木走日記

場末の時事評論

3ヶ月前のあの「政治とカネに決別する民主党を取り戻したい」(鳩山氏)発言は何だったのでしょうか?〜鳩山氏はどの面下げて「トロイカ」体制復活提案などできるのか

 事態の急展開にブログのほうがついていけません。

 前回のエントリーで私は今回の代表選で民主党は小沢派と反小沢派に分裂必至であると主張しました。

残念ですが、ここまでです〜民意無視の代表選で民主党政権は歴史的に終了
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100829

 「政治とカネ」問題を抱える小沢氏とそれをオミットした政権を維持しようとする菅氏ではまさに水と油、今回の両陣営の主張のぶつかり合いは民主党の分裂にいたるだろう、との読みでした。

 しかし私は民主党をある意味で買いかぶっていたようです。

 政権党にすがりつきたい一心で、どうやら党を割る気概もないようです。

 31日付け時事通信速報記事から。

 菅首相、土壇場でトロイカ重視=小沢氏側と「裏取引」否定−民主代表選

 民主党代表選をめぐり、菅直人首相は30日夜、鳩山由紀夫前首相と会談し、小沢一郎前幹事長との対決回避の道を選んだ。このまま小沢氏との一騎打ちに突入すれば、党分裂を招きかねないと判断したからだ。9月1日の告示を控え、土壇場で菅、鳩山、小沢各氏による「トロイカ」体制を重視する姿勢を示したが、小沢氏の処遇は不透明で、今後の展開はなお流動的な要素もある。
 「トロイカ体制には異存ない。鳩山さんからの提案に同意したところだ」。首相は鳩山氏と公邸での約1時間の会談を終え、こう語った。鳩山氏が車に乗り込んで公邸を出る際、首相は鳩山氏に「本当にありがとうございました」と握手した。
 小沢氏が求める「挙党態勢」に対し、首相は小沢氏の処遇など人事で「手形」を切る姿勢は見せなかった。「裏取引」が明確になれば、「脱小沢」路線を支持してきた世論は離れ、首相の求心力も失われるためだ。
 「具体的な要求が鳩山氏から伝えられたことはない」(首相)、「ポストの取引をするつもりはない」(鳩山氏)。両氏は記者団に、「反小沢」系の仙谷由人官房長官枝野幸男幹事長の更迭人事を含む話はなかったことを強調した。
 しかし、鳩山氏周辺には「『トロイカ体制』というのが重要。それは小沢氏が幹事長ということだ」と指摘する声もあり、あいまいな合意内容に党内の解釈は分かれている。
 小沢氏を支持する議員には「小沢氏は具体的なことを求める人だから、3人で一緒にやろうというだけでは納得しない。ここまできたら代表選で決着すべきだ」と主戦論を唱える人も少なくない。首相側近は「鳩山氏がどこまで小沢氏側と話を付けているか疑問だ」と懐疑的だ。
 「30日昼の小沢、鳩山、輿石(東参院議員会長)会談で首相にぶつける具体案を話し合ったそうだ。首相と小沢氏の会談でまとまるか、決裂か、まだ分からない」と鳩山グループ議員は漏らしている。(2010/08/31-00:25)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&rel=j7&k=2010083000960

 それにしても最悪の談合です。

 鳩山由紀夫前首相の「トロイカ」体制を重視しようという提案に「トロイカ体制には異存ない。鳩山さんからの提案に同意したところだ」と菅首相が同意、31日午後にも首相と小沢、鳩山、輿石の「トロイカ+1」で話し合うようです。

 何でしょう、「『トロイカ体制』というのが重要。それは小沢氏が幹事長ということだ」(鳩山氏周辺)というこの発言は。

 「トロイカ」体制の意味するところがいまひとつ不明瞭ですが、小沢氏を要職で迎える、もしかして鳩山氏も要職で迎えるという意味でしょうか、だとすればこれほどひどい談合はありますまい。

 菅支持者にとっても小沢支持者にとってもこの談合は裏切りそのものではないでしょうか。

 それにしても無責任のそしりをまぬがれないのは鳩山氏であります。

 思い出してみましょう、6月2日、鳩山由紀夫氏は午前の民主党両院議員総会で首相辞任表明いたしました。

 そのとき彼はどう述べたか?

 「政治とカネ(の問題)に決別する民主党を取り戻したい」ために「私自身、職を引かせていただく」と宣い、そして、小沢幹事長にも「職を引いていただきたい」と辞任を求め、小沢幹事長も「わかった」と了承したことを明らかにしたうえで、鳩山氏は「民主党を再生させるためにとことんクリーンな民主党に戻そうではないか」と述べたのです。、

 鳩山氏と小沢氏が共に職を辞することで「新しい民主党、よりクリーンな民主党を作り上げることができる」と訴えたのであります。

 わずか3ヶ月前のことであります。
 
 「トロイカ」体制とか「トロイカ+1」とかが小沢氏や鳩山氏の復権を意味するならば、鳩山氏自ら辞任表明時に宣言した、そしてその後の菅政権による「政治とカネ」に決別した反小沢政権樹立といったここまでの流れと、まったく整合性がないばかりか真逆の方向ではありませんか。

 鳩山氏はどの面下げて「トロイカ」体制復活提案などできるのか、厚顔無恥にもほどがありますが、それにのった菅首相もまったく主義主張の腰折れぶりにはあきれてしまいます。

 菅支持者にとってこれで納得いくのでしょうか。
 
 このような妥協はどう考えても「政治とカネ」に決別したはずの菅首相への国民の信頼を裏切るものといえます。

 最悪の妥協といえましょう。

 どうやら民主党は「とことんクリーンな民主党」に戻ることを放棄したようです。

 ああ、民主党よ。

 どこまで迷走するのか。

 3ヶ月前のあの「政治とカネに決別する民主党を取り戻したい」(鳩山氏)発言は何だったのでしょうか?



(木走まさみず)