木走日記

場末の時事評論

朝日新聞社説をきちんと読めば頭がよくなる?〜脳を鍛える新聞の読みかたメディアリテラシー編

kibashiri2006-01-08

■[メディア]覚えておきたい朝日社説の素晴らしいテクニック〜ばらばらの発言をひとつの鍵かっこでくくる職人技
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060105/1136432459

 上記エントリーの追記です。



●新聞をきちんと読めば頭がよくなる〜東亜日報のフェンソルスソルな記事

 韓国の新聞、東亜日報の日本語ウェブ版サイトで、とても「フェンソルスソル(ちんぷんかんぷん)」なタイトルの記事を見つけました。

新聞をきちんと読めば頭がよくなる

「新聞は脳を訓練する最高の道具だ」

日本東北大・未来科学技術共同研究センターの川島隆太(医学博士)教授が先月出版した『脳を鍛える新聞の読みかた』で下した結論だ。川島教授は、脳のどの部分にどんな機能があるかを究明する研究において、日本内最高の権威者の一人であり、同分野の著書だけでも10冊以上出版している。

川島教授は、著書『脳を鍛える新聞の読みかた』で、脳の最も重要な部分は、思考力・行動の制御・コミュニケーション・記憶など高等な精神作用を担当する前頭前野であり、脳の老化現象は前頭前野が衰えることから来るもの、と説明した。

記憶していたものをよく思い出せなかったり、感情や行動を抑えることが難しかったり、すぐに怒ったりする現象は、いずれも前頭前野の機能低下にかかわりがある、とのこと。それを防ぐためには、われわれが運動を通じて体力を維持するのと同じく、脳も着実に鍛えなければならない、と川島教授は強調している。もちろん、古典や名作でもこうした訓練が可能だが、新聞は日常の生活から常に接する読み物であることから、抵抗感が少ない、というのが川島教授の説明。

しかも、新聞には文章だけでなく、数値と図表などがさまざま入っているため、はるかに多彩な訓練が可能だとのこと。川島教授が提案する基礎的な訓練法は、音読み、計算、筆写の3種類。それを東亜(トンア)日報の紙面に応用してみると次の通りだ。第一、オピニオンの固定コラム「フェンソルスソル(ちんぷんかんぷん)」を声を出して読む。

早く読むほど前頭前野が活性化するので、徐々にスピードを速める。第二、天気予報の記事にある地域別の最高気温と最低気温を足してみる。脳を訓練するときは、複雑な計算より、すでに慣れている単純な計算が効果的だ。これもまたスピードが重要だ。第三、1面トップの記事の前部300字くらいをまめに書いてみる。1度ハングルで書いた後、可能ならば漢字を混ぜて再び書いてみる。スピードは気にしなくてもいい。

JANUARY 03, 2006 03:04 東亜日報
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2006010386608

 なんだ、日本の日本東北大・川島隆太(医学博士)教授の著書の話じゃないですか?

 しかし微笑ましいのはこのトレーニング方法を強引にハングルで書かれた東亜日報に応用しているところですね。

【Step1】
東亜(トンア)日報の紙面に応用してみると次の通りだ。第一、オピニオンの固定コラム「フェンソルスソル(ちんぷんかんぷん)」を声を出して読む。
早く読むほど前頭前野が活性化するので、徐々にスピードを速める。

【Step2】
第二、天気予報の記事にある地域別の最高気温と最低気温を足してみる。脳を訓練するときは、複雑な計算より、すでに慣れている単純な計算が効果的だ。これもまたスピードが重要だ。

【Step3】
第三、1面トップの記事の前部300字くらいをまめに書いてみる。1度ハングルで書いた後、可能ならば漢字を混ぜて再び書いてみる。

 ほほう、ちんぷんかんぷんは韓国語では「フェンソルスソル」というのですか、いや勉強になりました。(苦笑)



●『脳を鍛える新聞の読みかた』

 で、肝心の本『脳を鍛える新聞の読みかた』ですが、まあ脳の老化防止対策本なのであります。

脳を鍛える新聞の読みかた
毎朝10分の音読と簡単トレーニングで脳がめざめる

川島 隆太著

税込価格 : \924 (本体 : \880)
出版 : 中央公論新社

(中略)

内容説明
新聞を脳の活性化のために徹底的に活用するノウハウを提案するワークブック。音読・計算・筆記の基本トレーニングで脳がめざめる。



オンライン書店ビーケーワン より
http://www.bk1.co.jp/product/2625364/review/434710

 で、ガク爺氏なる方の書評を添えられていますのでご紹介しておきましょう。

 「脳」が注目されるようになったのは,川島隆太氏の研究成果が大きいでしょう。
 先日見つけたのが『脳を鍛える新聞の読み方』です。
 内容は,大きく4項目。
  1 コラムを読む
  2 天気予報
  3 トップ記事のリード
  4 応用発展
 「コラムを読む」では,新聞の1面にあるコラムを声を出して読みます。それが「何秒で読めるか」と,かかった時間を記録します。
 ここは,今までのものと似てますね。手軽に使えるのがいいですね。
 どの新聞にも「天気予報」の欄があります。そこにある各地の気温で計算しようというものです。
 一覧にある「最高気温」と「最低気温」を足していきます。ここでは,2桁の計算になりますね。
 この本には,“目標グラフ”が載っていましたが,計算の力は50代から急に低下するようです。その年代の方は,急いで“手を打っておく”必要があるかも……?
 「トップ記事のリード」では,まず記事を「ひらがな」で(原稿)用紙に筆写します。
 この「ひらがなに直す」というのがポイントです。
 それがすんだら,次は,筆写した用紙(ひらがなのもの)を見ながら,別の紙に漢字かな混じり文にして筆写します。
 ひらがなから漢字への“変換”がポイントですね。
 頭がフル稼働しそうです。
 応用では,新聞を使った方法がいくつか出てきます。
 毎朝10分の音読と簡単なトレーニングで脳がめざめ,脳の活性化します。そのために新聞を徹底的に活用しようという提案の一冊です。
 脳が休憩モード(?)という方,まずは声を出してコラムを読むことから始めてみませんか。

 いやいやなかなかのハウツー本でありますよ。

 私が読んだ中では応用発展編がいろいろ興味深かったですが、そろそろ脳にボケが入ってきたかもとお悩みの読者にはお奨めの本でありますよ。

 ・・・

 でもせっかく日本のマスメディア・大新聞を取り入れて脳の訓練するなら、なんか物足りないですよね。

 メディアリテラシーの訓練も取り入れてみたら、もっと脳が活性化すること間違いなしでありますよ。

 新聞に書かれている内容をただ音読したり書き写したりするだけではなく、その内容を頭から信じないで、深く考察し、時に批判的に対峙してみる・・・

 ・・・

 情報氾濫時代の現代で私たち読者はますますメディアをリテラシーする能力が求められているのであります。

 で、どうせリテラシーするならば、やっぱし一押しは「朝日新聞」ですよね。(苦笑)
 中でも事実報道中心の社会記事もいいですが、最高のリテラシー訓練の場としてはやっぱし「朝日社説」なのであります。

 ・・・

 それでは、完全にパクリネタで恐縮ですが、東亜日報記事『新聞をきちんと読めば頭がよくなる』の木走流応用編として『朝日新聞社説をきちんと読めば頭がよくなる?』をお届けいたしましょう(爆笑)

 パチパチパチパチ



●Step1:信じるモノは救われる〜必殺技「合いの手読み」でまずは心を無にして素直に読んでみよう

 まず第一段階は心を無にして、『朝日社説』だからと色眼鏡で見ないで素直に読んでみましょう。

 えーっと、もう脳の癖で『朝日社説』など素直に読めない反朝日派の読者のために、木走秘伝のテクをお教えしましょう。

 一文読む度に、心の中で「そのとおり!!」とか「異議なーし!!」とか、文章を讃える合いの手を入れながら読みましょう(苦笑

 ようは瞬間的に「朝日信者」になりきって素直に肯定的に読んでみることです。

 で、さっそく本日(8日)の朝日社説を教材にしてみましょう。

注:文中太字は木走付記の合いの手です。

06春闘 いまこそ封印を解こう

 列島は冬将軍に襲われているが、ずっと冷え込んできた賃金交渉には雪解けを思わせる風が吹いてきた。

(ほう、どうして?)

 今年の春闘を前に、日本経団連がまとめた経営側の指針「経営労働政策委員会報告」が賃上げに配慮する姿勢に転じたからだ。

(なるほど、なるほど。)

 この報告書は、4年ぶりに「賃下げ」にふれることを避けた。さらに「労働条件の改定についても、企業の競争力を損なうことなく、働く人の意欲を高める適切なかじ取りが望まれる」とした。

(そうだったのか。)

 バブルが崩壊して以来、労働側は押されっぱなしだった。94年に当時の日経連が「賃上げは事実上困難」との基本方針を示し、翌年には主要産業の柱だった鉄鋼大手がベアゼロで妥結した。

(うんうん労働側にはつらい10年だったわな。)

 「賃上げ」は封印され、長い冬が続いた。こうした経緯を踏まえると、春闘交渉は大きな潮目を迎えたといえよう。

(そうか今年の「春闘交渉は大きな潮目」になるんだな。)

 多くの企業がリストラや構造改革を通じて、高収益体質に変わりつつある。東証1部の上場企業で見ると、9月中間期は過去最高の経常利益を記録した。配当額も前年同期より4割近く増えた。借金の返済が進み、配当に回す余力が出てきたわけだ。

(そうだよな、税金で救われた銀行なんかも過去最高益だもんな。)

 5日の財界新年パーティーでも、株価上昇を背に、明るい景気見通しを語る声が相次いだ。経済界の方針転換は当然の判断といえるだろう。

(うん、今年は明るい景気見通しなんだな。)

 ただ、経団連は一方で「自社の支払い能力が基本だ」とくぎを刺している。トヨタ自動車の会長でもある奥田碩経団連会長は、会社の実情に応じて交渉にのぞむべきだと言う。

(ええー、トヨタなんかボロ儲けしてるのに。)

 なるほど、横並び春闘は過去のものだ。国際間の競争は厳しく、一部の企業を守っていた規制も見直されている。従業員の処遇は、個々の会社や産業の収益力、成長性、資産の厚みなどに応じて決める時代といえる。

(ふんふん。)

 ならばこそ、日本の代表企業として、05年3月期まで3期連続で過去最高の利益を更新したトヨタには、立派な回答を望みたいものだ。他社への配慮などで出し惜しみすることはない。それを範に、後に続く経営者も多かろう。

(そうだ! そのとうり!!)

 賃上げの封印が解かれることは、景気へのいい刺激になる。ベアは退職金や時間外手当にも反映する。ボーナスのように業績に応じて払われる一時金よりも広い影響を及ぼすからだ。

(異議なーし!!!)

 従業員には、定率減税の打ち切りなど負担の増加という逆風も待ち受ける。

(ブルブルブルブル)

 景気に勢いをつけられるか、あるいは足を引っ張るか。その鍵は、春闘交渉にのぞむ経営側が握っている。

(そうだ! 経営側の全責任だ!!)

 追い風の大企業に比べ、中小企業の労働者や、パート、アルバイトなど非正規雇用の人たちの賃金が上がるかどうかは気がかりだ。

(うん、零細企業はまだまだ厳冬の時代だよな。)

 春闘では、こうした職場や働き手にもきちんと光を当てるべきだ。連合や主要単産の後押しが欠かせない。多くの人々が久々に訪れた明るさを分かち合える春にしたい。

(異議なーし!! 春闘は「多くの人々が久々に訪れた明るさを分かち合える春」を目指せ!!)

【社説】2006年01月08日(日曜日)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 ・・・

 いかがでしたでしょうか。

 この合いの手読みはとくにつまらない社説(失礼)などを読むときの必殺技なのでありますよ。

 え?

 合いの手入れながらもどうにも納得できない箇所があったって?

 ・・・

 ふう。

 それでは、第二段階でございます。



●Step2:徹底的に疑ってかかれ〜応用技「全否定ツッコミ読み」で心を鬼にして批判的に対峙しながら再読してみよう

 次に第二段階は心を鬼にして、徹底的に批判的に読んでみましょう。

 えーっと、第一段階で何の疑問もなく心から賛同できちゃった親朝日派の読者のために、木走秘伝のテクをお教えしましょう。

 一文読む度に、心の中で「本当なのか?」とか「異議あーり!!」とか、文章を批判するツッコミを入れながら読みましょう(爆笑

 ようは瞬間的に「朝日批判者」になりきって否定的懐疑的に読んでみることです。

06春闘 いまこそ封印を解こう

 列島は冬将軍に襲われているが、ずっと冷え込んできた賃金交渉には雪解けを思わせる風が吹いてきた。

(ほう、どうして?)

 今年の春闘を前に、日本経団連がまとめた経営側の指針「経営労働政策委員会報告」が賃上げに配慮する姿勢に転じたからだ。

(本当かよ?)

 この報告書は、4年ぶりに「賃下げ」にふれることを避けた。さらに「労働条件の改定についても、企業の競争力を損なうことなく、働く人の意欲を高める適切なかじ取りが望まれる」とした。

(これは調べてみないとな。)

 バブルが崩壊して以来、労働側は押されっぱなしだった。94年に当時の日経連が「賃上げは事実上困難」との基本方針を示し、翌年には主要産業の柱だった鉄鋼大手がベアゼロで妥結した。

(別に労働側だけが押されっぱなしだったわけじゃないだろう。経営側だって生き残るのに必死だったんじゃなかったか?)

 「賃上げ」は封印され、長い冬が続いた。こうした経緯を踏まえると、春闘交渉は大きな潮目を迎えたといえよう。

(「大きな潮目」ねえ。)

 多くの企業がリストラや構造改革を通じて、高収益体質に変わりつつある。東証1部の上場企業で見ると、9月中間期は過去最高の経常利益を記録した。配当額も前年同期より4割近く増えた。借金の返済が進み、配当に回す余力が出てきたわけだ。

(「多くの企業」って勝ち組企業のことだろうが。負け組企業の社員とか零細企業とかリストラされ正社員でない人間達はどうすんだよ?)

 5日の財界新年パーティーでも、株価上昇を背に、明るい景気見通しを語る声が相次いだ。経済界の方針転換は当然の判断といえるだろう。

(だから財界新年パーティーて一部景気回復した大企業中心なんじゃないのか?)

 ただ、経団連は一方で「自社の支払い能力が基本だ」とくぎを刺している。トヨタ自動車の会長でもある奥田碩経団連会長は、会社の実情に応じて交渉にのぞむべきだと言う。

(「自社の支払い能力が基本だ」は経営者として当然の発言だろう。)

 なるほど、横並び春闘は過去のものだ。国際間の競争は厳しく、一部の企業を守っていた規制も見直されている。従業員の処遇は、個々の会社や産業の収益力、成長性、資産の厚みなどに応じて決める時代といえる。

(「横並び春闘は過去のもの」ではなくて日本独特の「春闘」そのものが「過去のもの」じゃないのか?)

 ならばこそ、日本の代表企業として、05年3月期まで3期連続で過去最高の利益を更新したトヨタには、立派な回答を望みたいものだ。他社への配慮などで出し惜しみすることはない。それを範に、後に続く経営者も多かろう。

(おいおい、企業間の賃金格差を煽ってどうするんだよ!)

 賃上げの封印が解かれることは、景気へのいい刺激になる。ベアは退職金や時間外手当にも反映する。ボーナスのように業績に応じて払われる一時金よりも広い影響を及ぼすからだ。

(異議あーり!!! 日本の企業の9割は中小零細企業なんだぞ。ベアや退職金に無縁なパート従業員や労組すら存在しない中小零細企業労働者を無視するのか?)

 従業員には、定率減税の打ち切りなど負担の増加という逆風も待ち受ける。

(だからなんだよ)

 景気に勢いをつけられるか、あるいは足を引っ張るか。その鍵は、春闘交渉にのぞむ経営側が握っている。

(日本経済の景気動向はもっと多様な要因を検討すべきであり、『春闘交渉』の経営側の責任にだけ収束して議論をするのはおかしくないか?)

 追い風の大企業に比べ、中小企業の労働者や、パート、アルバイトなど非正規雇用の人たちの賃金が上がるかどうかは気がかりだ。

(おい、ここまで大企業正社員の賃上げを煽っておいて、いまさら「中小企業の労働者や、パート、アルバイトなど非正規雇用の人たち」も「気がかりだ」はないだろう。)

 春闘では、こうした職場や働き手にもきちんと光を当てるべきだ。連合や主要単産の後押しが欠かせない。多くの人々が久々に訪れた明るさを分かち合える春にしたい。

(異議あーり!! 春闘は「多くの人々が久々に訪れた明るさを分かち合える春にしたい」って、朝日よ、教えてくれ、いったい大企業中心の春闘で具体的にどうやって「こうした職場や働き手にもきちんと光を当てる」方策が取れるんだよ。)

 ・・・

 いかがでしたでしょうか。

 この全批判ツッコミ読みですが、もちろん上記の例は木走個人のツッコミ例でありまして、読者個人個人でツッコミどころもその内容も違って当然なのであります。

 え?

 かなり無理して批判した納得できない箇所があったって?

 ・・・

 ふう。

 それでは、第三段階でございます。



●Step3:自分の言葉で自分の意見をまとめておこう〜メディアリテラシーの本質は自分の頭で考えること

 仕上げの第三段階では、上記2つの段階で自分自身が朝日社説に賛同した箇所、疑問を持った箇所を整理します。

 で、ここでは日々時間のない読者用の『お手軽コース』と、例えば私のように市民記者としてネット新聞で記事投稿したり、時事ブログでエントリー目的としているような『徹底検証コース』に分けてみます。

 『お手軽コース』では、記事の内容が事実なのか検証する時間も手間もないですから、、自分の脳内だけで構いませんから、肯定的に読み解いた内容と否定的に読み解いた内容を整理しましょう。

 おそらく心から肯定できた文章もあれば、「あれそうかなあ?」と疑問をもったり「違うんじゃないかな?」と反論したくなった文章もあったと思います。

 それを200〜300字程度でまとめておきましょう(できればテキストに起こしたいですが、もちろん脳内だけでもいいですよ)。

 例えば、上記朝日社説に関して私ならばこんな感じですか。

 確かに朝日社説の主張する通り、日本経済はようやく立ち直り初めて来たようだ。その意味で今年の「春闘交渉は大きな潮目を迎えた」のは事実であろう。しかし、「賃上げの封印が解かれることは、景気へのいい刺激になる」のもそれはその通りだろうが、春闘交渉できるのは限られた大企業が中心であり、各業種にも「勝ち組」企業と「負け組」企業に色分けされて賃金格差が広がるだろう。また、多くの中小零細企業や急速に増えている正規社員以外の労働者が春闘では蚊帳の外なのも気がかりである。
 朝日社説は「多くの人々が久々に訪れた明るさを分かち合える春にしたい」と結んでいるが、肝心の「分かち合える」具体策がこの社説で示されていないのがなんとも不満である。

 ・・・

 で、『徹底検証コース』では、この自分の意見に対して事実の裏付けをしていくわけですね。

 例えばこの朝日の社説では「今年の春闘を前に、日本経団連がまとめた経営側の指針「経営労働政策委員会報告」が賃上げに配慮する姿勢に転じたからだ。」という文章が、全てのコアになっておりますが、朝日の言い分などは信じないで、日本経団連がまとめた経営側の指針「経営労働政策委員会報告」を自分の目で確認するところから始めます。

2006年版 経営労働政策委員会報告
─経営者よ 正しく 強かれ─

日本経団連経営労働政策委員会編著
B5判 64頁
定価:577円

http://www.e-search.ne.jp/~formmail/formmail/infor54.html

 インターネットで確認できる情報があれば押さえますし、必要ならば資料を取り寄せます。

 まあ、別にこのネタで記事をエントリーするわけでもなければ、いちいち事実確認などしなくてもいいわけですが、メディアリテラシーで大切なことは、あくまでも自分の頭でしっかりと考える癖を付けることだと思います。



●「記事」と「事実」は全く別物である〜「記事」は「事実」を再構築している「創造物」にすぎない

 少しだけまじめにメディアリテラシー論を語らせていただきますが、メディアとは「事実」と「読者(オーディエンス)」を結ぶ媒体にすぎないのであり、そのメディアに掲載されている「記事」は「事実」そのものでは決してありません。

 あらゆる「記事」は、記者が特定の事実を記事にしようと考えた意図、そして事実そのものを「文字」という記号を用いて文章として再構築している「創造物」に過ぎません。
 そこにはメディア側・記者側の「意志」が必ず混在しているわけですし、文章として「事実」を再構築する作業では、記者側の恣意的な作業として多くの事実を削ぎ落としているはずなのです。

 私たち「読者(オーディエンス)」に必要なのは、そのような創造物にすぎない「記事」の性質を正しく理解して、「記事」と「事実」は全く別物であることを強く意識しておくことです。

 そして「記事」を盲信することなく、ときに冷静に批判的に対峙しながら、自分の頭でしっかり読み解くことが大切なのでありましょう。


(木走まさみず)



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