
総務省地方財政状況調査関係資料|平成30年度決算状況(都道府県)
https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/h30_todohuken_00001.html
※上記情報ソースより『木走日記』作成

ご覧いただけるように、財政力指数が1以上の黒字自治体は、1.17884の東京都(グループF)だけであり、残りの46道府県はすべて赤字自治体であり国から地方交付税交付金が支給されなければ自治体の財政需要を満たすことはできないのです。
グループB1、B2の21府県はまだ財政力指数が0.5以上ですが、C、D、Eの3グループ25道県は、その財政力が脆弱であり、特に鳥取、高知、島根のグループEの3県は、財政力指数0.3未満であります。

これは県の独自の財政収入では、その財政支出の3割も満たすことができない状況なのです。

ここから本題です。

さて唯一の黒字自治体である東京都ですが、今回の新型コロナウイルス関連の緊急対策への支出で、総額1兆円の巨費を緊急に支出いたします。

(関連記事)
東京都、コロナ対策費1兆円に 追加協力金などで補正予算案―緊急事態宣言

 東京都は19日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言延長に伴う休業要請の追加協力金930億円などを含む5832億円の2020年度補正予算案を発表した。新型コロナ対策費の総額は、4月に想定した8000億円から約1兆円に拡大。都の貯金である財政調整基金を取り崩して対応するが、さらに支出が増えれば財政悪化も懸念される。

 協力金はまず、緊急事態宣言の当初の期限だった今月6日まで休業などに応じた中小事業者に最大100万円を支給。今回の補正予算案では、今月末までの延長期間分を手当てし、2回目として同額を提供する。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051900998&g=pol

この第一波の新型コロナウイルス対策で、一兆円を超えていた東京都の「貯金」にあたる財政調整基金が、17年ぶり1000億円割れになり、一気に底を突きます。

20年度末の基金残高は493億円に縮小する見通しです。

(関連記事)
東京都の「貯金」17年ぶり1000億円割れ コロナ対策で
2020/5/19 19:11

新型コロナウイルス関連の緊急対策への支出が膨らみ、東京都の「貯金」にあたる財政調整基金が急減している。今年度は17年ぶりに1000億円を割る見通し。さらに支出が生じる可能性もあり、薄氷の財政運営が続く。

19日発表した補正予算案には財政調整基金から5000億円近くを充てる。20年度末の基金残高は493億円に縮小する見通し。過去20年で1000億円を割ったのは財政再建の途上にあった03年度だけだ。

財政が改善した近年は景気回復で税収も伸び、基金残高は拡大する傾向にあった。19年度末の残高は9032億円と1963年度の基金設置以来の最高額を見込むが、これまでの緊急対策で蓄えのほとんどを使うことになった。

補正予算案の多くを占める中小企業の制度融資の需要は依然高く、都の支出がさらに膨らむ可能性もある。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59298680Z10C20A5L83000/

黒字自治体だった東京都ですが、その「貯金」にあたる財政調整基金1兆円は、今確認したとおり、第一波の新型コロナウイルス対策で、すでに使い切っており、この先もしも第二波に見舞われても、もはや東京都に緊急対策を行う蓄えはないのです。

この先何年か、今回の経済悪化による大幅な財政収入の収縮が予測されており、さらに東京オリンピック延期による追加費用負担も見込まれます。

上記日経記事が指摘しているようにしばらく東京都の「薄氷の財政運営が続く」わけです。

この厳しい財政状況を正しく認識している候補こそに、都知事になっていただきたいものです。

さて、山本太郎氏の政策です。

② 総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ

■まずは全都民に10万円を給付。
■授業料1年間免除。(小学校・中学校・高校・大学・大学院・専門学校等)
■中小企業・個人事業主の前年度事業収入と今年度事業収入のマイナス分を補償。
■病院を潰さないため、減収に対し、災害時と同様に前年度診療報酬支払額を補償。
■第2波、3波を考えれば再び「補償なき自粛」が行われる恐れがある。その際には、全都民に10万円給付。全事業者へ簡単なWEB申請で受け取れる「まずはサッサと100万円」を支給。中小企業・個人事業主に対し無利子・無担保・繰延可能の融資。全世帯の水光熱費を1年間免除。医療従事者やエッセンシャルワーカーへ日額2万4千円の危険手当を支給。「スピード感」ではなく、「スピード」を重視。
今回のコロナ損失の補てんについては、総額で15兆円を段階的に調達することを目指します。

山本太郎東京都知事候補特設サイト より
https://taro-yamamoto.tokyo/policy/

総額15兆円とは、東京都民1400万人で単純に割れば、赤ちゃんも含めて都民一人あたり107万余りの大盤振る舞いであります。

東京都は、手段がよくわかりませんが、一気に15兆円の借金を背負うことになります。

東京都の財政はこの記録的な「借金」により急速に悪化することでしょう。

このような実現可能性があるととても思えない政策を掲げるのは、首都の知事を目指す責任ある政治家としていかがなものかと考えますが、逆に実現したらしたで、恐ろしいことが起こります。

住んでいる場所が異なるという理由だけで、東京都民以外の国民が無視され、東京都民だけが潤うことになるからです。

東京都民とそれ以外の46道府県民の間で、一時的ではありますが、看過できないコロナ対策の「補償」経済格差が生まれ、著しい経済的不平等がその住む地域により生じてしまい、国民の平等をうたう憲法第14条第1項の「すべて国民は、法の下に平等」に抵触する疑いがあります。

日本国憲法第14条
第1項
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

そもそも山本太郎氏の公約「総額15兆円で、あなたのコロナ損失を徹底的に底上げ」は、その実現可能性はゼロに近いのですが、実現したら実現したで東京都民だけ「優遇」される、とんでもない不平等公約なのであります。

唯一の黒字自治体である東京都が他道府県に比べて財政余力がダントツにあるのは、「貯金」を使い切っているとはいえ事実ですが、その財政力で借金で15兆ものバラマキを実行すれば、都民一人当たり100万円を超える大盤振る舞いになります。

山本氏の公約によればです。

東京都民だけ、授業料1年間免除(小学校・中学校・高校・大学・大学院・専門学校等)され、東京都民だけ、中小企業・個人事業主の前年度事業収入と今年度事業収入のマイナス分を補償され、東京都だけ、病院を潰さないため、減収に対し、災害時と同様に前年度診療報酬支払額を補償され、東京都民だけ全都民に10万円給付され、東京都全事業者へ簡単なWEB申請で受け取れる「まずはサッサと100万円」を支給され、東京都だけ中小企業・個人事業主に対し無利子・無担保・繰延可能の融資されるのです。

東京都民だけ、全世帯の水光熱費を1年間免除されます。

このような大盤振る舞いは、財政余力のない他道府県はまったく追随できません。

ふう。

これではあまりに不平等です。

山本太郎氏の目指すのは、首都平壌市民だけが特権市民として優遇されている北朝鮮そのものであります。



(木走まさみず)

「影響を及ぼす大物ではない」「他山の石」(二階幹事長)だと?~これでは「安倍晋三政権は、ガタガタ」(産経社説)と保守産経にまでさじを投げられるのも当然

河井案里参議院議員の陣営による選挙違反事件で、東京地検特捜部は、夫の河井克行法務大臣と案里議員が票の取りまとめを依頼した報酬として、地元議員らに現金を配ったとして、公職選挙法違反の買収の疑いで夫妻を逮捕しました。

よりによって安倍政権の前法務大臣公職選挙法違反の買収の疑いで夫婦で現職国会議員が逮捕であります、安倍政権にとり前代未聞の醜態といってよろしいでしょう。

これを受けて全国紙5紙は社説にて本件を取り上げています。

保守系の読売・産経も含めて、各紙社説は安倍首相及び自民党の責任追及でそろい踏みです、珍しい。

【朝日社説】は「首相と党執行部の政治責任は免れない」とし「納得できる根拠」を示せと糾弾します。

 少なくとも首相と党執行部の政治責任は免れない。党の提供資金とは無関係というのであれば、具体的な使われ方を、納得できる根拠とともに示してもらわねばならない。

【朝日社説】河井夫妻逮捕 政権の責任は免れぬ
https://www.asahi.com/articles/DA3S14517981.html?iref=pc_rensai_long_16_article

保守【読売社説】も「自民党が税金を原資とする政党交付金を受け取っている以上」説明責任があるとし、「総裁である安倍首相は国民の厳しい視線を認識」せよとくぎを刺します。

 夫妻は離党したとはいえ、自民党が税金を原資とする政党交付金を受け取っている以上、党にも一定の説明責任が生じよう。総裁である安倍首相は国民の厳しい視線を認識し、党内に順法精神を徹底させることが欠かせない。

【読売社説】河井夫妻逮捕 選挙資金の流れを解明せよ
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200618-OYT1T50364/

【毎日社説】は「長期政権が続く中で、「政治とカネ」に対する認識がまひしている」と首相と自民党を批判します。

 長期政権が続く中で、「政治とカネ」に対する認識がまひしているのではないか。捜査とは別に、首相や党は積極的に資金の流れを明らかにすべきだ。

【毎日社説】河井夫妻の逮捕 首相と党の責任も重大だ
https://mainichi.jp/articles/20200619/ddm/005/070/064000c

保守【産経社説】もさすがにさじを投げます、「安倍晋三政権は、ガタガタ」だ、「首相自ら、血を流す覚悟で全力で対処」しろと突き放します。

 安倍晋三政権は、ガタガタである。これを立て直すには、首相自ら、血を流す覚悟で全力で対処しなければならない。

【産経社説】前法相夫妻逮捕 政権の窮地と受け止めよ
https://www.sankei.com/column/news/200619/clm2006190002-n1.html

【日経社説】は、「選挙違反が横行していたとすれば」「首相官邸自民党がどこまで関わっていたか」「調べる必要」があると指摘しています。

陣営内で選挙違反が横行していたとすれば、両議員が所属していた自民党の責任も重い。実際の選挙活動に首相官邸自民党がどこまで関わっていたかについても、調べる必要があろう。

【日経社説】党の責任も問われる河井前法相夫妻逮捕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60511420Y0A610C2SHF000/

この醜態は安倍政権にとって大きな痛手となりましょう。

これですね、そもそも自民党は国から年間約170億円の政党助成金を受けており、使途について丁寧に説明する必要があるわけです。

「長期政権が続く中で、「政治とカネ」に対する認識がまひしているのではないか」(毎日社説)との指摘を受けても致し方ないでしょう。

あきれてしまうのは自民党の二階幹事長の発言です。

河井夫妻逮捕について「(自民党内に)影響を及ぼす大物ではない」と言い放ちます。

さらに逮捕直前に夫妻が自民党を離党していたこともあり「他山の石としてすべての自民党の国会議員が、今後、十分に心して対応していくことは当然重要だ」と述べています。

(関連記事)
「影響及ぼす大物ではない」河井夫妻について自民 二階幹事長
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200616/k10012472441000.html

いうに事欠いて何が「他山の石」だ、国民を馬鹿にするのもいいかげんにしてほしいです。

すべては自民党国会議員が犯した犯罪行為なのです、自民党内の問題です、「他山」ではないでしょう。

まったくこれでは「安倍晋三政権は、ガタガタ」(産経社説)と保守産経にまでさじを投げられるのも当然かもしれません。

私は、この幹事長の国民をなめ腐った発言を、安倍政権支持者の一人として、非常に腹立たしく思っています。



(木走まさみず)

イージス・アショア配備停止をブースター落下問題に矮小化した防衛省の見解

イージス・アショアに関する防衛省の公式サイトです。

陸上配備型イージス・システム(イージス・アショア)に関する秋田県及び山口県への説明について
https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/aegis_ashore.html

ここに『イージス・アショアの配備に係る適地調査等の結果について(回答)(2019.12.17)』という公文書が文責を防衛大臣河野太郎の名で公開されています。

イージス・アショアの配備に係る適地調査等の結果について(回答)(2019.12.17)
f:id:kibashiri:20200617125252p:plain
https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/pdf/20191217_c.pdf

ご覧のとおり、イージス・アショア配備予定地のひとつだった山口県関係者に対して防衛大臣名で、防衛省が回答をしている文書なのですが、注目したいのは文書の20頁の質問と回答です。

f:id:kibashiri:20200617125321p:plain
https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/pdf/20191217_c.pdf

大切な箇所なので細かく検証しておきます。

まずは質問内容です。

(4)迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールし、ブースターを演習場内に落下させるための措置を講じるとされているが、突発的な弾道ミサイルの飛来に対応し、瞬時に当該ミサイルの速度・飛翔方向、上空の風向・風速、落下時のブースターの姿勢等の諸条件を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能なのか。 《説明資料 P84、P85》

補足しておきますと、イージスアショアで運用されるSM-3迎撃ミサイルは推進部分が三段式の構造で、第一段ブースター、第二段ロケットモーター、第三段ロケットモーター、そしてキネティック弾頭に分かれています。

第一段ブースターはMk72と呼ばれるアメリカ製で、この部分だけで重量は約700kgあり、推進剤を使い切って約250kgの残骸が落ちてくることになります。Mk72ブースターの燃焼時間は約6秒です。

つまり上記質問は、迎撃ミサイル発射6秒後に落下してくるブースターが「演習場内に落下させるための措置を講じる」としているが、「瞬時に当該ミサイルの速度・飛翔方向、上空の風向・風速、落下時のブースターの姿勢等の諸条件を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能なのか」という技術的質問なのです。

これに対すて防衛省の解答は以下です。

1.迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールする具体的な方法については、米国との関係もあり、お答えは差し控えさせて頂きますが、迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能です。

「具体的な方法については、米国との関係もあり、お答えは差し控えさせて頂きます」とした上で、「迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能」と明言します。

続いて。

2.ブースターに関しては、分離後、上空の風の影響を受けながら、地上に落下してくることから、現状、想定されるあらゆる風向・風速条件でも、設定した落下区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化します。

「現状、想定されるあらゆる風向・風速条件でも、設定した落下区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化します」とソフトウエアの運用で実現するとしています。

さらに、「上記の計算結果を基に組み入れられたシステムによって、ブースターを演習場内に落下させることが可能となる条件を速やかに導出」と回答しています。

3.実際に迎撃ミサイルを発射する場合には、風向・風速計でむつみ演習場に配備されたイージス・アショア上空の風向・風速を計測し、上記の計算結果を基に組み入れられたシステムによって、ブースターを演習場内に落下させることが可能となる条件を速やかに導出し、迎撃ミサイルを発射するといった措置をしっかりと講じます。

今検証したように、防衛省による地元へのこれまでの説明では、「迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能」と明言してきたわけです。

しかしながらです。

15日、河野防衛大臣は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の山口県秋田県への配備計画を停止する考えを表明しました。これにより日本のミサイル防衛計画の抜本的な見直しが迫られることになります。

配備計画停止の理由は、迎撃ミサイルを発射する際に使う「ブースター」と呼ばれる推進補助装置を、演習場内に落下させると説明していたものの、確実に落下させるためには、ソフトウェアの改修だけでは不十分だと分かったことを明らかにしました。

「ソフトに加えて、ハードの改修が必要になってくることが明確になった。これまで、イージスアショアで使うミサイルの開発に、日本側が1100億円、アメリカ側も同額以上を負担し、12年の歳月がかかった。新しいミサイルを開発するとなると、同じような期間、コストがかかることになろうかと思う」と述べました。

そして「コストと時期に鑑みて、イージス・アショアの配備のプロセスを停止する」と述べ、配備計画を停止する考えを表明しました。

ブースターの落下位置を制御できないからという理由ですが、これはいくつかの点で納得ができません。

まず第一に、問題がブースター落下だけなら海に落とせばいいだけなので配備場所を海沿いに変更すれば解決します。

しかし防衛省側がそのような実現可能な具体的検討をすることなく、ブースター落下問題だけを理由に配備計画を停止したことは、ここまでですでに日本側で掛かっている1000億円以上の費用を考慮すると、納得できません。

さらにより本質的には、推進剤を使い切って約250kgのブースターの残骸などを問題視するとならば、飛来してきた核ミサイルを迎撃せずに見過ごし日本が攻撃され多大なる被害を被るのと、比較議論しなければなりません。

保守系シンクタンク「ハドソン研究所」の村野将研究員は、「陸上イージスから1発40億円もする迎撃ミサイルを発射するのは、核かもしれないミサイルが飛んできているという国家存亡に関わる状況だ。ブースター落下による被害を心配して配備計画を見直すのは釣り合いが取れない」と指摘。「政府は陸上イージスに代わるミサイル防衛の案を示していない」として、イージス艦隊の運用や日米防衛協力の役割分担にも影響を及ぼすと懸念を示しています。

その上で「日本では安全性に対する地元住民の不安をあおれば、最終的に政治の腰が折れるという悪い前例を作ってしまった」と分析。今後新たな防衛アセットの配備計画が持ち上がるたびに、中国や北朝鮮、ロシアがそれを阻止するために情報戦を仕掛けてくる可能性があると語っています。

(関連記事)
米、陸上イージス配備停止に驚き あしき前例、防衛協力にマイナス
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061600729&g=int

軍事ブロガーのJSF氏は、すでに配備されている欧州イージスアショアでは、「迎撃戦闘の意義に比べたら残骸の落下などどうでもよい」とブースターは問題視されていないと指摘しています。

当該箇所を失礼して引用、ご紹介。

迎撃戦闘でのブースター落下をあまり気にしない諸外国

 欧州イージスアショアはルーマニアポーランドの内陸に配備され、推進部分が三段式のSM-3迎撃ミサイルは第一段ブースターだけでなく第二段ロケットや第三段ロケットの残骸が何所かの陸地に降ってきます。しかしあまり気にされていません。迎撃戦闘の意義に比べたら残骸の落下などどうでもよいことだと考えているからでしょう。

 イージスアショアと比較する候補になっていた弾道ミサイル防衛システムのTHAAD迎撃ミサイルは一段式ですが弾頭分離式で、迎撃弾頭を切り離したらブースターが落ちてきます。これもやはりブースター落下の問題が出てきますが、アメリカでは問題視する声がありません。

 また欧州メーカーのMBDA社が開発したSAMP/T地対空ミサイルシステムのアスター迎撃ミサイルは二段式で大きなブースターが投棄されますが、配備が進むフランスやイタリアなどでブースター落下が大きな問題になったという話は聞きません。

イージスアショア計画停止の理由がブースター落下問題とされる違和感 より
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20200616-00183562/

まとめます。

イージスアショア計画停止の理由をブースター落下問題に矮小化した今回の防衛省の公式見解は、今後、禍根を残すのではないかと憂慮します。

このような説得力のない理由でしかも、事前に防衛省が住民に説明していた内容が「間違い」だったことを認めているわけです。

16日、安倍総理大臣は、「イージス・アショアについては、12日金曜日にプロセスを停止するとの河野防衛大臣の決定を了承した。これまで地元の皆様に説明してきた前提が違った以上、これ以上進めるわけにいかないと、われわれはそう判断した」と述べてます。

(関連記事)
イージス・アショア配備停止 首相「説明前提違い進められず」
2020年6月16日 20時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200616/k10012472921000.html

本件を野党や一部メディアは早速飛びつきます。

本件とは全く関係のない「辺野古も」見直すべきだと主張しだします。

(関連記事)
蓮舫氏、イージス・アショア配備停止で「辺野古も」
[2020年6月17日9時53分]

立憲民主党蓮舫参院幹事長が、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の停止を受け、安倍晋三首相に「辺野古も見直しを」と求めた。

蓮舫氏は17日、ツイッターを更新。安倍首相が配備計画の停止理由について、配備予定地への説明の前提が違ったためと述べたことを受け、「辺野古も同じ構造です、安倍総理。地元説明、その前提が違っている辺野古も見直しを」とした。

(後略)
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202006170000107.html

蓮舫氏だけではありません、朝日新聞は17日付け社説で「陸上イージスが合理的でないなら、軟弱地盤の存在が明らかになった辺野古への移設も合理的ではあるまい」と結論づけています。

朝日新聞社説の結語を抜粋。

 技術的困難を乗り越えるのに費用や期間がかかりすぎるというのは、沖縄の米軍普天間飛行場辺野古移設も同様である。陸上イージスが合理的でないなら、軟弱地盤の存在が明らかになった辺野古への移設も合理的ではあるまい。こちらもまた、立ち止まる決断を求める。

(社説)陸上イージス 「導入ありき」の破綻 より
2020年6月17日 5時00分

https://www.asahi.com/articles/DA3S14515342.html?iref=pc_rensai_long_16_article

たかだか250キロあまりのブースターの残骸が落ちる場所が制御できない、このような説得力のない理由(だったら海沿いで発射すればいいだけです)で、我が国に対する核ミサイル攻撃に迎撃ミサイルで迎え撃つことを断念する、しかも、事前に防衛省が住民に説明していた内容が「間違い」だったことまでを認めてしまっては、では次は「辺野古中止」だと、一部野党や一部メディアが利用してくるわけです。

繰り返します。

イージス・アショア配備停止の理由をブースター落下問題に矮小化した今回の防衛省の公式見解は、今後、この国の防衛政策に禍根を残すことでしょう。



(木走まさみず)