木走日記

場末の時事評論

「日本だけを残した韓国外交」(日経社説)に反論する〜韓国大統領の繰り返す非礼な「嫌日」行動を外交上許すべきではない

 19日付け産経新聞電子版記事から

安重根の記念碑建立進んでる」 朴大統領、中国に謝意
2013.11.19 08:03 [日韓関係]

 【ソウル=加藤達也】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は18日、韓国を訪問している中国の楊潔●国務委員(外交担当)とソウルで会談し、初代韓国統監を務めた伊藤博文を殺害した安重根をたたえる石碑を殺害現場の中国・ハルビン駅に建立する計画について、中韓間で「うまく進んでいる」として謝意を示した。

 石碑の建立をめぐっては、国内にウイグルなど少数民族の独立問題を抱える中国にとって「テロリストによる破壊活動を称賛することになる」(日本外交筋)として、推進は疑問とする見方もある。半面、実際に建立されれば、提案した朴大統領の強固な反日姿勢が一層明確になり、日本側からの反発が強まることは必至とみられる。

 朴氏は6月に訪中した際、習近平国家主席安重根の石碑を建てたいとして協力を要請した。

 その直後には1940年代に日本統治に抵抗した朝鮮人らの拠点があった西安を訪問し、地元の共産党幹部に対して記念碑建立の許可を出すよう要請している。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131119/kor13111908040000-n1.htm

 うむ、韓国の朴槿恵大統領が、伊藤博文を殺害した安重根をたたえる石碑を殺害現場の中国・ハルビン駅に建立する計画が進んでいることに中国に謝意を示したそうです。

 記事によれば、朴大統領は合わせて日本統治に抵抗した朝鮮人らの拠点があった西安にも、地元の共産党幹部に対して記念碑建立の許可を出すよう要請している模様です。

 中国が記念碑建立を許可するかはまだ不明ですが、7月の産経記事によれば、韓国はハルビン市内で安重根記念館をすでに2006年に設立、しかしながら中国側の安重根に対する関心は全くないとのことです。

中国どう出る 安重根の記念碑設置問題 韓国側は躍起
2013.7.20 07:00

(前略)

 ハルビン朝鮮族団体関係者によると、中国と国交を樹立した1990年代前半から、韓国はハルビン市内で安重根記念館の設立を中国側に要請していたが、なかなか同意を得られなかった。粘り強く陳情を続けた結果、2006年7月に朝鮮民族芸術館内でという条件で、ようやく許可が下りたという。

 記念館は韓国政府とサムスンアシアナ航空など複数の韓国企業の寄付によって作られた。訪れるのはほとんど韓国からの観光客だという。「韓国人は8割、朝鮮族と日本人は1割ずつという感じで、漢族の中国人は安重根に全く興味を持ってくれない」。記念館のスタッフが嘆いた。

(後略)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130720/chn13072007010000-n2.htm

 しかしながら、同記事によれば、最近の中国における反日感情の高まりから、中国政府が韓国と反日で共闘し記念碑建立を許可する可能性も否定できないようです。

 「昨年までなら、安重根の記念碑は絶対に作られないと自信を持って言えたが、最近は分からなくなってきた」とハルビン観光協会の関係者はいう。

 日本政府による12年秋の尖閣諸島沖縄県石垣市)国有化以降、ハルビンでも反日感情が高まり、韓国人や朝鮮族の発言力が強くなったという。「いまの国のトップ(習近平主席)も反日だから、後先のことを考えず一気に(記念碑を)作ってしまうかもしれない」とこの関係者は話す。

 ・・・

 この一連の動きに対して日本政府は菅義偉官房長官が「わが国は、安重根は犯罪者であると韓国政府にこれまでも伝えてきた。そうした中でこのような動きがあるのは日韓関係のためにはならないのではないか」と不快感を表明します。

「日韓関係のためにならない」 菅長官、中韓による安重根の石碑建立計画に不快感  
2013.11.19 11:14 [安倍内閣

 菅義偉官房長官は19日午前の記者会見で、初代首相で初代韓国統監を務めた伊藤博文を中国・ハルビンで暗殺した安重根をたたえる石碑の建立計画が韓国と中国の間で進められていることについて「わが国は、安重根は犯罪者であると韓国政府にこれまでも伝えてきた。そうした中でこのような動きがあるのは日韓関係のためにはならないのではないか」と述べた。

(後略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131119/plc13111911190007-n1.htm

 ・・・

 韓国大統領の「嫌日」行動が止まりません。
 外国要人や外国メディアとの会談での一連の日本批判や日韓首脳会談を拒否し続けているかたくなな態度、そしてこのような他国でのテロリストの記念碑建立活動を大統領自らが熱心に取り組んでいること、どれをとっても日本人一般にとって非常に礼を失っしているだけでなく不愉快極まりない国際外交上あまり例を見ないほどの一国だけをターゲットにした侮辱的で非常識な行動であります。
 日本人を暗殺した犯罪者の中国での記念碑建立活動など、一国の大統領が積極的に関わるべき外交課題なのでしょうか、このような建立がもし許可されたとしたら今後の日韓関係にとって悪い影響しか与えないでしょう、国を収める最高責任者・大統領としては、稚拙で大人気無い非常識な愚行と言えましょう。
 このような日本のみをターゲットにした非礼な行動を朴大統領が取り続ける限り、日韓首脳会談は開くべきでは断じてないと考えます。
 日韓関係が冷え込んで日本の対韓投資は冷え込み始めていますが、致し方ないでしょう、今後日韓貿易がさらに大きく冷え込んでも双方の経済規模から日本側はGDP規模で1,2%の影響に留まるのに対して、韓国側はGDP規模で10%近くの大打撃を受けるはずです、経済的に困るのは韓国側なのです。 
 日本として、韓国の「嫌日」行動が韓国自身に打撃を与えるだけであることを、毅然として示すときが、今来ていると私は考えます。
 その意味でこの16日付の日本経済新聞社説の論説にはまったく同意できません。

日本だけを残した韓国外交 2013/11/16付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62682170W3A111C1EA1000/

 社説は冒頭で、ロシアのプーチン大統領と朴大統領との会談で韓国の「米国、日本、中国、ロシアの4カ国との外交」の中で「残るは日本だけ」になったと、日本だけが取り残されていることを嘆きます。

 ロシアのプーチン大統領が韓国を公式訪問し、朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談で、極東開発を含めた経済協力の強化や対北朝鮮政策の連携などを確認した。

 2月に就任した朴大統領は、9月にロシアで開いた20カ国・地域(G20)首脳会議の場でプーチン大統領と個別に会っているが、本格的な2国間会談は初めてだ。

 韓国は従来、米国、日本、中国、ロシアの4カ国との外交をとくに重視してきた。朴大統領はすでに米国と中国を公式訪問している。ロシア大統領の訪韓により、米中ロとの公式協議を終えたことになる。残るは日本だけだ。

 韓国とロシアの共同声明で日本批判が含まれていることを「疑念があれば直接、日本の指導者にぶつけてほしい」と要望します。

 朴大統領は歴史問題をめぐる安倍政権の言動に反発し、日韓の首脳会談には否定的だ。先の欧州歴訪の際も「日本の指導者が過去の歴史問題で後ろ向きな発言をしている」などと批判した。

 今回、韓ロの首脳会談後に発表した共同声明にも「歴史に逆行する言動がもたらす障害によって、北東アジアの強い協力が完全に実現できていない」と憂慮する一文が盛り込まれた。日本へのけん制だろうが、疑念があれば直接、日本の指導者にぶつけてほしい。

 「ただでさえ日韓の懸案は山積している」のだから「首脳同士が胸襟を開いて話し合い、打開の道を探っていくのが筋」だと続きます。

 日韓は朴大統領も認めるように「重要な隣国」だ。経済のつながりも深い。それなのに、歴史問題で成果が見込めそうにないから会わないというのでは前に進まない。歴史問題を含めて首脳同士が胸襟を開いて話し合い、打開の道を探っていくのが筋だろう。

 韓国では戦時中に日本に徴用された韓国人への賠償を日本企業に求める判決が相次いでいる。日韓の先行きを懸念し、日本の対韓投資は冷え込み始めた。福島第1原子力発電所の汚染水漏れを理由に、韓国政府が日本の水産物を禁輸した問題も抱える。ただでさえ日韓の懸案は山積している。

 社説は「日本としては韓国世論の動向も注視しつつ、首脳会談の早期実現を粘り強く呼びかけていくべき」と結ばれています。

 最近は韓国メディアにも、朴政権のかたくなな対日強硬姿勢を疑問視する論調が出始めた。日本としては韓国世論の動向も注視しつつ、首脳会談の早期実現を粘り強く呼びかけていくべきだ。

 この日経社説に反論します。

 非礼な「嫌日」行動を繰り返す韓国大統領に、なぜ日本から「首脳会談の早期実現を粘り強く呼びかけていく」必要があるのでしょうか。
 日経の社説はもちろんビジネス重視の経済界の意向をくんでいると思われますが、国際外交は経済だけで判断すべきではありません。
 現状を冷静に分析すれば、今日韓首脳会談を日本側から呼びかけてしまえば、一連の韓国大統領の非礼な「嫌日」活動を間接的に日本政府が認めたことにも繋がりかねません。
 中・長期的視点に立って、韓国との関係を再構築するためには、「嫌日」活動が韓国にとって打撃を受けることを彼らに理解させなければならないと考えます。
 目先の経済的利潤追求のために日韓関係修復を日本から呼びかけよとのこの日経社説には全く同意しかねます。


(木走まさみず)