こんな政治家特権が許されてよいはずがない〜選挙民をさておき自分大切とばかり即入院してしまった石原伸晃氏
さて石原伸晃氏であります。
自民党の石原伸晃元幹事長が新型コロナウイルスに感染したと、石原氏の事務所が22日明らかにしました。国会議員の新型コロナ感染が確認されるのは9人目で、派閥領袖(りょうしゅう)では初めて。
報道によれば、石原氏は21日夕、東京都内の病院でPCR検査を受け、22日午後に陽性と判明。不整脈があることを理由に即日入院いたしました。体調は良好で発熱などの症状はない、無症状だということであります。
石原氏は21日昼、国会近くの派閥事務所で開催した派閥例会に出席した後、坂本哲志地方創生担当相と野田毅元自治相の3人で都内のレストランの個室で昼食を取っていました。
(関連記事)
自民・石原伸晃元幹事長が新型コロナ感染 派閥領袖で初めて
https://mainichi.jp/articles/20210122/k00/00m/040/230000c
ふたつ指摘しておきます、まず一点目。
二度目の緊急事態宣言のもと、自民党政権が国民に強く会食ダメ出しを要請しているさ中に、堂々と会食を繰り返していた派閥リーダーなのです。
知り合いからすすめられてPCR検査を受けたと報道されていますが、おそらく繰り返された会食の中で参加者に陽性者が出たのかもしれません。
挙句のはての陽性反応です。
政治家として全く無責任極まります。
ネット上では「あれだけ会食ダメといっておきながら自分たちだけは特権かよ」などの批判の声が溢れています。
また、自民党関係者からも「昼食時に弁当を配るのもやめて、夜だけでなく昼の会食も控えるよう申し合わせしていたのに派閥の会長がやってどういうことなのか。」と、さすがに突き放す発言が漏れてきます。
より有り得ないのが、二点目。
自業自得とも言える振る舞いの結果PCR検査が陽性になると、無症状にも関わらず即行で翌日入院するのです。
石原氏の地元選挙区である東京都の国民にとって「惨状」とも表現されている医療状況を、この政治家には何も見えていないようです、場の空気を読むより自分が優先なのです。
今東京都では、医療が逼迫、石原氏と同様の不整脈などの基礎疾患を抱えている感染者も多くが入院先が見つからず自宅療養を余儀なくされています。
東京都は20日、80代と60代の男性2人が自宅療養中に死亡したと明らかにしています。
80代男性は15日に陽性と判明。糖尿病の基礎疾患はあったが、無症状だったため自宅療養とされます、しかし17日夕に体調が急変、同日死亡します。
一方、60代男性は16日に陽性と診察を受けます。腎臓、心臓に疾患があり、受け入れ先の医療機関を探すも直ぐに見つかりませんでした。
38度台の熱があったものの、救急搬送するような状態ではないと判断され、しかし、19日午後に自宅で倒れているのが発見され、搬送先で死亡しました。
石原氏同様、基礎疾患があるも入院したくも入院先がなかなか見つからず自宅療養を強いられ死亡者が出ているわけです。
ましてや現在無症状の石原氏とは違い、38度台の発熱があっても入院が間に合わず死亡した例も出ているわけです。
(関連記事)
<新型コロナ>東京で自宅療養の2人が死亡 60代男性は腎臓、心臓に疾患「2日間入院先見つからず」
2021年1月20日 22時38分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81075
90代男性の件では、東京都は「チャートの目安では入院相当かもしれないが、症状、家族と暮らしていることを総合的に勘案し、自宅療養になったと思う」としています。
これらのケースは「(本来は)チャートの目安では入院相当」と、東京都も認めていますが、本来入院する必要のある感染者が何日も入院できないケースが続出しているわけです。
石原氏は無症状にも関わらず、検査翌日即入院ができています。
これは有り得ません。
これにはネットからも「お前は上級市民か」と批判が起こっています。
(関連記事)
コロナ感染・石原伸晃氏に「上級国民」批判 〝禁〟破り会食、即入院
https://news.yahoo.co.jp/articles/bc66e2308e4e279d39f43258431e987b133e2c9a
多くの選挙民が会食ダメ出しを要請され、また基礎疾患を有する選挙民が感染しても入院すらままならない危機的状況にある中で、
会食を繰り返し、自業自得の挙句に陽性が判明したならば、選挙民をさておき自分大切とばかり即入院してしまった石原伸晃氏なのであります。
こんな政治家特権が許されてよいはずはありません。
ため息しか出ません。
この人は派閥の領袖(リーダー)としての資質、いや政治家としての資質に大きな問題を抱えていると、私は判断せざるを得ません。
相変わらず、自分の問題行動を客観評価できない、周囲の空気がまったく読めない人間なのです。
(木走まさみず)
突然のgoogle障害で全国のオンライン授業中の大学生が受難の巻
今回は小ネタです。
昨日(1月22日金曜日)午前に教育現場で発生したトラブルについて、一般の読者にご紹介いたしましょう。
このコロナ禍でほとんどの大学でオンライン授業が実施されているわけですが、私が所属している工学系の学部でも多くの科目がオンライン授業となっております。
基本ツールとしては、テレワークなどで使われているズームで授業はリアルタイムに進行します。
私の担当科目の場合、学生20名ほどに講義をいたしますが、基本学生にはミュート(音をOFF)にしてもらい、質問等はチャットで受け付けます。
教員の手元には卓上の「書画カメラ」があり、教員自身を写したり、テキストを写したり、あるいは白紙に手書きしているところをリアルに配信できます。
で、教員側はオンライン授業をどこからでも配信可能です。
講師の自宅からでも、法人に属している講師ならオフィスからでも、ネット環境がしっかりあれば、わざわざ教室に出向かなくてもいいわけですね。
私の属する学部でも許可されれば在宅で授業している講師も少なからずおりますが、原則としては教室に出向いてオンライン授業を実施しているのが大半であります。
理由は二つありまして、やはりネット環境や機器などが充実していることと、もうひとつ大切な理由は、家庭のネット環境が弱いなどの事情でオンライン授業に参加できない学生に、教室で対面授業を受けれるように配慮しているわけです。
実際私がオンライン授業を行う教室の風景をご紹介。
■オンライン授業風景1
※撮影:木走まさみず
対面授業で教室で授業に参加する学生のために、ホワイトボードにプロジェクタで授業内容を投影しているわけですが、全員がオンライン参加で教室に学生が一人もこないことも多々あります。
どうでしょう、この風景、講師はかなり孤独です、たそがれて(苦笑)います。
角度を変えるとこんな感じです。
■オンライン授業風景2
※撮影:木走まさみず
教卓周辺には、ノートPCを中心に作業用モニタ、プロジェクタ、書画カメラ、マイクなどが配置されています。
さて、こんな環境でズームを利用してオンラインで授業を実施しているわけですが、多くの大学ではズームだけでなく、グーグルドライブのクラスルームという教育現場用のサービスを併用しています。
Google Classroomは文字通りネット上に仮想のクラスルームを構築できます。
そのクラスルームに入室すれば、グーグルが提供する共有スペースがあり、教員はそこに学生に配布したい課題や資料をアップロードできます。
学生はクラスルームに入室して、必要なファイルをダウンロードできるわけです。
逆に学生側からも作成した課題やレポートをクラスルームに入室して提出(アップロード)することができます。
よくできたツールで課題ごとに提出期限も設定できるし提出率なども教員側からはリアルに情報を得ることができます。
さて前振りが長かったですが、ここから昨日(1月22日金曜日)午前に教育現場で発生したトラブルについて、一般の読者にご紹介いたしましょう。
さて1限目(9:00〜)からオンライン授業を実施していた私は、今週の課題をアップロードし、かつ先週出題した今日締切の課題提出状況を確認しようと、Google Classroomにアクセスし自分の教室に入室しようとしたのですが・・・
アクセスが拒否されてしまいます。
何どもトライしましたが、サーバエラーが表示され、クラスルームに入室できません。
今週の課題を学生に配布できないと大いにあせる私なのですが、私よりも焦ったのが学生たちです。
チャットで「今日締切の課題レポートが提出できません」「どうすればいいですか」と悲痛な声が続々届きます。
取り敢えずズームは障害なく動きますので、オンライン授業は進行しつつ、私はネットで必死に何が起こっているのか情報収集しました。
やはり広範囲でGoogleで障害が発生しているようでした。
以下のサイトで昨日の9;00〜12:00に障害報告が突出していることが確認できます。
さらに調べれば全国の大学でオンライン授業中の多くの学生の悲痛な叫びリアルタイムに飛び交っていました。
https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/Google%E9%9A%9C%E5%AE%B3/
ううーむ、「Google障害で授業資料と課題提出できねぇ」と、全国の大学で多くの学生がこの障害に巻き込まれてしまったようです。
おそらく学生の親御さんでしょうか、このささやきが印象的でした。
結局、この障害はお昼ごろ解消されたようですが、結局私は本日締切の課題を翌週まで締切を伸ばすことで学生を救済いたしました。
本件を読者のみなさんにご紹介したのは、別にGoogleを責める目的ではありません。
実際の日本全国のオンライン授業が、いくつかの民間企業の技術に完全に依存しているこの実態をご理解頂きたかったのです。
そういえば昨年の夏アメリカで、ズームのサービス障害が発生し、多くの大学や高校がズームが復旧するまで授業を中止または延期に追い込まれました。
(関連記事)
Zoom障害でオンライン授業に支障 「全部Zoomのせい」で本当によいのか?
https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2009/29/news01.html
今回は我が国のオンライン授業の現状を、昨日(1月22日金曜日)午前に教育現場で発生したトラブルなどを通じて、一般読者にご紹介いたしました。
「突然のgoogle障害で全国のオンライン授業中の大学生が受難の巻」でした。
(木走まさみず)
「鼻出しマスクの受験生の成績無効」は監督者の判断が正しかったと思う
16日の大学入学共通テスト初日に、東京都内の会場で、監督者の注意に従わずに鼻を出したままマスクを着け続けた受験生1人の成績を無効にされました。
(関連記事)
鼻出しマスクの受験生の成績無効に 注意従わず不正認定
https://www.asahi.com/amp/articles/ASP1K7DL7P1KUTIL01J.html
この処置に対して、いくらコロナ禍とはいえ厳しすぎるのではといった批判が起こっておるようであります。
維新の青山議員は「今は中世暗黒時代?」とネットで批判しています。
今は中世暗黒時代?
https://blogos.com/article/510789/
エントリーより失礼して結びの部分を引用。
これはどう考えても不合理かつ非科学的。
(中略)
クシャミの時に鼻から飛沫なんていう専門家もいるようだが、そこまで盛大なクシャミをすることはあまりないだろう。今更試験結果無効にすることに何の意味があるのか?受験生に対するセンター側の単なる意趣返しに過ぎない。
科学的にまったく無意味な理由により不相当な処分を下した訳で、明らかに不当だ。
マスクから鼻が出ているだけで試験無効とは、不合理かつ非科学的であるとの批判であります。
心情的にはごもっともではありますが、私は本件は監督者の判断が正しかったと考えます。
学部の講師として私も毎年試験監督を受け持ってまいりましたので、その経験も踏まえて意見させていただきます。
試験監督には『試験監督マニュアル』が与えられマニュアルの遵守が義務付けられますが、その第一の目的は、全ての受験学生の平穏に受験する権利を守ることにあります。
監督者は試験会場の秩序を守ることが第一のつとめなのです。
今回はマニュアル上、すべての受験学生は「試験会場では正しくマスクを装着しなければならない」との指示があったはずです。
そこに試験監督個人の裁量の余地はありません、会場によってはマスクの着脱を許すというような「不平等」は認められないからです。
報道によると、この受験生は地理歴史・公民、国語、外国語を受験した際、それぞれの監督者から鼻を覆うよう計6回注意されたが従わず、成績無効の可能性を伝えられても鼻を覆わなかったため、不正行為と認定されたとあります。
重要なことは「正しくマスクを装着しなさい」という監督者からの指示を6回も無視をし続けた「違反行為」にこそあります。
コロナ禍で行われた今回のテストでは、感染症対策のため、受験生に正しいマスクの着用が義務づけられています。
もちろん医学的に配慮が必要な受験生には、マスクなしでの別室受験を認めているのです、しかしこの受験生から事前の申請はなかったとあります。
繰り返しますが、本件は「正しくマスクを装着しなさい」という指示をまもらず、「次の注意で無効になる」と告げたあとも応じず、「試験場で監督者などの指示に従わない」という不正行為の要件に該当したのです。
NHKの報道によれば、この受験生は40代で、監督者の指示に従わなかった際の対応に加えて、最終的には不正を告げられると会場内のトイレに閉じこもり出て来なかったことから、かけつけた警察官によって退去させられたということです。
(関連記事)
“マスク不正行為”は総合的判断
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210118/1000059123.html?fbclid=IwAR2PWUYh1XzGYBYgJn4NAnHg3C_yBb-5L08_ptaLP5Pt47ZJHtfl9_JCdfc
かなり特異なケースだったことが理解できます。
監督者は試験会場の秩序を守ることが第一のつとめなのです。
私は本件は監督者の判断が正しかったと考えます。
(木走まさみず)
韓国による異様な判決で追い込まれたのは実は韓国側
さて「国際法的にも常識的にも、あり得ない判決」(外務省幹部)が8日、韓国で下されました。
「主権国家は他国の裁判権には服さない」という国際法上の「主権免除」の原則に逆らい、韓国のソウル中央地裁が元慰安婦訴訟で直接日本政府に賠償を命じたのです。
慰安婦問題を含め、日韓間の財産・請求権の問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で完全かつ最終的に解決済みです。
さらに慰安婦問題については、2015年の日韓合意において「最終的かつ不可逆的な解決」が日韓両政府の間で確認されております。
つまりこの判決はいくつも国際法違反を重ねた上での「有り得ない判決」なのであります。
菅首相は会見で「このような判決は断じて受け入れることはできない」と反論、さらに今後の対応について、首相は「まず、この訴訟が却下されるところから始まる」と、本件はまず韓国側で対応すべきと突き放しました。
国際法上の『主権免除』の原則から、日本政府は韓国側の裁判権に服することは認められないという立場から控訴する考えはなく、本判決はこれで確定する見込みです。
そうなると、韓国で日本政府の国内資産を差し押さえた後に売却して賠償金に変えることになります。
在韓日本大使館の建物と敷地、大使館の車両などを強制執行することになりますが、これを強行すれば韓国はまたしても国際法を著しく違反することになります。
ウィーン条約第22条第3号は「公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される」と明確に規定されているからです。
当ブログとしては、この判決で追い込まれたのは実は韓国側であり、日本としては韓国を突き放しつつ、その出方を見守ればよろしいと考えます。
もしこのような違法裁判により、日本政府資産を強制的に差し押さえたとしたならば、国際的には相手国に宣戦布告したも同様です。
その時は断固たる報復措置をとればよろしいのです。
今は韓国側の次の一手を待てばよろしい。
いつまでも強制執行できず韓国司法の権威が失墜、合わせてそれを見守るしかない韓国政府の優柔不断が浮き彫りになるもよし、さらなる国際法違反を覚悟で日本政府資産を強制執行をし国際的に韓国の異様な犯罪体質を知らしめ、なおかつ日本政府からの強烈な報復を受けるか、彼らにこの不毛の選択をさせればよろしいのです。
この韓国による異様な判決で追い込まれたのは実は韓国側なのであります。
彼らには次の有効な手はありません。
(木走まさみず)
新型コロナウイルスに対峙する政府に対し後ろから思い切り銃を撃ちまくる日本最大野党
新型コロナ感染症の感染の勢いが止まりません。
5日は、これまでに全国で4915人の感染と76人の死亡が発表されています。
いずれもこれまでで最も多くなっています。
(関連記事)
【国内感染】コロナ 76人死亡 最多4915人感染確認 (5日23:50)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210105/k10012798061000.html
国内感染者の日別推移を確認しておきましょう。
厚生労働省 オープンデータ
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
※上記公開データより『木走日記』作成
厚労省の発表によれば、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどの重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)ですので、日別約5000人の陽性者数発生は少し遅れて日別80人の重症者発生が予測されます。
重症者数は、5日時点で771人(+40)となっています、これも過去最多です。
この勢いで感染者数が増えますと医療機関が持ちません、地域にもよりますが既に東京では「医療崩壊は起きている」とする報道もあります。
東京・品川区の昭和大学病院・相良博典院長はすでに脳卒中や心筋梗塞などの緊急患者を受け入れができなくなっており、次のように医療崩壊ははじまっていると訴えます。
昭和大学病院・相良博典院長「通常の体制プラス2人から3人の強化ということで、人員配置をした。(年末年始も)1日に、2、3、4人という形で、入院患者がどんどん増えてきていた。やはり、年末年始でものすごく患者さんが増えました」
確保していた重症者の病床は5床だが、3日時点での重症者は9人で、大幅に超えている。
昭和大学病院・相良院長「重症の患者さんのベッドはもう作れない。医療崩壊は起きてきているというふうに思う」
すでに脳卒中や心筋梗塞などの緊急患者を受け入れられず、院長は「感染が拡大していることを認識して行動を取ってほしい」と訴える。
昭和大学病院・相良院長「国民の皆さん1人ひとりの行動が重要なんじゃないかなと思う。ぜひお願いしたい」
「医療崩壊は起きている」 年末年始の最前線 より抜粋
https://www.fnn.jp/articles/-/126662
欧米に比べて感染者数がひと桁少ないはずの日本でなぜこのような「医療崩壊」が起きてしまうのか、地域をまたがる医療リソースの機動的運用がなぜ難しいのかなど、早急に改善すべき課題です。
さて、新型コロナウイルス対策で、政府は、首都圏の1都3県を対象に7日、緊急事態宣言を出すことを決める方針です。
経済への影響を最小限に抑えたいとして、限定的な措置を講じることにしており、実効性の確保に向けて、知事が法律に基づいて使用制限を「要請」できる対象に飲食店を加えるため、政令の改正を検討しています。
(関連記事)
緊急事態宣言の発出を7日に決定の方針 1都3県対象 菅首相
2021年1月5日 18時12分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210105/k10012797331000.html
菅首相は飲食に的を絞り、限定的、集中的な「一点突破策」で首都圏の感染拡大を抑えたい考えを示した、といえましょう。
飲食を対象とした実効的な対策は必要です。一定の効果は期待できましょう。
しかし気になるのは科学的知見に基づいた対策なのかどうかです。
政府が根拠としている飲食店の営業時間短縮(時短)が感染拡大の抑止につながったとみられる北海道や大阪でも、いまだ感染の収束には至っていないのが現実です。
昨年夏の第2波でも、いわゆる「夜の街」を対象に集中的な対策が実施され、その効果はあったものの市中感染を止めることはできなかったわけです。
限定的、集中的な対策だけでは、短期間に新型コロナウイルスを抑え込むことはできないことを、これまでの経験から認識する必要があります。
このタイミングでの政府の緊急事態宣言の発出を支持した上でですが、内容によっては感染者数拡大を止めることができない可能性が十分あります。
必要によっては、対象地域、対象業種などを柔軟に拡大できるように備えるべきでしょう。
・・・
欧米では、今回の政府によるロックダウンなどのコロナ対策を、「戦時下」に例えて、平時ではなく非常時における政府による止むを得ない個人の権利の抑制と、議会でも政府の対策を肯定的に議論されています。
例えばイギリスです、ボリス・ジョンソン首相は4日、国内で新型コロナウイルスの変異株が拡大する中、イングランドで5日から2月中旬まで新たなロックダウンを実施すると発表します。これにより住民は特定の理由を除き、外出ができなくなります。
(関連記事)
英首相、イングランドに3度目ロックダウン 感染急増で「最も困難な状況に」と警告
https://www.bbc.com/japanese/55540497
新規制に関する採決を行うため、下院議会は6日に召集されます。
上記BBC記事によれば、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、同党議員は「措置全体を支持する」だろうとし、「我々はこれが機能するように全員で団結している」と述べています。
未曾有の新たな疫病との戦いにおいて、新型コロナ対策を与党対野党の小さな「政局」に持ち込まないとの考えなのです。
英国政府のこれまでのコロナ対策が右往左往を繰り返し、ヨーロッパ最多の死亡者数を発生してしまっています、判断の遅れ・政策の遅れは繰り返され、お世辞にも上手く対応できていたわけではありません。
しかし今回の新型コロナ対策では、時時刻刻状況の変化と共に臨機応変に対策をしていくしかない、そこに正解はないわけです。
だからイギリス議会で野党はイギリス政府の揚げ足を取らないわけです。
この非常時に国民を守るために、この局面では政府の足を引っ張るよりも政府に協力すべきだと俯瞰的に判断しているのです。
さて立憲民主党の枝野代表は、党の仕事始めで「日本の政治が機能していないことで命が失われている」と述べ、日本政府の対応を痛罵いたします。
(関連記事)
立民 枝野代表「政治機能せず命失われている」コロナで批判
2021年1月4日 11時37分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210104/k10012795721000.html
枝野代表は、政府の新型コロナウイルス対策について「必要以上に医療従事者などに大変な負担をかけているのではないか。あすの暮らしに困る人たちをこんなに多く出さずに対応できたのではないか」と批判。
「日本の政治が機能していないことで、多くの皆さんに大きな苦労をかけ、命が失われている」と述べ、政府の対応を批判しました。
「必要以上に医療従事者などに大変な負担をかけている」、「あすの暮らしに困る人たちをこんなに多く出さずに対応できた」、「日本の政治が機能していないことで命が失われている」と仕事始めに菅政権を痛罵する立憲民主党の枝野代表なのであります。
「日本の政治が機能していないことで命が失われている」ですか・・・
現在も必死で新型コロナ対策を講じている日本政府に対し、一刀両断、その足を引っ張りまくる、後ろから思い切り撃ちまくる日本最大野党なのであります。
政府批判は政府批判としてけっこうですが、新型コロナ対策では国民のためにどうか建設的に議論をしていただきたいです。
(木走まさみず)
この絶望的な時代錯誤感、まるで「進歩的文化人」のような大晦日朝日新聞社説
「進歩的文化人」、明確な定義はありませんが、戦後、日本の論壇を一時独占した、左翼の学者や作家、芸術家などを指した呼称であります。
「進歩」の先にソ連や中国の社会主義国を想定していたため、日本社会党又は日本共産党の主張を擁護しつつ、反自民党・反保守派の立ち位置をとり、護憲平和、非武装中立、戦後民主主義の擁護などを唱えたのでした。
その論説は、岩波書店の世界や朝日新聞社を中心に、日本の左派論壇に掲載され、進歩的文化人はしばしば「朝日文化人」などとも呼称されていました。
「進歩的文化人」の一人として「知の巨人」評論家・加藤周一(2008年、89歳で死去)がおりました。
評論家・加藤周一をリベラル派はいかに評価しているか、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」の昨年のコラム記事より。
きょうの潮流
今月19日は「九条の会」の呼びかけ人の一人、評論家・加藤周一の生誕100年に当たりました。東京と京都で記念の国際シンポジウムが開かれ、カナダ、フランス、ドイツ、中国、韓国の研究者も交えて、活発な議論が行われました▼シンポでは「加藤周一はマルクス主義者ではなかったが、マルクスをよく読んでいた」という指摘がありました。思い出したのは、ソ連が崩壊した時の加藤周一のコラム「夕陽妄語」の一節です▼「社会主義が死んだという大合唱は、議論としてまことに粗雑である」と戒め、マルクスの社会分析が現代にも通用することを示しました。「マルクス主義は死んだのではなく、常識になったのである」。社会主義崩壊論の嵐のなか、この言葉にどれほど励まされたか知れません▼「私の民主主義の定義は、甚(はなは)だ簡単である。強きを挫(くじ)き、弱きを援(たす)く」と書いたこともあります。富裕な医者の家に生まれながら、弱い立場の人々への思いやりを忘れませんでした▼晩年の加藤は「九条の会」を結成し、憲法擁護を訴えて全国をまわりました。加藤は書いています。「戦争に反対するのは、科学者としての認識の問題ではなく、人間としての価値の問題である」▼ベルリン自由大学のイルメラ・日地谷=キルシュネライトさんはシンポでこう語りました。「世界の大きな変動の中で、加藤が強調した理想やデモクラシーのような価値なしに我々はやっていけない。加藤は真に国際的なアピール力を持った自立した思想家だった」
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-09-30/2019093001_05_0.html
さて、共産党機関紙から「加藤周一はマルクス主義者ではなかったが、マルクスをよく読んでいた」と評価を受け、さらに「「九条の会」を結成し、憲法擁護を訴えて全国をまわり」護憲運動の中心的文化人であったと評価しています。
赤旗コラムは「加藤は真に国際的なアピール力を持った自立した思想家だった」と結ばれていますが、共産党機関紙からこれだけ評価を受けるということは、逆にいえば彼の論説は共産主義・社会主義への親和性がそれだけ強烈だったわけです。
ソ連崩壊のとき、「マルクス主義は死んだのではなく、常識になったのである」と共産主義を擁護した加藤ですが、共産主義諸国に対するこの偏向した擁護は、加藤の論説に多くの矛盾をもたらします、例えば中国における人権問題です。
古本虫太郎氏のブログより失礼して当該箇所を引用・紹介。
そのほかの日付のコラム(96・6・19)ではこうも言っていた。
「今日人のいう『中国の脅威』においてをや。中国の努力は今あきらかに国内の経済問題――それは十分に困難だ――と、外部からの内政干渉を排除することに向けれらている。中国からみてのティベットと台湾は国内問題である。日本は国外問題である。その軍事力に至っては、かつてのソ連のそれに及ばざること遠いだろう。『中国の脅威』を前提として日本の対外政策を組みたてるのは、非現実的である、と私は考える」
「情報の鎖国状態は、もはや今日の北京にはない」と1994年に妄語した加藤周一は「知の虚人」だったのか? より引用
http://kesutora.blog103.fc2.com/blog-entry-2531.html
チベット問題を中国の国内問題だから内政干渉すべきでないとの主張は、中国共産党政府の主張そのものであり、『中国の脅威』は非現実的であるとの彼の論は、当時の多くの進歩的文化人がいかに無分別に親ソ連・親中国であったかのひとつの好事例であります。
さて時は流れて令和2年であります。
ここ20年の論壇における左派の退潮は、「進歩的文化人」という言葉をほぼ死語としつつあります様相ですが、しかしいまだその偏向した論説を活用するメディアがあります。
今年大晦日の最後の朝日新聞社説は、普段2本掲げる社説を1本にまとめた大作であります。
(社説)「1強」の終わり 危機に立ちすくむ強権政治
2020年12月31日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S14749984.html?iref=pc_rensai_long_16_article
安倍・菅流民主主義を「危機に立ちすくむ強権政治」と社説タイトルでレッテルを張り、戦前回帰の「国家主権」であると批判します。
国家の機関なら四の五の言わずに国家権力に従え、というのが安倍・菅流民主主義だ。国民主権ならぬ、国家先にありき、戦前回帰の「国家主権」とでも言うべきか。
ここで評論家・加藤周一の民主主義の定義を持ち出します。
「現在の政治に対する批判的な意見がたくさんあること」
評論家の加藤周一は民主主義をそう定義する。(「いま考えなければならないこと」)
社説は、「まさに「加藤流」民主主義の力の見せどころだが、安倍、菅両氏は議論を嫌う」と断罪します。
試行錯誤はやむを得まい。限られた時間のなかで、少数意見をも重視する議論によって合意を探る。間違えれば柔軟に修正する。まさに「加藤流」民主主義の力の見せどころだが、安倍、菅両氏は議論を嫌う。
そして菅政権を「批判も意見も届かない裸の王様になっ」ている、「強権政治の弊害と限界が見て取れる」と言い切ります。
最長内閣を裏方として仕切った菅氏。その強面(こわもて)が表舞台に立ったいま、「物言えば唇寒し」の空気を政官界に広げ、批判も意見も届かない裸の王様になってはいないか。強権政治の弊害と限界が見て取れる。
朝日社説は加藤周一が主張する「批判的な意見」を重視し、「民主政治の基本原則を再起動させ」よ、と結ばれています。
「ぼくらの暮し」を第一に、「批判的な意見」にこそ耳を。
国民主権、権力分立、議会中心主義、法治主義など民主政治の基本原則を再起動させる。
コロナ禍を転換の機会としたい。菅内閣発足3カ月半。いまならまだ、カジは切れる。
・・・
令和2年大晦日の朝日新聞社説は、「現在の政治に対する批判的な意見がたくさんあること」を理想の民主主義と唱える評論家・加藤周一の論を利用して、安倍・菅流民主主義は危機に立ちすくむ強権政治であると批判しています。
批判がとどかない「はだかの王様」、危機に立ちすくむ「強権政治」、社会の木鐸を自称するメディアの社説とはおもえない過激な修辞(レトリック)が、繰り出されています。
しかし、社説全体を覆い尽くす視野の狭いこの断定文には辟易してしまいます。
そうこの過激な修辞(レトリック)の連発、これはその昔の学生運動のそれを彷彿とさせるのです。
かつての反米学生運動のような全能感を伴う権力批判、どうにもかぐわしく醸し出されるこの知的レトロ感・・・
この絶望的な時代錯誤感、さすが朝日新聞社説と申しましょうか。
今回は本年最後の朝日新聞社説を取り上げてみました。
(木走まさみず)
「政治とカネと秘書」の問題で前首相を追求するのに「よりによってお前が言うのか」辻元清美氏
立憲民主党が本気で政府・自民党を追い込む好機到来と捉えるならば、正しく戦術を立てて、安倍前首相を国会にて政治家とカネの問題で追求しなければなりません。
政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば「あれは秘書のやったこと」と嘯(うそぶ)いて、自らの責任を逃れようとします。
政治家は基本的に金銭に関わる部分は秘書に任せており、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるように国会にてその発言の矛盾をつかなければなりません。
さて、「政治とカネ」の問題は、そこで問題になる不正な金の流れの原資が政党助成金などを通じた国民の血税である点であってはならない犯罪行為であり、そして秘書に責任を押し付ける過程で国会でしばしば虚偽答弁などが行われます、国会軽視甚だしい愚行も断罪しなければなりません。
それなのにです。
今回、国会で安倍前首相を追求するのに、なぜよりによって辻元清美氏を立てたのでしょうか?
辻元清美
安倍前総理、桜を見る会補填問題で119回目のウソ!?
https://blogos.com/article/506506/
「政治とカネと秘書」の問題で、安倍氏本人は不起訴、安倍前首相公設第1秘書は略式起訴で罰金100万円が命令されています。
(関連記事)
安倍前首相公設第1秘書を略式命令 安倍氏は不起訴 東京地検
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201224/k10012781251000.html
対して質問者である辻元清美氏は、「政治とカネと秘書」の問題で、2003年7月、辻元本人と初代政策秘書、元公設秘書、名義借り指南役とされる土井たか子党首の元政策秘書4名が秘書給与詐欺容疑で警視庁捜査二課に逮捕されています。
2003年11月20日、東京地方裁判所で公判開始。2004年2月12日、懲役2年執行猶予5年の判決。検察、被告とも控訴せず、同月26日に判決が確定しています。
(関連サイト)
辻元清美秘書給与流用事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%BB%E5%85%83%E6%B8%85%E7%BE%8E%E7%A7%98%E6%9B%B8%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E6%B5%81%E7%94%A8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
「政治とカネと秘書」の問題で、今回不起訴である安倍前首相を追求する質問者に、「政治とカネと秘書」の問題で、かつて秘書給与を搾取して国会にて事実無根と虚偽答弁を繰り返し逮捕有罪確定した議員をぶつけてくるとは、信じられない愚策と申せましょう。
純粋に戦術の話として、立憲民主党はなぜこのような愚策を取るのでしょうか?
国民から「よりによってお前が言うのか」と反感を買うのは必定なのに。
やれやれです。
(木走まさみず)