木走日記

場末の時事評論

朝日スクープ記事はK氏の復讐なのか?

 久しぶりに「朝日VS読売」のバトルが勃発しそうであります。

 今回、仕掛けたのは朝日側です、15日未明朝日新聞読売巨人軍の契約金に関わるスクープ記事を掲載いたします。

巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過
2012年3月15日0時54分
http://www.asahi.com/national/update/0315/TKY201203140797.html

 このスクープ記事、15日未明から翌朝まで朝日新聞サイトのトップ記事として長時間晒されるわけですが、さらに素敵なことにこれだけの長文記事ですと最近の朝日サイトでは記事を途中までしか開示せず「購読されている方は、続きをご覧いただけます」と有料会員にのみしか全文が読めないわけなのですが、この記事に関しては全文無料で読むことがなぜかできるのです。

 うむ、そんな些細なことからも朝日新聞の本スクープ記事への力の入れようが理解できますです。

 さて、記事によれば超過額の契約が判明したのは、高橋由伸上原浩治(現大リーグ)、二岡智宏(現日本ハム)、阿部慎之助内海哲也野間口貴彦の6選手。

最も高額なのは、阿部選手(00年ドラフトで入団)の10億円。野間口選手(04年)は7億円、高橋選手(97年)は6億5千万円、上原選手(98年)、二岡選手(同年)は各5億円、内海選手(03年)は2億5千万円となっている。このほか、上原選手には退団時の功労金1億2千万円、二岡選手には退団時の功労金7千万円と別の出来高払い3千万円も支払う契約となっていた。

 うむ、記事によればこのスクープは「巨人軍の複数の内部資料や関係者証言」によるとしているのですが、いやあ、どのようなルートからこのような内部資料がライバル朝日新聞に流出したのか、大変気になるところではあります。

 「関係者」ってK氏だったりして、よくわかりませんが?

 それはともかく夜中の0時54分に朝日スクープ記事が掲載されたわずか44分後の丑三つ時の01時38分、読売新聞は早くも反撃ののろしを上げるのであります。

巨人、契約金で朝日に反論…97〜04年6選手
(2012年3月15日01時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/news/20120315-OYT1T00093.htm

 読売記事によれば、「朝日が問題にした6選手は、いずれも緩やかな目安だった時期の入団であることから、巨人軍では「球界のルールに反しておらず、税務申告も適正に行っており、社会的に非難されるものではない」としている」とのこと。

 また記事上で、 日本野球機構の顧問弁護士の安西愈(まさる)弁護士に「契約金の最高標準額については、上限を定めると独禁法カルテルの問題が出てくるので、あくまでも目安であって、厳格な規定ではなかった。10年以上前に入団した選手のことを、なぜ今、問題にするのか全く理解できない」と語らせています。

 読売記事は01年当時の実行委員の一人の以下の発言で結ばれています。

 実行委が合意文書をまとめた01年当時の実行委員の一人は「あの頃、最高標準額はあったが、いくつかの球団では、1億円の契約金とは別に功労金などの名目で選手に金銭を支払っていたように聞いている。しかし、04年に大学生に栄養費名目で金銭を支払っていた問題が発覚したことを受け、球界全体で刷新を図った。そして今、球界挙げて震災復興を支援しようとしているなかで、十数年前のことを蒸し返すのはいかがなものか」と疑問を呈した。

 球界挙げて震災復興を支援しようとしているなかで、十数年前のことを蒸し返すのはいかがなものか

 うむ、まったく関係ない大儀な発言で苦笑するしかありませんが、なんでもかんでも「震災復興」を絡めるのは、昨年の震災直後、電力不足の中でナイターを強行しようとして世間の大顰蹙を買った読売グループにとって逆効果でありますよ、とご注進しておきます。

 さて、しかし、今回の朝日スクープですが、これね読売関係者のかなりの上層部からの情報流出を思わせるのですよね、朝日は上記記事以外に読売にとって分の悪い「状況証拠」を示す資料もスクープしておるのであります。

一括だと「まずいことに」 巨人、分割受け取り勧める
2012年3月15日1時0分
 高額契約が判明した6選手のうち、読売巨人軍が入団前の野間口貴彦選手に渡したとされる文書には、「球界のルール越え」が判明しないように契約金を分割して受け取ることを勧めるなどの記載があり、最高標準額の超過を認識していたことがうかがえる。
(後略)
http://www.asahi.com/national/update/0315/TKY201203140798.html

 うむ、これは読売側が当時「違反」行為と認識していた動かぬ証拠といえそうです、記事はこう続きます。

 文書は「球界の決まりはご承知のとおり、契約金は最高1億円、出来高払いは成績によって最高5千万円まで認められています」としながらも、「契約金 7億円」と明記。一括払いと5〜7年程度の分割払いの選択肢を示したうえで、一括払いについて「あなたが翌年の高額所得者番付に登場することは確実で、その際、球界のルールを越えて契約金を受け取ったことが判明してしまい、あなたにとっても、球団にとってもまずいことになります」と述べている。

 さらに文書は「近年、高額契約金でプロ野球界に入った選手のほとんどが、球団と契約書で確認のうえ、この分割方式をとっています」と説明している。

 さて、このバトル今後の展開はどうなるのか気になるところですが、どうもどうやら読売巨人軍のかなり重要な内部資料が大量に朝日に流出しているようですね。

 これはリーク元が読売巨人軍内の末端関係者ではなく、これらの資料を管理しうるかなりの上層部にいた人物と考えるのが普通でありましょう。

 今回の「朝日VS読売」バトル、影に「K氏の復讐」疑惑が付きまとうのでございます。

 今後の展開に注目いたしましょう。



(木走まさみず)