東京都の公開したデータを検証・分析〜重症患者数の推移を、特に注視して行くことが重要
さて東京都では10日、都内で新型コロナウイルスの感染者を新たに243人確認したと発表いたしました。9日の224人に続いて初めて2日連続で200人を超え、過去最多を更新しました。
東京都の公開したデータを検証・分析いたします。
まずは243人の内訳です。
世代です、20代・30代が186人・76.5%です。
※東京都公開データより『木走日記』作成
発生要因です、夜の街関係は、110人・45.3%です。
※東京都公開データより『木走日記』作成
地域です、新宿地区が102人・42.0%です。
※東京都公開データより『木走日記』作成
公開データからは、新たな都内感染者は、8割近くが20代30代であり、夜の街関係が半数近くであり、地域は新宿地域に4割余りが集中していることがわかります。
さて東京都で感染者が再び増加し始めた現在の状況をグラフで押さえます、6月1日からの推移を見てみましょう。
※東京都公開データより『木走日記』作成
まさに右肩上がりで発生感染者が増加しているわけですが、同じ時期の入院患者数の推移を見てみます。
※東京都公開データより『木走日記』作成
ご覧のとおり、6月20日のボトム値204人から直近の7月10日では487人に倍以上に急増しています。
東京都によれば、現在新型コロナウイルス感染者用に1000床が確保されていますので487という数値は危機的なものではありません。
しかし問題は感染者増加のペースで、東京都は現在の1千床体制から3千床へ増強する方針を決めます。
(関連記事)
東京都 病床3000床確保など医療体制強化へ 新型コロナ
2020年7月9日 16時37分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200709/k10012506311000.html
NHK記事によれば、専門家は「入院患者数は2週連続で大幅に増加していて3000床の病床確保が必要であると考える。単に部屋を用意すればすぐに稼働できるわけではなく患者のほかの病棟への移動時間などがかかる。病床確保については直ちに着手して、今後に備えるべきだ」などと分析し、医療提供体制の総括コメントは4段階の上から2番目、「体制強化が必要であると思われる」としています。
東京都では、まさに右肩上がりで発生感染者・入院患者数が増加しているわけですが、同じ時期の重症患者数の推移を見てみます。
※東京都公開データより『木走日記』作成
ご確認いただけるように、重症患者数はこの期間一貫して減少傾向にあり、直近の7月10日では5人になっております。
以上、東京都の感染状況を検証いたしましたが、ここから分析可能な点についてまとめておきます。
まずは今回の東京都における感染者数急増は、数値的には過去最悪の数を連日更新しており、当然ながら入院患者数も急増している、警戒すべき局面であることは間違いないでしょう。
まずこの感染者増加が数値的にどこまで増加するのか、東京都の医療体制を圧迫するほどのペースになるのか、注視して行くことが必要です。
次に、今回の感染者増加のフェーズは、20代・30代の若年層が中心であり、従ってこれまで重症化するケースがほとんど発生していないことが、重症患者数の推移から推測できます。
しかしです。
実は気になるのは、上記の3つの円グラフで、赤く塗られていない部分です。
すなわち、世代的には20代・30代以外の世代も、要因的には夜の街関係者以外の要因も、地域的には新宿以外の地域も、実はすべて増加傾向にある事実です。
これから高齢者の感染者が多く発生すれば当然ながら重症患者数が反転して増加傾向を示すことになるでしょう。
従って、東京都の重症患者数の推移を、特に注視して行くことが重要だと考えます。
(木走まさみず)