木走日記

場末の時事評論

日本と東京の『人口100万人あたりの死者数』を国際比較してみる〜欧米諸国とアジア諸国に見られる明白で桁違いな死亡率の違い

今回は新型コロナウイルスによる死者数について、取り上げたいです。

さて、23日、日本国内では新たに29人の死亡が確認され、1日に公表された死者の数としては過去最多を更新いたしました。

死者数は累計328人となり、300人を超えました。

東京都では、6人が亡くなり、死者は計87人となりました。

(関連記事)
新型コロナ、国内新たに436人 死者数300人超に
https://www.asahi.com/articles/ASN4S03VRN4RUTIL02K.html

死者数ですが人口の多い国(地域)は当然多くなりますので、より公正な人口の大小に依拠しない国際的な指標、『人口100万人あたりの死者数』がよく用いられます。

そこでまず日本の総人口と東京都の人口をおさえます。

総務省統計局のサイトが日本の人口推計速報値を公表しています。

人口推計(令和元年(2019年)11月確定値,令和2年(2020年)4月概算値) (2020年4月20日公表)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

【令和2年4月1日現在(概算値)】<総人口>1億2596万人と推計しています。

東京都も東京都の人口推計を公表しています。

「東京都の人口(推計)」の概要(令和2年1月1日現在)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/31/06.html

東京都の人口総数は13,951,636人と推計されています。

『人口100万人あたりの死者数』は次式で求まります。

人口100万人あたりの死者数 = 死者数 × 100万人 ÷ 人口総数

よって、

日本の『人口100万人あたりの死者数』= 328人 ×100万人 ÷ 1億2596万人 = 2.60(人/100万人) となります。

また、

東京の『人口100万人あたりの死者数』= 87人 ×100万人 ÷ 13,951,636人 = 6.24(人/100万人) となります。

この『人口100万人あたりの死者数』日本2.60人、東京6.24人という数値の意味についてさらに考察します。

これらの死者数を国際比較いたします。

比較データは以下のサイトより情報ソースを参照いたします。

人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html?kw=japan

4月23日時点の主要25ヶ国の『人口100万人あたりの死者数』を表にまとめます。

f:id:kibashiri:20200425171236p:plain
※上記サイトのデータを情報ソースに『木走日記』作成

21位の日本2.27人ですが、直近24日に29人と過去最多の死者を確認しており、2.60人まで跳ね上がっていますことに留意してください。(20位のインドネシアを抜いているかも知れません。)

さて東京都を人口1300万のひとつの国とみなせば、東京の6.24人という値は、12位メキシコと13位韓国の間にランクされます。

さてこの死者の表ですが、いくつか特徴的な点が表出していますので、確認しておきます。

まず、色分けさせていただきましたが、死者数の多い10ヵ国のうち、9ヶ国が欧米諸国が占めていて、しかも文字通り「桁違い」に、下位の諸国とは死者数が多いことです。

対してアジア諸国は、韓国の4.68人を筆頭にして9ヵ国すべてがひと桁の死者数で抑えられているのです。

それだけではありません。

北米で隣接しているアメリカ(141.3人)とメキシコ(7.52人)で、また中東で隣接しているイラン(64.18人)とイラク(2.06人)で、なぜこれほど死亡者数に差が出るのでしょうか?

医療体制としては、アメリカに比しメキシコの方が、イランに比しイラクの方が、いずれも劣悪なはずなのにです。

さらに細かい点ですが、あえて欧米諸国から外したオーストラリアとニュージランドの大洋州2ヵ国の白人国家ですが、3.32人と2.9人と、アジア諸国並みに死者発生数がなぜかひと桁に抑えられているのです。

私は医療関係者ではなく、仕事柄データサイエンスに関わっているだけなので、この表に見られるいくつかの明らかな傾向について、疫学的に説明することができません。

しかし、この欧米諸国とアジア諸国に見られる明白な死亡率の違いなどは、私は統計学的には有意性を持っている可能性は大きいと考えています(つまり科学的な理由がきっとあるはずと睨んでいます)。

本エントリーが、読者の皆様の少しでも参考になれば幸いです。



(木走まさみず)