木走日記

場末の時事評論

池上さんには謝る朝日新聞の歪んだ「エリートジャーナリズム」意識

 9月4日付け朝日新聞1面にて小さなお知らせが載っています。

■池上さんコラム 掲載します

 で、19面ではコラムとともに「池上さんと読者の皆様へ」と「池上さんのコメント」が載っております。

■池上さんと読者の皆様へ 池上さんのコメント

 コラム本文は「慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは」と朝日新聞の報道姿勢を批判しています。

■新聞ななめ読み 慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは

 コラム本文と池上さんのコメントはネット上でも掲載されていますのでご紹介。

池上彰の新聞ななめ読み)慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは
2014年9月4日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S11332230.html

 うむ、この騒動ですがネット上では普段朝日新聞に批判的な論客たちも肯定的な受け止めが見られて興味深いです。

 元読売新聞記者の新田哲史氏は「池上無双が大新聞社をも凌駕した革命」と題して「インターネットが既存メディアにもたらすレジームチェンジ」との評価を下しています。

 BLOGOSのエントリーより。

池上無双が大新聞社をも凌駕した革命
新田哲史2014年09月03日 19:30

(前略)

おそらく池田先生が今夜あたり「朝日新聞ジャスミン革命」と題したブログをお書きになるのかもしれませんが、インターネットが既存メディアにもたらすレジームチェンジとして、もうひとつ注目したいのは、叛乱ツイートの発信源が「池上彰」という個人のジャーナリストに始まっていることです。

誤報を認めた後も社長が記者会見で釈明をされることもなく、朝日キラーの定番サンケイ新聞、お盆のお休みを狙い撃ちされた恨みとばかりに週刊誌、そしてアゴラなどのネットメディアでボロカスに言われ、さらも拡販のチャンスとばかりに攻勢をかけ始めた我が古巣や竹橋方面からの参戦にもじっと耐えていたわけですが、池上さんという個人ジャーナリストと衝突しただけで一気に局面が変わりました。

言うまでもなく、池上さんは日本のジャーナリストで知名度、信頼度、影響力は断トツです。ネットメディア“ごとき”は勿論、テレビも新聞も三大出版社もひれ伏して出演・寄稿をお願いするほどの存在であり、都知事選に出ていれば舛添さんだって歯が立たなかったと思います。これが失礼ながら江川紹子さんや津田大介さんあたりだったら、ここまでの騒動に発展したかは微妙だったかもしれません。もちろん、鉄壁の「無双」と言われるほどブランドがある池上さんの力なのですが、それであっても、「個人」の池上彰が、創刊135周年の歴史を持ち、我が国を代表するクオリティーペーパー(⇒皮肉じゃないよ)を発行する大新聞社を根幹から揺るがそうとしているところに、メディア業界のパワーシフトが本格化する象徴的事件として、今後評価される気がします。

(後略)

http://blogos.com/article/93745/

 で、新田氏に「おそらく池田先生が今夜あたり「朝日新聞ジャスミン革命」と題したブログをお書きになるのかも知れません」と予言(?)された池田信夫氏は、朝日現役記者が複数ツイッターで自社批判をしたことに触れた上で、「今回の記者の反乱が天安門事件になるか、ジャスミン革命になるかはまだわからないが、そのゆくえは内閣改造よりはるかに大きな影響を日本社会に及ぼすだろう」と期待を込めて結んでいます。

 BLOGOSのエントリーより。

朝日新聞の「記者の反乱」
池田信夫2014年09月03日 19:35

(前略)

はっきりいって、業界では朝日だけが狂っている。それも特定の独裁者ではなく、社内の左翼的な「空気」が暴走している(地方紙はそれをまねている)。これに歯止めをかけるのは、現場の「下克上」しかない。今回の記者の反乱が天安門事件になるか、ジャスミン革命になるかはまだわからないが、そのゆくえは内閣改造よりはるかに大きな影響を日本社会に及ぼすだろう。

http://blogos.com/article/93750/

 ・・・

 長年朝日新聞はじめこの国のマスメディアの報道姿勢と批判的に対峙してきた当ブログですが、一部からネトウヨとのレッテルを貼られつつ特に朝日新聞には辛めに対峙してきました。

 当ブログから言わせれば、この国のマスメディアの報道全般に漂う鼻持ちならないエリート臭の権化こそが、「この国のクオリティペーパー」を自負する朝日新聞だからです。

 事実報道よりも自身の主義主張の方が「正しい」というエリート臭漂う「謙虚さ」の微塵もない思い上り、すべての元凶は偏向報道を正当化するこの勘違い甚だしい誤った「エリートジャーナリズム」意識にあります。

 池上さんはコラムの最後をこう結んでいます。

 朝日の記事が間違っていたからといって、「慰安婦」と呼ばれた女性たちがいたことは事実です。これを今後も報道することは大事なことです。

 でも、新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する。これは国と国との関係であっても、新聞記者のモラルとしても、同じことではないでしょうか。

 朝日新聞に一番欠けているのは「新聞記者は、事実の前で謙虚になるべきです。過ちは潔く認め、謝罪する」まさにこの謙虚さなのであります。

 朝日新聞が批判されているのは「従軍慰安婦捏造報道」したからだけではないのです。

 国益を損ねるほど国際問題化した自社の捏造報道を32年間も放置し、一部訂正した後も一切の謝罪はなく、それどころか捏造報道を認めた同じ紙面トップで「私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます。」と開き直っているのです。

2014-08-05■嘘の上塗りと自己弁護に終始する朝日新聞従軍慰安婦特集記事〜「私たちはこれからも変わらない姿勢でこの問題を報じ続けていきます」(朝日記事)だと?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140805/1407217454

 彼らは自社が脱税という犯罪行為を犯しても謝罪しない「体質」に硬化してしまっています。

2014-08-20■なぜ朝日新聞は謝罪しないのか?〜犯罪行為すら謝罪しない新聞に期待するだけ無駄
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140820/1408520512

 ・・・

 今回は池上さんというネームバリューあるジャーナリスト相手だからこそ、朝日は「おわび」をしただけであって、彼らの本質である偏向報道を正当化する勘違い甚だしい誤った「エリートジャーナリズム」意識は何も変わっていないのだと、当ブログは判断しています。



(木走まさみず)