木走日記

場末の時事評論

世界に冠たる無敵の「少子高齢化」日本経済〜英銀2050年世界経済規模ランキング予測検証

 13日付け日経新聞記事から。

50年のGDP、首位は中国 日本は4位 英銀予測
2012/1/13 12:08

 英銀最大手HSBCが12日、2050年の世界経済規模ランキング予測をまとめた。中国の国内総生産(GDP)は25兆3300億ドル(約1950兆4100億円)となり世界首位に浮上、米国(22兆2700億ドル)との2強体制が鮮明になる。人口が1億200万人まで減る日本(6兆4200億ドル)は世界最多の16億人に膨らむインド(8兆1600億ドル)に抜かれ4位に後退する。

(後略)

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3E0E2E58A8DE3E1E2E3E0E2E3E09790E0E2E2E2;at=DGXZZO0195570008

 うむ、英国銀行HSBCが2050年の世界経済規模ランキングを発表しました、米国を抜き中国が世界首位になり、一方日本はインドに抜かれ4位に後退するという予測であります。

 HSBCのレポートはネット上で以下のPDFファイルとして公開されています。

The world in 2050
Quantifying the shift in the global economy
http://www.research.hsbc.com/midas/Res/RDV?p=pdf&key=ej73gSSJVj&n=282364.PDF

 とても興味深いレポートなので今回はこの2050年世界経済規模ランキング予測について取り上げたいと思います。

 さて元のレポートでは2050年の経済規模上位30カ国・地域について予測がなされていますが、香港など人口が1000万に満たない地域も含まれていますので、ここでは人口5000万以上の規模の国に絞り、38年後の日本のポジションを押さえていきます。

■表1:2050年GDP規模ランキング上位20カ国(人口5000万人以上)

順位 国名 GDP
1 China 24617
2 US 22270
3 India 8165
4 Japan 6429
5 Germany 3714
6 UK 3576
7 Brazil 2960
8 Mexico 2810
9 France 2750
10 Italy 2194
11 Turkey 2149
12 Spain 1954
13 Russia 1878
14 Indonesia 1502
15 Argentina 1477
16 Egypt 1165
17 Thailand 856
18 Iran 732
19 Colombia 725
20 SouthAfrica 529

■図1:2050年GDP規模ランキング上位20カ国(人口5000万人以上)

 うむ、中国と米国の市場規模が群を抜いています、中国の国内総生産(GDP)は25兆3300億ドル(約1950兆4100億円)となり世界首位に浮上、米国(22兆2700億ドル)とのまさに「2強体制」が鮮明になっていますね。

 また人口が1億200万人まで減る日本(6兆4200億ドル)は世界最多の16億人に膨らむインド(8兆1600億ドル)に抜かれ4位に後退しています。

 以下、ドイツ、英国、ブラジル、メキシコ、フランス、イタリアが10位までの国になりますが、ブラジル、メキシコなどの新興国がフランスやイタリアを押さえて経済市場規模で台頭していることが見て取れます。

 さて、2050年の人口予測を押さえておきましょう。

■表2:2050年GDP規模ランキング上位20カ国の人口予測(人口5000万人以上)

順位 国名 人口(50年)単位:百万人
1 China 1417
2 US 404
3 India 1614
4 Japan 102
5 Germany 71
6 UK 72
7 Brazil 219
8 Mexico 129
9 France 68
10 Italy 57
11 Turkey 97
12 Spain 51
13 Russia 116
14 Indonesia 288
15 Argentina 51
16 Egypt 130
17 Thailand 73
18 Iran 97
19 Colombia 63
20 SouthAfrica 57

■図2:2050年GDP規模ランキング上位20カ国の人口予測(人口5000万人以上)

 うむ、中国14億、アメリカ4億、インド16億と人口も膨張している上位3カ国に比較し、日本は一億二百万と現在に比べて2割ほど人口が減少しています。

 そこで2050年時点での一人当たりGDPを算出して表にしてみましょう。

■表3:2050年GDP規模ランキング上位20カ国の一人当たりGDP(人口5000万人以上)

順位 国名 一人当たりGDP(50年) 一人当たりGDP(10年)
1 China 17372 2396
2 US 55134 36354
3 India 5060 790
4 Japan 63244 39435
5 Germany 52683 25083
6 UK 49412 27646
7 Brazil 13547 4711
8 Mexico 21793 6217
9 France 40643 23881
10 Italy 38445 18703
11 Turkey 22063 5088
12 Spain 38111 15699
13 Russia 16174 2934
14 Indonesia 5215 1178
15 Argentina 29001 10517
16 Egypt 8996 3002
17 Thailand 11674 2744
18 Iran 7547 2138
19 Colombia 11530 3052
20 SouthAfrica 9308 3710

■図3:2050年GDP規模ランキング上位20カ国の一人当たりGDP(人口5000万人以上)

 参考までに2010年の一人当たりGDPも並べておきましたが、2050年の日本って人口も減って少子高齢化な割りに一人当たりGDPが世界トップクラスを示しているわけで、なんかベテランだけどいい味出している「いぶし銀国家」のようなポジション(苦笑)になっていますよね。

 で、一人当たりGDPで順位を付けなおすと以下のようになります。

■表4:2050年一人当たりGDPランキング上位20カ国(人口5000万人以上)

順位 国名 一人当たりGDP(50年)
1 Japan 63244
2 US 55134
3 Germany 52683
4 UK 49412
5 France 40643
6 Italy 38445
7 Spain 38111
8 Argentina 29001
9 Turkey 22063
10 Mexico 21793
11 China 17372
12 Russia 16174
13 Brazil 13547
14 Thailand 11674
15 Colombia 11530
16 SouthAfrica 9308
17 Egypt 8996
18 Iran 7547
19 Indonesia 5215
20 India 5060

■図4:2050年一人当たりGDPランキング上位20カ国(人口5000万人以上)

 ・・・

 うむ、英銀最大手HSBCの2050年の世界経済規模ランキング予測ですが、市場規模では中国・米国の「2強体制」が鮮明となり、一方の日本はインドにも抜かれ第四位に甘んじていますが、一人当たりGDPにおいては世界トップレベルにあると予想されています。

 日本は人口は減るけれど労働生産性は高く維持され、またこれまでの蓄積資産が目減りすることなく運用され、人口が減る分一人当たりのGDPは結果として伸びる、という好意的な予測なのであります。

 人の数は減り老人が増えるけど一人ひとりは豊かな「いぶし銀国家」日本。

 世界に冠たる無敵の「少子高齢化」日本経済・・・(ホントかな?)

 素晴らしいじゃないですか。

 今回は英銀2050年世界経済規模ランキング予測を検証いたしました。



(木走まさみず)