木走日記

場末の時事評論

感染者増加率トップで致死率最低のロシアの特異性について検証する

さて、主要国の中で、ここへ来てロシアで感染者数が急増し、数的「感染者爆発」が発生しています。

ロシア政府によりますと、26日、1日としては最も多い6300人以上の感染が確認され合わせて8万人を超えています。

現時点でその増加率が世界最速というペースにより、ロシアは感染者数の多い国上位10ヵ国に4月26日ランクされました。

このロシアの数値動向は、統計的にかなり特異な動きを示していると思われ今回取り上げてみたいです。

なお以降、感染者数・死者数等の基礎的情報ソースは以下のサイトよりを参照いたします。

人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html?kw=japan

外務省海外安全情報ホームページ
各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

それではロシアの動向を統計的におさえていきます。

26、27日の両日の感染者数の動きを国際比較で国別にまとめます。

感染者数の多い11ヵ国と参考までに日本を含めた12ヶ国の2日間の動向をまとめてみます。

■感染者数上位国11ヵ国+日本の2日間の動向
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※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

1日当たりの増加数を見ると、米国の26873人が突出していることが見て取れますが、2番目がロシアの6346人なのであります。

米の分母が93万人を超えていることを考慮するとロシアの値は特異であり、それは1日当たりの感染者増加率に表れています、グラフで確認します。

■感染者数上位国11ヵ国+日本の感染者増加率
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※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

増加率としては、ロシア(8.52%)、ブラジル(5.78%)が高く、中国(0%)はほぼ止まり、スペイン(0.79%)、イタリア(1.19%)、ドイツ(1.14%)、フランス(0.37%)は1%前後以下と「感染者爆発」がとりあえず収まりつつあることがわかります。

対して、米国(2.88%)、英国(3.01%)は、母数(感染者数)が大きくなっているにもかかわらず、増加ペースがいまだ収まってはいません。

さてロシアです。

統計的なロシアの数値動向特異性は、その死者数を分析するとより明確になります。

感染者数の中でどのくらいの割合が死に至るかを『致死率』といいます。

『致死率』は次式で求まります。

致死率 = 死者数 × 100 ÷ 感染者数 (%)

次に、『人口百万人あたりの死者数』は感染者数や人口に依拠しないでその国(地域)の死者数をとらえます。

『人口百万人あたりの死者数』は次式で求まります。

人口100万人あたりの死者数 = 死者数 × 100万人 ÷ 人口総数

感染者数上位11ヵ国+日本の、感染者数、死者数、致死率、100万人あたりの死者数を表でまとめます。

■感染者数上位国11ヵ国+日本の死者数と致死率など
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※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

ここで注目していただきたいのはロシアの驚異的致死率の低さです。

グラフで確認します。

■感染者数上位国11ヵ国+日本の致死率
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※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

桁違いに低いことが確認できます。

これは『人口百万人あたりの死者数』をグラフで確認しても、同じ傾向が見て取れます。

■感染者数上位国11ヵ国+日本の100万人あたりの死者数
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※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

今検証したとおり、このロシアの数値動向は、統計的にかなり特異な動きを示していると思われます。

ロシアでは、感染者数としては欧米並みの「爆発」を起こしつつ、その死者数は現時点では「爆発」が抑制されている推移を示しています。

今後のロシアにおける感染者・並びに死者数の推移に注目したいと思います。

なぜなら、理由はわかりませんが、今回の欧米諸国とアジア諸国に見られる明白な死亡率の違い、そしてロシアの統計的に特異な動向、私は統計学的には有意性を持っている可能性は大きいと考えています(つまり科学的な理由がきっとあるはずと睨んでいます)。

今後の日本の先行指標としてロシアの数値動向は参考になる可能性があるはずです。

本エントリーが、読者の皆様の少しでも参考になれば幸いです。



(木走まさみず)