木走日記

場末の時事評論

自民党が完全に愛想をつかされている理由〜「政治とカネ」問題では自民・民主は目くそ・鼻くそなのだが

自民党よ、聞け、保守産経の嘆きを!〜「野党に転落しても相変わらずの自民党が完全に愛想をつかされている」

 前回のエントリーのコメント欄で教えていただきましたが、思わず苦笑したのがこの記事。

「小沢容疑者」と誤表記=22日付大阪版朝刊に−産経新聞

 産経新聞は、22日付大阪版朝刊の1面に掲載した小沢一郎民主党幹事長関係の記事の中で、1カ所「小沢容疑者」と表記するミスがあったとして、同日付夕刊におわび文を掲載した。
 間違いがあったのは、「小沢氏の立件視野」との記事で、最終段落だけ「小沢容疑者」と表記していた。東京版では「小沢氏」としていた。同紙夕刊は関西地方で配布されている。
 産経新聞の話 元の原稿に誤りがあり、東京では事前に直したが、大阪版では修正情報が伝わらず、誤表記が残ったまま紙面化されてしまった。関係者に深くおわびするとともに、再発防止のため原稿点検のプロセス、記者教育を徹底したい。(2010/01/22-23:58)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010012201083

 23日任意で事情聴取するまさにこのタイミングで、「小沢容疑者」はまずいでしょ、小沢憎しというか保守産経の望みというか願望(苦笑)が思わず入ってしまったのかしらん?

 しかし産経の校正は仕事してんのかな、メディアとしては恥ずかしいお粗末なミスですな。

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 こんなミスを犯す(?)ほど最近の政治状況に対する保守産経の憂いは深いのであります。

 23日付けの産経新聞石橋文登副編集長のコラム記事は読んでいて切なくなるほどです。 

【from Editor】退陣秒読みのはずが…
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100123/stt1001230741001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100123/stt1001230741001-n2.htm

 記事の書き出しは、最近の永田町界隈の政界スズメ達の話題はただひとつ「鳩山由紀夫首相はいつまで持つか」であるとして、このお嘆きコラムは始まるのであります。

 第174通常国会が召集されたが、民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体の土地購入事件が重大局面を迎えていることもあり、東京・永田町に例年のような活気はない。ヒソヒソ声で交わされる話題はただ一つ。「鳩山由紀夫首相はいつまで持つか」である。

 「これまで有力視されたのは5月退陣説」であり理由は「米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設問題で首相が「結論を出す」期限を迎えるから」とし、だが、ここにきて「もっと早まる」との見方が強まっているとし、「検察との全面対決を宣言した小沢氏に首相が「潔白を信じています。どうぞ戦ってください」と同調した」ことがその理由だとします。

 だが、ここにきて「もっと早まる」との見方が強まっている。検察との全面対決を宣言した小沢氏に首相が「潔白を信じています。どうぞ戦ってください」と同調したからだ。首相も実母からの多額献金を偽装した事件の傷が癒えない。小沢氏に司直の手が迫れば、首相は一蓮托生(いちれんたくしょう)となるしかない。つまり東京地検の捜査次第で政権のXデーが決まることになる。

 うむ、で「いずれも首相の無定見、無節操、無責任が招いた事態なので同情の余地はないが、この期に及んでも、各種世論調査内閣支持率が4割を超えている」と鳩山政権の支持率が思ったより下がらないことを嘆かれます。

 それはなぜかといえば、自民党がだらしないからだとお嘆きなのです。

 なぜか。国民の多くは首相が退陣しても民主党政権は続くと考えているからだ。逆にいえば、野党に転落しても相変わらずの自民党が完全に愛想をつかされているということではないか。民主党支持率が漸減しているのに自民党支持率が一向に上がらないことが、その証左だ。

 国民から「野党に転落しても相変わらずの自民党が完全に愛想をつかされている」のだとお怒りです。

 その体たらくの原因はみんなに「いい顔をしたい」からだと喝破します。

 参院選公認問題ではもめてばかり。「政治とカネ」問題の追及も歯切れが悪い。日米同盟、対中外交への危機感もいまひとつ。定住外国人地方参政権付与問題という国家の根幹にかかわる重大問題にも明確な反対姿勢を打ち出せない。理由は簡単だ。みんなに「いい顔をしたい」からだ。誰にも嫌われたくない。誰ともケンカしたくない。だから問題を先送りする。これこそが、自民党が下野した最大の原因ではなかったのか。

 コラムの結びは「喝采(かっさい)と罵倒(ばとう)をともに受ける骨太の主張を打ち出す」ことこそ、「保守政党の矜持(きょうじ)」じゃないのか、と訴えます。

 では、谷垣禎一総裁は何をすべきか。鳩山政権がかつての自民党の轍(てつ)を踏もうとしている今こそ、喝采(かっさい)と罵倒(ばとう)をともに受ける骨太の主張を打ち出すべきだ。それこそが保守政党の矜持(きょうじ)ではないか。

 どうでしょう、本来なら鳩山政権退陣秒読みの事態のはずが保守自民党の体たらくで政権の支持率がちっとも下がらないじゃないか、自民はしっかりせい、とお嘆きなのであります、何とも切なくなるコラムではありませんか。

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●「目くそに戻ったってしれている、今は鼻くそのほうにやらせてみようってこと」が今の民意だと思われ

 しかしなあ、「喝采(かっさい)と罵倒(ばとう)をともに受ける骨太の主張を打ち出すべき」なのは大変けっこうなことでありますが、「定住外国人地方参政権付与問題という国家の根幹にかかわる重大問題にも明確な反対姿勢を打ち出せない」ことが自民党の支持率を回復させていない主因とは、不肖・木走は思えませんのです、申し訳ないですが。

 「自民党が完全に愛想をつかされている」(産経コラム)理由ははっきりしています。

 必要なのは解党的反省とそれにともなう毅然とした統括的行動です。

 まず人心から一新すべきでしょう。

 二階氏のようなカネにまみれた旧来の政治家達には退場してもらうべきです。

 「政治とカネ」の問題で鳩山首相小沢幹事長の疑惑を追及する野党・自民党の中に二階氏など「同じ穴の狢(むじな)」がいまだたくさん生息していることを、多くの国民は感じ取っています。

 また青木氏のような旧体制を象徴するような政治家にも引退してもらうべきです。

 青木氏のような旧体制の権化のようなご老体が堂々と参議院候補として名を連ねていることに、もはや国民は自民党を批判することも放棄したいのではないでしょうか、自民などかってにせい、と。

 自民党は確かに変わったんだという明確なシグナルが国民に届かない限り、自民復活の目は難しいと思われます。

 「骨太の主張を打ち出すべき」なのはその後です。

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 こと「政治とカネ」の問題では、自民と民主、多くの国民にとって50歩100歩、汚く表現すれば目くそ・鼻くそのような「同じ穴の狢(むじな)」に見えていることでしょう。

 だから、目くそ(自民)が鼻くそ(民主)を嗤っている、このイメージを払拭できなければ当面自民党は浮上できないでしょう。

 現在の民意は、目くそに戻ったってしれている、今は鼻くそのほうにやらせてみよう、ってところではないでしょうか。



(木走りまさみず)