朝日新聞の謝罪するかどうかの判断基準〜「捏造」記事があったから謝るのではない、「捏造」記事がバレたから謝るのだ
14日付け朝日新聞紙面にて小さなお詫び記事が掲載されました。
任天堂と読者の皆様におわびします 朝日新聞社
2014年9月14日05時00分朝日新聞社は2012年6月8日付経済面に、「ソーシャル時代、どう対応?/ゲーム大手4社に聞く」の記事を掲載しました。この記事のうち、岩田聡任天堂社長の部分は、任天堂のホームページ上の動画の発言内容をまとめたものでした。本来ならインタビューを受けた他の3人とは体裁を変え、動画内の発言であったことを明記するべきでした。
当時、任天堂に社長への取材を申し込みましたが、了解が得られなかったため、任天堂に動画の発言内容をまとめて記事にしたいと伝え、了解を得られたと思い込み、記事にしました。掲載後、任天堂から「インタビューは受けていない」と抗議を受けたことなどから、弊社は謝罪いたしました。
今回新たに外部から指摘があり、事実関係を改めて調査した結果、紙面でおわびする必要があると判断しました。ご迷惑をおかけした関係者と読者のみなさまにおわびいたします。
実に奇妙な「お詫び」記事であります。
掲載後2年3ヶ月以上たっての小さなインタビュー記事へのお詫びなのです。
うーむ、いったんインタビューを断られたにも関わらず「ゲーム大手4社に聞く」というインタビューシリーズ企画記事だったためでしょうか、任天堂のホームページ上の動画の発言内容をまとめたものを「勝手」にインタビューしたように「捏造」、任天堂の許可なく掲載したものであります。
ことの経緯は以下の夕刊フジ記事が詳しいのでご紹介。
朝日、今度は“捏造インタビュー”発覚 任天堂社長に取材していないのに… (1/2ページ)
2014.09.16
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140916/dms1409161146003-n1.htm
朝日が姑息なのはこのお詫び記事においても重要な2点で事実ではないごまかし、不誠実な言い逃れをしようとしていることです。
まず一点目は、この期に及んでも、本記事を「捏造」とは認めず、「了解を得られたと思い込み、記事にしました」とあくまで連絡ミス、了承確認のミスと、体裁を整え「悪意」をできるだけ薄めようとしていることです。
二点目は記事掲載後2年3ヶ月以上たっての遅きに失する「お詫び」記事掲載に経緯について、「紙面でおわびする必要があると判断」とあくまで「今回新たに外部から指摘」があったので朝日新聞独自の判断で自主的に「お詫び」記事を掲載したとしている点です。
今回新たに外部から指摘があり、事実関係を改めて調査した結果、紙面でおわびする必要があると判断しました。ご迷惑をおかけした関係者と読者のみなさまにおわびいたします。
当ブログが入手した情報によれば、これらの朝日新聞の釈明は多くの「事実」を隠蔽しています。
まず「了解を得られたと思い込み、記事にしました」と朝日は言い逃れていますが、これはごまかしです。
任天堂側は記事掲載当時明確に「インタビューを受けた事実はない」と朝日新聞に厳重抗議しています。
朝日が釈明しているように本当にネットで公開している動画からインタビュー記事の体裁をおこす事を了解を得ようとして断られた事実経緯があるのか、インタビューを断わられた段階で「勝手」にインタビュー記事を「捏造」したのか、不明ですが少なくとも「了解を得られたと思い込み、記事にしました」とは釈明になっていません。
相手側が「そのような事実はない」と明確に抗議しているのです。
そもそも「思い込み」で記事を掲載して良いはずがありません。
より重要な2点目ですが、「今回新たに外部から指摘があり、事実関係を改めて調査した結果」との話ですが、これも重要な事実をそいでいるごまかしです。
当ブログが入手した情報によれば、「新たに外部から指摘」ではなく、本情報のソースは朝日新聞内部告発です。
正確に記すれば、朝日新聞内部告発者が週刊文春に情報をリークし、週刊文春側が朝日新聞に対して本件で問い合わせたことを、「今回新たに外部から指摘があり」とオブラートに包んだ腑抜けた表現を使っているのです。
そのあたりの経緯はネット上でも確認できますのでご紹介。
朝日新聞に新たな不祥事
任天堂・岩田聡社長インタビューを捏造していた!
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4362
・・・
要は2年前の”インタビュー捏造”の事実があったと。
その事実を朝日新聞関係者が、朝日批判が高まっているこのタイミングしかないとその事実を週刊文春に内部リークしたと。
内部リークの事実を知った朝日新聞が週刊誌で報じられて大騒ぎになる前に、つまり発売日前に、大慌てで先手を打って「お詫び」記事を掲載し体裁を整えたということです。
まとめます。
この自称「クオリティ・ペーパー」がお詫びするかどうかの判断基準がはっきり示されています好事例なので今回は本件を取り上げました。
「吉田調書」が一般国民にネット上で公開されその内容・真実が明るみになるまさにその公開日の夕刻、朝日新聞社長は3か月前からの一連の「吉田調書」朝日スクープ報道が嘘であり「誤り」であることを突然認め謝罪しました。
今回は2年前の”インタビュー捏造”の事実が週刊誌に報道されることを知った同じ週に、朝日新聞は2年3か月前の捏造記事を紙面にて突然小さく謝罪しました。
朝日は「お詫び」する必要を「事実関係を改めて調査した結果、紙面でおわびする必要があると判断」と綺麗事で釈明しています。
事実関係を改めて調査した結果、紙面でおわびする必要があると判断しました。
嘘です。
調査の結果、「捏造」記事があったから「お詫び」するのでは決してないのです。
「捏造」がバレたからもしくはこのままではバレることが必定であるとき、彼らは初めて「お詫び」するのです。
そこには事実を伝えることこそが第一の使命であるメディアの矜持も誇りも、事実(ファクト)に対する謙虚さの微塵もないのです。
朝日新聞の謝罪するかどうかの判断基準は明白です。
「捏造」記事があったから謝るのではない、「捏造」記事がバレたから謝るのです。
(木走まさみず)