木走日記

場末の時事評論

 自らの「捏造報道」批判発言を、完全になかったものに捏造報道する朝日新聞〜朝日新聞の捏造報道は過去の事例ではない、現在進行形である

 17日付け産経新聞紙面トップに政府が国連委で強制連行説は「捏造」であると説明したことを大きく報じています。

 ネット上でも関連記事が掲載されています。

(関連記事)

朝日新聞が『捏造』を報道」「20万人も混同」…政府が国連委でようやく反論 
http://www.sankei.com/politics/news/160216/plt1602160071-n1.html
「批判は事実に反する」国連委で 遅まきながら政府が反転攻勢 河野談話の重荷なお
http://www.sankei.com/premium/news/160217/prm1602170009-n1.html
杉山外務審議官の発言要旨 慰安婦強制連行に関する国連女子差別撤廃委
http://www.sankei.com/politics/news/160217/plt1602170005-n1.html

 重要なので杉山外務審議官の発言要旨をチェックしておきましょう。

 日本政府は、日韓間で慰安婦問題が政治外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実関係調査を行った。日本政府が発見した資料には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった。

 慰安婦が強制連行されたという見方が広く流布された原因は昭和58年、吉田清治氏(故人)が「私の戦争犯罪」という刊行物の中で、自らが日本軍の命令で韓国の済州島で大勢の女性狩りをしたという事実を捏造(ねつぞう)して発表したためだ。この内容は朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本と韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた。

 しかし、この書物の内容は複数の研究者により完全に想像の産物だったことがすでに証明されている。朝日新聞も平成26年8月5、6日を含め累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪した。20万人という数字も具体的な裏付けがない。朝日新聞は26年8月5日付の記事で、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と慰安婦を誤って混同したと自ら認めている。なお、「性奴隷」といった表現は事実に反する。
 日韓両政府は昨年12月28日、ソウルで日韓外相会談を行い、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した。両首脳も同日、電話会談を行い、合意を確認し、評価した。

 今後、韓国政府が元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府は10億円程度の資金を一括で拠出する。現在、両政府はそれぞれ合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいる。国際社会は日韓両国の合意を歓迎している。

 先の大戦にかかわる賠償や請求権の問題は、サンフランシスコ平和条約、日韓請求権経済協力協定や日中の処理の仕方も含むその他の2国間の条約などによって誠実に対応してきている。条約の当事者間では、個人の請求権の問題を含めて法的に解決済みというのは、日本政府の一貫した立場だ。(ジュネーブ 田北真樹子)

 杉山外務審議官の発言要旨ですが、国連の女子差別撤廃委員会という国際的な場所で、日本政府・外務省が従軍慰安婦関連で初めて具体的な反転攻勢に出たわけです。

 遅きに失する感は否めませんが、これまで海外からのいわれなき歴史的批判に反論することに消極的だった外務省にすれば、一歩前進といったところでしょう。

 もちろん、今回の反論は、安倍官邸からの強い「指示」によるものです。

 ・・・

 さて、発言の中で三か所も名指しで「捏造」報道を批判されている朝日新聞なのであります。

 この発言、日本外交上の重要なエポックでありますから、他紙も当然取り上げています。

(読売記事)

慰安婦「強制連行証言は捏造」…国連委で説明
2016年02月17日 12時01分
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160217-OYT1T50056.html?from=ytop_main1

 まあ一面トップをかざった産経ほどのボリュームはありませんが、朝日新聞が繰り返しその捏造報道を取り上げられているポイントははずしていません。

ジュネーブ=石黒穣】国連の女子差別撤廃委員会の対日審査会合が16日、ジュネーブで開かれた。

 杉山晋輔外務審議官慰安婦問題について、「日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲による強制連行は確認できなかった」と述べた上、昨年末の日韓外相会談において「日韓間で最終的かつ不可逆的に解決されることが確認された」と説明した。

 杉山氏は、韓国の済州島慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言について、「完全な捏造ねつぞうだ」と述べ、吉田証言を事実として報じた朝日新聞が「誤りを認め謝罪した」ことにも言及した。

 慰安婦の数をめぐって、杉山氏は「20万人という数字は具体的な裏付けがない」と指摘。「朝日新聞が労働力として動員された女子勤労挺身ていしん隊と慰安婦を誤って混同したことによると自ら認めた」と述べた。また、慰安婦を「性奴隷」と呼ぶのは「事実に反する」と訴えた。

 ・・・

 さて朝日新聞捏造報道は過去の事例ではない、現在進行形であることを、読者の皆さんとともに押さえておきましょう。

 捏造の言葉の定義を三省堂広辞林より押さえておきましょう。

ねつ ぞう −ざう [0] 【捏▼造】( 名 ) スル
〔「でつぞう(捏造)」の慣用読み〕
実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること。でっちあげ。 「会見記を−する」
http://www.weblio.jp/content/%E6%8D%8F%E9%80%A0

 捏造とは「実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること」とあります。

 従って一般的には「捏造」記事は、2つの手法が取られます。

(捏造手法1):事実無根の「捏造」
 事実無根の事柄を事実のように報道する。

 「捏造」記事を完遂するためにときに2番目の手法を取ります。

(捏造手法2):事実の「隠ぺい」
 重要な事実を隠して報道しない。

 一般に「捏造」報道とは、(捏造手法1)あるいは(捏造手法2)あるいはその両方を駆使して行われるものであります。


 さて、17日付け朝日新聞記事であります。

 存分にご堪能くださいませ。

「不可逆的に解決」 慰安婦問題、国連委で日本強調
2016年2月17日05時00分

 国連女性差別撤廃委員会の対日審査が16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で行われた。慰安婦問題について、杉山晋輔外務審議官は昨年末に韓国政府と合意し、「最終的かつ不可逆的に」解決されることを確認したと強調した。

 杉山氏は冒頭、「日本政府としては20世紀の戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深くログイン前の続き傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするためリードしていく」と発言。質疑では、政府による慰安婦問題の事実調査で「発見した資料の中に、軍や官憲によるいわゆる強制連行を確認できるものはなかった」と説明した。「性奴隷といった表現は事実に反する」とも述べた。

 同委員会の国別審査は、女性差別撤廃条約の加盟国が定期的に受ける。女性の権利全般について幅広い問題が対象になっている。

 慰安婦問題での日韓合意については、人権NGOなどが一定の評価をしつつも、「被害女性を抜きにした合意だ」などと反発する声もある。韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない。ただ、今回は首相官邸の意向で見解を説明することになった。

 (松尾一郎=ジュネーブ武田肇
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12212231.html?_requesturl=articles%2FDA3S12212231.html&rm=150

 杉山晋輔外務審議官の発言内容から見事に朝日新聞という固有名詞がスポイルされています。
 それどころか「捏造」というキーワードも隠蔽されています。
 これは、事実の「隠ぺい」です、重要な事実を隠して読者に報道しない立派な捏造記事です。
 国連における従軍慰安婦に関する朝日新聞捏造報道」批判発言を、完全になかったものに捏造報道する朝日新聞なのです。
 読者の皆さん。

 これがこの国を代表するクオリティペーパーと自負しているメディアのすることでしょうか?

 どう思われますか?

 ふう。



(木走まさみず)