木走日記

場末の時事評論

なぜか理由はわからないが、東アジア諸国では感染者数の爆発が抑制されており、また人口あたりの死亡者も欧米ほど増えていない事実

14日のテレビ朝日のワイドショーで、玉川徹氏が「このままでは2週間後に東京はNYのようになってしまうかもしれない」と警鐘を鳴らしていました。

最近しばしば東京がNYのように感染者爆発してしまう、東京は半月前のNYに似ているとの発言を目にします。

当ブログでは11日に「少なくとも、感染者推移は、東京はNYと同じ道はたどってはいません。」とデータを元にこれらの主張を数学的に否定いたしました。

関連エントリー
「東京4日連続で最多更新」は事実なれど、東京の感染者推移はNYと同じ道はまったくたどっていない
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/04/11/203543

繰り返される「東京はNYのようになってしまうかもしれない」という科学的根拠の薄い主張について今回は、世界各国のデータを科学的に用いて分析してみたいと思います。

なお、分析には以下のサイトの公開データを情報ソースとして用います。

外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html

なおデータは今も刻一刻変化しておりますが、このエントリーのデータはすべて4月12日付け公開データを用いることをお断りいたします。

さて主要35ヶ国の感染者数を表にまとめました。

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※『木走日記』作成

色分けは左から青色の国が感染者数上位10ヵ国、橙色の国が11〜20位の国々、右の緑色の国が21〜35位の国々で、ご覧のとおり現在日本は、25位7255人であります。

感染者数の絶対値が違いすぎてひとつのグラフではこんな感じになります。

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※『木走日記』作成

現在、日本の感染者数は毎日のように過去最多ペースで増加していますので、今月中に1万人を突破し、第三グループ(緑色)から韓国などを抜いて第二グループ(橙色)に入ることは必至だと、当ブログではすでに4月7日付けで予測しています。

日本の感染者数は4月中に10000人を突破し韓国感染者数を抜くと予測(by 『木走日記』)
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2020/04/07/140453

では、日本がアメリカなどに追随して、第1グループ(青色)にどうすれば入るのかと考えますと、現在の日本の感染者数7255人が例えば10倍に激増して、7万人を突破し、人口13億の中国の感染者数8万人と肩を並べるような変化が必要です。

これは正直敷居が高いのです。

もっともこの感染者数という指標は、散々日本が国際比較で極端に少ないと批判されているPCR検査数にある程度依存しているのは自明ですから、今後日本の検査数が増加すれば日本の感染者数が増加していくのは予想されるところですが、さて現状から何倍ぐらい増えるのか、今後注目されるところです。

日本(東京)がアメリカ(NY)に追随することになるのか?

さて最後に、感染者数ではなく、死者数で分析しましょう。

死者数はその絶対数ですと人口の多い国が多くなりますので、より公正な指標として人口100万人あたりの死者数を表で確認します。

この表で着目いただきたいのは、欧米諸国と東アジア諸国の、明らかに認められる人口あたり死者数のその値分布の明暗であります。

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※『木走日記』作成

私は医療関係者ではなく、仕事柄データサイエンスに関わっているだけであり、この欧米諸国と東アジア諸国に見られる明らかに顕著な死亡率の差異を説明することができません。

欧米諸国では新型コロナウイルスにより感染者数が爆発しており、結果人口あたりの死亡者が増加しており、なぜか理由はわからないですが、東アジア諸国では感染者数の爆発が抑制されており、また人口あたりの死亡者が増えていないわけです。

この事実はもっと重視されていいと思います。

もし東アジアでは、欧米で起こっているような感染者爆発は起こりづらく結果死亡者の増加は欧米ほどではないとするならば、都市のロックダウンも必要ないのかもしれません、ならば今後の対策も、欧米とは異なる日本独自の策が有効になるかも知れません。



(木走まさみず)