木走日記

場末の時事評論

潘基文国連事務総長発言はある意味正しい〜たしかに私達日本人は韓国との関係で「深い省察」が必要なのだ

 26日付け読売新聞記事から。

潘基文国連事務総長、異例の発言…安倍政権批判

 【ソウル=中川孝之】韓国出身の潘基文(パンギムン)国連事務総長は26日、ソウルの外交省で記者会見し、日本の憲法改正論議を巡り、「正しい歴史(認識)が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」と述べた。

 韓国政府の立場に同調した安倍政権批判と言え、国連事務総長の発言としては異例だ。

 発言は、「日本の平和憲法修正の動きに関する国連の立場」について答えたもの。潘事務総長はまた、日本が中韓と歴史や領土を巡り対立している現状に関し、「歴史について正しい認識を持つことが必要だ。そうしてこそ、他の国々から尊敬と信頼を受けるのではないか」と語った。韓国メディアは一連の発言を、「日本の右傾化の兆しを遠回しに批判した」(聯合ニュース)と大きく伝えている。

(2013年8月26日19時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130826-OYT1T00909.htm

 うむ、韓国出身の潘基文(パンギムン)国連事務総長が「正しい歴史(認識)が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」と日本政府を明確に批判、読売記事では「国連事務総長の発言としては異例」としています。

 対して日本政府の反応ですが27日付け産経新聞記事から。

潘氏発言は「国連憲章違反の恐れ」 明らかに中韓寄り、政府調査
2013.8.27 00:11 [日韓関係]

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が歴史認識で日本に反省を求めた問題を受け、日本政府は「中立を守るべき立場の事務総長の発言として適切か確認したい」(外務省幹部)として、在ソウル日本大使館などを通じ、事実関係の調査に乗り出した。

 国連憲章100条には、「事務総長および職員は、この機構(国連)に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずるいかなる行動も慎まなければならない」と規定している。

 外務省は潘氏の記者会見の発言録を取り寄せて精査。政府筋は「強い口調で日本の非のみに言及しており、明らかに中韓寄りの発言だ。中立性を求めた100条に違反する恐れもある」と不快感を示している。

 政府は国連に対し、潘氏の発言の意図を問い合わせる方針だ。「国際社会に誤解を与えかねない」(外務省幹部)として、9月の国連総会などの場で、日本の立場も説明する意向だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130827/stt13082700120000-n1.htm

 潘基文(パン・ギムン)事務総長の今回の発言は中立性を求めた国連憲章100条に違反する恐れもあるとして、日本政府は「国連に対し、潘氏の発言の意図を問い合わせる方針」なのであります。

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 さて、ネットなどでは、国連通常予算分担率・分担金が世界第二位の日本(10.833%,276.1百万ドル)の立場がない、分担率・分担金が日本の五分の一以下の韓国(1.994%,50.8百万ドル)出身の事務総長に言われる筋合いはない、アメリカのように分担金を韓国人事務総長がいる限り滞納せよなどと、大人気ない発言もちらほらありますほか、潘基文(パン・ギムン)事務総長を韓国メディア同様の「世界大統領」と敬称し、皮肉を込めた褒め殺し論説もあったりして、とてもほほえましい(苦笑)のです。

(参考)外務省 2011〜13年国連通常予算分担率・分担金
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jp_un/yosan.html

「世界大統領」の有り難いお言葉
http://blogos.com/article/68863/forum/

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 さて、当ブログとしては、韓国出身の潘基文(パンギムン)国連事務総長の「正しい歴史(認識)が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」発言の、「深い省察に注目したいのです。

 NHKニュースなど多くの日本のメディアがこの「深い省察」発言部分を「日本の政治指導者らは、深くみずからを省みる必要がある」と柔らかく訳していますが、いやここは読売記事のごとく「深い省察(せいさつ)」がよろしいでしょう、「省察」のほうが事務総長の日本に対する辛らつな「反省せんかい」という強い意思のようなモノが伝わってくる気がしますもの。

 うむ、省察(せいさつ)とは「自らかえりみて考えること」でありますが、「深い省察」とはもちろん過去あるいは現在において過ちを犯した者が自らのその過ちを深く自覚し反省し行動を改める、そのときに求められる行為であります。

 ですから、「省察(せいさつ)」をするという行為は苦痛を伴います、多くの場合「省察(せいさつ)」は「煩悶(はんもん)」(いろいろ悩み苦しむこと、苦しみもだえること)を伴うものです。
 森鴎外の名作『雁』においてこれらの言葉が出現いたします。

 お玉は最初主人大事に奉公をする女であったのが、急劇な身の上の変化のために、煩悶(はんもん)して見たり省察(せいさつ)して見たりした挙句、横着と云っても好(い)いような自覚に到達して、世間の女が多くの男に触れた後(のち)に纔(わず)かに贏(か)ち得る冷静な心と同じような心になった。この心に翻弄(ほんろう)せられるのを、末造は愉快な刺戟(しげき)として感ずるのである。それにお玉は横着になると共に、次第に少しずつじだらくになる。末造はこのじだらくに情慾を煽(あお)られて、一層お玉に引き附けられるように感ずる。この一切の変化が末造には分からない。魅せられるような感じはそこから生れるのである。

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森鴎外青空文庫』より
http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/45224_19919.html

 ここの部分、少し解説しますと、御妾(おめかけ)さんである「お玉」が最近妙に色っぽくなり、主人である「末造」が「情慾を煽(あお)られて、一層お玉に引き附けられるように感ずる」理由を、「急劇な身の上の変化のために、煩悶(はんもん)して見たり省察(せいさつ)して見たりした挙句、横着と云っても好(い)いような自覚に到達して、世間の女が多くの男に触れた後(のち)に纔(わず)かに贏(か)ち得る冷静な心と同じような心になった。この心に翻弄(ほんろう)せられるのを、末造は愉快な刺戟(しげき)として感ずる」と、鴎外は格調高く解説しているわけです、で実は「この一切の変化が末造には分からない」、つまり理解できていないのだと。

 「雁」は金持ちの高利貸しである「末造」の妾(めかけ)である薄幸の美人「お玉」と東大生岡田君のプラトニックな悲恋物語を格調高い上品な描写で描いた鴎外の短編であります、

 あらすじをヤフー知恵袋のベストアンサーよりご紹介。

森鴎外の「雁」のあらすじを教えてください。友達が良いよ!っていってたんですが...

時は明治十三年… ゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*(*´∀`)

東大生岡田君の散歩道はいつもきまっています。コース内には無縁坂があります。
無縁坂には高利貸末造の妾で若く美しいお玉さんが住んでいます。
いつしか二人は挨拶しあう顔見知りになっていました。

そんなある日、お玉さんが飼っている小鳥が蛇に襲われ大騒ぎの所に岡田君が通り掛かり蛇を退治し小鳥を助けてあげます。
それ以来お玉さんは岡田君の事が気になってしかたありません。囲い主の末造には見抜かれていないようです。

しばらくして、末造が出張へ行く事になりました。お玉さんはそわそわして落ち着きません。
そんなころ岡田君は下宿の晩御飯のおかずの鯖の味噌煮がきにくわないので友人達と不忍池へいきます。
岡田君は池にいる雁を逃がしてやろうと投げた石が誤って雁にあたってしまいます。
雁は、はかなく命をおとしてしまいます。岡田君達はこれを(乱暴なことに!)料理して食べてしまおうということになります。
その時岡田君は急に大学を退学してドイツへ行く事になった旨を友人達に報告します。
お玉さんは、今日が岡田君と会える最後の日とは知りません。無縁坂に立って岡田君がくるのを待っています。
不忍池から雁を持って下宿に帰る岡田君とお玉さんはただすれちがうだけでした。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q128672497

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 日本は潘基文国連事務総長より良き国家関係を維持するために「深い省察」をすることを求められました。

 ある意味で、その通りなのです。

 これは今までの日本の韓国への対応を深く反省し韓国との関係を根本的に見直す本当に良い機会ととらえるべきではないでしょうか。

 竹島問題、従軍慰安婦問題、新日鉄住金などの戦時強制徴用訴訟問題、今までときに遠慮して日本の主張を抑えてきた諸問題について、結果的にそれが韓国の乱暴な主張の増長をまねき、そして今回の潘基文国連事務総長までが国連憲章に反して日本批判をするまでにいたったことを、「深い省察」のもと態度を今後あらためることとしましょう。

 韓国に対してその出鱈目な主張には、今後はきっぱりとしかし毅然と日本として反論していきましょう。

 反日政策に対しては、個別具体的に日本として合法的な対抗策を講じましょう。

 「反日」政策が韓国にとって決定的に不利益になることをはっきりと結果で見せ付け、自覚させる必要があるでしょう。

 一般に鉄は許容できる復元可能な範囲では力が加えられても元の形状に戻れます(可逆変化)が、許容不可能な大きな力を加えられると、大きく形状が変化し決して元の形状に戻ることはできなくなります(不可逆変化)。

 私は、国民感情にもこのような許容範囲があるとすれば、日本人の対韓感情は、もはやある一線を越えてしまった、決して元に戻れなくなった、と感じています。

 韓国との関係において、今こそたしかに私達日本人は「深い省察」が必要なのでありましょう。



(木走まさみず)