政治団体に集まった浄財で個人名義の不動産を購入した脱法行為が許されるはずがない
原点に戻って確認しておくことが重要と思われます。
小沢事務所だけではないですが一般に政治団体には「法人格」はありません。
政治活動を行う上で個人や団体からの政治献金やまた国民の税金である政党助成金など、浄財をあつめる政治団体は、その崇高な目的である政治活動をするための非営利組織なのであり、それゆえに法人税など納税義務も免除されているわけです。
「法人格」のない政治団体は当然ながら営利を追求したり不動産購入など蓄財することを認められてはいません、それは単に道義的責任うんぬんの議論にとどまらず、この国の法律は政治団体の不動産登記を認めていません。
政治団体「陸山会」が約4億の不動産を購入し、しかも「小沢一郎」個人名義にて取得した行為は、納税義務を免除されている政治団体として道義的責任が問われるだけでなく、法的責任も厳しく問われてしかるべき重大な「脱法行為」だと私は3年前から指摘してきました。
納税義務のない政治団体に集まった浄財で個人名義での不動産を購入したこの一点で、すでに小沢氏は批判されてしかるべきである、というのが私の主張であります。
別に民主党政権をつぶすためとか、小沢氏が憎くて指摘しているわけではありません。
悪いモノは悪いと、私は3年前から指摘してきただけです。
政治団体を利用して4億という高額な不動産取得という特異な手法を取った政治家は小沢氏ただ一人であるというきわめて明快な批判すべき事実がここにあるだけです。
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私は昨年の政権交代を断固支持してきましたし、今もって民主党による政権交代は高く評価しています。
50年に渡る自民党政権は「政・財・官」の癒着を生み、とくに小泉政権の後の4年に渡る短期政権では、その「制度疲労」は誰の目にも明らかであり、ここは自民党は一度下野し猛省したほうがよろしいと考えていました。
しかるに野党時代あれほど政府・自民党の「政治とカネ」の問題を厳しく追及してきた民主党が、今、小沢氏の資金管理団体「陸山会」に、土地取引をめぐる疑惑で強制捜査が及んだのに続いて、大会直前には元秘書の石川知裕衆院議員ら3人が一斉に逮捕されるという、異様な状況におちいっているのです。
さらに異様なのは、政権と政権与党の中枢が疑惑をもたれる中で、民主党大会でも、なんら批判の声が出ず、小沢氏の開き直りを追認たことです。
疑惑解明に背を向け開き直る姿は、政治不信を増大させ、民主主義を根本から脅かすものです。
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小沢氏は追求されて当然であり、自ら疑惑を解明する説明責任があります。
法諺(ほうげん)に「法は、道徳の最低ラインである」とあります。
法律だけですべての物事を解決できるわけではない、社会秩序をもたらすのは法律だけではなく、最終的には人間のモラルや常識や理性なのであるという、戒めです。
「法を作る」尊い使命を有する立法府・国会に属する政治家は、誰よりも何よりも法を遵守すべきであり、ただ遵守するだけでなく法律の趣旨に反するような「脱法行為」も厳に慎まなければなりません。
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検察批判もメディア批判もあっていいでしょう、彼らが無謬であるなど誰も思ってはいません。
ただそれらは、小沢氏のとった脱法行為に対しての何の免罪符にもなりませんでしょう。
<関連テキスト>
2007-01-16 小沢氏、総務省よ、ふざけるな! 3億6千万円の不動産取得が何で人件費なんだ?(怒
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070116
2007-10-09 「経費」から「収益」が発生する見事な小沢一郎氏の詭弁会計術
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20071009
2010-01-17法に裁かれるかどうか以前に、今回の小沢氏の蓄財手法はそもそも批判されて当然
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100117
(木走まさみず)