木走日記

場末の時事評論

はたして日の丸は切り刻まれたのか、縫い合わされたのか〜国旗民主党旗変造事件をメディアリテラシーしてみる

kibashiri2009-08-19



●国旗が民主党旗に「変造」される「事件」〜産経コラムから

 19日付け産経新聞名物コラム【産経抄】から。

産経抄】8月19日
2009.8.19 03:02

 「日の丸」が日本の国旗として各国に通告されたのは、明治3(1870)年の太政官(だじょうかん)布告によってだった。きっかけは幕末に薩摩藩主、島津斉彬が藩の船に日の丸を掲げたいと幕府に願い出たことだとされる。開国で増えた外国船と見分けるためだ。
 ▼その「日の丸」ゆかりの鹿児島で、国旗が民主党旗に「変造」される「事件」が起きた。今月8日、民主党衆院選立候補予定者の決起集会の席だった。日の丸2枚を切ってはり合わせ、2つの赤い円を上下に重ねたような同党のマークに仕立て掲げていたという。
 ▼どうやら支援者が持ち込んだらしい。それよりもあきれるのは、小沢一郎代表代行まで出席していたのに、民主党関係者が誰もその異常さに気づかなかったらしいことだ。党のホームページにその写真が載っていながら、党内で問題にされなかったことでもある。
 ▼写真を見ると国旗は2枚とも日の丸の部分の一部がカットされている。明らかに国旗に対する侮辱である。海外の主要国では国旗侮辱に対してはかなりきつい刑が科せられる。だがそんな例を持ち出すまでもなく、やってはならないことと分かりそうなものだ。
 ▼すでに国旗として定着していた日の丸を、君が代とともに法制化したのは自国、他国の国旗に対する敬愛の心を育てるためだった。それに反対してきたのが民主党に何人もの議員を送り込んでいる日教組である。そのことと今回の「事件」は無関係であるまい。
 ▼党首討論会でこれを指摘された鳩山由紀夫代表の答えも変だった。「大変申し訳ない」と謝ったものの、「われわれの神聖なマークなので、きちんと作らなければ」とも述べた。国旗侮辱よりも党旗の作り方の方が問題であるかのように聞こえた。

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090819/trd0908190304000-n1.htm

 鹿児島で、国旗が民主党旗に「変造」される「事件」が起きた

 日の丸2枚を切ってはり合わせ、2つの赤い円を上下に重ねたような同党のマークに仕立て掲げていた

 写真を見ると国旗は2枚とも日の丸の部分の一部がカットされている

 明らかに国旗に対する侮辱である

 ・・・

 その通りであります。

 例の民主党党旗日の丸「切り刻み」愚行問題にふれているのあります。

 鳩山由紀夫代表の答えも変だった。「われわれの神聖なマークなので、きちんと作らなければ」とも述べた。国旗侮辱よりも党旗の作り方の方が問題であるかのように聞こえた。

 ・・・

 これもそのとおり。

 聞く人が聞けば、神聖な民主党マークの材料に「日の丸」なんか使っちゃダメ、みたいに聞こえますよね。

 もう、発言自体完全に「宇宙人」しちゃってますね、狭い地球の国境を離れているんです(たぶん

 選挙戦最中の民主党のこの愚行には呆れはてています、危機管理もなあんもできてないし、保守産経に日教組と今回の「事件」は無関係であるまいと、民主の体質そのものを疑われてしまうのも、しかたないですね。

 ダメダメですね。

 まじめな議論は他のまじめなブログにお任せして、当ブログとしては今日はこの民主党の愚行から各メディアの記事タイトルをリテラシーしてみたいと思います。

 題して「国旗民主党旗変造事件をメディアリテラシーしてみる」であります。

 ・・・



●興味深い主要各紙の見出し

 さて、党首討論における麻生首相鳩山代表のやり取りは次のとおり。

 麻生首相「最後にもう1点、鳩山代表に申し上げておきたいことがあります。去る8月8日、鹿児島県内で開かれた民主党の集会でのことであります。壇上に大きな民主党の党旗が掲げられておりました。あの赤い丸が上下に二つ並んだかたちであります。しかし、これをよく見ますと、それは日本の国旗、日の丸の旗を切り刻んで上下につなぎあわせておられます。私の支援者から報告が寄せられておりましたんで、そんなことはないだろうと一応言いました。これは民主党のホームページにも写真が載っております。確かに載っておりました。私は国家の象徴としての国旗を切り刻む、そのようなことがあったとは正直、信じたくはありません。日本の国旗を切り刻むという行為がどういうことなのか、私にはとても悲しく、これは許し難い行為であるというように思っております。上が日の出、下が水面に写る朝日を象徴しておる。それが確か民主党の党旗だったと記憶しますが、その下の方は真円になりますんで、国旗ですと。それをわざわざしわしわにして並べてかけて。姑息(こそく)だと私は正直思いました。多くの方々から、この投書が寄せられているということだけ申し上げて、時間だと思います。終わらせていただきます」

 (中略)

 鳩山代表「それから民主党のマークは確かに国旗を切り刻んで作れるかもしれませんが、そんなことを、けしからんことをやった人間がいるとすれば、そのことに対して大変申し訳ないという思いをお伝えを申し上げておきたいと思います。それは国旗ではなくて、われわれとしての、ある意味でのわれわれの神聖なマークでありますので、マークをきちんと作られなければいけない話だったと思っております」

党首討論詳報】(8)鹿児島民主、日の丸刻んで党のマーク 首相「許し難い」、鳩山代表「申し訳ない」より
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090817/elc0908171549019-n3.htm

(太字は木走付記)

 さて私が興味深く思ったのは、例の二枚の日の丸を切って張り付けて民主党マークにしちゃった捏造行為を麻生さんが「国旗を切り刻むという行為」と、あえてその侮辱性を強調するためでしょうが「切り刻む」という日本語で表現したことであります、鳩山代表もその言葉を受けてそのまま「民主党のマークは確かに国旗を切り刻んで作れるかもしれません」と受けていますのでそれでいいのでしょうが、ちょっと私的に違和感があるんですよね。

 「刻む」という日本語は、たしかに「時を刻む」というように細かい動作を繰り返し行う意味もありますので、ハサミを何回も刻むように切ったと言う意味で「切り刻む」と表現してもいいのかもしれませんが、一般的には「キャベツを刻む」の表現が千切りを意味するように「切る」という行為に「刻む」を付けると、何回も繰り返し切るイメージのほうが先に連想されるのじゃないでしょうか。

 細かい話ですが、麻生さんの用いた「切り刻む」という表現は、2枚の日の丸を切って張り付けた今回の民主党による党旗「変造」「事件」(産経コラム)を、センセーショナルに伝える効果を狙っていることは間違いないでしょうね。

 で、主要各紙は本件をどのような記事タイトルで扱っているのか、俄然興味が沸いてきました。

 まずは産経新聞

【09衆院選】日の丸裂いて「党旗」に陳謝 鹿児島の民主候補陣営
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090818/elc0908181333044-n1.htm
日章旗切り貼りし民主マーク!鳩山氏「神聖なマーク、きちんとつくるべき」
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090817/elc0908171755028-n1.htm
党首討論詳報】(8)鹿児島民主、日の丸刻んで党のマーク 首相「許し難い」、鳩山代表「申し訳ない」
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090817/elc0908171549019-n1.htm

 「日の丸裂いて」、「日章旗切り貼りし」、「日の丸刻んで」

 裂く、切り貼り、刻む、うむ麻生さんの意をくんで「刻む」感を出していますね。

 次に気になる朝日新聞ですが。

日の丸切って民主党旗、候補者が陳謝
http://www.asahi.com/politics/update/0818/SEB200908180007.html
「国旗切って民主党旗」首相指摘、鳩山氏陳謝 党首討論
http://www.asahi.com/politics/update/0818/TKY200908180103.html?ref=reca

 うむ、「切って」のみですね「刻む」感がなくなっております。

 日経新聞も朝日同様のようです。

日の丸を切って民主党旗 「許し難い行為」と首相が批判
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S17024%2017082009&g=P3&d=20090817

 で、毎日新聞

日の丸党旗:民主新人の後援会が謝罪 党本部は厳重注意
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090818k0000e010062000c.html
民主:日の丸を切り張り 党旗を作製 鹿児島の集会
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090818k0000m040087000c.html

 「切り張り」ですか、「切って」だけより「切った張った」感は出ていますね。

 最後に読売新聞。

国旗縫い民主党マーク、岡田幹事長「あってはならない」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news2/20090818-OYT1T00927.htm
国旗縫い合わせ、民主候補者が出陣式で謝罪
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news2/20090818-OYT1T00632.htm
国旗切り民主党旗、首相「許し難い」…鳩山代表は謝罪
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news1/20090817-OYT1T00738.htm

 「国旗縫い」、「国旗縫い合わせ」、「国旗切り」

 うーむ、ただ切ったんじゃない、縫い合わせたんだよ、って裁縫感覚(苦笑)ただよってますな、読売新聞は。

 ・・・



●はたして日の丸は切り刻まれたのか、縫い合わされたのか

 今回の民主党国旗「切り刻み」(麻生首相)事件でありますが、各紙の表現をまとめると以下。

 「日の丸刻んで」(産経)
 「国旗切って」(朝日・日経)
 「日の丸を切り張り」(毎日)
 「国旗縫い合わせ」(読売)

 「切り刻んだ」と「縫い合わせた」じゃ、同じ行為でも印象がだいぶ違いますね。

 「切り刻んだ」という表現は民主党の蛮行・非礼をよく表現しているのに対し、「縫い合わせた」では、なんか迫力がないばかりか少し女性的な優しさ(苦笑)まで醸し出されるから不思議です。

 考えてみるとこの表現の並び、そのまま日本国首相靖国神社参拝の各紙のスタンスときれいに相関していることが見て取れてそれも興味深いのでありますネ。

 はたして日の丸は切り刻まれたのか、縫い合わされたのか・・・

 うーむ、日本語は難しいですな。



(木走まさみず)