木走日記

場末の時事評論

「鼻出しマスクの受験生の成績無効」は監督者の判断が正しかったと思う

16日の大学入学共通テスト初日に、東京都内の会場で、監督者の注意に従わずに鼻を出したままマスクを着け続けた受験生1人の成績を無効にされました。

(関連記事)
鼻出しマスクの受験生の成績無効に 注意従わず不正認定
https://www.asahi.com/amp/articles/ASP1K7DL7P1KUTIL01J.html

この処置に対して、いくらコロナ禍とはいえ厳しすぎるのではといった批判が起こっておるようであります。

維新の青山議員は「今は中世暗黒時代?」とネットで批判しています。

今は中世暗黒時代?
https://blogos.com/article/510789/

エントリーより失礼して結びの部分を引用。

これはどう考えても不合理かつ非科学的。

(中略)
クシャミの時に鼻から飛沫なんていう専門家もいるようだが、そこまで盛大なクシャミをすることはあまりないだろう。

今更試験結果無効にすることに何の意味があるのか?受験生に対するセンター側の単なる意趣返しに過ぎない。
科学的にまったく無意味な理由により不相当な処分を下した訳で、明らかに不当だ。

マスクから鼻が出ているだけで試験無効とは、不合理かつ非科学的であるとの批判であります。

心情的にはごもっともではありますが、私は本件は監督者の判断が正しかったと考えます。

学部の講師として私も毎年試験監督を受け持ってまいりましたので、その経験も踏まえて意見させていただきます。

試験監督には『試験監督マニュアル』が与えられマニュアルの遵守が義務付けられますが、その第一の目的は、全ての受験学生の平穏に受験する権利を守ることにあります。

監督者は試験会場の秩序を守ることが第一のつとめなのです。

今回はマニュアル上、すべての受験学生は「試験会場では正しくマスクを装着しなければならない」との指示があったはずです。

そこに試験監督個人の裁量の余地はありません、会場によってはマスクの着脱を許すというような「不平等」は認められないからです。

報道によると、この受験生は地理歴史・公民、国語、外国語を受験した際、それぞれの監督者から鼻を覆うよう計6回注意されたが従わず、成績無効の可能性を伝えられても鼻を覆わなかったため、不正行為と認定されたとあります。

重要なことは「正しくマスクを装着しなさい」という監督者からの指示を6回も無視をし続けた「違反行為」にこそあります。

コロナ禍で行われた今回のテストでは、感染症対策のため、受験生に正しいマスクの着用が義務づけられています。

もちろん医学的に配慮が必要な受験生には、マスクなしでの別室受験を認めているのです、しかしこの受験生から事前の申請はなかったとあります。

繰り返しますが、本件は「正しくマスクを装着しなさい」という指示をまもらず、「次の注意で無効になる」と告げたあとも応じず、「試験場で監督者などの指示に従わない」という不正行為の要件に該当したのです。

NHKの報道によれば、この受験生は40代で、監督者の指示に従わなかった際の対応に加えて、最終的には不正を告げられると会場内のトイレに閉じこもり出て来なかったことから、かけつけた警察官によって退去させられたということです。

(関連記事)
“マスク不正行為”は総合的判断
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210118/1000059123.html?fbclid=IwAR2PWUYh1XzGYBYgJn4NAnHg3C_yBb-5L08_ptaLP5Pt47ZJHtfl9_JCdfc

かなり特異なケースだったことが理解できます。

監督者は試験会場の秩序を守ることが第一のつとめなのです。

私は本件は監督者の判断が正しかったと考えます。



(木走まさみず)