木走日記

場末の時事評論

ともに沈んでいくのか立憲民主党〜枝野さんのその優しさがおめでたく残念な件


 「立憲民主党」の立ち位置を確認しましょう。

 小池氏が民進党リベラル系候補者を希望の党から排除するとの「排除の論理」を実行することで、行き場のなくなった民進党「リベラル系」の受け皿として、枝野さんが立憲民主党を結成いたしました。

 なんだかな、改革「保守」を唱える希望の党民進党の「リベラル」系候補を排除し、「リベラル」系は立憲民主党を結成したというわけですが、「保守」とか「リベラル」とか最近飛び交っていますが、その定義があいまいなのでいまいちわかりづらいわけです。

 リベラルは本来リバティつまり「自由」の派生語であり「自由主義的」ということであります。

 その定義から言えば、自由民主党は英語でリベラル・デモクラティック・パーティー"Liberal Democratic Party of Japan"でありますから、リベラル政党となるわけです。

 そのあたり厳密に政治用語を使いましょうとの提言が、大学教授からありました、興味深いです。

篠田 英朗
2017年10月02日 07:48
希望の党に排除されたのは、「リベラル派」ではなく、「冷戦時代からの改憲反対派」なのではないか
http://blogos.com/article/249601/

 たしかにいつからか日本では、右派は「保守」左派は「リベラル」と自称するようになりましたが、共産主義者社会主義者がリベラルのはずも無く、リベラルというこの言葉は「誤用」されているとの批判がありますです。

 言葉は生き物ですので、厳密な定義とはずれて使われてしまい、多くの人が定義とは違う使い方になじんでしまうケースはままありますよね、ですから当ブログとしてはそこまで定義にこだわらないのです。

 がしかし、ここにきて党が分裂したり吸収されたり新党ができたり、いろいろありましたから、各党のスタンス・ポジションがわかりづらいのも確かなので、今回は各党のポジションを整理してみたいと思います。

 「保守」とか「リベラル」とか定義があいまいな言葉は使用せず、右派、左派、つまり右か、左か、古典的な分類一本で整理してみましょう。

 主として安全保障と憲法(護憲か改憲か)に対する9党のスタンスはこんな感じです。

■図1:各党のスタンス(その1)(2017年10月3日現在)

※作図:当ブログ

 左から絶対護憲共産・社民があり、やや離れて中央よりに立憲民主があります。ここは重要な点だと思われますが、立憲民主は憲法改正自体は肯定しているんですね、ただ安倍政権での改正は絶対反対だと。

 で、中央あたりに自由・公明がいます、ここら辺までが改正消極派の位置付けです。

 そして維新・自民と改憲派があり、さらに右に希望があって最後一番右がこころであります。

 さて、立憲民主ができて選挙がわかりやすくなった、3極になった、との報道が目立ちます。

枝野氏らリベラル系、新党へ調整…3極対決に
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/news1/20171001-OYT1T50117.html
衆院選、3極固まる 民進の左派が「立憲民主党
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21790110S7A001C1MM8000/

 「自民・公明」の政権勢力、「希望・維新」の改革保守勢力、「立憲民主・共産・社民」の左派勢力の3極が争う構図がほぼ固まったわけです。

 図にするとこんな感じです。

■図2:各党のスタンス(その2)・3極が争う構図(2017年10月3日現在)

※作図:当ブログ

 各党の安倍政権との距離感は図に斜めの補助線を引けばこんな感じです。

■図3:各党のスタンス(その3)・政権との距離感(2017年10月3日現在)

※作図:当ブログ

 「希望・維新」勢力は政権に入るわけでありませんが、おそらく安全保障関連(憲法改正含む)の法案などでは、是々非々で政権を補完する勢力と考えてよろしいでしょう。

 さてここまで、読者のみなさんと共に、現在の各党のスタンスを整理してまいりました。

 ・・・

 「立憲民主党」について。

 「排除しない」と掲げた枝野さんですが、極めて重大な事案が発生しています。

菅直人氏も参加表明、枝野新党 「希望がダメだからリベラル?」「茶番だ」有権者には冷めた見方も
http://www.sankei.com/politics/news/171002/plt1710020129-n1.html

 いや惜しいです。

 多様性(たようせい)とは、幅広く性質の異なる群が存在することでありますが、これは「多様性」を認めた場合のおめでたいケース、まったく残念なケースとして日本政治史に記録されることでしょう。

 民主党政権の体たらく、その最悪にして最大の責任者である菅直人元首相の入党であります。

 本気で新党に国民の支持を集めようと求めるのならば、この選択はないのです。 

 これにて立憲民主党の将来もおめでたい残念な方向が見えてきました。

 過去の民主党政権が国民にどこまで否定されているのか、枝野さんは考えが甘すぎるのです。

 小さいとはいえせっかくの新党の船出に、こんなでかいイカリ積んでどうするんですか。

 この小さな船ではでかすぎるイカリ(菅直人さん)とともに沈んでいくことでしょう。

 なぜわからない?

 枝野さんのその優しさがおめでたく残念でなりません。

 ふう。



(木走まさみず)