木走日記

場末の時事評論

朝日新聞=>朝鮮日報=>民主党、と伝搬する「安倍政権の重圧」〜そろいもそろってなんでこんな思考回路が論理的じゃないの?

 まずは29日付け朝日新聞記事から。

〈速報〉安倍政権の重圧か…各局批判キャスター相次ぎ交代 
2016年1月29日

 テレビ各局の4月改編が少しずつオープンになっているが、目立つのは報道番組のキャスターの交代だ。テレビ朝日系「報道ステーション」の古舘伊知郎氏をはじめ、TBS系「NEWS23」の岸井成格氏と膳場貴子氏、そしてNHK「クローズアップ現代」の国谷裕子氏らが番組を去る。

 長年、放送界を取材してきたが、これほど同時に報道番組の顔が代わるというのは記憶にない。しかも、「視聴率の低迷」という番組改編の一般的な事情に組みしていないのも異例だ。先の3番組に共通しているのは、安倍政権とのあつれきだ。

 中でも岸井氏は、露骨な批判を受けた。政府与党が強引に国会を通した安全保障法制について、批判的なコメントを続けたところ、「放送法遵守を求める視聴者の会」が、産経新聞と読売新聞に全面広告を出稿した。報道が偏っていると、岸井氏1人を名指しで批判した。長年にわたってメディア界わいを取材してきたが、こんな個人を批判する広告も見たことはない。

 膳場氏も選挙特番で安倍首相ともめた。街の声の選別が意図的だと、生放送中に逆ギレされたことは記憶に新しい。国谷氏も、安保法制に関して、番組出演した菅官房長官に鋭い質問を繰り返したところ、後に、官邸からクレームを受けたと報じられた。

 この一連の流れの中で共通するのは、安倍政権の批判は許さないという、確固たる姿勢だ。報道の自由という民主主義の一丁目一番地への理解を示すこともなく、あくまでも、自分たちが行う政策は正しいという上から目線しか示さない。昭和の自民党の大物政治家を懐かしがっても仕方がないが、批判する報道に対して、その役割を認識して許容する、政治家としての度量の深さがあったように思う。

 それでいながら、安倍首相はメディアのトップとは仲良しだ。29日付の朝日新聞でも、池上彰氏がコラムで皮肉っぽく、「安部氏は誰と食事した?」と書いている。こんな蜜月ぶりをみせられると、このトップがいるメディアの記者の筆がゆるむのではないかと、心配せずにはいられない。もちろん、それが狙いなのかもしれないが。【放送担当=竹村章】

http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/Cfettp01601290035.html

 うむ、テレ朝「報道ステ」の古舘氏、TBS「NEWS23」の岸井氏と膳場氏、そしてNHK「クロ現」の国谷氏らが番組を去るのは、「3番組に共通しているのは、安倍政権とのあつれき」と指摘、安倍政権に批判的に対峙してきたキャスターが相次いで交代するのは「安倍政権の重圧」が理由との見立てであります。

 記事は「安倍政権の批判は許さないという、確固たる姿勢」、「報道の自由という民主主義の一丁目一番地への理解を示すこともなく、あくまでも、自分たちが行う政策は正しいという上から目線しか示さない」と痛烈に安倍政権の姿勢を批判いたします。

 この一連の流れの中で共通するのは、安倍政権の批判は許さないという、確固たる姿勢だ。報道の自由という民主主義の一丁目一番地への理解を示すこともなく、あくまでも、自分たちが行う政策は正しいという上から目線しか示さない。

 さて、朝日新聞がこのように安倍政権のメディア報道に対する「圧力」を批判すると、早速韓国メディアが嬉々として「朝日新聞によると」という形で、取り上げるわけです。

 3日付け韓国・朝鮮日報記事から。 

安倍政権に辛口のキャスター3人、今春一斉降板

「テレビ局が政権の目を気にする」との声も

 安倍政権に対し苦言を呈してきた日本の主要テレビ局のニュースキャスター3人が、この春一斉に交代する。3人とも「個人的な事情」「契約期間の満了」などの理由を掲げているが、報道関係者などの間では「テレビ局が政権の目を意識している」という声が上がっている。問題は、今回の交代によって、健全な批判の声が弱まることだ、と朝日新聞は指摘した。

 まず、毎日新聞主筆を経て、TBS系の「NEWS23」でアンカーを務めていた岸井成格(しげただ)氏(71)が3月末、一コメンテーターへと「格下げ」になる。岸井氏は高校時代に相撲部だったことから、政界を相撲の取り組みに見立てて分かりやすく解説するとともに、政権の問題点を細かく批判してきた。だが昨年秋「安全保障関連法案は憲法違反であり、メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべき」と発言したことがあだになった。これに対し「放送法遵守を求める視聴者の会」という団体が読売新聞と産経新聞に「岸井氏の発言は放送法に定める政治的中立性の原則に反している」との意見広告を出した。この団体は「自分たちが安倍首相の肩を持つというのではなく、放送法を守れという趣旨だ」と主張したが、呼びかけ人には安倍晋三首相と立場が一致する右派の知識人が多かった。

 2004年からテレビ朝日系の「報道ステーション」でメーンキャスターを務めてきた古舘伊知郎氏(61)も3月末で降板する。昨年3月、この番組でコメンテーターを務めていた元経済産業省官僚の古賀茂明氏(60)が、生放送中に「I am not Abe(私は安倍首相ではない)」とプリントした紙をテレビカメラの前に掲げたことが尾を引いた。一方、NHKの「クローズアップ現代」でキャスターを務めてきた国谷裕子氏(58)も3月末で降板する。国谷氏は2014年、菅義偉官房長官に対し「憲法を改正すれば、日本が他国の戦争に巻き込まれるのではないか」と追及した人物だ。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/03/2016020300729.html

 うむ、記事は朝日記事をなぞるような内容なのですが、デタラメ発言で番組を降板した古賀茂明氏にも触れているのがお茶目でありますね。

(参考エントリー)

2015-02-12 「翼賛体制」とは、片腹痛い、古賀茂明氏のデタラメ発言を検証〜ジャーナリストが根拠のないでたらめの解説をしたら批判されて当然
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150212

 朝日新聞朝鮮日報と来て、しんがりは、民主党であります。

 四日付け産経新聞記事から。

安倍首相が「言論圧迫」批判に猛反論 「日刊ゲンダイ読んで。これが萎縮している姿か?」

 「今日、帰りにでも日刊ゲンダイを読んでみてくださいよ。これが萎縮している姿ですか」

 安倍晋三首相は4日の衆院予算委員会で、民主党階猛氏が自民党憲法改正草案について「表現の自由を制限し、言論機関を萎縮させる」と指摘したのに対し、笑顔でこう反論した。

 「日刊ゲンダイ」は「夕刊フジ」「東京スポーツ」に並ぶ三大夕刊紙の一つだが、突出した自民党公明党の連立政権批判で知られている。

 階氏は「言論機関が権力者の意向を忖度(そんたく)し、権力者への批判を控えるようになるのではないか」と懸念を示し、「現に今も安倍政権に批判的なテレビキャスターやコメンテーターが次々と番組を降板している。民主主義の健全な発展にもマイナスだ」と追及した。

 これに対し、首相は「現在、まるで言論機関が萎縮しているかのような表現があったが、全くしていない」と反論。「日刊ゲンダイ」の報道姿勢を紹介しながら、「全く萎縮していない。むしろ言論機関に対して失礼だ」とも述べ、階氏の指摘をたしなめた。

http://www.sankei.com/politics/news/160204/plt1602040035-n1.html

 うむ、民主党階猛氏は、安倍政権は言論機関を萎縮させていると批判します。

表現の自由を制限し、言論機関を萎縮させる」

「言論機関が権力者の意向を忖度(そんたく)し、権力者への批判を控えるようになるのではないか」

「現に今も安倍政権に批判的なテレビキャスターやコメンテーターが次々と番組を降板している。民主主義の健全な発展にもマイナスだ」

 ・・・

 ふう。

 このような不確かな誤った情報は、元を絶たないと駄目でしょうね。

 まず朝日記事のここがポイントです。

 この一連の流れの中で共通するのは、安倍政権の批判は許さないという、確固たる姿勢だ。報道の自由という民主主義の一丁目一番地への理解を示すこともなく、あくまでも、自分たちが行う政策は正しいという上から目線しか示さない。

 「安倍政権の批判は許さないという、確固たる姿勢」など、安倍政権からは一度たりともそのような「確固たる姿勢」が示されたことはありませんよ。

 「政権を批判するな」などと言うはずがない、そうではなくて「著しい偏向報道は放送倫理に抵触していないか」と疑問を投げかけたのです。

 安保法制に対し、番組として賛成論、反対論を公平に取り上げることもなく、MC自ら「安保法制には反対だ」と明言、中立性を放棄して一方的に偏向していたわけです。

 あとですね、NEWS23のお二人は明らかに数字(視聴率)が取れなかったための降板でありますよ、念のため。

 あと国谷さんは知りませんが、古館氏は降板はご本人の強い希望でもありますよ。

 たまたまタイミングが合っただけです、偶然でしょう、政権の圧力などあるはずがないでしょ。

 安倍政権の支持率上昇しているの知ってますか、メディアに圧力かける必要性などないでしょ。

 ・・・

 メディアが権力批判をすることは大いに結構なことです。

 安倍批判はしたらいい、ただ放送法により政治的中立性が担保されているのに、明らかに一方の考え方だけに偏向して番組が意図的に作られるとしたら、それはフェアではないでしょ、ってことだけです。

 それにしても、朝日新聞朝鮮日報民主党です。

 なんだかな、今に始まったことではないけれど、この3者、そろいもそろってなんでこんな思考回路が論理的じゃないのでしょう。

 冷静に考えれば安倍政権がメディアに圧力なんてかけるわけないでしょ、国民の支持が高止まりしている政権が、今この局面でそんなリスクを負う必然性などまったくないのです。 
 
 ふう。



(木走まさみず)