木走日記

場末の時事評論

ここ一週間の朝日新聞の「奇妙な」報道姿勢徹底検証〜相手により態度を変える醜悪なダブルスタンダードの見本

 今回はここ一週間の朝日新聞の「奇妙な」報道姿勢について取り上げてみたいです。


 9月4日付け、朝日新聞紙面にて前週に広告掲載を取りやめた『週刊文春』と『週刊新潮』の広告が掲載されました。

週刊文春9月11日号広告(9月4日付け朝日新聞掲載)

週刊新潮9月11日号広告(9月4日付け朝日新聞掲載)

 内容を見やすいようにするためにほぼ同一内容の両誌の中吊り広告より。

週刊文春9月11日号中吊り広告

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4315
週刊新潮9月11日号中吊り広告

http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/

 両誌のサイトより主要な記事見出しをテキストで押さえます。

週刊文春見出し】
追及キャンペーン第3弾

社内でいま何が起こっているのか?
朝日新聞の断末魔

木村伊量社長大本営発表メール公開
「今回の記事は朝日への信頼をさらに高めた」「反朝日勢力には屈しない」と胸を張り、吉田調書記事は「第一級のスクープ」と自賛。

▼「廃刊が怖い」「謝るべきだった」現役・OB50人の肉声

池上彰 朝日連載中止へ「謝罪すべき」原稿を封殺

本誌が報じた捏造、だまし討ち、ウラ広告費から女性問題まで 一覧表付
朝日vs.文春 スキャンダル100連発!
(1)サンゴ事件「私は朝日のせいで犯人にされた」ダイバーの怒り
(2)自分でカワラを発見 古代遺跡スクープ記者が停職処分に
(3)Nステ出演 バナナ不倫 菅沼栄一郎の言い訳と愛人の死
(4)拉致被害者をだまし討ち「週刊朝日」の土下座謝罪事件
(5)「取材録音MD漏洩」退社エース記者 今でも朝日に恨み節
(6)NHK番組改変騒動 本田雅和記者が「酷い目に遭わせるぞ」ほか

花田紀凱週刊文春」元編集長登場!
「私が6年間で80本も朝日批判を載せた理由」

週刊新潮見出し】
謝罪拒否! 批判雑誌の広告拒否! 会見拒否!
おごる「朝日」は久しからず
▼虚報は謝罪しないのに他社に謝罪要求する傲岸体質
▼「部数がドーン!」に過剰反応は「不買」と「部数減」恐怖症
▼「池上彰」が連載引き上げを決めた「朝日新聞」の言論封殺的「掲載拒絶」
▼記者会見はしない! 社長も辞めない! 「木村伊量」社長の夏休み
▼「ボケているから何もわかりません」とのたもうたあの「元社長」
▼庭で週刊新潮を読んでいた問題記事「植村隆」元記者を直撃した!
▼「慰安婦報道」キーパーソンが「報道局長」なら自浄作用はあるか?
朝日新聞慰安婦虚報を共に囃した「政治家」「言論人」「知識人」
▼「日中友好の碑」を「対立の碑」に変質させて懲りない「売国ご注進」
▼我が半生を「自虐の歴史」に塗り替えられそうな「自分史出版」新商売
▼1億国民が「精神的被害者」だから検討される対朝日100万人訴訟

私と日本人を貶めてきた「朝日新聞」に告ぐ!
「歴史」というリングの上で「真実」の拳を受けよ!
作家 百田尚樹

日本ルネッサンス 朝日が支えた「河野談話」を潰せ
櫻井よしこ

もう一つの火薬庫
「吉田調書」“誤報”で朝日はもはや生き残れない
ノンフィクション作家 門田隆将

 うーむ、「朝日新聞の断末魔」(文春)、「おごる「朝日」は久しからず」(新潮)と、両誌ともほぼ全編で朝日大批判特集であります。

 前週で両誌の広告掲載拒否した朝日新聞ですが、さて今回は両誌とも広告掲載されたわけですが、これだけの罵詈雑言に近い朝日批判が見出しタイトルに並んでいるのに、朝日新聞は実に奇妙な「報道規制」を敷くのであります。

 それぞれの広告の一部を「伏字」(ふせじ)にするのです。

 今一度朝日新聞に掲載された広告を確認しましょう。

週刊文春9月11日号広告(9月4日付け朝日新聞掲載)

週刊新潮9月11日号広告(9月4日付け朝日新聞掲載)

 解像度不足で読みづらく恐縮ですが、それぞれ二箇所が伏字になっています。

【A】
美人秘書と中国●●出張していた若宮啓文主筆
【B】
今週のバカ
朝日新聞が●●する
「純粋な球児」

 文春では【A】が「不正」、【B】が「捏造」という文字が黒丸で潰されてります。

【C】
「吉田調書」”○○”で朝日はもう生き残れない
【D】
日中友好の碑」を「対立の碑」に変質して懲りない「○○ご注進」

 新潮では【C】が「誤報」、【D】が「売国」という文字が白丸で潰されてります。

 うむ、週刊文春では「不正」「捏造」、週刊新潮では「売国」「誤報」の文字が黒丸や白丸で伏せられていたのであります。

 ・・・

 これですね、朝日新聞が「報道管制」して伏字にする意味が不明です。

 全編ほぼ朝日新聞批判で覆われているこの2つの広告の全体ボリュームからいってたった2箇所づつを伏字にしてもその意図が不明であります、罵詈雑言の類(たくい)なら、ご覧のとおり伏字にした以外の箇所も、「虚報」「言論封殺」「自虐」「だまし討ち」ほとんど垂れ流されています。

 朝日批判の雑誌は広告拒否、言論封殺で徹底的に嫌がらせをし、今回は掲載するにしても、たった二箇所づつほぼ意味不明の”改竄”(かいざん)を施し、広告内容に干渉しています。

 これ、小学生の「嫌がらせ」レベルの「奇妙」な報道姿勢です。

 ・・・

 ところがです、「謝罪拒否」、「広告拒否」、「会見拒否」を貫き「言論封殺」的報道姿勢で醜態を晒している朝日新聞ですが、ある種の「権威」には、尻尾を振って、媚びへつらい、詫びを入れるわけです。

 9月4日付け朝日新聞1面にて小さなお知らせが載っています。

■池上さんコラム 掲載します

 で、19面ではコラムとともに「池上さんと読者の皆様へ」と「池上さんのコメント」が載っております。

■池上さんと読者の皆様へ 池上さんのコメント

 コラム本文は「慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは」と朝日新聞の報道姿勢を批判しています。

■新聞ななめ読み 慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは

 コラム本文と池上さんのコメントはネット上でも掲載されていますのでご紹介。

池上彰の新聞ななめ読み)慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは
2014年9月4日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S11332230.html

 お詫びが足らないと判断した朝日新聞は、9月6日付け朝日新聞1面にても再度小さなお知らせを掲載します。

池上彰さんの連載について 読者におわびし説明します

 で、38面には市川速水東京本社報道局長による長文のお詫び記事が掲載されます。

池上彰さんの連載掲載見合わせ 読者におわびし、説明します

 当該お詫び記事はネットでも確認できますのですご紹介。

読者の皆様におわびし、説明します 池上彰さんの連載掲載見合わせ
2014年9月6日05時00分

 ジャーナリスト・池上彰さんの連載「新聞ななめ読み」の掲載をいったん見合わせた後、4日付で掲載したことについて、読者の皆様から本社に疑問や批判の声が寄せられています。掲載見合わせは、多様な言論を大切にする朝日新聞として間違った判断であり、読者の本紙に対する信頼を損なう結果になりました。改めておわびし、経緯を説明します。

 「新聞ななめ読み」は原則として毎月最終金曜日の朝刊に掲載しています。8月は29日付朝刊に載せる予定で、原稿は27日に池上さんからいただきました。

 8月5、6日付朝刊で慰安婦問題特集を掲載して以来、本社には言論による批判や評価が寄せられる一方で、関係者への人権侵害や脅迫的な行為、営業妨害的な行為などが続いていました。

 こうした動きの激化を懸念するあまり、池上さんの原稿にも過剰に反応してしまいました。本社は8月28日、池上さんに「このままの掲載は難しい」と伝え、修整の余地があるかどうかを打診しました。

 池上さんは「原稿の骨格は変えられない」という考えだったため、話し合いの結果、予定日の掲載を見合わせる判断をしました。

 その際、池上さんから「掲載されないなら、朝日新聞との信頼関係が崩れたことになり、連載も続ける状況にない」との言葉がありました。

 池上さんは8月29日から海外に取材に出る予定でしたが、引き続き連絡を取る約束をし、9月4日の帰国後に改めてお会いすることにしました。

 しかし、9月1日夜、この間の本社と池上さんのやりとりが外部に伝わったのを機に、「不掲載」「論評を封殺」との批判を受けました。本社は池上さんとの話し合いの途上だったため「連載中止を決めたわけではない」とコメントしましたが、読者から経緯に関する疑問や批判の声が寄せられました。

 私たちは3日、いったん掲載を見合わせた判断は間違いであり、読者の信頼を少しでも取り戻すためには池上さんの原稿を掲載しなければならないと判断し、出張中の池上さんの了解を得ました。その際、池上さんの意向も踏まえ、簡単な経緯を含めた双方のコメントを添え、4日付「慰安婦報道検証/訂正、遅きに失したのでは」の見出しで掲載しました。

 池上さんとはこれからも誠意を持って話し合いを続け、対応と結果については改めてお知らせします。

 池上さんの「新聞ななめ読み」は2007年4月、週1回の連載として始まりました。2010年4月から月1回、「読者にとって分かりやすいか」を切り口に、鋭い新聞批評を展開してきました。

 本紙への厳しい批判、注文も何度となくありましたが、すべてを掲載してきました。批判や異論を載せてこそ読者の信頼を得られると考えたからです。今回の過ちを大きな反省として、原点に立ち返り、本紙で多様な言論を大切にしていきます。

 (東京本社報道局長・市川速水)

http://www.asahi.com/articles/DA3S11336075.html

 うむ、この6日付け「お詫び」は、体裁は「読者の皆様におわびし、説明します」と池上さんへのお詫びとはしていないですが、その内容読めば、4日付けの「池上さんと読者の皆様へ」のお詫びと同様、謝っている対象は明らかに読者は二の次で池上さんにあることは自明です。

 実にしつこく「奇妙な」池上さんへの「お詫び」を繰り返す報道姿勢です。

 32年間も放置して国際問題化してしまい国益を著しく損ねてしまった一連の従軍慰安婦捏造報道に関しては、「謝罪拒否」、「広告拒否」、「会見拒否」を貫き「言論封殺」的報道姿勢で醜態を晒している朝日新聞ですが、ある種の「権威」には、尻尾を振って、媚びへつらい、詫びを入れ続けるわけです。

 今回は池上さんというネームバリューあるジャーナリスト相手だからこそ、朝日は「おわび」をしただけであって、彼らの本質である偏向報道を正当化する勘違い甚だしい誤った「エリートジャーナリズム」意識は何も変わっていないのだと、当ブログは判断しています。

 朝日新聞のこの「奇妙な」報道姿勢は、相手により態度を変えるダブルスタンダードの見本です、醜悪の一言です。

 自らを偽りの「権威付け」をし、その誤った「エリートジャーナリズム意識」の成せる技でありましょう。

 朝日報道全般に漂う鼻持ちならないエリート臭の根っこには、「この国のクオリティペーパー」を自負する朝日新聞記者たちの有する醜悪な特権意識が横たわっています。

 事実報道よりも自身の主義主張の方が「正しい」というエリート臭漂う「謙虚さ」の微塵もない思い上り、すべての元凶は偏向報道を正当化するこの勘違い甚だしい誤った「エリートジャーナリズム」意識にあります。



(木走まさみず)