森会長辞任劇で浮き彫りになったJOCの古き悪しき「体育会系」体質
11日の速報ネット記事によれば、東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長が11日、女性蔑視発言をめぐり辞任の意向を固め、後任は、Jリーグを発足させた元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)で調整しているとのことです。
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森喜朗会長が関係者に辞意伝達 後任は川淵三郎氏で調整
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ここへきての森会長電撃辞任でありますが、決め手は、IOC(国際オリンピック委員会)の「完全に不適切な発言だった」の“手のひら返し”の森会長非難声明でありました。
当初、IOCは「森氏は今日、発言を謝罪した。IOCは問題は解決したと考えている」とし、不問に付す姿勢を示していました。
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IOC、失言の森氏に不問の姿勢「問題は解決したと考えている」組織委も擁護
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/02/05/kiji/20210205s00048000114000c.html
が、大会スポンサーも次々と非難声明を発表。海外メディアも、森会長の辞任を要求する世論を明確に支持し始めたのをみて、IOCは自己保身のために森氏を見切って完全に『ハシゴ外し』の“手のひら返し”の森会長非難声明を出したのであります。
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態度豹変のIOC非難声明が森会長辞任への決定打?!海外メディアも「叱責されても職に留まる」と続投方針を疑問視
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a6f5bf985b2dffb7166448f68648dd7af2e22b9?page=1
で、IOCを“手のひら返し”に突き動かしたきっかけは大会スポンサーも次々と非難声明を発表したことがありますが、中でもアメリカ三大TVネットワークのひとつ、NBCが森会長批判に動いたことであります。
IOCの予算の7割はオリンピックの放映権料に依存しており、その放映権を持ち、開催是非のキーを握るとされるのが米NBCなわけです。
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そのNBCが、「東京五輪のトップ、森氏が性差別で大坂なおみや他の人々から非難を受ける。彼は去らなければならない」との見出しを取って辞任を求める、以下の意見記事を掲載したのです。
ご覧いただけるように、記事見出しの最後に、「彼は去らなければならない("He must go.")」という強烈な言葉を用いていて、この意見記事におけるNBCの森会長辞任への強い意思を示したのであります。
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五輪スポンサー(NBC)から圧力により森擁護から森批判に“手のひら返し”をしたIOC、その外圧により森会長は12日にも辞任表明する運びです。
しかし情けないのはJOCです。
そもそも森会長は数々の暴言癖を有する危険人物なのでありました。
当ブログは、そもそも論として、そんな彼を会長に据えていたほうが悪いのだと、指摘してきました。
2月5日エントリーより当該箇所を抜粋。
元から危険人物です。
森喜朗氏が女性蔑視だけでなく外国人や特定職業や地域などにきわめて差別的で、昔から無防備に暴言を繰り返してきた危険な政治家であることは万人の知るところであります。
さらに付け加えれば彼の推進する政策・プロジェクトの多くが実現困難なトラブルに見舞われてきた事実もあります。
そんな危険人物を、やり手がいないからと6年前に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に押し付けておいて、何をいまさら彼を非難できましょうや。
2021-02-05
森喜朗氏は劣化などしていない、最初からだ! 彼を会長に据えていたほうが悪い より抜粋
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2021/02/05/105058
そんな危険な彼を会長に担ぎ出したものの当然の責務として、今回の暴言による騒動に対して、JOCとしての責任ある意思表明があってしかるべきでした。
しかし今に至るまでJOC内部からの一切の意思表示はありません。
報道によれば森氏自ら水面下で根回しして後任(川淵三郎氏)の調整までしたようです。
その間、JOCは一切の沈黙をしているに等しいのです。
今回の森喜朗会長辞任劇で、一番浮き彫りになったのは、実は上に対して意見を一切言えぬJOCの古き悪しき「体育会系」体質だったのであります。
ある意味単純な森氏の女性蔑視発言よりも、こちらのほうが問題の根が深いのかもしれません。
(木走まさみず)