木走日記

場末の時事評論

上司に好かれるコツ〜あなたの相手への評価が好転すれば相手のあなたへの評価も劇的に好転する可能性

 不肖・木走は、IT零細企業を経営させていただきながら、週に一回工学系の学校の講師やら、不定期にセミナー講師などをさせていただいておりまして、ときにいろいろな立場の人から相談事を受けることがございます。

 多いのは、経営者からの業績不振の相談ですが、これは経営コンサルとしてお仕事になる場合を除いてはあまり役に立つ相談相手にはなれないのです、申し訳ないですが一口に「業績不振」といっても各会社によって理由はまちまちですし、それこそ財務諸表からその会社の沿革やらその業界の現況やらしっかり検証しないとなりません、限られた時間で即答できるようなケースは皆無といっていいでしょう。(ていうか魔法のような業績回復手法があるならこっちが教えてほしいのであります、正直なところ(苦笑)。)

 で、次に多いのが部下に好かれるコツとか上司に好かれるコツとか、まあ企業内での自己評価を高めるための相談事なんですね、意外なほどこの企業内人間関係で悩んでいる人ってけっこう多いのですよネ。

 まあ中間管理職が人望といいますか「部下に好かれるコツ」に悩み、上長との板ばさみになってしまうことなどもけっこう悲劇的なのでありますが、ここでは普通の「上司に好かれるコツ」についてちょっと考えて見る事にしましょう、そっちのほうが評価や出世に直結する点で、また悩んでいる人が上司の方に比べて当たり前ですが若い人が多いだろうから、ここで私の考えをお話しすることにより少しはお役に立つことがあるかもしれません。

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 私の持論ですが、会社内の上司と部下の関係は、実は男女の関係と少しだけ似ているのだと思っています。

 両者とも、いつもお互いの心の内側に疑心暗鬼になっている点がです。

 さて、今あなたはあなたの上司に嫌われている、あるいはまったく評価されていない厳しい状況に置かれているといたしましょう。

 このままでは評価も上がらないしあなた自身のモチベーションも下がりがちで仕事の効率の上でも上司との関係を改善しなければならない、とあなたは思い悩んでいると仮定しましょう。

 いったいどうすれば上司に好かれることができるのか?

 まずここであなたに確認いたします。

 あなたはあなたの上司をリスペクト(尊敬)していますか?

 この質問は重要です。

 実に多くの場合が、「私は上司に嫌われている」のと「私もその上司が嫌いである」のが同時に発生しているケースなわけです。

 これですね、人間関係なんて単純でしてね、自分を嫌っているヤツを評価する人間なんて、古今東西・老若男女問わずそんな聖人君子のようなできた人間などまずいないのであります。

 つまり何がいいたいかと申しますと、多くの場合、「どうすれば上司に好かれることができるのか」という問いの回答は、実は「どうすれば上司を好きになることができるのか」のと同値の問題なんですね。

 私はこの状態を相思相愛ならぬ「相思相憎」と造語しております。

 「相思相憎」の状態で「いったいどうすれば上司に好かれることができるのか?」と悩んでいるならば、実は解決策は意外と早く見出せるかもしれません。

 あなたのほうが上司の長所を探し出し上司の尊敬できる点を見い出して、心からこの上司と一緒に仕事をしていきたいと再評価することにしてみましょう。

 あなたの心の中の上司の評価が好転すれば、不思議なことに上司の心の中のあなたに対する評価も劇的に好転する可能性があるのです。

 繰り返しになりますが、自分を嫌っているヤツを評価する人間なんて、まずこの世にいないのであります。

 ここでコツは、あなたは上司にとって「カワイイヤツ」になることでしょう。

 「カワイイヤツ」ってのは、自分のことを信じて好いていてくれて認めてくれてる部下のことです、で、なにが「カワイイ」のかといえば、多くの人間はそんな自分のことを信じて好いていてくれている部下がドジをしたり少々仕事の出来が悪くても、親切に指導してあげたり、時に守ってあげたくなるもんなのです。

 ここで重要なことは、これはあなたの心からの変化を必要としており、上辺(うわべ)だけの上司への迎合はむしろ見抜かれた場合逆効果であり危険であるということです。

 上司を尊敬する行為があなたにとって精神的に負担だったり偽善であっては逆効果になりましょう。

 自然でいきましょう。

 「相思相憎」の状態を「相思相愛」に変化させるためには、あなたの上司を心からリスペクト(尊敬)するといいでしょう。

 楽しくリスペクトしてみましょう。

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 もちろん、ここでどうしても上司を好きになることができない人もいることでしょう、どう考えてもあいつをリスペクトなどできないという人は、おそらく取るべき道はふたつでしょう。

 忸怩(じくじ)たる思いを隠し、しかし迎合しつつ上司に合わせ我慢しながら「カワイイヤツ」の振りして仕事し続ける(人事異動を夢見ながら)か、思い切って職を辞すかです。

 上司をリスペクトできないあなたには、擬似「相思相愛」関係を演ずるか、「離別」するか、決断がせまられることでしょう。

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 自分を嫌っているヤツを評価する人間なんて、古今東西・老若男女問わずそんな聖人君子のようなできた人間などまずいないのであります。

 それは上司だって部下だっておんなじです。

 おそらくここでお話した内容はそのまま「部下に好かれるコツ」にもほとんど当てはまると思います。

 私に言わせれば、部下に嫌われるダメな上司も、上司に嫌われるダメな部下も、順番を間違えているのです。

 彼らは、まず相手を批判するだけ批判した上で、相手から好かれたいと強く願います。

 まず自分のことを評価すべきなのは相手のほうからだと一方的に決め付けています。

 そんな馬鹿げたやり方では、本来いい関係が構築できるかもしれないのに、かえって憎しみだけが増幅してしまうことが多いのであります。

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 人は誰しも欠点を有しています、もちろん自分自身もです。

 たちが悪いのは、人はそんな欠点をもっていても、誰しもがその存在を認めてもらいたいモノなのでしょう。

 だからこそ、互いにリスペクトする関係が必要なのだと思います。

 相手も自分も欠点を有しているのに相手の欠点ばかり気にするのは、賢明な方法とは言えないでしょう。

 相手に好かれるコツは楽しく相手をリスペクトしてみることだと思います。

 楽しくリスペクトしてみましょう。

 あなたの心の中の相手の評価が好転すれば、相手の心の中のあなたに対する評価も劇的に好転する可能性があるのです。



(木走まさみず)