木走日記

場末の時事評論

新型コロナウイルスに対峙する政府に対し後ろから思い切り銃を撃ちまくる日本最大野党

新型コロナ感染症の感染の勢いが止まりません。

5日は、これまでに全国で4915人の感染と76人の死亡が発表されています。

いずれもこれまでで最も多くなっています。

(関連記事)
【国内感染】コロナ 76人死亡 最多4915人感染確認 (5日23:50)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210105/k10012798061000.html

国内感染者の日別推移を確認しておきましょう。

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厚生労働省 オープンデータ
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
※上記公開データより『木走日記』作成

厚労省の発表によれば、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどの重症化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)ですので、日別約5000人の陽性者数発生は少し遅れて日別80人の重症者発生が予測されます。

重症者数は、5日時点で771人(+40)となっています、これも過去最多です。

この勢いで感染者数が増えますと医療機関が持ちません、地域にもよりますが既に東京では「医療崩壊は起きている」とする報道もあります。

東京・品川区の昭和大学病院・相良博典院長はすでに脳卒中心筋梗塞などの緊急患者を受け入れができなくなっており、次のように医療崩壊ははじまっていると訴えます。

昭和大学病院・相良博典院長「通常の体制プラス2人から3人の強化ということで、人員配置をした。(年末年始も)1日に、2、3、4人という形で、入院患者がどんどん増えてきていた。やはり、年末年始でものすごく患者さんが増えました」

確保していた重症者の病床は5床だが、3日時点での重症者は9人で、大幅に超えている。

昭和大学病院・相良院長「重症の患者さんのベッドはもう作れない。医療崩壊は起きてきているというふうに思う」

すでに脳卒中心筋梗塞などの緊急患者を受け入れられず、院長は「感染が拡大していることを認識して行動を取ってほしい」と訴える。

昭和大学病院・相良院長「国民の皆さん1人ひとりの行動が重要なんじゃないかなと思う。ぜひお願いしたい」

医療崩壊は起きている」 年末年始の最前線 より抜粋
https://www.fnn.jp/articles/-/126662

欧米に比べて感染者数がひと桁少ないはずの日本でなぜこのような「医療崩壊」が起きてしまうのか、地域をまたがる医療リソースの機動的運用がなぜ難しいのかなど、早急に改善すべき課題です。

さて、新型コロナウイルス対策で、政府は、首都圏の1都3県を対象に7日、緊急事態宣言を出すことを決める方針です。

経済への影響を最小限に抑えたいとして、限定的な措置を講じることにしており、実効性の確保に向けて、知事が法律に基づいて使用制限を「要請」できる対象に飲食店を加えるため、政令の改正を検討しています。

(関連記事)
緊急事態宣言の発出を7日に決定の方針 1都3県対象 菅首相
2021年1月5日 18時12分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210105/k10012797331000.html

菅首相は飲食に的を絞り、限定的、集中的な「一点突破策」で首都圏の感染拡大を抑えたい考えを示した、といえましょう。

飲食を対象とした実効的な対策は必要です。一定の効果は期待できましょう。
しかし気になるのは科学的知見に基づいた対策なのかどうかです。

政府が根拠としている飲食店の営業時間短縮(時短)が感染拡大の抑止につながったとみられる北海道や大阪でも、いまだ感染の収束には至っていないのが現実です。

昨年夏の第2波でも、いわゆる「夜の街」を対象に集中的な対策が実施され、その効果はあったものの市中感染を止めることはできなかったわけです。

限定的、集中的な対策だけでは、短期間に新型コロナウイルスを抑え込むことはできないことを、これまでの経験から認識する必要があります。

このタイミングでの政府の緊急事態宣言の発出を支持した上でですが、内容によっては感染者数拡大を止めることができない可能性が十分あります。

必要によっては、対象地域、対象業種などを柔軟に拡大できるように備えるべきでしょう。

・・・

欧米では、今回の政府によるロックダウンなどのコロナ対策を、「戦時下」に例えて、平時ではなく非常時における政府による止むを得ない個人の権利の抑制と、議会でも政府の対策を肯定的に議論されています。

例えばイギリスです、ボリス・ジョンソン首相は4日、国内で新型コロナウイルスの変異株が拡大する中、イングランドで5日から2月中旬まで新たなロックダウンを実施すると発表します。これにより住民は特定の理由を除き、外出ができなくなります。

(関連記事)
英首相、イングランドに3度目ロックダウン 感染急増で「最も困難な状況に」と警告
https://www.bbc.com/japanese/55540497

新規制に関する採決を行うため、下院議会は6日に召集されます。

上記BBC記事によれば、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、同党議員は「措置全体を支持する」だろうとし、「我々はこれが機能するように全員で団結している」と述べています。

未曾有の新たな疫病との戦いにおいて、新型コロナ対策を与党対野党の小さな「政局」に持ち込まないとの考えなのです。

英国政府のこれまでのコロナ対策が右往左往を繰り返し、ヨーロッパ最多の死亡者数を発生してしまっています、判断の遅れ・政策の遅れは繰り返され、お世辞にも上手く対応できていたわけではありません。

しかし今回の新型コロナ対策では、時時刻刻状況の変化と共に臨機応変に対策をしていくしかない、そこに正解はないわけです。

だからイギリス議会で野党はイギリス政府の揚げ足を取らないわけです。

この非常時に国民を守るために、この局面では政府の足を引っ張るよりも政府に協力すべきだと俯瞰的に判断しているのです。

さて立憲民主党の枝野代表は、党の仕事始めで「日本の政治が機能していないことで命が失われている」と述べ、日本政府の対応を痛罵いたします。

(関連記事)
立民 枝野代表「政治機能せず命失われている」コロナで批判
2021年1月4日 11時37分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210104/k10012795721000.html

枝野代表は、政府の新型コロナウイルス対策について「必要以上に医療従事者などに大変な負担をかけているのではないか。あすの暮らしに困る人たちをこんなに多く出さずに対応できたのではないか」と批判。

「日本の政治が機能していないことで、多くの皆さんに大きな苦労をかけ、命が失われている」と述べ、政府の対応を批判しました。

「必要以上に医療従事者などに大変な負担をかけている」、「あすの暮らしに困る人たちをこんなに多く出さずに対応できた」、「日本の政治が機能していないことで命が失われている」と仕事始めに菅政権を痛罵する立憲民主党の枝野代表なのであります。

「日本の政治が機能していないことで命が失われている」ですか・・・

現在も必死で新型コロナ対策を講じている日本政府に対し、一刀両断、その足を引っ張りまくる、後ろから思い切り撃ちまくる日本最大野党なのであります。

政府批判は政府批判としてけっこうですが、新型コロナ対策では国民のためにどうか建設的に議論をしていただきたいです。



(木走まさみず)