世界各国の新型コロナウイルスの感染状況について、死者数を国別・地域別に定量的に分析してみる
今回は2020年5月23日現在での世界各国の新型コロナウイルスの感染状況について、その死者数を国別・地域別にできうる限り正確な数値を用いて定量的に分析してみます。
なお、途中の分析はデータ量も多いですので、お時間のない読者は最後の■まとめまで、飛ばしていただいて構いません。
■情報ソース
最新の感染者数(死者数)情報は米ジョンズホプキンス大学のサイトをデータソースとします。
ジョンズホプキンス大学(JHU)のシステムサイエンスおよびエンジニアリングセンター(CSSE)によるCOVID-19ダッシュボード
https://coronavirus.jhu.edu/map.html
各国の人口推計は国連人口部の2019年の推計をデータソースとします。
国連人口部の推計人口統計「World Population Prospects, 2019 Revision」ベース。
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/33798/
各国のグループ分けは、外務省の採用している7つのエリア分け、アジア、大洋州、北米、中南米、欧州、中東、アフリカに準拠するものとします。
外務省 世界の国・地域
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/index.html#region
■世界163ヵ国をDB化する
2020年5月23日現在の感染者数(死者数)情報を米ジョンズホプキンス大学のサイトより収集し、データベース化しました。
それによれば、1人以上死者を計上している国は世界163ヵ国とクルーズ船2隻に及びます。
死者を発生させた世界163ヵ国を死者数の多い順に並べます。
※『木走日記』作成
字が小さすぎて潰れていますが、気にしないでください、現段階の作業の手順を俯瞰的にご理解いただければ十分です。
ちなみに、参考までに上位30ヶ国を拡大しておきます、日本が28番目にいます。
※『木走日記』作成
■世界163ヵ国の人口情報を結合してDB化する
この163ヵ国のデータに、国連人口部の推計人口統計のデータを結合します。
なおかつ、結合した上で、死者数と人口から『人口10万人あたりの死者数』を算出します。
※『木走日記』作成
参考までに上位30ヶ国を拡大しておきます、日本が28番目にいます。
※『木走日記』作成
最上位のUS(アメリカ)を見れば、左から、死者数96007人、人口3億2906万5千人(単位:千人)、『人口10万人あたりの死者数』が29.18人であることがわかります。
ちなみにですが、この163ヵ国の人口推計合計は74億2822万1千人であり、国連人口推計総計77億1346万8千人の96.3%を占めます。
国連人口推計では234の国・地域がデータ化されているので、世界234ヵ国・地域の中で163ヵ国を減じれば、71ヵ国・地域が死亡者ゼロであることがわかります。
■世界163ヵ国の人口情報を7つの地域グループに分けてDB化する
次に、各国のグループ分けは、外務省の採用している7つのエリア分け、アジア、大洋州、北米、中南米、欧州、中東、アフリカに準拠するものとします。
※『木走日記』作成
参考までに上位30ヶ国を拡大しておきます、日本が28番目にいます。
※『木走日記』作成
■世界163ヵ国の情報を7つの地域グループ別にまとめる。
地域別に表にまとめていきます。
なお表は、『人口10万人あたりの死者数』が多い順に並べてあります。
・アジア(17)
※『木走日記』作成
アジア17ヵ国を『人口10万人あたりの死者数』が多い順に並べて見ると、日本は上から3番目です。
国際的に欧米に比較し死者数が少ないと賞賛されている日本ですが、アジア諸国の中ではフィリピン、モルディブに続いて死者数の多さが下から三番目に悪いことがわかります。
最終行に注目してください、アジア17ヵ国としては、死者数13368人、『人口10万人あたりの死者数』が0.34人であることがわかります。
上位6ヶ国の死者数、US 96007、United Kingdom 36475、Italy 32616、Spain 28628、France 28218、Brazil 21048人と比較すれば、アジア全体で死者数13368人の少なさは象徴的です。
以下、6つの地域別に表にまとめます。
・大洋州(2)
※『木走日記』作成
・北米(2)
※『木走日記』作成
・中南米(28)
※『木走日記』作成
・欧州(52)
※『木走日記』作成
・中東(16)
※『木走日記』作成
・アフリカ(46)
※『木走日記』作成
■まとめ
まとめます。
163ヵ国、7地域の新型コロナウイルスの死者数の分布を、地域ごと、『人口10万人あたりの死者数』の小さい順に表にまとめます。
※『木走日記』作成
『人口10万人あたりの死者数』をグラフに視覚化します。
※『木走日記』作成
明らかに3極化していることがわかります。
20人を超える死者数の北米27.93人、欧州20.2人の高死亡率グループ、中南米5.84人、中東3.48人の中死亡率グループ、死亡者が1人未満の大洋州0.41人、アジア0.34人、アフリカ0.26人の低死亡率グループです。
今回は2020年5月23日現在での世界各国の新型コロナウイルスの感染状況について、その死者数を国別・地域別にできうる限り正確な数値を用いて、定量的に分析することを試みました。
結果、理由はわかりませんが、新型コロナウイルスの感染状況には、明らかに統計学的に有意だと思われる、地域による明確なデータの偏位が確認できました。
本エントリーが、読者のみなさんの参考になれば幸いです。
(木走まさみず)
<訂正履歴 2020/5/24 19:00>
Afghanistan(アフガニスタン)が中東でなく中南米に区分されている誤りがありましたので関連図表等を訂正しました。