ここは「ヒットマン」産経に任せよう〜日本政府は本件で矢面に立つ必要は全くない
韓国の検察当局が、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を事情聴取の末、在宅起訴した件で、当ブログは前回エントリーでこれは「産経祭りの始まりだ!!」と評しました。
2014-10-08 ■よし、機は熟した!産経祭りの始まりだ!!ワッショイ!ワッショイ!〜「産経新聞は決して屈することなく、『民主主義と自由のためにたたかう』」(社長談)
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20141008
号外まで発し、わずかの時間で社長談話まで含めて関連記事をマシンガンのように放った産経新聞は「やる気満々」であると評しました。
前回エントリーより抜粋。
うーむ。
号外を発してわずか1時間半で、社長談話も含め関連記事10本をマシンガンのように放った産経新聞なのであります。
これは業界用語でいうところの「仕込み」が十分なされている以外考えられません。
つまり在宅起訴を予想して事前に周到に準備をなされていなければ、このように矢継ぎ早に記事を放つことは不可能であります。
産経新聞の「やる気満々」度がよくわかります。
チャンス到来です。
よし、機は熟した!産経祭りの始まりだ!!ワッショイ!ワッショイ!
てな感じでしょうか。
社長の談話の結語。
今後も産経新聞は決して屈することなく、「民主主義と自由のためにたたかう」という産経信条に立脚した報道を続けていく。
決まった。
さて、今回の在宅起訴、問題点を整理しておきましょう。
■【批判1】国内法をもとに海外の報道について“強権発動”
韓国の国内法をもとに海外の報道について捜査し、国際社会の懸念の声を無視する形で“強権発動”に踏み切っことは極めて異例の事態であります。
日本の報道機関が日本に向けて日本語で伝えたものに、韓国の国内法を適用したことは、これは見方を変えれば重大な干渉・越権行為とではないかと一部から問題視されています。
そもそも、日本の報道機関が日本の読者に向けて、日本語で執筆した記事を韓国が国内法で処罰することが許されるのでしょうか?
■【批判2】言論の自由の侵害
韓国紙、京郷新聞は「(メディアの報道に)大統領と政府が訴訟で応じれば、国家権力に対する正当な監視活動を萎縮させる」との学者の見方を紹介しています。
ハンギョレ紙も社説で「名誉毀損などを理由に捜査と処罰のメスを入れ始めれば、全ての言論機関が公職者への辛辣(しんらつ)な批判を敬遠し、言論の自由が萎縮することに全世界が懸念を示すだろう」と警鐘を鳴らしています。
このような権力者に関する報道に対する言論弾圧は、発展途上国や独裁政権のやり方です。
民主主義国家ではやりません、これは韓国の政治の未熟さを全世界にさらしているようなものであり、自分たちに自信がないのだろという見方が広がっています。
「自由な報道活動を押さえ込むという点では旧ソ連以下だろう」(佐藤優氏)というわけです。
■【批判3】国内と海外のメディアへの異なった対処
そもそもこのコラムは、韓国大手紙、朝鮮日報が先に掲載したコラムなどを引用したものですが、検察側は朝鮮日報の記者への出頭させた上での事情聴取には踏み切っていません。
国内と海外のメディアへの異なった対処をしているのです。
産経新聞の元支局長が在宅起訴される一方で、元支局長が記事を引用した韓国の新聞社も、その記事を書いた記者も処罰されていません。
■【批判4】出国禁止が続いていること自体が異常だ
加藤前支局長の出国禁止が続いていることに関し、「出国禁止が続いていること自体が異常だ」と指摘されています。
言論の自由に対するすごい弾圧、長すぎる出国禁止はいわば監禁だし、在宅起訴なんて完全にやりすぎ、民主主義国家では当たり前のルールである移動の自由を否定する軟禁だ、等の批判がなされています。
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アメリカ政府や国連報道官から批判、海外メディアも批判一色であります。
“言論弾圧”同然…韓国の産経前支局長起訴、海外報道も批判一色
http://blogos.com/article/96317/
この状況に韓国国会においても「産経起訴で国際的な笑い物に」と野党が批判を始めております。
11日付け朝鮮日報記事から。
「産経起訴で国際的な笑い物に」 野党が批判
最大野党の新政治民主連合は10日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領をめぐる産経新聞の悪意ある報道への韓国検察の対応について「大統領の名誉を守ろうとしたことで大韓民国の名誉を毀損(きそん)した」と批判した。
同党の印在謹(イン・ジェグン)議員(非常対策委員会委員)は同日午前、国会で行われた非常対策委員会に出席し「検察は朴大統領に対する名誉毀損があったとして産経新聞の前ソウル支局長を起訴した。日本の外務省やメディアだけでなく、米国務省の報道官まで韓国の言論統制を批判している。『過ぎたるは及ばざるがごとし』だ。検察の盲目的な忠誠が事態をダメにした。検察と大統領は国際的な笑い物になった」と述べた。
そして「大統領の過剰反応と検察の過剰忠誠が、一新聞社や記者の資質の問題で終わるはずだったことを、韓国という国の品格問題に発展させてしまった。あきれた話だが、国際的な大恥をかき、取り返しが付かない状況だ」と批判した。
ソウル= ペ・ミンウク記者
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/11/2014101100700.html
・・・
ふう。
本件で産経社長は「民主主義と自由のためにたたかう」と宣言していますが、当ブログとしては、本件に関しては産経に「言論の自由を守る」という大義名分があることを認める一方、そもそも産経新聞に「品位」や「品格」や「正義」を求めても毛頭いません。
2ヶ月前当ブログで検証したとおり、問題の産経コラムが韓国側を激怒させたのは、ただ一点、“大統領とオトコ”の話に触れてしまったことです。
2014-08-13■産経記事のただの韓国報道紹介記事が韓国を激怒させた理由
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140813
当該エントリーより抜粋。
産経新聞記事は何も問題はありません。
韓国の「朝鮮日報のコラムと証券街の情報誌」の内容をこんな噂もあると、報道しただけの記事であります。
この記事が問題ならば、そもそもこの記事のソース元である自国の朝鮮日報や証券街情報誌こそ責められなければなりません。
情報源はすべて韓国メディアにあるのです。
興味深いことです。
“大統領とオトコ”の話に触れて韓国を激怒させた産経新聞なのであります。
繰り返しますが、この産経新聞記事は何も問題はありません。
やれやれです。
“大統領とオトコ”のウワサ話を掲載した産経コラムは、韓国政府の逆鱗に触れました、政権への「挑発」と捉えられたのでしょう。
しかし、確かにお下品ですが、情報源はすべて韓国メディアにあるのですから、全く問題ありません。
産経コラムは韓国メディアを情報源として「こんなウワサが広まっている」とう「事実」を報道しているのであり、そのウワサの真偽がもし問われるならば、情報発信源である韓国メディアのソースこそ問われなければなりません。
・・・
まとめます。
本件に関しては、「民主主義と自由のためにたたかう」との社長宣言どおり、産経新聞に大暴れをしていただければよろしいと思います。
最後まで主義を曲げることなく徹底的に戦い抜いていただきたい。
その過程で韓国の言論環境の異常さが国際的に広まれば、結果としてこじれている日韓関係において日本に有利な状況がもたらされましょう。
で、日本政府はあくまで「大人の対応」で、本件では「遺憾の意」を表明するに留め、韓国政府に必要以上の圧力等をかけることはしてはなりません。
日本政府は本件で矢面に立つ必要は全くありません。
韓国の検察・司法に必要以上の圧力を掛けることはすべきでない、同レベルの次元の低い「権力による干渉」に手を染める必要はないのです。
本件ではやる気満々の産経新聞が「正義」を貫いてくれるはずです。
ということで、がんばれ産経!負けるな産経!
ここは「ヒットマン」産経に任せましょう。
(木走まさみず)