木走日記

場末の時事評論

マスメディアも報道し始めた小沢氏脱法行為問題

 前回25日付けエントリーはネットでも反響をいただきました。

[主張]なぜマスメディアは小沢氏の脱法行為を指摘しないのか〜自ら明かした狂気の小沢錬金術
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100125

 コメント欄やブックマークなどでも多くの賛同とまた少なからずの反論や批判もいただきました。

 また、25日の前回のエントリーでは、「なぜマスメディアは小沢氏の脱法行為を指摘しないのか」とメディア関係者にも訴えました。

 そうしたところ複数のメディア関係者から興味深い情報提供を受けました。

 その中に産経新聞が27日朝刊紙面トップ記事でまさにこの問題を取り上げるという話がありました。

 実際27日付け産経新聞紙面トップを飾ったのが以下の記事であります。

「税務上の問題」浮上、相続や納税…相次ぐ疑念 小沢氏の土地購入
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100127/crm1001270109002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100127/crm1001270109002-n2.htm

 記事の構成でポイントは3点。

 第一点がやはり不動産を「■政治団体で購入」した点であります。

 ■政治団体で購入
 「小沢氏個人で土地を持っているのと、陸山会が所有しているのとでは課税上の相違がある。相続税逃れのためにしたんじゃないのか」。26日の参院予算委員会で質問に立った自民党西田昌司氏は声を荒らげて、土地購入の経緯をただした。国税庁次長の答弁によると、資金管理団体が所有する不動産であれば、代表者が代わっても相続税贈与税はかからない。小沢氏が引退後、親族らに代表を譲った場合を想定しての「納税逃れ」ではないかとの指摘だ。

 小沢氏の個人資産への課税の有無も問題視しています。

 西田氏は、小沢氏が土地購入に充てたとする個人資産への課税の有無についても言及。ゼネコンなどからの裏金疑惑を念頭に「贈与なのか、所得なのか」と問いただした。

 第二点は不動産の「■唯一の所有団体」である法人格のない陸山会が、なぜか小沢氏名義の不動産の「固定資産税」を支払っている問題です。

 ■唯一の所有団体
 「固定資産税」をめぐる問題も指摘された。陸山会が6年から14年間に購入した不動産は18件で計10億円。いずれの物件も登記上の名義は小沢氏個人になっているが、陸山会の収支報告書には毎年、固定資産税の支払いが記されている。小沢氏は、陸山会が購入した不動産が問題視された19年の会見で、「陸山会代表としての小沢氏」と「小澤一郎氏個人」で交わした「17年1月7日」付の確認書を公開。あくまで陸山会の所有物件であると主張していることから、固定資産税も政治団体が負担しているとみられるが、その確認書も記者会見の直前に作られた疑惑が深まっている。

 西田氏は産経の取材で「政治資金で買った不動産を自分のものにしようとしていたのであれば、税逃れ以前の問題だ」と指摘しています。

 20年分の政治資金収支報告書によると、不動産を保有している政治団体総務省届け)は陸山会だけで、西田氏は取材に「政治資金で買った不動産を自分のものにしようとしていたのであれば、税逃れ以前の問題だ」と憤った。

 第三点は、「■家族名義の預金」に関する「相続」「贈与」の問題です。

 ■家族名義の預金
 23日の東京地検特捜部の聴取後に小沢氏が行った会見でも「相続」に関する疑念が浮かび上がった。
 小沢氏は会見で、事件の舞台となった東京・世田谷の土地購入の原資について、「9年12月に家族名義の口座から引き出した3億円」「14年4月に家族名義の口座から引き出した6千万円」などと説明。25日の会見では原資が家族名義になっていた理由について「3年に心臓病で入院した。万が一という意識があって家族名義にした」などとした。

 さらに「生前贈与」の可能性もあります。

 これに対し西田氏は「万が一」に備え、自らの資金を家族名義に移したのであれば、「生前贈与にあたる可能性がでてくる」と指摘する。民法上の贈与は、相手側の受諾などが必要となるが、そうした点ははっきりしていない。小沢氏に詳細な説明を求める声はいっそう高まりそうだ。

 この産経一面トップ記事ですが、ここで取り上げている税務上の問題を含む諸疑問に小沢氏は真摯に答える責任があります。

 ・・・

 すべての問題は、私の繰り返しの主張である次の一点につきると私は思っています。

 政治資金すなわち浄財で政治家個人名義の不動産の購入は脱法行為でありそれ自体で批判されてしかるべきことである、という一点です。

 裏献金うんぬんではなく、この点にスポットをあててメディアが初めて全面的に取り上げた点でこの記事は評価したいです。

 この政治資金で個人名義の不動産を購入するという脱法行為は、当然ながら相続税贈与税など税法上の取り扱いをどう処置してきたのか、当事者の対応いかんでは悪質な脱税など違法行為を伴う疑義があることも重大な未解決の点です。

 事実としては、小沢氏個人(実際には家族名義が含まれます)から政治団体に4億のカネを貸しそれを元手に小沢氏自身の名義の不動産を購入、陸山会は4億を浄財すなわち政治資金で小沢氏に完済、小沢氏名義の4億の不動産が結果的に小沢氏の資産として残っているのです。

 小沢氏側から見れば、金銭の負担なくただ4億の不動産を浄財により手に入れたことを意味します。

 前回のエントリーではこの点を私は「狂気の小沢錬金術」と表現したのであります。

 小沢氏側もこの点の悪質性を十分意識しております、「確認書」なる法的には何の意味も有しない書類を登記後2年立ってこの問題がメディアで取り上げられた時、後付けで「作成」しているぐらいです。

 この手法は法の盲点をついたもので、小沢氏個人の資産運用の側面を指摘できうるし、そもそもこの国の法律は政治資金で資産形成することなどに備えていません、そのような法を抜ける行為をしてきた政治家は与野党見渡しても、小沢氏ただ一人なのであります。

 小沢氏以外誰一人として政治資金で個人名義の不動産を購入した政治家はいません。

 小沢氏の政治資金による不動産購入は、この4億の秘書寮の物件の他にもマンション購入など数件有り、総額は10億に及ぶのです。

 政治家のこのようなモラルなき振る舞いを何もとがめずこれを放置すれば法治国家日本の国民の遵法意識に極めて深刻な悪影響を与えかねません。

 今、小沢氏に厳しく問われているのは、まさに、

 「法に明文化されていなければ、どんな悪質な手段をとっても許されるのか」

 という一点であります。

 ゼネコンがらみの裏献金などが立証されなくとも、小沢氏のこの脱法行為は批判されて当然なのだと思います。

 ・・・

 この問題に関してはきりがないのでいったんこのエントリーでうち切ります。



(木走まさみず)