コピる中国〜クレヨンしんちゃんから人民元まで
今日は与太話です。
●中国で大人気の「クレヨンしんちゃん」
今日の中国情報局で興味深い調査結果が掲載されています。
「新秦調査」漫画・アニメに対する志向(1)
中国でも比較的よく知られていると思われる日本のキャラクター(アニメタイトル含む)12個を挙げて、中国の消費者に対して、知っているものを聞いたところ(複数回答)、全体平均で最も多かったのは「クレヨンしんちゃん」で77%強、「ちびまる子ちゃん」も7割を超えた。
これは、「サーチナマーケティング」を運営し、中国に特化したビジネスリサーチを展開する株式会社サーチナが、上海新秦信息諮詢有限公司(上海サーチナ)などを通じて、自社で保有管理するオンラインモニターを利用したインターネット調査を実施、漫画やアニメに対する考え方を探ったもの。
今回の調査は、2005年2月4日から2005年2月24日まで、上海サーチナが運営する「新秦調査」オンラインモニターをメールDMによって調査アンケート票URLに誘導して行われたもの。北京市、上海市、広東(カントン)省、遼寧(りょうねい)省、四川(しせん)省を中心に、中国全土の一般消費者、男女2000人から有効回答を得た。
「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」以外では、「スラムダンク」「ドラえもん」「名探偵コナン」がそれぞれ6割を超えた。「ドラゴンボール」「セーラームーン」が5割台後半、「聖闘士星矢」「ウルトラマン」が5割台前半。「ガンダム」「ガンダムSEED」は全体平均としては1割台にとどまった。
「クレヨンしんちゃん」は北京の女性で86%に達している。遼寧や四川でも男女それぞれ8割を超える知名度を誇る。一方で、上海や広東では、相対的に知名度は低く、特に上海の男性では63%どまり。「ちびまる子ちゃん」はやはり北京の女性で実に91%に達した。それに比べると、上海の女性は7割台。
「スラムダンク」は遼寧の女性で78%、「ちびまる子ちゃん」よりも知名度が高い。北京や四川でも70%を大きく超えた。「ドラえもん」「名探偵コナン」では、北京の女性が8割近い。上海の女性の間では、「名探偵コナン」は「クレヨンしんちゃん」に次いで、知名度の高いキャラクターとなっている。
全体平均では知名度が低迷した「ガンダム」「ガンダムSEED」は、上海や広東では他の地域と比べて若干知られている。また、上海のケーブルテレビなどで現時点で放送され、人気を博しているといわれる「ウルトラマン」(シリーズ)は、全体平均5割台前半に対して、やはり上海では6割を超え、特に上海の女性で7割近くに達している。
2005/05/19(木) 09:22:00 中国情報局
http://marketing.searchina.net/report/disp.cgi?y=2005&d=0519&f=research_0519_001.shtml&mb=searchina
へえー、やっぱり我らがしんちゃんが一番ですか。それにしても認知度77%とはすごいですねえ。「クレヨンしんちゃん」の中国での呼称ですが「蝋筆小新」、これっていい味出してますよね。
しかしなあ、版権も保障されず海賊版も出放題の中国ですからねえ・・・
●中国ってすごいですねより 抜粋
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050224偽「しんちゃん」が商標登録、本物駆逐 中国・上海
中国でも「蝋筆小新」として子供らに人気のマンガ「クレヨンしんちゃん」のキャラクター商品を上海で販売したところ、コピー商品が先に商標登録を済ませていたため本物が商標権の侵害品と扱われ、店頭から撤去させられたことが分かった。マンガの出版元の双葉社(本社・東京)は先月、企業を監督する上海市工商行政管理局に対し、商標登録の取り消しを求めるなど対応に乗り出した。
「クレヨンしんちゃん」のマンガは中国で02年から発売。双葉社は04年4月、ライセンス契約を結んだ上海の業者を通じて子供服、カバンなど「しんちゃんグッズ」の販売を中国で始めた。ところが6月、市内の大手デパートなどが当局から「コピー商品を売っている」と指摘を受け、7月にかけて商品の撤去に踏み切った。
双葉社が調べたところ、中国では上海市内の別の業者が商標権を持ち、97年からキャラクターを盗用して靴やメガネなどを販売していた。中国では最近まで著作権や商標権の管理があいまいで、知らない間にブランドやキャラクターを悪用される事例も相次いでいる。
(02/22 20:21) 朝日新聞
http://www.asahi.com/world/china/news/TKY200502220249.html
二番目に認知されている「ちびまる子ちゃん」の中国名は「櫻桃小丸子」だそうですが、雰囲気でてますよね。どうでもいいですけど(笑
●「奥特曼(うるとらまん)」も中国に帰化しちゃうし・・・
海賊版といえば「うるとらまん」も中国に帰化ですからねえ(苦笑
●中国籍に帰化する「奥特曼(うるとらまん)」 より抜粋
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050325(前略)
背景には中国の知財戦略
だが、円谷プロは中国では苦い経験をしてきた。他の日本製品と同様、街で売られているウルトラマンのビデオCDやDVDは海賊版ばかり。人形や衣類、文房具などキャラクター商品もあふれているが、これも圧倒的に無許諾品だ。同社は95年から中国での著作権侵害の調査を行い、販売している百貨店などに警告書を送付した。さらに96年には訴訟戦術を開始したが、なかなか思うような成果が得られていない。
さらに、中国のWTO加盟以降、海外の番組の放映についての審査が厳しくなっている。番組の国産化を進めているためとみられ、「ティガ」は長い申請期間の末、ようやく放映にこぎつけたが、今後、新たなシリーズを投入できる時期がいつになるかは見えない状態という。
ところが、昨年11月、中国のテレビ番組制作への国外資本の参加が可能になった。中国側の出資比率が51%以上であるという条件で、テレビ番組製作会社の合弁ができる規定が設けられたのだ。円谷プロが「中国オリジナルのウルトラヒーロー」をつくることを決めた背景には、このことがある。
規定では、合弁会社が制作する番組はドラマやバラエティー、アニメなどに限られ、年間3分の2以上が中国を題材にしたものでなければならない。新番組が中国を舞台にしなければならない事情もあるわけだ。また、「まだ、誰も知らない」新ヒーローにすることで、模倣品に先手を打つことができる。そして、実は肝心の「奥特曼」の商標も中国の企業に押さえられているのだ。
最初のウルトラマンは、東京オリンピックの2年後にあたる1966年に放映が始まり、経済成長の象徴であるコンビナートやビル街で怪獣と戦った。中国のウルトラマンも、上海の超モダンな街で怪獣と戦うのだろうか。
MSNニュース 2月9日
http://tenshoku.inte.co.jp/msn/news/0209.html
背景にあるのはコピーしまくりの中国市場のノンモラルな状況があるわけでしてなんだかなあなのであります。
最初の中国情報局の記事ですが、元となったアンケート調査結果はこちらです。
中国消費者:漫画・アニメに対する志向
http://marketing.searchina.net/report/097.html
うーん、この結果の興味深いところは最後の設問「日本の漫画を入手する場合、どういうケースが多いです?(購入する人)」の回答結果ですねえ。
円グラフで見づらいですが、「必ず正規版を購入する」という人は16〜17%といったところでしょうか?
海賊版を買うほうもよくないでしょうが、やはり製作するほうのモラルが問題でありましょう。
なんでもコピってしまうのは問題ですよねえ。
ふう。
●なんだかもう、やっぱりなあ
そんな中国なのですが、これはちょっとまずいんじゃないという、今日の日経記事から・・・
中国で偽札横行、昨年は150億円分没収
【北京=共同】新華社電によると、中国国務院(政府)の偽造通貨対策担当部門の高官は18日、中国で昨年、11億6000万元(約150億円)相当に上る大量の偽札が発見、没収されたことを明らかにした。同高官によると、警察当局が前年の2.4倍となる約5億5000万元、金融機関が約45%増の6億1000万元の偽札をそれぞれ没収した。最近は地方でも偽札の横行が目立ち、多くは南部の広東省で製造、中部の河南省で取引されているという。
警察当局が摘発した額面100万元を超す偽札事件は28件で、一度に約6450万元(約8億4000万円)相当を没収した事件もあった。
高官は「偽札対策は厳しい闘いを強いられている。偽札は今後も長期間にわたって存在し続けるだろう」と述べ、抜本的な解決は当面困難との見方を示した。
2005/05/19 15:28 日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/asia/20050519DXKE001719.html
なんだかなあ。やっぱりなあ・・・
高官も「偽札対策は厳しい闘いを強いられている。」って、とてもわかりますよね。(苦笑
「偽札は今後も長期間にわたって存在し続けるだろう」って、何でもコピーしちゃう国だけに説得力ありすぎです。(汗
・・・
しんちゃんから人民元までコピりまくりの中国なのでした。
こんなこと放置していていいのかなあ・・・
(木走まさみず)
<関連テキスト>
●中国ってすごいですね
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050224
●中国籍に帰化する「奥特曼(うるとらまん)」
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050325