木走日記

場末の時事評論

起こっている事象を自分たちの都合の良い曲げた解釈で報道する韓国メディア〜「安倍首相の憲法改正に天皇と皇太子が不満?」(朝鮮日報)



皇太子さまは23日、54歳の誕生日を迎えられました。

皇太子さまは誕生日を前に記者会見に臨まれ、その会見内容が宮内庁サイトで公開されています。

皇太子殿下お誕生日に際し(平成26年
皇太子殿下の記者会見

会見年月日:平成26年2月21日
会見場所:東宮御所
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/02/kaiken/kaiken-h26az.html

 さて記者団の用意した四問目の質問とそれに対するお答えを抜粋します。

問4 昨年は,皇室の活動と政治の関わりについての論議が多く見られました。天皇陛下は記者会見で,「問題によっては,国政に関与するのかどうか,判断の難しい場合もあります」と述べられました。殿下は,皇室の活動と政治の関わりについてどのようにお考えになっているのか,また心がけていることがあればお聞かせください。
皇太子殿下
日本国憲法には「天皇は,この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ,国政に関する権能を有しない。」と規定されております。今日の日本は,戦後,日本国憲法を基礎として築き上げられ,現在,我が国は,平和と繁栄を享受しております。今後とも,憲法を遵守する立場に立って,必要な助言を得ながら,事に当たっていくことが大切だと考えております。

 うむ、記者団の「皇室の活動と政治の関わりについてどのようにお考えになっているのか」との問いかけに、日本国憲法天皇に対する規定に触れられた上で「今日の日本は,戦後,日本国憲法を基礎として築き上げられ,現在,我が国は,平和と繁栄を享受しております。今後とも,憲法を遵守する立場に立って,必要な助言を得ながら,事に当たっていくことが大切だと考えております」とお答えになっています。

 皇太子殿下という責任あるお立場の中、憲法を遵守する立場に立って,必要な助言を得ながら,事に当たっていく」という、極めて真っ当で妥当なお答えであります。

 現憲法天皇「国政に関する権能を有しない」と規定していることを必要な助言を得ながら遵守していく、ということであります。

 さてこの発言を報道する朝鮮日報24日付け記事から。

安倍首相の憲法改正天皇と皇太子が不満?

皇太子、誕生日の記者会見で「憲法順守」を強調
天皇も昨年の記者会見で現行憲法を高く評価

 日本の皇太子徳仁親王が、憲法を順守することを強調した。これは安倍晋三首相が平和憲法の改正を推進していることと相反する動きだ。

 徳仁親王は23日、54歳の誕生日を迎えるに当たって記者会見を行い「日本は戦後、憲法を基礎として平和と繁栄を享有してきた。憲法は順守しなければならない」と述べた。今上天皇も昨年12月の記者会見で「戦後、連合軍の占領下に置かれた日本が、平和と民主主義を重要な価値と位置付け、新たな憲法を制定し、さまざまな改革を通じて現在の日本を築き上げてきた」とし、現在の平和憲法を高く評価している。

 天皇と皇太子が相次いで憲法の順守を強調したことは、安倍首相による憲法改正の動きに対し不満をあらわにしたものとも解釈できる。安倍首相は「現行憲法は米軍の占領下で強要によって制定された」とし、戦争や軍隊の保有の禁止を定めた憲法第9条の改正を推進している。与党・自民党は今年、一般国民を対象に、憲法改正についての説明会を全国で行う方針だ。現行憲法天皇を「国家の象徴」と定めているが、自民党憲法改正案は「国家元首」としている。

 一方、徳仁親王は、父親である今上天皇が、自らの死後に土葬ではなく火葬とし、葬儀を簡素化するよう求めたことについて「私も同じ考えだ」と表明した。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/24/2014022400882.html

 うむ、天皇と皇太子が相次いで憲法の順守を強調したことは、安倍首相による憲法改正の動きに対し不満をあらわにしたものとも解釈できる」としています。

 やれやれです。

 どこをどう解釈すれば、この穏当な発言が「安倍首相による憲法改正の動きに対し不満をあらわにしたもの」となるのでしょう。

 皇太子殿下のお立場であるならば、「憲法を遵守する立場に立って,必要な助言を得ながら,事に当たっていく」のは当然のことです。

 そもそもお答えの冒頭に、日本国憲法には「天皇は,この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ,国政に関する権能を有しない。」と規定していることを明言されているのです、「国政に関する権能を有しない」お立場を強調されているのに、「安倍首相による憲法改正の動きに対し不満をあらわにした」りするわけがお有りになるはずがないことは自明です。

 韓国メディアはしばしば起こっている事象を自分たちの都合の良い曲げた解釈で報道するわけですが、このケースはその典型と云えましょう。

 これだから韓国メディアはしっかりリテラシーしなければなりません。



(木走まさみず)