ポスト安倍で『桜を見る会』首相批判を強める石破茂氏の危うい戦術
今回はポスト安倍をめぐる石破茂氏のその戦術について取り上げたいです。
「文藝春秋」3月号の単独インタビューに応じ「『桜を見る会』もっと誠実に謝罪せよ」と安倍首相の対応を批判しています。
2020年02月09日 06:00
ポスト安倍”支持率1位 石破茂が安倍首相に苦言「『桜を見る会』もっと誠実に謝罪せよ」 - 「文藝春秋」編集部「次の首相に相応しい人」を問う新聞各紙の世論調査で、軒並みトップの支持を集めている石破茂元幹事長。安倍晋三首相や小泉進次郎環境相らを抑え、最大のライバルとされる岸田文雄政調会長も大きく引き離している。その石破氏が、「文藝春秋」3月号の単独インタビューに応じ、「桜を見る会」問題などに関する安倍首相の対応に苦言を呈した。
記事のキャッチで「「次の首相に相応しい人」を問う新聞各紙の世論調査で、軒並みトップの支持を集めている石破茂元幹事長」と紹介されています。
記事より石破茂発言の主要部分を抜粋します。
桜を見る会は「行政府の長たる総理が国民の税金を使って開くわけですから、たとえ野党の支持者でも、公平に招待するのが筋だ」と言い切ります。
そもそも『桜を見る会』の趣旨は、保護司や人権擁護委員、民生委員の方々のような、決して良い報酬や待遇ではないにも関わらず、一生懸命に地域社会の一隅を照らして下さっている方々に、総理が感謝の意を伝え、労う場とする、というものです。行政府の長たる総理が国民の税金を使って開くわけですから、たとえ野党の支持者でも、公平に招待するのが筋だと思います」
「私見」と断った上で、安倍首相の対応を「『本当に申し訳なかった』と誠実に国民の前でおっしゃれば状況は違ったのではないか」と批判します。
「私見ですが、安倍総理が『桜を見る会』の人数が増えたことなどの不適切と思われる点について、率直に丁寧に謝られれば、ここまで批判は拡大しなかったのではないか、と思います。日本人には『水に流す』という感覚があります。それが海外にも通用するかはさておき、誠心誠意謝れば、日本の有権者は理解してくれるのではないでしょうか。周囲の人々が諫言できないのか、大した問題ではないとタカをくくっていたのかは分かりませんが、『本当に申し訳なかった』と誠実に国民の前でおっしゃれば状況は違ったのではないかと思います」
記事によれば「安倍総理よ、このままでは日本が滅ぶ」と題した石破氏のインタビューは、「文藝春秋」3月号ならびに「文藝春秋digital」に掲載されています。
ここに来て『桜を見る会』関連で安倍批判を強める次期首相候補トップの石破茂氏なのであります。
確かに、日本経済新聞社の24~26日の世論調査で、首相主催の「桜を見る会」に関する政府の説明に「納得できない」と答えた人は78%にのぼっています。
国民の8割が納得していないのです、異常値と言っていいでしょう、桜を見る会に有権者が厳しい視線を注いでいるのは確かでしょう。
(関連記事)
桜を見る会 不信根強く
78%「納得できない」 本社世論調査
2020/1/27付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54867950W0A120C2PE8000/
安倍批判を強めていることが功を奏しているのか「新聞各紙の世論調査で、軒並みトップの支持を集めている」(文春記事)石破氏なのですが、その戦術は危ういと当ブログは見ています。
世論調査の結果を分析してみます。
FNNは3ヶ月に一度のペースで世論調査をしています。直近昨年12月の世論調査では確かに安倍首相を押さえてトップになっています。
(関連記事)
「次の総理」世論調査の異変のワケを分析 なぜ石破氏トップに?くすぶる安倍4選論と“菅人気”の変化
https://www.fnn.jp/posts/00049506HDK/201912200630_KeitaTakada_HDK
上記記事より結果を抜粋。
石破茂 18.5%
安倍晋三 18.2%
小泉進次郎 14.5%
河野太郎 5.3%
枝野幸男 4.7%
菅義偉 3.0%
岸田文雄 2.7%
野田聖子 0.9%
茂木敏充 0.6%
加藤勝信 0.2%
この中にはいない 25.3%
今回、石破氏を推す人は安倍内閣支持派が39.9%、不支持派が45.4%と、不支持派の方が上回っています。
そして石破氏を推す人の内訳を安倍内閣の支持・不支持でみると、安倍内閣支持派が39.9%、不支持派が45.4%と、不支持派の方が上回っていた。石破氏が自民党支持者の中のアンチ安倍層や、安倍内閣を支持しない無党派層・野党支持層から期待されていることがわかる。そうした中で、桜を見る会問題などにより安倍内閣の支持率が下落したのと連動する形で、安倍首相に批判的な石破氏が浮上したとみてよさそうだ。
それを裏付けているのが、自民党支持層に限って数字をとって分析してみたところ、一位二位は逆転します。
安倍晋三 34.4%
石破茂 20.6%
小泉進次郎 10.9%
河野太郎 6.5%
菅義偉 5.7%
岸田文雄 4.6%
茂木敏充 1.1%
野田聖子 0.5%
加藤勝信 0.0%
つまり、石破氏は野党支持者を取り込んで次期首相支持率トップを獲得していますが、野党と同様に「桜を見る会」を批判するその戦術は危ういと当ブログは見ています。
野党と同じ戦術では、自民党支持層には響かないからです。
現在安倍首相を批判する自民党内の勢力は石破氏グループのみと言っても過言ではない状況です。
石破茂氏が安倍政権と堂々と批判的に対峙することでポスト安倍を狙うとするならば、当ブログとしても肯定的に評価することにやぶさかではありません。
しかしそれはあくまでも建設的な政策論争を繰り広げるべきであり、安倍政権の経済政策、安全保障政策、社会保障政策、そして改憲議論などに対案を掲げ堂々と論陣をはればよろしいのです。
それを野党と同様「桜を見る会」でネガティブに安倍首相を批判することを全面に出す戦術は、そもそもの野党支持者たち安倍内閣不支持派には受けても、自民党支持層には支持が浸透しにくいのではないでしょうか。
いまの危うい戦術では、自民支持層には石破氏のイメージが野党とネガティブにシンクロしてしまうことでしょう。
ふう。
(木走まさみず)