木走日記

場末の時事評論

減少傾向だった東京都の重症患者数が反転して増加に転じ始めている危険なシグナル

公開された各数値を正確におさえます。

22日、過去最多の795人の新たな感染者が確認されました。

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NHK公開データより『木走日記』作成

埼玉、愛知、大阪、福岡の4府県で過去最多の記録が更新されました。

感染者の増加が全国的に拡大していることが示されています。

ご覧のとおり、感染者発生地域は34都道府県に再拡大はじめています、感染者数再増加が続く東京都に引っ張られるように全国で感染者数が再拡大されていることが伺えます。

実はここ一ヶ月、東京都の感染拡大のペースと東京都以外の46道府県の感染拡大のペースが、逆転して東京都以外の地域の発生ペースが急増している傾向が顕著になってきているのです。

6月1日以降の感染者数の推移を見てみます。

グラフを東京都と46道府県に分けてみます。

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NHK公開データより『木走日記』作成

6月15日には東京都48人、東京以外24人であったのが、7月4日には131人、143人とその発生人数が逆転し、直近の7月22日では、東京の238人に対し東京以外の557人と、倍以上の数値差がついています。

この統計的事実はとても重要だと考えます。

ひと月前までは東京都だけが突出して感染者数を拡大していたのですが、ここへ来て東京都以外の46道府県の感染者総数の増加ペースが、東京都を上回る増加率を示してきている状態になっているのです。

これは何を意味するのか。

感染者が再び急増している状況が、残念ながら東京一極から拡散し、すでに全国的に感染者爆発が広まりつつあることを示していると考えられます。

皮肉にも過去最大の感染者が確認された22日、政府がゴリ押しした「Go To トラベル」キャンペーンが始まりましたが、東京都民を除外する策を講じます。

しかし、感染者急増が全国的に拡大をはじめてしまった現時点で、東京都だけを除外しても残念ながら、大きな抑制効果は期待できないことでしょう。

統計数値は、東京だけ除外しても、時既に遅しであることを示しています。

・・・

次に東京都の最新の公開データを分析いたします。

6月1日以降の東京都の感染者の推移をおさえます。

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※東京都公開データより『木走日記』作成

ご覧のとおり、14日連続で発生感染者数が100人を超えています。

次に入院者数の推移です。

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※東京都公開データより『木走日記』作成

6月20日のボトム値である204人から7月22日には916人を示しています。

現在東京都の発表によれば入院病床は1400ほど確保しているということで、まだ危機的水準ではないのですが、このペースで感染者が増加していくと入院すべき患者が溢れてしまう事態を招く可能性があり東京都医師会は警戒を強めています。

さて7月5日のエントリーで当ブログは、指標としては発生感染者・入院患者数よりも、東京都の重症患者数の推移を、特に注視して行くことが重要だと指摘しています。

当時のエントリーより抜粋引用。

東京都では、まさに右肩上がりで発生感染者・入院患者数が増加しているわけですが、同じ時期の重症患者数の推移を見てみます。

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※東京都公開データより『木走日記』作成

ご確認いただけるように、重症患者数はこの期間一貫して減少傾向にあり、直近の7月10日では5人になっております。

(中略)

すなわち、世代的には20代・30代以外の世代も、要因的には夜の街関係者以外の要因も、地域的には新宿以外の地域も、実はすべて増加傾向にある事実です。

これから高齢者の感染者が多く発生すれば当然ながら重症患者数が反転して増加傾向を示すことになるでしょう。

従って、東京都の重症患者数の推移を、特に注視して行くことが重要だと考えます。
 

『東京都の公開したデータを検証・分析〜重症患者数の推移を、特に注視して行くことが重要』 より
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/07/11/134925

直近の東京都の重症患者数の推移を見てみましょう。

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※東京都公開データより『木走日記』作成

まだ短い期間なので断定的な言い方は避けますが、東京都の重症患者数はここへきて増加に転じ始めているように見えます。

もしこの傾向が顕著になればことは重大です。

今東京で起こっている事象は、一ヶ月の時差を伴ってやがて大阪や愛知、福岡など全国に飛び火していく可能性が大きいからです。

今検証したように、多くの指標が感染拡大の警鐘を鳴らしています。

そんな中、そしてメディアの世論調査によれば国民の過半数がこのタイミングでの「Go To トラベル」キャンペーン開始に反対している中、政府は半ば強引にキャンペーン開始を強行いたしました。

引き続き公開される感染データを注視していきましょう。

特に減少傾向だった東京都の重症患者数が反転して増加に転じ始めていることは、危険なシグナルです。

当面の最重要の指標は、東京都の重症患者数です。



(木走まさみず)