木走日記

場末の時事評論

長島昭久氏の潔くない離党届を憂う〜いさぎよく船とともにいったいは沈まんかい!!

 うむ、民進党長島昭久衆議院議員が離党届を提出いたしました。

長島昭久
2017年04月10日 12:06
長島昭久「独立宣言」―真の保守をめざして
http://blogos.com/article/217584/

 離党の最大の理由は「保守政治家として譲れない一線を示す」ことだと述べています。

 失礼して当該部分を抜粋。

 このたび私が民進党を離れる決意をした最大の理由は、保守政治家として譲れない一線を示すということであります。

 共産党との選挙共闘という党方針は、私にとり受け入れ難いものです。一昨年の「安保法制廃案」の熱狂の中で、突然打ち出された共闘路線は、まともな党内論議もないまま共産党主導で進められ、最近では民進党の基本政策にまで共産党が影響を及ぼすかのような場面が目立つようになりました。消費税しかり、TPPしかり、エネルギー政策しかり、憲法改正問題しかり、そして、いま審議入りもできない状況で紛糾しているテロ等準備罪法案しかり、です。

 さらに今回の離党の行動の大義は「真の保守をこの国に確立したい」という一点にあると。

 私にとって今回の行動の大義は、「真の保守をこの国に確立したい」という一点にあります。

「真の保守」は、左右の主張を包摂しつつ、対立点について粘り強く説得に努め、この国に「秩序ある進歩」(私の尊敬する小泉信三の言葉)をもたらすことに力を注ぐべきではないかと考えます。それは、「中庸」の思想に通じるものがあります。中庸は、過剰に対する自制と不正に対する毅然とした姿勢によって、一方に偏ることなく常に調和を重んずる思想です。足して二で割るといった単純な話ではありません。中庸を保つためには、強い意志と高い理想がなければなりません。

 私は、ここに、特定の党派から独立した一人の保守政治家として、我が国を取り巻く内外の諸課題と真摯に向き合い、あるべき政治のかたちを創り上げるために、私の問題意識を共有してくださる同志の皆さんと共に、中庸を旨とした「真の保守」政治の確立という大義の実現を目指して行動を起こすものであります。

 なるほど、「中庸を旨とした「真の保守」政治の確立という大義の実現を目指して行動を起こす」ですか、その志や潔しであります。

 長島昭久氏のこたびの離党におけるその決意および「大義」に関する自己主張の内容に、当ブログとしては個々に反論するつもりはありません、と申しますかその考え方は同意できる、現状の民進党の体たらくを批判し続けてきた当ブログとしては、長島昭久氏の考え方に深くうなずけるものがあります。

 だがしかしです。

 今回の民進党長島昭久衆議院議員の離党届は、その提出のタイミングが政治家として最悪である、潔くない点で、実に残念なのであります。

 今年最大の政治決戦、東京都議会議員選挙は6月23日告示選挙期日は7月2日にせまっています、小池都知事の誕生とともに風雲急を告げる都議会選挙まで、あと三か月を切っているのです。

 その中で候補者の離党が相次ぎ組織の体をなさなくなっているのが都議会民進党です。

 もはやその政治団体から「民進」の文字すらはずしてしまっている体たらくです。

 今、蓮舫代表のおひざ元、首都東京での民進党壊滅危機にあります。

 そしてその中であなたは、民進党東京都連幹事長という要職に在りました。

 このタイミングでの「離党届」であります。

 多くの部下や仲間がまだ船内に残っているのにもかかわらず、現場で陣頭指揮を執るべき船員のリーダーが、我先に沈没しつつある船から脱出し命乞いをする、これまさに敵前逃亡であります。
 どんなにその志がご立派であろうとも、この離党のタイミングは政治家として責任を放棄するという意味で最悪であると、批判せざるを得ません。
 党の要職者の責任放棄しての選挙直前の離党鞍替え、これは結果責任が問われる政治家として、もっとも避けるべき生き様であると、当ブログは考えます。
 10年前、当時社会民主党の副党首であった横光克彦氏は、選挙直前、副党首という要職を投げ出し、社民党を離党し民主党に入党して、政治的生き残りを図りました。

 当時、当ブログはその生きざまを痛烈に批判いたしました。

(当時のエントリー)

2006-06-30 どうしても横光克彦代議士の生き様が好きになれない私
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060630

 当ブログにいわせれば当然のことなのですが、横光克彦氏はその後人望を失い落選、現在は俳優業に復帰されています。

 もう一人、みっともなくも沈むゆく船から一人脱出し政治的延命を図ったのは、辻元清美民進党衆議院議員であります。

 2010年7月、「現実との格闘から逃げずに国民のための仕事を一つずつ進めていきたい」として社民党を離党、同年9月に辻元が民主党に入党すると、その無慈悲で無責任な振る舞いに当時の福島みずほ社民党党首は「応援した人を裏切っていくことは、一人の政治家として良いことではない。理念より権力に近寄る方を選択すると思ってしまう。すごく残念だ」と記者会見で批判します。

 辻元清美氏は今だ国会議員を続けていますが、その人望は、読者のみなさんにその評価はまかせますが、極めて低評価であります、地の底を這っていると申してよろしいでしょう。

 政治家というものは、主義主張も大事ですが、その「生き様」が肝心です。
 所属する政党が沈没直前の船のごとく苦戦必至の選挙戦を迎えて、その政党の要職にある者が、多くの仲間を捨てて我先に船を捨て(離党して)、新しい船に乗り移る。
 こんな無責任な行為はありません。
 要職にあるならば、たとえ船が沈みつつあろうとも最後の最後まで努力して、乗員や部下を一人でも多く救わなければなりません。
 もはやここまでとなれば、いさぎよく船とともにいったいは沈むべきです。
 あくまでも政治家の話です、なにも昔の船長のように柱に体をくくり船とともに命を断てとまで申しているのではありません。

 責任者として政治的責任をしっかりとってから、政治的な再起をはかればよろしいと思うのです。

 自らの責任を放棄するような、少なくともそのような誤解を受けるような振る舞いは、政治家として避けなければいけません。

 ・・・

 長島昭久さん。

 離党宣言する政治的タイミングが最悪です。

 評価できません、この辞め方は国民の多くの支持を得ることはできません。 

 もしあなたが、この単純な状況判断もできないようならば、やはり政治家としては失格でありましょう。

 このような形で政治延命を図った政治家で大成したものはいますまい。

 当ブログとしては、この離党宣言、極めて残念なのであります。



(木走まさみず)