二人に一人が非正規雇用か失業中という若年層〜若年層に就職の機会を与えるために正社員の解雇を解禁すべき
国際労働機関(ILO)は24日発表した2012年版の世界雇用情勢報告で、同年末の世界の失業者数が初めて2億人を突破するとの予測を示しました。
世界の失業者、12年末に初の2億人超え ILO予測
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E4948DE0E6E2E3E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000
世界の労働人口自体が増加していますので失業者2億人という数字自体にあまり意味は見出せませんが、問題は世界全体の傾向として若年層の失業問題が深刻なことで、記事によれば11年末時点の失業者全体の約4割を若年層が占めており、その失業率は12.7%で、全体平均(6.0%)の2倍強の高水準にあるわけです。
日本の失業率ですが下記の総務省・統計局サイトが速報値を出しています。
労働力調査(基本集計) 平成23年11月分結果
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm
若年層の失業率は8.0%と全体平均4.3%の2倍弱の高水準にあります。
■表1:年齢別失業率(平成23年11月)
年齢 | 失業率(%) |
---|---|
15〜24 | 8.0 |
25〜34 | 5.3 |
35〜44 | 3.9 |
45〜54 | 3.5 |
55〜64 | 4.1 |
総数 | 4.3 |
■図1:年齢別失業率(平成23年11月)
この若年層失業率の問題ですが、たとえ雇用されていても若年層の非正規率(全雇用に占める非正規雇用の割合)が異常に高いので、結婚をし子供を生み、といった長期的な安定的な生活を人生設計できる若者はさらに限られてきます。
■表2:年齢別非正規率(平成22年男子)
年齢 | 非正規率(%) |
---|---|
15〜24 | 43.3 |
25〜34 | 14.0 |
35〜44 | 8.1 |
45〜54 | 8.1 |
55〜64 | 28.8 |
総数 | 18.9 |
失業率だけでなくこの非正規率も考慮すると、例えば若年層「年齢別失業者+非正規社員の割合」は、
8.0%(失業率) + (100 − 8.0)%(就業率) * 43.3%(非正規率)
の式で示されますので、実に47.8%の割合になります。
■図3:年齢別失業者+非正規社員の割合(男子)
若年層男子の二人に一人が、非正規雇用か失業中という深刻な状態に陥っているのです。
それに対して45〜54才世代の年齢別失業者+非正規社員の割合(男子)11.2%の低さであり、これは10人中9人が正規社員であり、残りの一人が失業中か非正規雇用という、極めて安定した雇用状態を示しています。
このような世代間のアンバランスが生じた理由は、不況の中、民間も公務員も組合が厚遇の正規雇用者の雇用のみを必死で守り、また法律で守られているので役に立たない正規社員でも経営側は安易にクビにできず、そのしわ寄せとして反対に低賃金で退職金も発生しない若年層を中心とする非正規雇用者が雇用調整用に酷使されているわけです。
二人に一人が非正規雇用か失業中という若年層に対し10人中9人が正規社員という45〜54才世代。
この日本の歪んだ雇用状態を打破するためにはどうすればいいのでしょうか。
労働流動化をうながすことが重要と思われます。
正社員の解雇を解禁するのです。
経営者に欧米並みの解雇権を与えれば、いっきに労働流動化が始まります。
それは若年層の就職する機会を大きく増加させることでしょう。
世代を越えた公正な競争が始まることでしょう。
(木走まさみず)