木走日記

場末の時事評論

ポリコレ棒を振り回すみなさんを熱くした「ベッキータイキック」の件

 さて、日テレ系の年末特番「ダウンタウンガキの使いやあらへんでSP 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時」でタレントのベッキーさんが「タイキック」なる暴力を受けたことに関して、批判が出ています。

(関係記事)

ベッキーにキック痛打 ダウンタウン年末特番―国連、憲法の視点からも最悪
http://blogos.com/article/269692/

 うむ、ジャーナリストの志葉玲氏は「女性への暴力を男性達がゲラゲラ笑うという本企画の構図自体が、醜悪であるし、不謹慎極まりない」と批判しております。

 この件ではBLOGOSでも猪野亨氏や常見陽平氏が批判しています。

猪野 亨
2018年01月07日 15:31
暴力を笑いものにする人たち それを見て笑う人たち
http://blogos.com/article/269692/ 

常見陽平
2018年01月08日 06:50
ベッキーよ、タイキックに感謝するのはやめなさい
http://blogos.com/article/269744/

 猪野氏は「このような番組が正当化される余地はありません」と番組の企画そのものを批判します。

 少なくとも生身の人間に対して暴力を振るうことを「お笑い」とすることはもはや「笑い」ではなく、イジメと同じ構造であり(断れない、拒否できない人を対象にしている)、このような番組が正当化される余地はありません。

 この異常な企画を「笑って見ている人たちが何と下品に見えることでしょう」と批判します。

 暴力を振るうことも「シナリオ」になっているのでしょうが、そうした企画自体、異常であるし、ベッキーさんが嫌がる姿が仮に演出であったとしても、そうした姿をさらさせること自体に非人間性を感じるわけです。

 笑って見ている人たちが何と下品に見えることでしょう。

 で、常見氏は出演に感謝しているベッキーさんを「笑止千万の妄言」と批判します。

さらにはベッキーへのタイキック問題。これもどうかと思ったが、彼女はこんなコメントをしていた。

ベッキー ガキ使“タイキック”に感謝「タレントとしてありがたい」(オリコン) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180107-00000307-oric-ent

笑われてナンボというタレントの矜持なのかもしれない。また、復活するための禊や話題作りと捉えているのかもしれないが、私はタイトルを見た段階で脱力し。文面を読んで、さらに失望した。

なんだ、こりゃ。

笑止千万の妄言である。

 常見氏は、「同番組に対しては、イデオロギーを超えて、無慈悲な鉄槌を振り下ろすべきである」とどこぞの国の委員長のごときお怒りモードです、少し怖いです。

「ガキ使」に対しては、不満と不信が鬱積し、断固たる大衆的反撃の闘いの炎は燎原の火のごとく燃え広がりつつある。このような低俗な手段をもってして延命のあがきをする炎上放火者たる同番組に対しては、イデオロギーを超えて、無慈悲な鉄槌を振り下ろすべきである。

 ・・・

 「ガキ使」がお下品な番組であることを認めた上で、当ブログのスタンスは「みなさん熱くなりすぎではないでしょうか」という冷めた感じです。

 だってこれって、ベッキーさんの所属事務所が日テレとその企画を事前同意して録画された「お笑い企画」であります。

 つまりサンミュージックプロダクションが日テレの下品な「お笑い興行」に自社芸人ベッキーをすべて了解した上で「お仕事」させてギャラを得たわけですよね。

 冷静に考えてベッキーさんや所属事務所がこんなお下品な「興行」参加したくないと思えば、参加しなければよかっただけだし、一歩譲ってベッキーサイドが日テレ企画のお下品な詳細を知らなかった、タイキックなどされるとは騙されたとすれば(サンミュージックの力は大きいのでその可能性は限りなくゼロに近いとは思いますが)、編集段階で降りればよかっただけです、話が違う、オンエアするなと(そんな話はこの種の録画番組ではゴロゴロあります)。

 つまりベッキーさんや所属事務所は、その内容を納得したうえで視聴率的においしいお仕事として「タイキック」を自主的に「受けた」わけです。

 それだけのことですがな。

 読者のみなさん。

 どう思われますか。


(木走まさみず)