「子ども手当」もイマイチで「高機能移民」もイマイチと思っている人は「ナガセ計画」はいかがでしょうか?
2日付け日経新聞電子版特集記事から。
世界一、頭脳が集まる国、日本へ 第8回・企業編(8月2日)
2010/8/2 6:00東大合格者よりも、
理系離れを食い止めよう。
科学者のイチローを作れ。
「教育の乗数効果」
大手予備校「東進ハイスクール」などを展開する教育大手ナガセの永瀬昭幸社長のオピニオンですが、全文は是非あちらで読んでいただくとしてこれはおもしろい発想でしたね。
シンガポールなどに負けないで日本も「自然科学のトップ級の頭脳を1万人」世界中から呼び集めろ、と提案してます。
すでにシンガポールでは政府が資金を拠出して世界中からバイオ分野の優れた研究者を集め始めている。日本政府も自然科学のトップ級の頭脳を1万人くらい呼び集めて、彼らに潤沢な研究資金と生活環境を与えてはどうか。日本は治安が良く、国民全体の教育水準も高い。四季も美しい。他国に負けない制度上の魅力さえ打ち出せば、世界の頭脳が集まらないはずがない。
うーむ、「他国に負けない制度上の魅力」って、つまり給料とか最先端の研究設備とかを充実させることだと思いますが、そうなるとこの1万人のトップ科学者を迎え入れるには、おそらく1兆近くとかの初期費用がかかりそうですね、で運良く集められたとしてこの研究体制を維持していくのにはやはり年間1兆近くのランニングコストも掛かるだろうなあ、技術者1名当たりの費用(人件費・設備費など)を1億円ぐらいとしてのアバウトな試算ですが。
全国各地に研究分野ごとの拠点を分散させることにより、筆者の本当の狙いは日本人の中から「理系のイチローや松井をたくさん生み出す」ことのようです。
多少の予算は必要としても、高名な研究者が集まり、各地の研究コミュニティーが沸き立てば、そこにいる日本人が鍛えられる。何より期待したいのは若い世代への刺激だ。子どもたちの「理系離れ」が指摘されて久しい。それを食い止める施策は、理系のイチローや松井をたくさん生み出すことだ。自然科学の分野で成功すると、「尊敬され、経済的にも大きなリターンがある」と分かれば、優秀な子どもたちの間で理系志向が高まるだろう。
「多少の予算は必要」って多少とは思えないんです(苦笑)が、それはともかく費用対効果の検討も必要でしょうが、これぐらい大胆な発想だとおもしろいですよね、実現性があるのか政府も検討してみてはどうでしょうか。
財源がないっていっても、民主党の目玉政策である子ども手当月額1万3千円の支給総額が2兆2554億円で国が全体の3分の2である1兆4980億円を負担しているわけですが、これを廃止すればおそらくお釣りが来ますよね。
理系教育に力を入れるのは正論であります、が教育は成果を得るのに10年スパンの時間が掛かりますがこのアイディアならば、まず世界の頭脳に優れた研究成果を上げてもらい日本企業の競争力を高めてくれれば10年も待たずに効果があらわれることも期待できそうです。
デフレで悩む日本経済に新しい技術・イノベーションを創造しその潜在成長力を高めてくれる特効薬に成るやも知れません。
また日本人の中から著者の構想通り「理系のイチロー」が続々誕生するのならば、子ども達に理科系の勉強をするインセンティブ(動機付け)にもなりましょう。
拠点を全国に分散すれば地方経済の活性化にも繋がりますよね。
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どうでしょう、中期的に考えると「子ども手当」より日本国にとって有益な税金の使い方になりそうな、おもしろい計画だと期待したくなってしまうのは、私だけでしょうか。
「高機能移民」とかネットで最近話題になっているようですが、ナガセ社長のこの計画、別に移民していただかなくても実現可能です。
日本の既存の大学や研究所との連携や企業との産学連携も期待できますしね、ここで誕生する新技術をうまく日本企業へ技術移植できるならば、日本経済活性化につながるかもです。
日本を世界一頭脳が集まる国にするという「ナガセ計画」、少々突飛ですが、検討に値するおもしろい構想だと思いましたが、いかがでしょう。
いきなり一万人が無理なら千人からでもまず初めてみるのはいかがでしょうか。
(木走まさみず)