木走日記

場末の時事評論

彼はなぜエリートから暗愚に変貌してしまったのか?

 どうも最近のある人を見ていてふっと思い出した象の固定観念のお話から。

 インドやタイでは家畜化された象がおります。

 その象たちですが、畜舎で極めて細い鎖に繋がれてるのにも関わらず、逃げ出そうとはしないそうです。

 何故か?

 彼らは小象のときから鎖に縛られています。

 もちろん、小象は何度もその鎖をちぎろうとするが、小象の力ではちぎれません。

 どんなに頑張っても、その鎖はちぎれない。

 結果、大きくなった象は今でも「この鎖は決してちぎれない」と思い込むのだそうです。

 大きくなった象たちにとってはその鎖は容易にちぎれるにも関わらず、「この鎖は決してちぎれない」という固定観念が彼らを支配し、ちぎろうとする行為を自ら封じているというわけです。

 産経新聞記事から。

田中防衛相「納得される答弁に努力」 自身の答弁で参院予算委審議中断
2012.3.16 09:33 [野田内閣]

 田中直紀防衛相は16日午前の記者会見で、自身の答弁に野党側が反発し、参院予算委員会の審議がたびたび中断していることに対し「防衛、安全保障はわが国の重要な課題だ。粉骨砕身、誠心誠意質疑に答え、さらなる研鑽(けんさん)を積んで、(野党側に)納得していただける答弁を果たせるように努力したい」と述べた。

 田中氏にしてみれば、今後の答弁で信頼を得たいようだが、すでに防衛相就任から2カ月あまり。予算委で質問した自民党山本一太前政審会長は「田中氏の人柄も一生懸命さも分かるが、防衛相として不適格だ。一刻も早く辞めてほしい」と厳しく批判している。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120316/stt12031609340000-n1.htm

 最近のこの人の国会答弁を見ていると、もうこれは一種のいじめではないかと錯覚してしまいそうな(もちろん大臣の国会答弁がいじめに見えてしまうほどに大臣の資質に問題があるわけですが)、それは失礼ながら暗愚な人としか思えない情けない答弁が続いているわけです。

 自民党の軍事オタクの知識をためすようなクイズのような意地悪な質問もどうかなとは思いますが、それだけでなく防衛問題全般に渡り、あまりにも勉強不足であり誤答が多いのも否定できません。

 しかしながら不思議なのは、田中直紀氏といえば、名門・武蔵中高から、慶大法学部卒業、日本鋼管(現JFEスチール)入社という、間違いなく「秀才コース」を歩んできた経歴があります。

 少なくとも30歳ぐらいまでは彼はエリートであり、「暗愚」などの形容とは無縁な人生だったはずです。

 彼をここまで無能にしたのは何かといえば、精神科医の日向野春総氏は、それは田中角栄元首相を義父に持ち、田中真紀子元外相(68)の夫という「偉大な家族との生活」に原因があるのではないかと、以下の記事で見立てています。

“トンデモ大臣”田中直紀はこんな人!どこより詳しい人物大図鑑
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120208/plt1202081124003-n1.htm

そんな直紀氏の政治経歴に注目する精神科医の日向野春総氏は「環境の中で少しずつ牙を抜かれていったのでは。偉大な父を持つバリバリの才女の夫になるには、いい意味でも鈍感力がないとダメだからだ」といい、こう語った。

 「存在感抜群の家族との生活で、自然と自分の発想を消す訓練がなされたのではないか。結果、意見を主張することを忘れ、正確な言葉が出にくくなるケースがある。草食系男子の先駆けではないか。偉大な家族との生活では、辛いことも多くあったはず。人間は、苦しいことは忘れるようにできている。これが続けば『物忘れ』のギアも入りやすくなる」

 長い間細い鎖に繋がれてきた象が鎖をちぎろうと思わなくなるのと同様、強烈な個性の真紀子ママのそばで、長い間自分の発想を消す訓練がなされ、意見を主張することを忘れ、苦しいことは忘れるように鈍感力を磨き続けた直紀パパは、いつしか秀才から暗愚へと、変貌してしまった・・・

 これあながち的外れとも思えない分析だと思いますが、読者の皆様はいかがお考えでしょうか。



(木走まさみず)