木走日記

場末の時事評論

朝日捏造記事ではしゃぐ資格なんかない「産経抄」の馬鹿さ加減

朝日新聞の捏造記事問題ではしゃぐ産経新聞 〜 産経抄、産経社説より

 今日の産経新聞コラム「産経抄」から・・・

産経抄

サンマ漁の声を聞くと夏も終わりだ。脂の乗ったサンマが、房総の港で水揚げされている。今年は北海道沖で豊漁が続き、形が大きくてうまい新物がスーパーに並んだ。昨年より水揚げが多く、二、三割は安い。まだまだ残暑は続くが、「秋の味覚」はもう旬だ。

 ▼サンマは刀に似て細長く、秋刀魚とは言いえて妙だ。北の海から南下するサンマの群れが、三陸沖にかかるころが一番うまいらしい。この魚を「下魚」と呼んだ無礼者がいる。古典落語「目黒のさんま」に出てくる松平出羽守の家来衆だ。

 ▼時は秋。目黒不動参拝をかねてタカ狩りに出かけた出羽守、駆けずり回って腹が減ってきた。すると、近在の農家からサンマを焼くにおいが漂ってくる。殿様いわく「このよいにおいはなんじゃ」。御家来こたえて「あれは下々の者が食すサンマという下賤(げせん)な魚にございます」。

 ▼殿様は「くるしゅうない」などと食し、サンマの味が気に入った。これを聞いた黒田筑前守がさっそく本場房州から取り寄せた。ところが、御膳奉行が塩気と油気を抜いたからうまくない。すると、出羽守「房州だからまずい。サンマは目黒に限る」とオチになる。

 ▼いまや、高級住宅地になった目黒に狩り場があったとは誰も思わない。この噺(はなし)から、知ったかぶって場違いなものをほめることを「まるで目黒のサンマ」という。世間にはあちこちに出羽守がいる。

 ▼田中康夫長野県知事との架空の一問一答のメモを捏造(ねつぞう)した朝日記者も、出羽守のような知ったかぶりの「おごり」がなかったか。朝日は記者を懲戒解雇し、編集局長を更迭したそうな。記事とサンマは、やはり「旬」が大事だ。

 水揚げに左舷傾く秋刀魚漁(小島禾汀)。

平成17(2005)年9月1日[木] 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/column.htm

 うーん。「産経抄」氏もなにやら嬉しそうですねえ(苦笑

 ▼田中康夫長野県知事との架空の一問一答のメモを捏造(ねつぞう)した朝日記者も、出羽守のような知ったかぶりの「おごり」がなかったか。朝日は記者を懲戒解雇し、編集局長を更迭したそうな。記事とサンマは、やはり「旬」が大事だ。

朝日記者も、出羽守のような知ったかぶり」ですか・・・

記事とサンマは、やはり「旬」が大事だ。」ですか・・・

 揚げ句に結語の俳句が、産経らしいじゃないですか?

 水揚げに左舷傾く秋刀魚漁(小島禾汀)

 「左舷傾く」って、リベラルを馬鹿にしているのでしょうか(爆笑

 ・・・

 ふう。

 やれやれ、朝日も「産経抄」氏には言われ放題ですね。

 で、産経は社説でも痛烈な朝日批判を展開しています。今日の産経社説から・・・

■【主張】朝日の虚偽報道 構造的体質なのかメスを

 総選挙での新党結成をめぐり、朝日新聞が虚偽の取材メモに基づく虚偽報道を行っていたことが分かり、担当記者と編集幹部が処分された。

 朝日によると、長野総局の県政担当記者が田中康夫長野県知事から聞いてもいないのに聞いたかのような取材メモを作って東京本社の政治部に送り、そのまま記事になったという。驚きを通り越して、あきれるばかりだ。

 虚偽のメモを作成した記者は「功名心だったかもしれない」と話しているようだが、ありもしない話を捏造(ねつぞう)することは、新聞記者として最も恥ずべき行為である。これを見抜けなかった政治部のチェック体制も甘い。

 朝日は平成元年、写真部員が沖縄・西表島でサンゴを自ら傷つけて写真に撮り、心ない自然破壊の実例として報じた。このサンゴ事件以来、朝日は社内に紙面審議会を設け、再発防止に取り組んできたとされる。

 だが、その後も、他紙の記事を盗用したり、取材録音記録を別の取材相手に渡したりするケースが次々と明るみに出た。今年に入っても、NHK番組が政治家の圧力で改変されたとする報道の真偽が問われ、その取材資料が月刊誌に流出した。

 なぜ、朝日に問題事例が続発するのか。朝日が持つ構造的な体質に問題はないのか。朝日は自らの虚偽報道を戒める三十一日付社説で、「朝日新聞という伝統と看板がかえって組織の病を生んではいないか」と書いている。まさに、その通りだろう。朝日が世論をリードしてきたという思い上がりはなかったのかどうか。

 同じような虚報は欧米でも起きている。一九八〇年、米国で反響を呼んだワシントン・ポスト紙の「ジミーの世界」というルポルタージュは、架空の少年の物語だった。二〇〇三年、イラク戦争に従軍して行方不明になった息子の消息を待つ母親のインタビュー記事がニューヨーク・タイムズ紙に載ったが、書いた記者は母親に会っていなかった。他の報道機関にとっても、今回の朝日の虚報は他山の石である。

 朝日は、特別チームを社内に立ち上げ、社を挙げて取材・報道の心構えや記者倫理のあり方を抜本的に見直すとしている。今度こそ、実のある再点検を求めたい。

平成17(2005)年9月1日[木] 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm

 うーん、正論ですが「構造的体質なのかメスを」って内容なのですが、メディアの社説でここまで踏み込んで他社を批判するのは珍しいですね。

 なぜ、朝日に問題事例が続発するのか。朝日が持つ構造的な体質に問題はないのか。朝日は自らの虚偽報道を戒める三十一日付社説で、「朝日新聞という伝統と看板がかえって組織の病を生んではいないか」と書いている。まさに、その通りだろう。朝日が世論をリードしてきたという思い上がりはなかったのかどうか。

 たしかに「朝日が世論をリードしてきたという思い上がり」があったのかも知れません。
 まあ、誤報記事というレベルではなく、記事の捏造という最もあってはならない虚報をしてしまったのですから、産経の社説に朝日として反論はできないでしょう。

 ・・・

 ん?

 でも捏造っていえば、たしか・・・



●「秋篠宮殿下のお言葉」を捏造した4月15日産経新聞記事

 私も市民記者登録させていただいておりますインターネット新聞JANJANにて、次のスクープ記事が掲載されたのは4月22日のことでありました。

インターネット新聞JANJAN
「マスコミ料理教室」(8)産経新聞の訂正記事に驚いた!
http://www.janjan.jp/media/0504/0504206077/1.php

 不肖・木走も尊敬しておりますこの記事の松尾信之記者は元週間金曜日編集長でありますが、いつもするどいメディア批判を展開しているのですが、この記事はちょっとしたスクープものとして当時ネットで話題になりました。

 4月16日付『産経』2面に、【訂正 十五日付1面の「地球環境大賞授賞式」の記事中、秋篠宮殿下のお言葉の中に、引用の誤りがありました。謹んでおわびし、全文を取り消します。あらためて全文を掲載します。】との“社告的”訂正記事が掲載された。

 以下、【秋篠宮殿下のお言葉(再掲載)】が16字×42行にわたって載っている。これだけでは、さっぱり分からない。

 松尾信之記者は当時ほとんど話題にならなかった4月16日付『産経』2面のこの小さな訂正記事に注目したのであります。

 産経曰く、「引用の誤り」としておりますが、松尾信之記者が調べてみるとこれはもう「引用の誤り」とういう言葉が全くの誤りである、ほぼ「捏造」「虚報」の領域だったわけです。

 松尾記者の記事より肝心の産経捏造部分を見てみましょう。

秋篠宮殿下のお言葉】(産経新聞4月15日付1面より)

 本日、第14回地球環境大賞の授賞式にあたり、今年も、皆さまとお会いすることができ、大変うれしく思います。また今年から、フジサンケイグループが一体となってこの顕彰制度を主催することになり、「環境」と「経済」が両立する持続可能な社会の実現に向けて、ますますその役割を深めていくことを希望します。

 近年、地球環境問題は、気候変動問題をはじめ、多くの事象について世界の人々の関心が高まっています。日本の優れた技術や知識が、環境に配慮した豊かな時代を築き、世界の発展に寄与していくことを願います。

 皆さまの環境保全への活動が、より一層の大きな広がりをもたらし、 私たちの暮らす地球が緑豊かな水の惑星として、子どもたち、そしてその子どもたちへと末永く続いていくことを心から願います。(太字箇所は筆者)

 ・・・

 太字部分が全て「引用の誤り」です。

 あほらしい。「引用の誤り」どころか、ほとんど文章の「創作」なのであります。

 特に恥ずかしいのが以下の文章の創作であります。

フジサンケイグループが一体となってこの顕彰制度を主催することになり、「環境」と「経済」が両立する持続可能な社会の実現に向けて、ますますその役割を深めていくことを希望します。

 苦笑せざるを得ませんね。

 自分のとこの宣伝を「捏造」しちゃったんだ・・・

 仮にも皇族のお言葉の中に特定の民間グループにふれることなどあり得ないわけですが、この産経の【秋篠宮殿下のお言葉】の「引用の誤り」問題ですが、

 はてさて、その後いっこうに産経新聞に誤り記事の引責報告記事や検証記事はでてきませんよねえ。

 ・・・

 産経新聞は、朝日捏造記事問題であまりはしゃぎすぎてはいけませんですよ(苦笑

 「出羽守のような知ったかぶり」は、産経新聞も同じ穴のムジナなんですから・・・

 「産経抄」さん、残念!



(木走まさみず)



<関連テキスト>
●マスメディアの無能と憂鬱〜朝日のNHK番組改変問題報告の「傲慢不遜」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050726/1122348060
●マスメディアの無能と憂鬱〜朝日は証拠として録音テープを提示せよ!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050728/1122522706
●月刊現代スクープ記事を逆スクープする〜これは朝日の出来レースだ!
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050802/1122961309
朝日新聞の真の大罪〜エールを込めて
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050803/1123057606
●朝日はいくつ委員会をつくるつもりか〜社会の公器として落伍メディアだ
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050831/1125472660