木走日記

場末の時事評論

[メディア]マスメディアの無能と憂鬱〜朝日は証拠として録音テープを提示せよ!


 昨日のエントリーの追記です。

マスメディアの無能と憂鬱〜朝日のNHK番組改変問題報告の「傲慢不遜」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050726/1122348060

●朝日報道にNHKが反論会見

 阿倍・中川両氏が朝日報道にさっそく反論したようです。当の朝日新聞記事から・・・

安倍・中川両氏、本紙報道にそれぞれ反論

 NHK番組改変問題に関する朝日新聞の25日付報告に対し、安倍晋三中川昭一衆院議員は同日、それぞれ反論した。

 安倍氏は「新しい裏付けとなる事実が出てこなかったことを認めるのであれば、訂正して謝罪してほしい」とし、中川氏は「きわめてあいまいで逃げている。都合の悪い部分についての保身以外の何物でもない」と話した。

2005年07月25日22時36分 朝日新聞
http://www.asahi.com/special/nhk/TKY200507250424.html

 ・・・
 え、これだけ?
 みじか(苦笑

 で、NHKも早速反論会見したようで、も一度当の朝日新聞記事から・・・

「圧力による改変ない」 本紙報道にNHKが反論会見

 NHK番組の改変問題をめぐり、NHKの原田豊彦・放送総局長らが25日、記者会見した。朝日新聞が同日付朝刊で「政治家の圧力による番組改変という構図がより明確になった」などとする報告をまとめたのに対し、NHK側は「政治家の圧力で番組を改変したことはないし、これからもない」と反論した。この会見について、NHK側は「視聴者に誤解が広がらないよう説明するため」と述べた。

 番組放送の前日、安倍晋三衆院議員らとの面会から戻ったNHKの国会担当局長が番組の修正を細部にわたって指揮した、との本紙報告について、NHK側は「編集判断をしたのは当時の放送総局長らだった」と主張した。その修正は「NHKの独自の判断だった」とした。

 この場で修正個所を協議したのは、当時の放送総局長と番組制作局長、国会担当局長らだったが、室外で待機していた制作スタッフに具体的な修正部分を伝えたのは、番組制作とは関係のない立場の国会担当局長だった。この理由について、原田総局長は「推測だが、放送総局長らはまだ協議中だったからではないか」と述べた。

2005年07月25日22時35分 朝日新聞
http://www.asahi.com/special/nhk/TKY200507250423.html

 ・・・

 ふう。

 あのですねえ、こんなレベルで揚げ足取りしても仕方ないですが、この朝日の記事じゃ、NHKの弁明会見みたいじゃないですか?(苦笑)

 で、NHKのサイトに実際の原田総局長と石村副総局長の会見(要旨)と、主な質疑応答(要旨)が載っております。

 NHKのサイトから少し長いですが全文引用いたします。

平成17年7月25日

朝日新聞記事についての総局長会見(要旨)
【原田総局長】
 NHKは今年1月の朝日新聞の報道以降、記者会見などで事実関係とそれに基づくNHKの考えを説明し、マスコミの質問にも誠実に答えてきました。何よりも視聴者の方々の誤解を払拭しなければならないと考えたからで、この番組については編集過程の詳細にまで敢えて踏み込んで明らかにすることにし、その結果を裁判所に提出するとともに、NHKのホームページにも掲載しました。理解していただきたいのは「NHKが政治からの圧力によって番組を改変したこと」はこれまでもこれからもありません、ということです。
 しかし、朝日新聞はこの点について、これまでより強い調子で「政治家の圧力による番組改変」という構図が明確になったという記事をけさ掲載しました。このままでは視聴者に再び誤解が拡がってしまうおそれがあるため、記者会見を設定して、視聴者に対して説明することにしました。
 朝日新聞社は、1月12日の記事で、▼中川議員が放送前日にNHK幹部に会った▼中川・安倍両議員がNHK幹部を呼んだと指摘していましたが、けさの記事では、「NHKが政治家の圧力で番組を改変した」という主張の前提となるこれらの事実関係について、半年にわたる再取材によっても真相を明らかにすることができなかったと自ら認めています。その上、けさの記事には、政治家からどのような圧力があり、それによって番組がどう改変されたのかという、記事の根幹部分を補強する新たな事実の提示もありませんでした。
 それにもかかわらず、「政治家の圧力による番組改変という構図がより明確になった」と主張しているのは、まったく事実の裏付けのないもので、到底理解できるものではありません。さらに、真相に迫ることができなかったとしながら、「現時点では記事を訂正する必要はない」としているのも理解できません。
 この記事は検証記事であるにもかかわらず、全体としては「政治家の圧力で番組が改変された」という当初の思いこみから抜け出ていない内容であり、極めて遺憾です。NHKは、これまで通り裁判の節目で説明したり、朝日新聞の動きについても反論すべきは反論して、視聴者の方々への説明責任を果たしていきたいと考えています。

 以下、記事の中の「取材の総括」と題した東京社会部長の文章について、NHKの考えを述べます。
 はじめに、社会部長は、今年1月の記事のきっかけがNHK担当デスクの内部告発であり、「政治家の圧力で番組が改変された」というものだったことを認めています。しかし、この担当デスクの証言が伝聞に過ぎなかったことは、その後に担当デスク本人が開いた記者会見での発言から明らかです。朝日新聞の記事が、そもそもの出発点からあやふやだったということになります。
 次に、記事には「担当デスクの告発内容を政治家や番組関係者らに確認し、一致する範囲で記事にした。特に支えとなったのは、直接の当事者である中川・安倍・松尾の取材結果だった。その内容が大筋で一致したので『信じるに足る』と判断した」となっています。この点について朝日新聞は、「信じるに足る」と判断した3人全員から記事の内容を否定されたため、1月の記事の根拠を失うことになりました。その後、朝日新聞が今日にいたるまで繰り返してきたのは、「記事は正当な取材に基づいたものであり真実相当性がある」ということだけで、「記事の内容が真実である」という主張は一切展開してきませんでした。
 社会部長は、当時の政治家の動きと番組作りの過程を調べ直すことにした、と述べていますが、記事を仔細に読んでみても、朝日新聞の主張を裏付ける具体的な事実は見当たりません。この6か月あまりの取材をもってしても具体的な事実が出てこなかったのに、何をもって「圧力で改変」がより明確になったと書いているのか理解に苦しみます。

【石村副総局長】
 社会部長は、「国会担当局長が番組の修正を細部にわたって指揮していた」としていますが、編集判断をしたのは当時の松尾放送総局長、伊東番組制作局長、そして吉岡教養番組部長であり、その模様は裁判所に提出したNHKの準備書面と3人の陳述書で丁寧に説明しています。また、野島担当局長が番組の試写に同席した理由についても同様に詳しく述べています。
 また、「修正内容は番組を問題視していた政治家たちの主張に重なるものでした」とありますが、番組の制作を委託したプロダクションに任せておいては、NHKとして公平公正な番組が放送できないと判断して、すでに1月24日から、NHKとしての軌道修正の作業に入っていました。そして最後までその方向性にしたがって編集作業が続けられたものであること、さらに、それぞれの編集にはNHKとしての独自の判断があり根拠があったことについても準備書面や陳述書で明らかにしています。もちろんNHKは政治家からの具体的な指示など受けていませんし、具体的な番組の内容を政治家に説明していません。
 次に、「松尾放送総局長が政治家の発言を『圧力』と受け止め、それから番組を守ろうとした」としていますが、松尾放送総局長が「政治圧力によって番組が改変された」ことを認めている部分は、これまでの朝日の記事やけさの記事の中にも、一切見当たりません。社会部長本人も書いているように、朝日の記者の取材に対する松尾氏の発言の趣旨は「番組を守ろうとした」ことを述べたのであって、政治家・視聴者それに右翼など外からの様々な意見は意見として聞くけれども、それによって番組制作が影響を受けることはなく、この番組についても同様であったことを強調したものだったと、松尾氏は話しています。しかし、朝日新聞は、この松尾氏の答えの趣旨とは逆に、松尾氏のインタビュー内容を根拠にして「圧力による番組改変」があったという答えを導き出して出しています。これはおかしいと思います。
 以上説明してきたように、社会部長の文章を検討すると「政治家の圧力による番組改変」という構図がより明確になったという結論がどうして出てくるのか、全く理解できません。
 最後に、社会部長は、問うたのは特定の政治家の影響で番組を改変することの是非であり、ひいては「公共放送と政治との距離」でした、と述べていますが、NHKとしては、これまでもこれからも、朝日新聞が心配しているような事態を許すことは絶対にありませんので、これは明確に申し上げておきたいと思います。

○ 以下は、主な質疑応答です。(要旨)

Q. NHKは、朝日新聞に18項目の公開質問状を出していますが、記事のうち、NHK側として、「これは満足の行く回答である」と思えるものはありましたか?
A. (総局長)全体として18項目にきちっと答えていただいているというふうには思えません。
(副総局長)18項目の質問の1番目で、「中川氏とNHK幹部が放送前日に面会したのは事実ですか」と訊きましたが、この点についてだけでも、ほとんど回答になっておらず、納得した回答が得られたとは思っていません。


Q. 記事を受けて、何か新たな対応を考えていますか?
A. (総局長)視聴者の皆さんに誤解が広がらないように、NHKとしてきっちり説明責任を果たして行こうと思います。


Q. 松尾元総局長の一問一答が載っていますが、これについて松尾氏はどう言っていますか。またNHKはどう考えますか?
A. (総局長)松尾元総局長は、「全体としてどういう状況、どういうやり取りの中でこういう答えが引き出されたのか」と、相当違和感を持ったようでした。特に質問のところはかなり違っていたようでした。
(副総局長)こういう一問一答があったというなら、具体的なシチュエーションが分かりませんので、18項目の質問の中でも指摘していますが、録音テープがあるならば公開していただきたいと思います。


Q. 26日の試写で、関係者が「この程度なら大丈夫」と感じたのに、29日になって番組内容が急に変わったのはなぜですか?
A. (総局長)26日に試写したものは、番組の全体がまだ見えにくいバージョンだったとご理解ください。番組は、仕上げに近くなればなるほど、コメントの入れ方、それから構成が本当にこれでいいのか、さまざまなアラが見えてきます。29日になっても、いろいろな検討点が出てきたということだと思います。26日で完璧だったのが、29日になっていきなり崩れたということではありません。ある程度、番組の形が見えて、それぞれ自分の立場で検討点を出し合いながら番組を仕上げていったとご理解いただければと思います。


Q. 記事には、あるスタッフの台本に政治家と思われる名前が書かれているとありますが、NHKの調査では把握されていますか?
A. (総局長)一部の関係者の台本に名前が書かれていることは承知しています。ただ、これがいつ、どういう状況で書かれたものか、それにどういう意味があるのか、誰も記憶がないということです。このことが特段、重要なことだとは捉えていません。


Q. 29日の試写で、番組をこういうふうに変えましょうということを話し合ったあと、修正内容は野島担当局長が永田CPに伝えましたが、なぜ野島氏が伝えたのですか?
A. (総局長)この場の推測で申し訳ありませんが、総局長以下の人間は恐らく試写室の中で、まだ協議していたとか、そういう状況だったのかと思います。野島氏が記事に書かれたように指揮を取るということは考えられないし、当時の事実関係を調べてもそういうことはありません。野島氏は、こういうところが変わったよということを、指示したというより、伝えたものです。その後で、担当のCPは、吉岡部長と話をして、あらためて台本をもとに修正点をきっちり確認し、その後の作業に入ったということを申し上げておきたいと思います。

―以 上

7月25日
NHK 朝日新聞記事についての総局長会見 より
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/news/

 ここでNHK側が批判対象としている、朝日新聞の「取材の総括」と題した東京社会部長の文章ですが、昨日もご紹介いたしましたが以下の記事のことです。

NHK番組改変問題2―取材の総括
http://www.asahi.com/national/update/0725/TKY200507250002.html

 また、原田総局長が「編集過程の詳細にまで敢えて踏み込んで明らかにすることにし、その結果を裁判所に提出するとともに、NHKのホームページにも掲載」と発言しているNHKの詳細リポートは、昨日当ブログコメント欄でさくら様が情報提供していただいた以下のPDFファイルのことです。

編集過程を含む事実関係の詳細
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/news/050720.pdf

 これ19ページほどのリポートですが未読の読者がおられたら必読です。読んでいてくらくらするほど以下に番組がいじくり回されてしまったのか時系列に詳細が記述されています。

 ・・・

 ふう、なんだろう。

 当ブログのコメント欄でも熱く議論いただいていますが、しかし、なんでプロのメディア同士が今回のような幼稚な言った言わない対決になってしまったのか、実は単純で明白な原因があると考えます。明らかに朝日の取材のしかたに欠陥があったからでしょう。



●原点に戻り1月12日付け朝日記事を再度検証すれば誤報であることは明白である

 原点に戻り問題の発端になった1月12日付け朝日記事を再度確認しておきます。

中川昭・安倍氏「内容偏り」指摘 NHK「慰安婦」番組改変

 01年1月、旧日本軍慰安婦制度の責任者を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組で、中川昭一・現経産相安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。NHKはその後、番組内容を変えて放送していた。番組制作にあたった現場責任者が昨年末、NHKの内部告発窓口である「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に「政治介入を許した」と訴え、調査を求めている。

 今回の事態は、番組編集についての外部からの干渉を排した放送法上、問題となる可能性がある。

 番組は「戦争をどう裁くか」4回シリーズの第2回として、01年1月30日夜に教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」。00年12月に東京で市民団体が開いた「女性国際戦犯法廷」を素材に企画された。

 ところが01年1月半ば以降、番組内容の一部を知った右翼団体などがNHKに放送中止を求め始めた。番組関係者によると、局内では「より客観的な内容にする作業」が進められた。放送2日前の1月28日夜には44分の番組が完成、教養番組部長が承認したという。

 翌29日午後、当時の松尾武・放送総局長(現NHK出版社長)、国会対策担当の野島直樹・担当局長(現理事)らNHK幹部が、中川、安倍両氏に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会した。

 中川氏は当時、慰安婦問題などの教科書記述を調べる研究会「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表、官房副長官でもあった安倍氏は同会元事務局長だった。

 関係者によると、番組内容の一部を事前に知った両議員は「一方的な放送はするな」「公平で客観的な番組にするように」と求め、中川氏はやりとりの中で「それができないならやめてしまえ」などと放送中止を求める発言もしたという。NHK幹部の一人は「教養番組で事前に呼び出されたのは初めて。圧力と感じた」と話す。

 同日夕、NHKの番組制作局長(当時)が「(国会でNHK予算が審議される)この時期に政治とは闘えない」などと伝えて番組内容の変更を指示したと関係者は証言。松尾、野島両氏も参加して「異例の局長試写」が行われた。

 試写後、松尾氏らは(1)民衆法廷に批判的立場の専門家のインタビュー部分を増やす(2)「日本兵による強姦(ごうかん)や慰安婦制度は『人道に対する罪』にあたり、天皇に責任がある」とした民衆法廷の結論部分などを大幅にカットすることを求めた。さらに放送当日夕には中国人元慰安婦の証言などのカットを指示。番組は40分の短縮版が放送された。

 NHKで内部告発をしたのは、当時、同番組の担当デスクだった番組制作局のチーフ・プロデューサー。番組改変指示は、中川、安倍両議員の意向を受けたものだったと当時の上司から聞き、「放送内容への政治介入だ」と訴えている。

 一方、中川氏は朝日新聞社の取材に対し、NHK幹部と面談したことを認めた上で「疑似裁判をやるのは勝手だが、それを公共放送がやるのは放送法上公正ではなく、当然のことを言った」と説明。「やめてしまえ」という言葉も「NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」と語った。

 安倍氏は「偏った報道と知り、NHKから話を聞いた。中立的な立場で報道されねばならず、反対側の意見も紹介しなければならないし、時間的配分も中立性が必要だと言った。国会議員として言うべき意見を言った。政治的圧力をかけたこととは違う」としている。

 番組内容を事前に知った経緯について両議員は「仲間から伝わってきた」などとし、具体的には明らかにしていない。

 NHK広報局は「(内部告発に関しては)守秘義務がありコメントできない。番組は、NHKの編集責任者が自主的な判断に基づいて編集したものだ」としている。

2005年01月12日 朝日新聞
http://www.asahi.com/special/nhk/b338.html

 現在判明していて朝日も認めている問題箇所を列記します。

 01年1月、旧日本軍慰安婦制度の責任者を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組で、中川昭一・現経産相安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。

 翌29日午後、当時の松尾武・放送総局長(現NHK出版社長)、国会対策担当の野島直樹・担当局長(現理事)らNHK幹部が、中川、安倍両氏に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会した。

 ・1月に中川昭一・現経産相がNHK幹部と接触したという事実は確認できていない。
 ・中川昭一安倍晋三両氏ともNHK幹部を議員の方から呼んだ事実は確認できていない

 同日夕、NHKの番組制作局長(当時)が「(国会でNHK予算が審議される)この時期に政治とは闘えない」などと伝えて番組内容の変更を指示したと関係者は証言。松尾、野島両氏も参加して「異例の局長試写」が行われた。

 NHKで内部告発をしたのは、当時、同番組の担当デスクだった番組制作局のチーフ・プロデューサー。番組改変指示は、中川、安倍両議員の意向を受けたものだったと当時の上司から聞き、「放送内容への政治介入だ」と訴えている。

 ・この関係者(担当デスク)の証言が伝聞に過ぎなかったことは、その後に担当デスク本人が開いた記者会見での発言から明らかになっている。
 

 上記のとおり何点か記載情報が当の朝日新聞も「真実を実証できない」と認めているのですから、これは記事を訂正の上、謝罪をするのは当然でしょう。

 まず朝日新聞は謙虚に誤解を招く報道した事実を認め謝罪すべきであります。

 そして、しきり直しした上でよりメディアとして責任ある対応をすればよいと思います。



●朝日は隠さず保持しているはずの証拠を提示せよ

 今回の朝日・NHK問題を当ブログとして総括してみたいと思います。

 この低レベルな論争に終止符を打つのは、簡単であります。

 朝日新聞が、速やかに保持しているはずの、NHKや両代議士がいい加減なことを言えない証拠を提示すればいいのです。

 そして、これは、ここまで問題が大きくなった以上しかけた朝日新聞の義務であり、説明責任がはっきりあると考えます。

 終始、朝日新聞は、NHKや両代議士の発言に対し「あの時はこう言っていた(はずだ)」という反論しかできていないのですが、この不毛の「言った言わない論争」に決着をつけるのは、「あの人は嘘を言わない人だ」などという「思い込み」ではなく、当然録音しているであろう「動かぬ証拠」だけだと思います。

 早い話、これが出てこないから、NHKも両代議士も朝日新聞の記事と異なることを言えるのでしょう。

 本人の発言が、事実関係において非常に重要な役割を担う場合、その発言を裏付ける証拠となる材料が必要になることは、朝日新聞には十分にわかっていたはずです。

 今回の件は朝日新聞の記事内容が事実であったかどうかが非常に重要なのにもかかわらず、本記事の内容とその後の対応があまりにも信憑性に欠けるのがポイントなのです。

 私は、政治介入が無かったとは発言しているのではありません。朝日新聞の記事はこのままでは『政治介入があった』ことを実証してはいないと指摘しているのです。

 再度繰り返します。

 朝日新聞は、速やかに保持しているはずの、NHKや両代議士がいい加減なことを言えない証拠を提示すべきです。

 ここでいう証拠のひとつは、メモも取らず2時間のインタビューを記事にしていることから当然録音しているであろうと推測される「動かぬ証拠」のことです。

 なんらかの理由でその提示ができないならば、あるいはそもそもそのような証拠を持っていないのならば、速やかに記事の訂正と謝罪をおこなうべきです。

 朝日新聞が報道責任を取る道は、証拠を示し徹底的に言論には言論で反論する道しかありません。それができなければ潔く全面的に謝罪・訂正するしかありません。
 読者のみなさまはいかがお考えでしょうか?



(木走まさみず)



<関連テキスト>
●マスメディアの無能と憂鬱〜朝日のNHK番組改変問題報告の「傲慢不遜」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050726/1122348060
●月刊現代スクープ記事を逆スクープする〜これは朝日の出来レースだ!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050802/1122961309
朝日新聞の真の大罪〜エールを込めて
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050803/1123057606