木走日記

場末の時事評論

日本(東京含む)の確認感染者数は4月12日前後で一旦ピークアウトと判断

東京都で2日、新たに160人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

4月29日と30日は50人を下回っていましたが、1日は165人と大幅に増加しており、2日続けて150人を超えました。これで、都内の感染者数は4500人に迫っています。

東京都の感染者の推移をあらためてグラフで確認しましょう。

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※『木走日記』データ集計・作成

せっかく目に見えて減少してきたのに、ここ2日の165人、160人との高い値でがっかりしてしまった読者の方も多いことでしょう。

以前から指摘されていることですが、東京の感染者数の集計は一週間のうち金曜日がピークとなり、そして日曜日、月曜日にボトム(底)になる傾向にあるようです。

おそらく発表数値が、金曜日に集計手段が集中しているなど曜日に依存しているためリアルタイム性に欠けているのでしょう。

けっして褒められたことではないのですが、感染者数の集計業務に東京の医療現場では高い優先順位を付ける余裕はないということなのでしょうか。

いずれにせよ、このように乱高下の激しい数値の動きから、統計的な傾向を見出すための便利な『移動平均』という計算手法を使うことにいたしましょう。

移動平均とは、時系列データにおいて、ある一定区間ごとの平均値を区間をずらしながら求めたものです。

移動平均を用いてグラフを作成すると、長期的な傾向を表す滑らかな曲線が得られます。

例えば5日移動平均の計算方法は極めて単純、次式で求まります。

5日移動平均 = 直近5日間の値の平均値

東京都の感染者の推移をあらためて『5日移動平均』をグラフに重ねて確認しましょう。

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※『木走日記』データ集計・作成

ご確認いただけるように、『5日移動平均』の動きを見れば、4月12日174.6人という値のピークから、4月30日63.2人まで減少が続き、ここ2日で106.0人まで反発していることがわかります。

『5日移動平均』の動きを見る限り、東京都の感染者数は、大きくは減少傾向にあるという判断で問題ないでしょう。

ここで、日本全体の感染者数の動向を俯瞰するために、『5日移動平均』をグラフに重ねて確認してみましょう。

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※『木走日記』データ集計・作成

ご確認いただけるように、『5日移動平均』の動きを見れば、4月12日567.8人という値のピークから、5月2日252.8人まで半減以下の減少が続いているのがわかります。

着目いただきたいのは『5日移動平均』の動きで、東京都のピーク4月12日174.6人と、日本全体のピーク4月12日567.8人が、同じ日であることです。

ここに数学的に必然性はまったくないのですが、日本の中で最も母数のウエイトの高い地区東京がピーク値を記録すれば当然その値は日本全体に波及するということであります。

今、検証したように、東京および日本総体としては、統計的には明らかにピークアウトを迎えたと判断してよろしいかと考えます。

もちろん、第二波の発生懸念もありましょう、ここで油断していいことを意味してはいません。

疫学的には引き続き油断禁物なのでしょう。

しかし数学的事実としては、感染者数は、4月12日付近で頂点に達し、当面それ以上は上がらない状態であり、以降減少傾向に転じていることは統計的には明白だと判断しています。

ここ2日の東京都の感染者数の増加で落胆している読者の皆様に、本エントリーが少しでも励ましになればさいわいです。



(木走まさみず)