木走日記

場末の時事評論

皇位継承問題を図で整理してみた

 なぜか皇位継承問題のわかりやすい図解があまりメディアに無いので整理してみました。

 6日付け東京新聞夕刊記事から。

女性宮家問題 来月から意見聴取 皇位継承とは分離

 藤村修官房長官は六日午前の記者会見で、皇族女子が結婚後も皇族身分を維持できる「女性宮家」の創設問題に関して、来月から有識者からの意見聴取を始める方針を表明した。女性・女系天皇の容認につながる皇位継承問題とは切り離して検討する。
 これに合わせて、藤村氏は小泉政権当時に設置された皇室典範に関する有識者会議で座長代理を務めた園部逸夫最高裁判事内閣官房参与に起用する人事を発表した。
 藤村氏は「当面、対応を急ぐ必要がある女性皇族の問題に絞り、皇位継承の問題とは切り離して検討する」と 強調。
 来月から皇室制度や憲法、宗教、歴史、文化などに詳しい有識者に加え、財界、労働界などからの意見聴取を月に一、二回開く考えを示した。
 政府は意見聴取を踏まえて、皇室典範の見直しに関する素案を策定。その上で、与野党間で調整を進めたい考え。素案の取りまとめ時期は未定としている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012010602000194.html

 うむ、藤村修官房長官は「当面、対応を急ぐ必要がある女性皇族の問題に絞り、皇位継承の問題とは切り離して検討する」と強調していますが、多くの国民に取り「女性皇族の問題」=「皇位継承の問題」そのものに映っているのではないでしょうか。

 今回は今再び議論が活発化しているこの皇位継承問題について整理してみたいと思います。

 皇室典範第1章第1条では次のように定められています。

皇室典範

第1章 皇位継承
 
第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。 
http://www.houko.com/00/01/S22/003.HTM

 「皇統に属する男系の男子」だけが皇位を継承することが可能であるということです。

 「男系男子」について整理しておきましょう。

 今一人の男子を考えます(別に皇族でなくてもかまいません、一般の男子全般、あなたの息子を想定してもよろしいのです)。

 その男子の一世代前は、父親、母親の2名、二世代前は父方の祖父母、母方の祖父母の4名、世代を1つさかのぼるごとにご先祖様の人数は2倍に増えていきますね、例えば6世代さかのぼれば、64名のご先祖様が並びます。

 左側を男系(父方)、右側を女系(母方)の先祖として逆ピラミッド型に描くと、一人の男の子の6世代前までのご先祖様は次のとおり。

図1:男子から6世代前までさかのぼる逆系図

この図で男系男子の系譜となるのは、一番左の緑の線で現れます。

 ここで重要なポイントは2つです。

 ・今生存している男子なら誰でも男系男子の系譜を持っている。
 ・ただしその男子が女子しか持たないか子供を持たなければその男系男子の系譜はそこで絶たれる。

 男子が3兄弟だとすれば、長男、次男において系譜が絶たれても、三男に男子が生まれたならば、男系男子の系譜が守られることになります。

 さて、今、皇位継承で深刻な問題なのは、男系男子の系譜が継承する可能性を有するのが事実上秋篠宮家の悠仁親王ただ一人となってしまっていることです。

 近現代天皇家(皇室・皇族)の系図を見てみましょう。

図2:近現代天皇家(皇室・皇族)の系図

 図2を利用して、図1のように悠仁親王から六代さかのぼってみましょう。

図3:悠仁親王6世代前までさかのぼる逆系図

 当然ながら、左の緑の線上に歴代天皇が並んでいます。

 これこそが皇位継承権すなわち「皇統に属する男系の男子」の証であるわけです。
 がしかし、ご先祖をさかのぼれば「皇統に属する男系の男子」でありなおかつ、今後将来次代の男系男子の誕生の可能性のある皇族が、現時点で悠仁親王ただ一人だけという危機的状況にあります。

 この危機を打開する方法は大きくは2つあります。

 ひとつは女系天皇を認めることです。(女性天皇と区別してくださいね)。

 女系天皇とは一言で言えば、図3において男系男子の緑の線が途切れている皇族が天皇になるということです。

 もうひとつは6代さかのぼっての「皇統に属する男系の男子」では悠仁親王ただ一人に限られますが、もっと何代にもさかのぼれば、旧皇族の男系男子が少なからず元気に生存しています。

 旧皇族を復活させるという考えです。

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 万世一系、一つの系統が末永く続くこと、皇統を守るということ、今回は図で整理してみました。

 読者のみなさまの参考になれば幸いです。



(木走まさみず)