木走日記

場末の時事評論

加速する羽田空港一極集中〜「空の2010年問題」を徹底検証する

●空の2010年問題…戦略練り直し求められる地方空港〜産経新聞記事から。

 昨日(12日)の産経新聞の経済記事が興味深かったです。

空の2010年問題…戦略練り直し求められる地方空港 (1/3ページ)
2007.10.11 02:16

 地方路線は冬の時代へ−。9月下旬、全日空が燃料の高騰などを理由に来年4月からの地方7路線の廃止届を国土交通省に提出した。このうち、新潟−福岡線だけは、路線事情などを考慮した国交省が協議の継続を求め、土俵際で何とか残った形。ただ、平成22(2010)年には羽田空港の拡張で一極集中がより強まるとみられ、同路線の廃止撤回への道のりは険しい。(花房壮) 

 「国交省の“指導”で、(路線廃止の)執行猶予をもらったようなもの」(新潟県幹部)

 全日空が新潟−福岡線など採算性の低い地方7路線の廃止届を国交省に提出した9月28日。新潟側にとって、同日付で国交省全日空に出した運航への協議継続を促す文書は、願ってもない“福音”だった。

 9月上旬に全日空から新潟−福岡線廃止の方針を伝えられて以降、県内はハチの巣をつついたような騒動となった。全日空単独運航の九州便(1日2往復)の廃止に対し、九州に取引先を持つ企業はもとより、低迷する県内のスキーレジャー産業の再興策として、九州方面からの修学旅行の誘致活動を強化している観光業界からも、今後への影響を懸念する声がわき起こり、全県挙げての廃止撤回運動につながった。

 まず、泉田裕彦新潟県知事らが全日空本社に直接陳情を行ったほか、廃止届前日の27日には県市長会や県町村会など18もの団体が全日空新潟支店に“押しかける”熱の入れようとなった。そして、翌日に国交省が指導文書を出すことになるが、県関係者は「波状攻撃の効果があった」と胸をなで下ろした。

http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071011/its0710111027000-n1.htm

 ただ、“執行猶予”を勝ち取ったとはいえ、路線廃止方針を覆すのは容易ではなさそうだ。

 国交省の“指導”を受けた全日空側は、長期的な燃料高騰と他社の国内路線参入による競争激化などを理由に「引き続き路線廃止の理解を求めていきたい」(広報担当者)と、あくまでも従来の方針を貫く構えだ。

 廃止撤回に向けて“同盟”を組む福岡側との温度差も気がかりな点だ。新潟空港利用者のうち、新潟−福岡線の利用者は約13%に及ぶが、福岡空港側にとってはわずか0・8%にすぎない。福岡側は「日本海側の拠点都市として今後の交流は必要」(空港整備課)と温かいエールを送るが、「新潟のように(全日空の)支店にまで関係団体が要望に押しかける事態にはならなかった」(同課)と新潟側との違いをさりげなく示唆した。

 こうした事情に加えて無視できないのが、日本の空を取り巻く環境の変化だ。羽田空港は4本目の滑走路を新設し、平成22年からの供用開始を目指している。そこで生じるのが航空各社による航空機材の羽田シフトだ。「国内線への新規参入が相次ぐ中、航空会社は収益率の高い羽田に航空機材を集めるため、赤字路線の地方からの撤退を加速させている」と空港関係者は指摘する。地方間路線の衰退に直結しかねない空の“2010年問題”の影響について、全日空側は「新潟−福岡線廃止の直接の理由ではない」と否定するが、この全日空の言い分をいぶかる地元関係者は少なくない。

http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071011/its0710111027000-n2.htm

 全日空に限らず、企業の動きはときに“冷酷”と映ることがある。自社の経営基盤を揺るがす事態になれば、自治体側が「公共路線としての役割もある」(新潟県)などと“正論”を吐いても、なかなか耳を貸そうとはしない。

 その一方で、今月4日の県議会常任委員会でベテラン県議が「いろんな人脈を使って、絶対に路線を守ってほしい」と珍しく語気を強めて県幹部を激励するなど、路線廃止への危機感はかつてないほど高まっている。ただ、ビジネス客を呼び込むイベントキャンペーンをのんびり開催している時間的余裕はない。

 土俵際に追い込まれた新潟空港の基幹路線。政令市同盟の福岡側の援護射撃を受けながら、全日空側の“固い意志”をどう打ち砕くか。本州日本海側初の政令市を抱える新潟県の真価が今まさに問われている。

               ◇

全日空が来年4月から廃止予定の7路線】

 路  線   18年度  搭乗率 前年度比  

        利用者            

福 岡−新 潟 133110人 55.3%   3.9%  

福 岡−仙 台 112194人 59.2%   4.7%  

福 岡−富 山  52591人 43.7% ▲ 0.3%  

札 幌−庄 内  17554人 28.9% ▲12.0%  

札 幌−鹿児島  23426人 61.1%   3.4%  

札 幌−松 山  48254人 66.0%   2.2%  

札 幌−高 松  27944人 54.4%   4.8%  

※▲は前年度比マイナス。
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/071011/its0710111027000-n3.htm

 「空の2010年問題」とは興味深いです。

 まとめますと、「9月下旬、全日空が燃料の高騰などを理由に来年4月からの地方7路線の廃止届を国土交通省に提出」、「このうち、新潟−福岡線だけは、路線事情などを考慮した国交省が協議の継続を求め、土俵際で何とか残った形」で新潟県における「全県挙げての廃止撤回運動」で“執行猶予”を勝ち取ったそうであります。

 しかしながら、この背景には「空の2010年問題」、つまり「羽田空港は4本目の滑走路を新設し、平成22年からの供用開始を目指している。そこで生じるのが航空各社による航空機材の羽田シフト」であり、「国内線への新規参入が相次ぐ中、航空会社は収益率の高い羽田に航空機材を集めるため、赤字路線の地方からの撤退を加速させている」と空港関係者は指摘しているわけです。

 空の上でも東京一極集中が加速化しつつあるということでしょうか。

 今回はこの興味深い「空の2010年問題」について徹底検証してみたいと思います。



●欧米に比し、2.75倍もの旅客を大型機に詰め込んでいる羽田国内線〜興味深いJALレポート

 ここに日本航空上席執行役員(戦略リサーチ部担当)の金成秀幸氏の『羽田再拡張機能の国際化、ならびに発着枠と航空機小型化の関係について(2004年7月)』と題するレポートが日本航空公式サイトに公開されています。

『羽田再拡張機能の国際化、ならびに発着枠と航空機小型化の関係について(2004年7月)』
日本航空上席執行役員  金成秀幸
(戦略リサーチ部担当、総合経営企画室副室長、政策業務室副室長)

http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key10/
http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key10/index2.html
http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key10/index3.html
http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key10/index4.html

1.はじめに

 2004年5月25日、国土交通省と千葉県との間で羽田再拡張事業の懸案事項となっていた飛行ルートに関する合意が成立し、4本目の新滑走路建設は2009年の供用開始に向け大きく前進した。

 首都圏への一極集中という日本の経済構造の中で、首都圏における国内線の基幹空港である羽田も国際線の基幹空港である成田も、その旺盛な航空需要にほぼ恒常的に対応しきれずに今日に至っている。とりわけ羽田空港の容量不足は、首都圏のみならず地方の社会・経済生活活性化のボトルネックとなっており、この解消は喫緊の国家的課題との国民的コンセンサスが成立していた。一方、羽田再拡張事業は2002年6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」の中で、羽田空港の定期国際化がその前提とされた。

 羽田空港の発着回数を現行の28.5万回から40.7万回に増やす再拡張事業は、・・・

(後略)

 なるほど、「羽田空港の容量不足は、首都圏のみならず地方の社会・経済生活活性化のボトルネックとなって」いたので、「この解消は喫緊の国家的課題との国民的コンセンサスが成立していた」としています。

 滑走路が一本増えることにより、羽田空港の発着回数を現行の28.5万回から40.7万回にに一挙に42.8%増量することで羽田空港の容量不足を解消しようとするものであります。

 このレポートの3ページ目には、現状の羽田空港の容量がいかにパンク状態であるか、今後の利用者数予測とともに数字が示されています。

3.国内線旅客数の伸び率と便当たり平均座席数・座席利用率、使用発着枠数の相関関係推移

 国内線旅客の6割が利用している羽田国内線の発着枠が足りないことによる利用者にとってのマイナスは、便数頻度不足という現象となって顕在化している。国内線1便当たりの平均座席数を国際比較してみると羽田は330席、欧米は120席前後となっている(資料(2):国内線1便当たり平均座席数の国際比較〈空港別〉)。もし、羽田国内線で欧米並みの便数頻度サービスを提供するには、航空機サイズを欧米並みに小型化して増便しなければならず、そのために必要な羽田発着枠数を単純に計算すると現在の28.5万回の3倍である80万回程度となる。

 羽田再拡張によって発着枠が新規に12万回増えると、羽田国内線の小型化はどの期間、どのように進むのであろうか。かかる問いに対する1つのヒントを得るために、羽田国際線の発着回数を年間3万回程度とする既出国土交通省の羽田国際化に関する考え方などの前提を置いて作成したグラフが資料(3)「羽田空港における発着枠需給関係推移予測A(羽田国内線年平均旅客伸び率2.05%)」である。結論を先に言えば、2001年度以降の羽田国内線旅客数の年平均伸び率を国土交通省の資料数値をベースに算出した2.05%と想定すると、4本目の滑走路供用開始直後から2014年度末までは現在の平均座席数330席から300席まで小型化する余地が生ずるが、2015年ごろ以降からその後の需要増に対応するための大型化が再び始まり、2020年ごろからは平均座席330席でも、年間を通じて席予約が困難となる平均座席利用率70%を超えるのではないか、というものである。

 この旅客伸び率が何らかの事由で1%まで低下したと想定しても、資料(4)「羽田空港における発着枠需給関係推移予測B(羽田国内線年平均旅客伸び率1%)」に見るごとく、平均座席数270席までへの小型化の余地が2019年度まで発生するが、その後は大型化が再び始まり、2032年度には現在と同じ平均座席数330席で平均座席利用率65%の需給状況となり、2040年度には平均座席利用率が70%に到達する。

●資料(3)「羽田空港における発着枠需給関係推移予測A(羽田国内線年平均旅客伸び率2.05%)」の作成前提

1. 羽田新規発着枠配分は、国土交通省の考えに基づき、国際線「3万回程度」、国内線上限を37万回とした。
2. 羽田再拡張後の新規枠は管制・空港処理能力の段階的拡張に合わせ、2009、2010、2011各年度の夏期繁忙期前の6月ごろに開放されると想定した。
3. 国際線配分枠は開放と同時に満杯になるものと想定した。
4. 既述第3回羽田空港再拡張事業に関する協議会(2003年6月12日開催)の国土交通省資料では、羽田空港利用の国内線旅客数は2001年度実績で5855万人、2012年度予測値は7320万人としている。この数値を用いて2001年度から2012年度までの年平均旅客伸び率を計算すると2.05%となるため、当予測Aの羽田国内線旅客年平均伸び率を2.05%と想定した。
なお、定期航空協会が2000年10月に羽田再拡張を提案した時に用いた羽田国内線旅客想定年平均伸び率は1.9%である。また、国土交通省の資料によると、羽田国内線旅客数の対前年度伸び率実績は、2000年度が+2.8%、2001年度が+5.1%、2002年度が+5.6%であった。
5. 航空機の1便当たり平均座席数は、2002年の羽田発着国内線の平均座席数330席と、それが約1割小型化された場合の300席という2通りのケースを想定した。
6. 年平均座席利用率は2002年の羽田発着国内線実績である65%と、1970年代と80年代に経験した年間を通じて座席予約が困難となる70%の2通りのケースを想定した。

  従って、上記5、6を掛け合わせた4通りのケースについての各年度必要国内線発着枠数が算定されるグラフとなる。

(後略)

 「国内線旅客の6割が利用している羽田国内線」は、「発着枠が足りないことによる利用者にとってのマイナス」が「国内線1便当たりの平均座席数を国際比較してみると羽田は330席、欧米は120席前後となっている」と、欧米に比し、2.75倍もの旅客を大型機に詰め込んでいる形ですでに「顕在化」しているといいます。
 
 さらにレポートは、「既述第3回羽田空港再拡張事業に関する協議会(2003年6月12日開催)の国土交通省資料では、羽田空港利用の国内線旅客数は2001年度実績で5855万人、2012年度予測値は7320万人」と、羽田空港の利用者数が今後も伸び続けることを予測しています。

 ・・・



●全利用者に占める羽田空港利用者の割合は62.81%

 日本の国内線における空港別路線別実績について数字を抑えておきましょう。

 株式会社日本空港コンサルタンツの公式サイトには貴重な統計資料が公開されています。

株式会社 日本空港コンサルタンツ
JACデータサービス
平成17年度空港別路線別実績
空港別諸元利用実績

http://www.jacinc.jp/jac-home/data_frame.html

 この『平成17年度空港別路線別実績』と『空港別諸元利用実績』から、現状日本の空港別路線別実績とその中における羽田空港の占める割合を検証していきましょう。

 まず、『平成17年度空港別路線別実績』から、日本の90の空港を利用者数の多い順に表にまとめてみました。

【表1:空港別利用者数一覧(平成17年)】

順位 空港名(都道府県) 利用者数
001 羽  田(東京) 59,465,912
002 大  阪(大阪) 17,749,641
003 千  歳(北海道) 16,366,689
004 福  岡(福岡) 15,641,847
005 那  覇(沖縄) 12,961,170
006 中  部(愛知) 6,823,329
007 鹿 児 島(鹿児島) 5,451,762
008 関  西(大阪) 4,908,128
009 熊  本(熊本) 2,989,242
010 宮  崎(宮崎) 2,952,830
011 仙  台(宮城) 2,880,374
012 広  島(広島) 2,858,054
013 松  山(愛媛) 2,558,429
014 長  崎(長崎) 2,422,100
015 小  松(石川) 2,308,884
016 函  館(北海道) 1,890,529
017 石  垣(沖縄) 1,823,819
018 大  分(大分) 1,759,608
019 高  知(高知) 1,475,023
020 高  松(香川) 1,377,018
021 岡  山(岡山) 1,344,251
022 秋  田(秋田) 1,233,132
023 富  山(富山) 1,202,002
024 青  森(青森) 1,163,613
025 宮 古 島(沖縄) 1,082,282
026 旭  川(北海道) 1,079,143
027 成  田(千葉) 1,044,264
028 新  潟(新潟) 983,899
029 女 満 別(北海道) 976,059
030 徳  島(徳島) 909,962
031 山口宇部(山口) 889,608
032 釧  路(北海道) 860,868
033 出  雲(島根) 689,423
034 奄  美(鹿児島) 588,676
035 帯  広(北海道) 586,443
036 花  巻(岩手) 466,951
037 福  島(福島) 460,113
038 美  保(鳥取 427,705
039 庄  内(山形) 400,961
040 丘  珠(北海道) 373,191
041 北 九 州(福岡) 355,465
042 神  戸(兵庫) 345,582
043 鳥  取(鳥取 324,038
044 三  沢(青森) 318,441
045 対  馬(長崎) 311,548
046 名 古 屋(愛知) 296,223
047 佐  賀(佐賀) 260,834
048 久 米 島(沖縄) 254,299
049 八 丈 島(東京) 230,600
050 稚  内(北海道) 228,569
051 中 標 津(北海道) 216,952
052 山  形(山形) 198,138
053 屋 久 島(鹿児島) 173,901
054 福  江(長崎) 162,550
055 徳 之 島(鹿児島) 160,329
056 能  登(石川) 155,131
057 大  館(秋田) 152,916
058 南紀白浜(和歌山) 131,879
059 松  本(長野) 119,696
060 種 子 島(鹿児島) 116,104
061 沖永良部(鹿児島) 88,296
062 大  島(東京) 85,129
063 喜 界 島(鹿児島) 82,121
064 石  見(島根) 78,447
065 与 那 国(沖縄) 76,447
066 天  草(熊本) 71,369
067 与  論(鹿児島) 66,997
068 広 島 西(広島) 66,023
069 紋  別(北海道) 53,411
070 調  布(東京) 45,102
071 隠  岐(島根) 44,813
072 多 良 間(沖縄) 35,322
073 南大東島(沖縄) 35,029
074 利  尻(北海道) 31,461
075 壱  岐(長崎) 28,893
076 但  馬(兵庫) 26,793
077 新  島(東京) 22,671
078 北大東島(沖縄) 19,851
079 神 津 島(東京) 13,657
080 粟  国(沖縄) 13,117
081 奥  尻(北海道) 11,678
082 佐  渡(新潟) 9,917
083 三 宅 島(東京) 5,922
084 御 蔵 島(東京) 5,344
085 青 ヶ 島(東京) 4,895
086 上 五 島(長崎) 4,671
087 波 照 間(沖縄) 3,627
088 小 値 賀(長崎) 3,092
089 利  島(東京) 3,032
090 慶 良 間(沖縄) 2,272
--- 総計 189,352,719

 平成17年度において、国内線利用客総数は一億8900万人、内羽田空港利用者は5947万人となっております。

 全利用者に占める羽田空港利用者の割合を計算してみましょう。

 それぞれの利用者数は、例えば「羽田ー千歳」線の利用者は羽田と千歳で2重にカウントされていますから、全利用者に占める羽田空港利用者の割合は次の式より求まります。

全利用者に占める羽田空港利用者の割合 = 羽田空港利用者 * 2
                     / 全利用者数 * 100%

 よって、

 全利用者に占める羽田空港利用者の割合=59,465,912 * 2
                     / 189,352,719 * 100%
                   =62.81%

 JALのレポートにある「国内線旅客の6割が利用している羽田国内線」が直近の数字により裏付けられたことになります。



●上位10位までで実に1位から9位までが羽田発着線が独占

 次に路線別で利用者数を見てみましょう、『平成17年度空港別路線別実績』から、日本の310余りの路線を利用者数の多い順にすべて表にまとめてみました。

【表2:路線別利用者数一覧(平成17年)】

順位 路線名 利用者数
001 羽田−千歳 9,116,627
002 羽田−福岡 8,093,383
003 羽田−大阪 6,473,480
004 羽田−那覇 4,939,689
005 羽田−広島 2,340,001
006 羽田−鹿児島 2,271,714
007 羽田−小松 1,880,542
008 羽田−関西 1,844,371
009 羽田−熊本 1,843,513
010 福岡−中部 1,506,460
011 羽田−長崎 1,451,872
012 大阪−千歳 1,447,962
013 羽田−松山 1,419,322
014 羽田−宮崎 1,393,279
015 福岡−那覇 1,383,526
016 千歳−中部 1,351,478
017 羽田−函館 1,289,554
018 羽田−高松 1,241,712
019 大阪−那覇 1,219,368
020 羽田−大分 1,214,477
021 那覇−石垣 1,161,499
022 大阪−仙台 1,079,978
023 羽田−岡山 1,071,092
024 大阪−福岡 1,067,825
025 大阪−鹿児島 1,060,180
026 羽田−富山 1,044,315
027 那覇−中部 978,743
028 羽田−秋田 889,568
029 羽田−山口宇部 889,284
030 羽田−旭川 888,488
031 羽田−高知 851,997
032 羽田−徳島 831,477
033 千歳−関西 829,308
034 那覇宮古島 748,068
035 大阪−熊本 736,853
036 千歳−仙台 714,162
037 羽田−青森 707,840
038 関西−那覇 695,060
039 大阪−松山 643,071
040 大阪−宮崎 630,971
041 千歳−福岡 621,340
042 羽田−釧路 577,102
043 羽田−帯広 520,026
044 大阪−長崎 506,477
045 福岡−宮崎 505,397
046 羽田−女満別 505,234
047 中部−鹿児島 501,474
048 羽田−出雲 496,187
049 大阪−高知 457,971
050 大阪−新潟 449,618
051 福岡−関西 441,835
052 羽田−美保 376,808
053 中部−仙台 371,050
054 羽田−庄内 364,255
055 大阪−大分 364,829
056 羽田−北九州 347,638
057 福岡−仙台 315,043
058 羽田−鳥取 307,460
059 鹿児島−奄美 305,346
060 大阪−成田 305,100
061 福岡−鹿児島 283,597
062 中部−熊本 262,183
063 千歳−成田 239,076
064 那覇久米島 233,869
065 福岡−対馬 232,200
066 中部−宮崎 230,153
067 千歳−広島 229,503
068 関西−函館 221,886
069 羽田−三沢 213,620
070 羽田−八丈島 213,050
071 千歳−女満別 211,125
072 福岡−成田 210,615
073 中部−長崎 195,113
074 羽田−佐賀 193,735
075 中部−成田 192,765
076 那覇−鹿児島 191,577
077 大阪−花巻 190,104
078 千歳−新潟 178,604
079 鹿児島−屋久 173,901
080 羽田−神戸 170,290
081 大阪−青森 163,679
082 那覇−広島 162,653
083 福岡−小松 162,482
084 羽田−能登 155,131
085 千歳−那覇 151,713
086 那覇−仙台 147,816
087 中部−函館 146,416
088 函館−丘珠 145,384
089 大阪−出雲 137,432
090 関西−女満別 137,224
091 中部−花巻 136,590
092 鹿児島−徳之島 136,403
093 羽田−稚内 133,475
094 羽田−南紀白浜 131,879
095 大阪−福島 131,814
096 中部−青森 130,914
097 羽田−石垣 128,535
098 福岡−松山 128,314
099 福岡−新潟 128,086
100 中部−大分 127,863
101 石垣−宮古島 127,194
102 関西−石垣 125,134
103 鹿児島−種子島 101,405
104 千歳−福島 124,640
105 福岡−福江 115,793
106 千歳−青森 115,725
107 羽田−大館 110,685
108 羽田−宮古島 109,659
109 千歳−花巻 108,695
110 千歳−小松 107,488
111 千歳−秋田 106,953
112 千歳−富山 102,959
113 羽田−中標津 102,827
114 中部−新潟 105,659
115 那覇−熊本 101,106
116 関西−鹿児島 99,634
117 関西−松山 99,433
118 仙台−広島 99,248
119 大阪−山形 98,295
120 中部−松山 95,752
121 大阪−奄美 94,677
122 那覇−岡山 93,097
123 那覇−小松 92,400
124 釧路−丘珠 91,045
125 那覇−高松 86,885
126 羽田−奄美 85,179
127 関西−宮崎 83,738
128 関西−旭川 80,568
129 長崎−対馬 79,348
130 那覇−神戸 79,070
131 大阪−石垣 73,566
132 那覇−福島 73,116
133 中部−旭川 73,032
134 丘珠−中標津 72,183
135 大阪−秋田 71,170
136 中部−女満別 70,668
137 石垣−与那国 67,965
138 中部−石垣 67,736
139 中部−釧路 67,668
140 鹿児島−沖永良部 67,190
141 大阪−佐賀 67,099
142 福岡−石垣 66,775
143 那覇−宮崎 66,403
144 福岡−高知 65,039
145 大阪−三沢 63,717
146 千歳−釧路 61,524
147 羽田−大島 60,090
148 高知−名古屋 60,055
149 関西−福島 59,999
150 中部−秋田 59,466
151 千歳−松本 59,369
152 福岡−天草 58,791
153 関西−宮古島 57,625
154 秋田−名古屋 56,105
155 那覇−長崎 55,917
156 新潟−名古屋 54,740
157 羽田−石見 53,575
158 那覇−大分 52,439
159 羽田−山形 51,176
160 中部−美保 50,897
161 仙台−成田 50,725
162 那覇−新潟 50,710
163 羽田−紋別 50,269
164 松山−名古屋 49,802
165 福岡−富山 48,885
166 鹿児島−広島西 48,851
167 関西−秋田 48,296
168 千歳−神戸 45,937
169 奄美−喜界島 45,712
170 那覇−松山 45,412
171 千歳−松山 45,405
172 仙台−小松 44,824
173 長崎−福江 44,119
174 大阪−大館 42,231
175 千歳−中標津 41,942
176 千歳−三沢 41,104
177 女満別−丘珠 38,601
178 福岡−福島 38,456
179 中部−徳島 37,896
180 福岡−青森 37,821
181 鹿児島−喜界島 36,409
182 千歳−稚内 35,700
183 福岡−松本 35,265
184 福岡−出雲 34,946
185 那覇−与論 34,403
186 鹿児島−長崎 34,158
187 福岡−徳島 33,673
188 宮古島−多良間 33,534
189 鹿児島−岡山 31,843
190 中部−福島 31,796
191 千歳−利尻 31,461
192 大阪−隠岐 30,271
193 関西−帯広 29,010
194 長崎−壱岐 28,893
195 鹿児島−与論 26,924
196 大阪−但馬 26,793
197 帯広−名古屋 26,604
198 那覇−高知 25,980
199 福岡−花巻 25,979
200 鹿児島−神戸 25,584
201 千歳−高松 25,480
202 千歳−山形 25,223
203 那覇南大東島 25,211
204 大阪−松本 25,062
205 大阪−石見 24,872
206 関西−釧路 24,791
207 広島−成田 24,685
208 仙台−函館 24,362
209 奄美−徳之島 23,926
210 名古屋−山形 23,444
211 丘珠−稚内 23,233
212 調布−新島 22,671
213 小松−成田 21,148
214 千歳−鹿児島 21,097
215 関西−稚内 20,645
216 羽田−久米島 20,430
217 千歳−庄内 19,605
218 鹿児島−松山 19,086
219 那覇奄美 18,400
220 宮崎−広島西 17,172
221 大阪−庄内 17,101
222 中部−鳥取 16,041
223 大阪−釧路 15,836
224 中部−稚内 15,516
225 奄美−沖永良部 15,436
226 函館−旭川 14,795
227 鹿児島−高松 14,680
228 熊本−名古屋 14,646
229 出雲−隠岐 14,542
230 宮崎−高知 13,981
231 大阪−種子島 13,802
232 調布−神津島 13,657
233 仙台−神戸 13,495
234 函館−釧路 13,193
235 那覇−粟国 13,117
236 熊本−天草 12,578
237 熊本−松山 12,398
238 大阪−旭川 12,235
239 仙台−岡山 11,856
240 函館−奥尻 11,678
241 函館−女満別 11,624
242 宮崎−長崎 11,416
243 大島−八丈島 10,093
244 那覇北大東島 10,033
245 新潟−佐渡 9,917
246 南大東島北大東島 9,818
247 旭川−釧路 9,226
248 調布−大島 8,774
249 那覇−与那国 8,482
250 函館−帯広 8,328
251 仙台−高松 7,339
252 千歳−徳島 6,916
253 長崎−名古屋 6,712
254 新潟−神戸 6,493
255 関西−青森 6,457
256 大阪−宮古島 6,202
257 沖永良部−与論 5,670
258 那覇−富山 5,429
259 千歳−出雲 5,320
260 八丈島青ヶ島 4,895
261 熊本−神戸 4,713
262 長崎−上五島 4,671
263 北九州−名古屋 4,115
264 那覇−北九州 3,712
265 石垣−波照間 3,627
266 那覇−花巻 3,370
267 大島−三宅島 3,140
268 長崎−小値賀 3,092
269 大島−利島 3,032
270 千歳−函館 2,814
271 三宅島−御蔵島 2,782
272 丘珠−紋別 2,745
273 関西−福江 2,638
274 八丈島御蔵島 2,562
275 千歳−帯広 2,475
276 那覇−慶良間 2,272
277 石垣−多良間 1,788
278 千歳−熊本 726
279 広島−秋田 580
280 高松−秋田 580
281 広島−女満別 578
282 女満別−花巻 554
283 那覇−函館 495
284 鹿児島−出雲 419
285 秋田−富山 414
286 広島−青森 403
287 広島−花巻 403
288 千歳−紋別 397
289 熊本−花巻 382
290 高松−旭川 342
291 仙台−種子島 322
292 福岡−釧路 321
293 千歳−宮崎 320
294 長崎−旭川 312
295 福島−種子島 292
296 出雲−花巻 289
297 青森−出雲 288
298 青森−鳥取 269
299 花巻−鳥取 268
300 松山−青森 217
301 松山−花巻 217
302 女満別−山口宇部 162
303 山口宇部−釧路 162
304 関西−仙台 154
305 千歳−種子島 153
306 関西−成田 150
307 鹿児島−旭川 145
308 鹿児島−女満別 145
309 熊本−女満別 144
310 那覇種子島 130
311 関西−花巻 100
312 関西−新潟 72
313 関西−利尻 --

 上位10位までで実に1位から9位までが羽田発着線が独占しています、いかに羽田に利用客が集中しているかが具体的に理解できます。



●この10年で全利用者に占める羽田空港利用者の割合は、54.82%から、62.81%へと8ポイント増

 過去10年に羽田を含め各空港の利用者数はどのように推移したのでしょうか。

 『平成17年度空港別路線別実績』と『空港別諸元利用実績』から、平成8年度と平成17年度の過去10年の空港別利用者数の比較をしてみました。

【表3:過去10年の空港別利用者数一覧(平成8年、平成17年)(単位:千人)】

順位 空港名(都道府県) 利用者数(17) 利用者数(08) 増減
001 羽  田(東京) 59,466 45,083 +14,383
002 大  阪(大阪) 17,750 12,822 +4,928
003 千  歳(北海道) 16,367 15,633 +904
004 福  岡(福岡) 15,642 13,850 +1,792
005 那  覇(沖縄) 12,961 8,702 +4,259
006 中  部(愛知) 6,823 ----- +6,823
007 鹿 児 島(鹿児島) 5,452 5,804 -352
008 関  西(大阪) 4,908 8,032 -3,129
009 熊  本(熊本) 2,989 2,628 +361
010 宮  崎(宮崎) 2,953 3,403 -450
011 仙  台(宮城) 2,880 2,598 +282
012 広  島(広島) 2,858 2,441 +417
013 松  山(愛媛) 2,558 2,678 -120
014 長  崎(長崎) 2,422 3,086 -664
015 小  松(石川) 2,309 2,237 +72
016 函  館(北海道) 1,891 2,233 -342
017 石  垣(沖縄) 1,824 1,168 +656
018 大  分(大分) 1,760 1,997 -237
019 高  知(高知) 1,475 1,879 -404
020 高  松(香川) 1,377 1,452 -75
021 岡  山(岡山) 1,344 605 +739
022 秋  田(秋田) 1,233 1,433 -200
023 富  山(富山) 1,202 1,100 +102
024 青  森(青森) 1,164 1,264 -100
025 宮 古 島(沖縄) 1,082 911 +171
026 旭  川(北海道) 1,079 995 +84
027 成  田(千葉) 1,044 781 +49
028 新  潟(新潟) 984 885 +99
029 女 満 別(北海道) 976 922 +54
030 徳  島(徳島) 910 1,111 -201
031 山口宇部(山口) 890 649 +241
032 釧  路(北海道) 861 941 +80
033 出  雲(島根) 689 655 +34
034 奄  美(鹿児島) 589 662 -73
035 帯  広(北海道) 586 635 -49
036 花  巻(岩手) 467 526 -59
037 福  島(福島) 460 603 -143
038 美  保(鳥取 428 450 -22
039 庄  内(山形) 401 373 +28
040 丘  珠(北海道) 373 378 -5
041 北 九 州(福岡) 355 132 +223
042 神  戸(兵庫) 346 ----- +346
043 鳥  取(鳥取 324 290 +34
044 三  沢(青森) 318 570 -252
045 対  馬(長崎) 312 396 -84
046 名 古 屋(愛知) 296 5,804 -5,508
047 佐  賀(佐賀) 261 ----- +261
048 久 米 島(沖縄) 254 262 -8
049 八 丈 島(東京) 231 285 -54
050 稚  内(北海道) 229 217 +8
051 中 標 津(北海道) 217 191 +26
052 山  形(山形) 198 651 -453
053 屋 久 島(鹿児島) 174 118 +56
054 福  江(長崎) 163 238 -75
055 徳 之 島(鹿児島) 160 166 -6
056 能  登(石川) 155 ----- +155
057 大  館(秋田) 153 ----- +153
058 南紀白浜(和歌山) 132 129 +3
059 松  本(長野) 120 263 -143
060 種 子 島(鹿児島) 116 153 -37
061 沖永良部(鹿児島) 88 92 -4
062 大  島(東京) 85 107 -22
063 喜 界 島(鹿児島) 82 78 +4
064 石  見(島根) 78 132 -54
065 与 那 国(沖縄) 76 65 +11
066 天  草(熊本) 71 ----- +71
067 与  論(鹿児島) 67 74 -7
068 広 島 西(広島) 66 ----- +66
069 紋  別(北海道) 53 36 +17
070 調  布(東京) 45 ----- +45
071 隠  岐(島根) 45 70 -25
072 多 良 間(沖縄) 35 ----- +35
073 南大東島(沖縄) 35 ----- +35
074 利  尻(北海道) 31 ----- +31
075 壱  岐(長崎) 29 68 -39
076 但  馬(兵庫) 27 20 +7
077 新  島(東京) 23 ----- +23
078 北大東島(沖縄) 20 ----- +20
079 神 津 島(東京) 14 ----- +14
080 粟  国(沖縄) 13 ----- +13
081 奥  尻(北海道) 12 ----- +12
082 佐  渡(新潟) 10 ----- +10
083 三 宅 島(東京) 6 52 -46
084 御 蔵 島(東京) 5 ----- +5
085 青 ヶ 島(東京) 5 ----- +5
086 上 五 島(長崎) 5 ----- +5
087 波 照 間(沖縄) 4 ----- +4
088 小 値 賀(長崎) 3 ----- +3
089 利  島(東京) 3 ----- +3
090 慶 良 間(沖縄) 2 ----- +2
** 総計 189,352 164,474

 興味深い結果が出ています。

 過去10年で日本の国内線利用者総数は、1億6447万人から1億8935万人へと、15.1%増加している中で、羽田利用者数は、4508万人から5947万人へと、1438万人、実に31.9%増加していることになります。

 ちなみに、
 平成8年度の全利用者に占める羽田空港利用者の割合=45,083 * 2
                     / 164,474 * 100%
                   =54.82%

 この10年で全利用者に占める羽田空港利用者の割合は、54.82%から、62.81%へと8ポイントも増えていて羽田一極集中が進行していることが理解できます。

 さらにくわしく動向を検証しておきましょう。

 この10年における空港別利用者数増減数の上位10と下位10をまとめてみました。

【表4:空港別利用者数増ベスト10(平成8年、平成17年)(単位:千人)】

順位 空港名(都道府県) 利用者数(17) 利用者数(08) 増減
001 羽  田(東京) 59,466 45,083 +14,383
006 中  部(愛知) 6,823 ----- +6,823
002 大  阪(大阪) 17,750 12,822 +4,928
005 那  覇(沖縄) 12,961 8,702 +4,259
004 福  岡(福岡) 15,642 13,850 +1,792
003 千  歳(北海道) 16,367 15,633 +904
021 岡  山(岡山) 1,344 605 +739
017 石  垣(沖縄) 1,824 1,168 +656
012 広  島(広島) 2,858 2,441 +417
009 熊  本(熊本) 2,989 2,628 +361

【表5:空港別利用者数減ワースト10(平成8年、平成17年)(単位:千人)】

順位 空港名(都道府県) 利用者数(17) 利用者数(08) 増減
046 名 古 屋(愛知) 296 5,804 -5,508
008 関  西(大阪) 4,908 8,032 -3,129
014 長  崎(長崎) 2,422 3,086 -664
052 山  形(山形) 198 651 -453
010 宮  崎(宮崎) 2,953 3,403 -450
019 高  知(高知) 1,475 1,879 -404
007 鹿 児 島(鹿児島) 5,452 5,804 -352
016 函  館(北海道) 1,891 2,233 -342
044 三  沢(青森) 318 570 -252
018 大  分(大分) 1,760 1,997 -237

 羽田以外の上位の空港にはそれぞれ特殊な理由があることがわかります。

 たとえば2位の『中  部(愛知)』は682万人増えていますが、それにともない隣接の『名 古 屋(愛知)』が550万人減少しています。

 また3位の『大  阪(大阪)』は493万人増えていますが、やはり隣接の『関  西(大阪)』が313万人減少していることと連動しています。

 つまり、4位の『那  覇(沖縄)』の426万人増は健闘していることは認めるとしても、この10年の羽田利用者の1438万人増がいかに突出しているのかがわかります。

 興味深いのはもちろん地域固有の増減理由もありそうで、『山  形(山形)』の45万人減少とか、『三  沢(青森)』の25万人減少とかは、明らかに新幹線開通の影響によるものでしょう。



●まとめ

 以上検証してきたように、過去10年日本の国内線利用者総数は、1億6447万人から1億8935万人へと15.1%増加している中で、羽田利用者数は、4508万人から5947万人へと、1438万人、実に31.9%増加し続けています。

 現状の羽田は容量パンクが顕在化してきています。

 「国内線旅客の6割が利用している羽田国内線」は、「発着枠が足りないことによる利用者にとってのマイナス」が「国内線1便当たりの平均座席数を国際比較してみると羽田は330席、欧米は120席前後となっている」と、欧米に比し、2.75倍もの旅客を大型機に詰め込んでいる形ですでに「顕在化」しているといいます。
 
 さらに、第3回羽田空港再拡張事業に関する協議会(2003年6月12日開催)の国土交通省資料では、羽田空港利用の国内線旅客数は、2012年度予測値は7320万人にまで増えるであろうとの予測値もあります。

 7320万人を単純に平成17年度の数値に置き換えて試算すれば、全利用者に占める羽田空港利用者の割合は77%までに増加することになります。

 この危機を打開するために、平成10年から、滑走路を一本増築し、羽田空港の発着回数を現行の28.5万回から40.7万回に増やす再拡張事業が進められています。

 ・・・

 羽田の発着能力を現行の28.5万回から40.7万回へと42.8%高めるとすると、ただでさえ過去10年一極集中の傾向にあった羽田利用者数は急増することでしょう。

 この「空の2010年問題」ですが、発着能力がパンク寸前の羽田の現在の窮状を考えれば、滑走路を増やすことはやむをえないことでしょう。

 しかし、深刻なのは、産経記事も指摘しているとおり、燃料コスト増と過当競争にさらされている航空各社が、限られた資産を収益の見込める羽田に集中させ、地方路線からの撤退が加速しかねないことにあります。

 地方空港、地方路線にとり、まさに冬の時代が到来しそうなのであります。



(木走まさみず)