木走日記

場末の時事評論

「親日ではなければ反日」とか「左でなきゃ右」とかの決め付け

ユンソナ親日ではなければ反日という黒白論理残念」

 13日の韓国・中央日報の芸能記事から。

ユンソナ親日ではなければ反日という黒白論理残念」

反日誤解発言でバッシングが続く韓流スターユンソナ(32)が、白黒論理によって起こった状況に対し、遺憾を示した。

最近、日本の一部メディアではユン・ソナがSBS金曜ドラマ『恋人よ』(脚本ハン・ジュンヨン、演出カン・シンヒョ)製作発表会のときにした発言を反日であると問題視し、彼女をバッシングする内容を載せて日本国内で論難を起こした。これに対して一部では韓流スターユンソナの日本活動に歯止めがかかるのではないかという推測も出ている状況だ。

会見でユンソナは「日本の番組に出演した際、文化的な違いを感じた。韓国では教科書に日帝時代の慰安婦たちが体験した胸が痛くなるような話を聞いて育ったが、同じ世代の日本人の友人の中では(こうしたことを)よく知らない人が多かった」と遺憾を示していた。

ユンソナはまた「日本活動中断は絶対ありえない」と述べた。スターになって外国を訪れる通常の韓流スターたちと違い、ユンソナは8年前、単身で日本に渡り、自ら基盤を固めて地位を確保したほど、日本国内の活動には格別の愛情がある。これにより途中下車は絶対ありえないという強い意志表明だ。特にそのときの発言はただ日本国内の親しい友達とかかわりながら経験した個人的な文化的の違いに対するエピソードを話したまでであり、国家的レベルで歴史的問題を指摘した発言ではなかったという説明だ。ユンソナは「日本で活動する芸能人たちの間では特に“親日ではなければ反日”という決めつけがひどいような気がする。それが非常に残念だ」と本音を明らかにした。続いて「日本で私を応援してくれるファンがいる限り、日本での活動は続ける」と付け加えた。

ユンソナはSBS金曜ドラマ『恋人よ』で8年ぶりにテレビドラマに復帰している。

中央エンターテイメント&スポーツ(JES)

2007.04.13 11:50:53
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=86491&servcode=700§code=750

 よく知りませんが、かわいいお嬢さんですね。

 日本での活動が8年に及ぶ韓流スターユンソナ(32)さんが、「反日誤解発言でバッシング」が続いているそうなのです。

 問題になった発言。

 「日本の番組に出演した際、文化的な違いを感じた。韓国では教科書に日帝時代の慰安婦たちが体験した胸が痛くなるような話を聞いて育ったが、同じ世代の日本人の友人の中では(こうしたことを)よく知らない人が多かった」

 これって両国の歴史教育内容の差を考えたとき、当然の帰結として起こっていることですよね、別に問題ないと思うけど、やはり聞く人が聞くと「反日」的に聞こえるのかな、慰安婦とか例に出してますしね。

 で、中央日報記事は、ユンソナさんの反論を「特にそのときの発言はただ日本国内の親しい友達とかかわりながら経験した個人的な文化的の違いに対するエピソードを話したまでであり、国家的レベルで歴史的問題を指摘した発言ではなかった」と説明してます。

 ユンソナさんの言葉。

 「日本で活動する芸能人たちの間では特に“親日ではなければ反日”という決めつけがひどいような気がする。それが非常に残念だ」

 「日本で私を応援してくれるファンがいる限り、日本での活動は続ける」

 うーん、ユンソナさんのこの騒動は全体としてよく知らないので、この騒動そのものの評価は差し控えますが、この「“親日ではなければ反日”という決めつけがひどい」という指摘は、何も「日本で活動する芸能人たちの間」だけじゃなくて、双方の国のネット世論でも広く適用できそうな興味深い分析ですな。

 日本でも最近のネットでは、ちょっと韓国を誉めようものなら「媚韓」派のレッテルがはられやすく、竹島問題などで韓国の悪口を言うと「嫌韓」派と見なされますよね。

 私も当ブログで、かねがね、竹島問題などで韓国批判を展開しては「嫌韓」派木走と見なされ、知人の韓国人の親しみやすいエピソードを紹介しては「媚韓」派木走と特定されてきましたので、そのようなレッテル張りがはやりなのはよく承知してます。

 まあ、一般論でいえば各種アンケート調査でも自明なことですが韓国人の対日感情は決してよろしくはないわけで、韓国出身の芸能人がいかに日本で8年活躍しようがその根底に日本に対して教科書問題などで反感を感じてしまうのは、よく理解できるわけで、このユンソナさんの場合、正直に語りすぎたと言うことでしょうか。

 ヨン様みたいに歴史問題や竹島問題などリスキーな話題ははぐらかして「両国の架け橋になりたい」とか無難にまとめることをしなかったのは事務所(ホリプロ)の指導がいけなかったのかもですねえ。



●一触即発 左右ブロガー〜読売新聞「731部隊」報道

 昨日のインターネット新聞JANJANの記事から。

一触即発 左右ブロガー〜読売新聞「731部隊」報道で 2007/04/16

 右派系ブログ「博士の独り言」は、[人気blogランキング]の政治部門でトップ、かつ月間INが580,720に及ぶサイトです。耐震偽装問題で名を売った「きっこのブログ」(こちらは日記・雑談部門)の月間INが678,950である事を考慮(いずれも4月15日午後5時時点)すると、「人気ブログ」の範疇に入ると言っても過言ではないでしょう。なにしろ、旧ブログが消滅した時には、オーマイニュースで、宗教団体が絡んでいるのではないかと記事になったくらいです。ところがこのブログに、恣意的な記事を掲載したのではないか、という問題が発生しています。

 事の発端は、4月9日付の読売新聞の報道です。この報道は、戦時中に人体実験を行った旧日本陸軍731部隊」の元隊員が、毎日2〜3人の生体実験を行った、と証言したというものです。ところが、読売新聞に基づいた朝鮮日報の記事では、途中から証言者の名前が「大川」氏から「小川」氏へと変わっています。ここから混乱が発生します。

 朝鮮日報報道の翌日に、「博士の独り言」は以下の問題点を提起します。まず1つ目が、証言者の名は「大川」氏なのか「小川」氏なのか、という点。2つ目が、召集されたのが早稲田大学卒業後なのか否か、という点。3つ目が、戦前の早大で細菌学が専攻出来たのか、という点です。これを元にして、「博士の独り言」管理人氏は、読売新聞社に対して3度の“電話訪問”まで行っています。

 ところが、「博士の独り言」による“電話訪問”の記事がUPされた翌日、いち早く読売新聞の報道を好意的に取り上げた左派系ブログ「kojitakenの日記」からの批判が起こります。「博士の独り言」による、「大川」氏か「小川」氏かという問題提起は、朝鮮日報の誤記に基づいたものであり、読売新聞社に問い合わせるなり図書館で現物を調べるべきだ、というものです。

 なお、「博士の独り言」管理人氏が読売新聞社に“電話訪問”を行った時には、「大川」氏か「小川」氏かについては、何も質問してはいません。それどころか、質問の最中、ずっと「大川」氏で通しています。その一方で、「大川」氏で統一した理由については、何も語ってはいません。

 また、当時の早大で細菌学が専攻出来たのか、という疑問点については、「kojitakenの日記」の9日付エントリーのコメント欄で、ギャラリーのヤマボウシ氏が以下の様に答えています。

 「早稲田には教育学部(戦前は師範)理学科に生物学専修というのがあって、研究者となる道さえも開かれているようですから、細菌学とやらくらいは学べて、戦前の前身でもそこを出れば将校にはなれなくても『伍長』くらいにはなれたのではないでしょうか」

 その後、「kojitakenの日記」管理人氏は、「博士の独り言」に抗議コメントを寄せたものの黙殺されたとして、「卑劣極まりない態度」とまで言っています。この問題に関しては、両ブログのみならず、読売新聞、朝鮮日報、そして証言者の名誉に関わる問題だけに、早期の解決が望まれると言えましょう。特に「博士の独り言」は、「kojitakenの日記」が提起した問題点に対して明確に答えるべきではないでしょうか。でないと、誹謗中傷を行ったとして、今まで培ってきた名誉に傷がついてしまうでしょう。

参照1:「博士の独り言」より
・疑惑「731部隊証言者」序
・読売「731部隊記事」電話記

参照2:「kojitakenの日記」より
731部隊元隊員が証言 「子持ちの慰安婦を生体解剖したこともあった」(増補版)
・虚偽に基づいて読売新聞を誹謗中傷する悪質ブログ 「博士の独り言」
・コメントを黙殺する卑劣な 「博士の独り言」

参照3:各ニュースサイトの記事より
・「病原体の生体実験 毎日2〜3人解剖」 731部隊元隊員証言(YOMIURI ONLINE
731部隊元衛生兵が証言「泣く子どもの前で慰安婦を解剖」(Chosun Online)
・消されたブログ メディアに対する不信感(オーマイニュース

(森下泰典)

http://www.janjan.jp/media/0704/0704153804/1.php

 当ブログで前回取り上げた問題の読売記事、

■[メディア]波紋呼びそうな読売新聞記事731部隊元隊員証言〜ネットでは戦後は「国から口止めされていたから」発言部分などを削除してたらしい情けないプチ加工
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070413/1176446621

 ですが、さっそく私の古巣のJANJANで記事になっています。

 記事に「木走日記」がまったく無視されているのはご愛敬(苦笑)ですが、どうなんでしょうねえ、「一触即発 左右ブロガー」というタイトルの決めつけも、左じゃなきゃ右みたいな二項論的ではあります。

 ・・・

 「親日ではなければ反日」とか「左でなきゃ右」とかの決め付けは、便利かも知れませんが私のように真ん中の人たちはどうすればいいのかな?



(木走まさみず)