木走日記

場末の時事評論

日本政府は即刻汚染物質垂れ流し中国企業を制裁せよ!〜酸性雨・光化学スモッグと年々深刻化する中国からの越境環境汚染

kibashiri2007-05-14




光化学スモッグは中国発? 環境研・九大が推計

 昨日(13日)の気になる朝日新聞記事から。

光化学スモッグは中国発? 環境研・九大が推計
2007年05月13日11時21分

 日本列島が高気圧に覆われ各地で今年一番の暑さになった今月9日に、九州北部から関東まで20都府県以上で観測された光化学スモッグは、中国大陸で発生したオゾンが主原因だったらしい。西風でオゾンが運ばれてきた様子が、九州大学と国立環境研究所によるシミュレーションで再現された。以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものだ。

地上オゾン濃度のシミュレーション結果
 光化学スモッグは、光化学オキシダント(主成分はオゾン)が起こす。オゾンは、自動車や工場などが出す窒素酸化物などの大気汚染物質が日光を浴びるなどして生じることが知られている。

 10年以上前からアジアの光化学スモッグを研究してきた九州大応用力学研究所の鵜野伊津志(うの・いつし)教授、環境研の大原利真(としまさ)・広域大気モデリング研究室長らのグループは、中国や日本を含むアジア各地の大気汚染物質の排出量を、エネルギー消費や車の台数などから推計。オゾン生成の化学反応や風向・風速を加味して、地上でのオゾン濃度の変化を数値計算した。

 それによると、6日午後3時では中国沿岸部などに高濃度の地点があるが、日本は各地とも低濃度だった。ところが、東シナ海の高気圧の北側に西風が吹き、7日から9日にかけて、高濃度のオゾンが中国から日本に広がったとの結果が出た。

 九州などに広がったオゾンは8日時点で、地域によっては光化学スモッグ注意報の発令基準(0.12ppm)に近い濃度レベルに達する、との計算結果で、8、9日に日本国内で実測された光化学オキシダントの濃度分布などとよく合っていた。

 光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での発令が目立ち、9日には新潟県で72年の観測開始以来初の注意報が出された。こうした特徴や、日本の大気汚染が規制で改善傾向にあることから、研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きいとの見方が強かった。

 大原室長は「国内で光化学スモッグの原因物質をさらに減らすと同時に、越境汚染について国際的なルールを作る必要がある」と指摘している
http://www.asahi.com/science/update/0513/TKY200705120209.html

 うーん、記事の写真の上図と下図を見れば、シミュレーション結果とはいえ、高濃度のオゾンが中国から日本に広がったのはほぼ間違いない推測と言えましょう。

 以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものですね。

 「光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での発令が目立ち、9日には新潟県で72年の観測開始以来初の注意報が出された。」そうですが、近年、日本の大気汚染が規制で改善傾向にあることから、「研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きい」との見方が最近急速に強まっているのであります。

 13億の人口を抱える中国がこのままの勢いで急速に経済発展をし大気や海洋を汚染し続ければ、それらの汚染は間違いなく偏西風と海流に乗って「かざかみ」中国から「かざしも」日本へと押し寄せてくるわけで、これは看過できない国立環境研究所によるシミュレーションです。

 ・・・



●近い将来、「恐怖の大王」として中国の汚染された大気が日本国内で大きな問題になることは科学的予測としてほぼ間違いない〜2005年08月05日のエントリーから

 当ブログでは、2年前の8月からこの中国発の越境大気汚染を警戒すべきと警鐘を鳴らしてきましたが、今回残念ながらついに科学的に裏付けられてしまったわけです。

 当時から国立環境研究所などでは、酸性雨と越境大気汚染の研究をしていたわけですが、世界最大のアスベスト生産国である中国の事実上の無規制に近いアスベスト採掘およびアスベスト製品生産の問題とからめて、将来への警告をしたエントリーでありました。

 2005年08月05日のエントリーから主要部分を抜粋してご紹介。

■量産される中国アスベストを警戒せよ〜恐怖の大王が日本に舞い降りる?

 (前略)

◆失業問題なども、アスベスト禁止の足かせ

  中国ならではの複雑な事情もある。雇用や地域経済に与える影響だ。アスベストの埋蔵量はカナダ、ロシアに次ぐ世界第3位の9061.5万トン。アスベスト鉱山が主に位置しているのは甘粛省青海省新疆ウイグル自治区といった、経済開発の遅れている地域だ。アスベストの採掘に従事している人は12万人、アスベスト製品の加工に従事している人は100万人。そのため、マスコミからも「アスベストを禁止したら、経済的に干上がってしまう」「むやみにアスベストを禁止して困るのは中国自身」(新華社青海版2005年2月25日付)といった声が聞こえてくる。

  中国で、アスベストの危険性に対する認識が広まっていないのは、インターネットを見ても一目瞭然だ。現在も、さまざまな業者による販売用のホームページには、アスベスト製品の紹介が掲載されている。それらのサイトに、アスベスト健康被害に対する注意書きは見当たらない。(編集担当:菅原大輔)

中国情報局ニュース 8月3日
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0803&f=column_0803_003.shtml

 なんともはや、やれやれなのですが、日本が中国の環境汚染に人ごとでは済まないのは、酸性雨問題でもさかんに学者が調査しておりますが、中国の大気汚染がすでに偏西風に乗って西日本だけでなく東日本にまで及ぶ広範囲で日本列島に届き始めていることです。

 西日本各地で中国の黄砂問題もよく取り上げられていますが、黄砂よりも微細軽量のアスベストが他の大気汚染物質とともに日本に飛来してくることは十分に可能性があるわけです。

(参考サイト)
環境goo 第2回 酸性雨と越境大気汚染
http://eco.goo.ne.jp/business/csr/navi/sanseiu03.html

国立環境研究所ホームページ−研究概要-酸性雨
http://www.nies.go.jp/gaiyo/bunya/sanseiu.html

 近い将来、「恐怖の大王」として中国の汚染された大気が日本国内で大きな問題になることは科学的予測としてほぼ間違いないことでしょう。



●日本政府は日本国民のために中国の環境対策を支援せよ

 上述したとおり、中国のアスベストの埋蔵量はカナダ、ロシアに次ぐ世界第3位の9061.5万トンであります。また統計数字はありませんがおそらくアスベスト加工商品の生産量は各国政府が禁止に踏み切る中で、中国が世界一位なのではないでしょうか。

 環境対策では日本は中国に先んじて各種技術を有しているのですから、今問題となっている対中国ODA問題をにらみながらでしょうが、日本政府は本腰を入れて対中国環境対策技術支援を検討すべきであります。

 今回のアスベスト騒動をよい機会と捉え、21世紀の環境問題は国境のない人類全体で取り組まなければならない問題であることを今一度私達は認識すべきであると思います。
 中国の環境問題は、偏西風に乗り日本にも被害が及ぶ事実を十分に踏まえ、嫌中派親中派も大局的な判断が求められると思います。

 日本政府は日本国内のアスベスト対策を迅速に処置すべきことを第一に優先すべきなのは論を待ちません。その上で、日本国民のためにも中国の環境対策を支援すべきであります。

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050805/1123214871

 黄砂のような比較的大きい粒子でも風向きによっては西日本を中心に大きな被害が発生しているのですが、今回の光化学オキシダントもそうですが、微粒汚染物質による中国からの大気越境汚染の実態は、実は実証的調査というものはほとんどされていません。

 理由は、日本各地での汚染物質の計測はどんなに正確にしてもその汚染物質の発生由来つまり越境汚染によるものか日本の工場によるものかを特定することは事実上不可能だからです。

 ただ、酸性雨の研究でも今回のような精度の高いシミュレーションを10年に渡って行っていて、間接的には大陸からの越境汚染が起こっていることは、ほぼ科学的事実と認識されています。

 そして今回の光化学オキシダントに関するシミュレーションがもし中国からの越境大気汚染であるとする推測が正しいとすれば、これはかなり深刻な事態だといえましょう。

 黄砂、酸性雨、そして光化学オキシダントの元になる高濃度オゾンまで大陸より飛来し始めていることが事実ならば、当たり前ですが、それ以外のアスベストなどの汚染物質が飛来している可能性は否定できないからです。

 観測体制ができていないから実証できていないだけであり、実は報道されていない汚染物質も日本上空に越境してきていることは十分に考えられます。

 ここは日本政府は早急に、中国からの越境大気汚染に対する観測体制・研究体制の強化をぜひ予算化して実施すべきであります。



●問題は大気汚染だけではない、汚染物を垂れ流し続けている海洋汚染も深刻

 中国からの越境汚染という意味では、海洋汚染も深刻です。

 大気と海とでは気体と液体という流体の差から汚染スピードの違いがあり、大気汚染ほどには海洋汚染のほうは日本ではまだあまり問題にされていませんが、一部中国沿岸地方の海洋汚染は深刻の度をますます増してきています。

 当ブログでも昨年7月に、遼東半島山東半島に囲まれた渤海と呼ばれる海域が、天津を中心とする地域経済が急速に発展したことで、魚さえ住めない巨大な汚染池と化している、という北京青年報誌の報道を取り上げた韓国日報の記事を取り上げました。

 エントリーの一部を抜粋してご紹介。

●毎年28億トンの汚水と約70万トンの汚染物質が垂れ流れている海域との距離感が気になるアサリたち

 一週間前の朝鮮日報のショッキングな記事。

「死の海」と化した渤海

原因は工業廃水

 西海(黄海)の向こうに広がる渤海が死んだ海と化している。

 渤海遼東半島山東半島に囲まれた中国唯一の内海だ。一時は「魚の宝庫」、「海洋公園」とも呼ばれていた。しかし、天津を中心とする渤海湾地域の経済が急速に発展したことで、渤海は魚さえ住めない巨大な汚染池と化している、と北京青年報が19日報じた。

 中国の国家海洋局が2005年に渤海の汚染状況を調査した結果、渤海の海洋生態系はほぼ壊滅状態に達していた。

 以前はクルマエビ、ハマグリ、ヒラメ、イシモチ、スズキ、イカなどが多く獲れていたものの、今ではこれらの魚種も一切姿を消してしまった。

 天津市塘沽区の水産局漁政課の関係者は「魚の宝庫として有名だった渤海湾海域が、今では魚1匹見られない死の海と化してしまった」と話している。

 汚染海域が2003年以来、引き続き拡大し、悪化の一途をたどっている。海水の水質汚染基準をオーバーしている面積が渤海全体の56%に達している。

 渤海汚染の3大原因は生活用水、工業廃水、農薬・化学肥料だ。天津市海洋局が最近渤海に流れ込む15の汚水を調査した結果、15すべてが汚染基準を超えている。

 このような状況は何も天津市に限ったことではない。遼寧、河北、山東省を含む計105の汚水区を通じて毎年28億トンの汚水と約70万トンの汚染物質が渤海に流れ込んでいる。

 中国政府は2001年から「渤海碧海行動計画」という汚染防止プロジェクトに着手している。にもかかわらず状況が悪化しているのは関連する政府機関の間で権力争いがあるためだ、と環境専門家たちは指摘している。

北京=チョ・ジュンシク特派員
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/20/20060720000044.html

 この記事自体は黄海の北西に位置する遼東半島山東半島に囲まれた中国唯一の内海、渤海のことですが「天津を中心とする渤海湾地域の経済が急速に発展したことで、渤海は魚さえ住めない巨大な汚染池と化している」のだそうです。

 で深刻なのは「渤海汚染の3大原因は生活用水、工業廃水、農薬・化学肥料だ。天津市海洋局が最近渤海に流れ込む15の汚水を調査した結果、15すべてが汚染基準を超えている。 」だけでなく「このような状況は何も天津市に限ったことではない。遼寧、河北、山東省を含む計105の汚水区を通じて毎年28億トンの汚水と約70万トンの汚染物質が渤海に流れ込んでいる。」そうなのです。

 ・・・

 「毎年28億トンの汚水と約70万トンの汚染物質が」垂れ流しですと・・・

 もうね、まだ見てない人は記事の写真を是非見て下さい。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/20/20060720000044.html

 当たり前だけれど渤海黄海の一部なわけでかなり広範囲に汚染が進んでいることが一目でわかりますです。

 しかも明らかに渤海以外の外の海(黄海)までもかなり汚染がされているし・・・

 写真では黄海南部がカットされているからわからないですが、下部の汚染地域は中国最大の商業都市上海海域ですからね。

 みなさん、カットされている下の部分も含めて黄海全体のイメージで汚染状況を想像してみて下さい。

(後略)

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060728/1154074073

 この地域からの魚介類を大量に輸入している日本なのでありますが、汚染が日本近海にまで広がりを見せているわけでは有りませんが、輸入海産物の形で汚染物質が国内に流入する危険性は年々大きくなっているわけです。

 ・・・

 中国や韓国からの海洋ゴミ漂着問題も年々深刻になっています。

 そして近年日本海を中心に大問題になっている「越前くらげ大量発生」現象も、実は中国沿岸の深刻な海洋汚染との因果関係が研究により強く示唆されています。

 2005年10月のエントリーから抜粋。

日本語はおかしいが主張は正しい日経社説〜「かざしも」日本の憂鬱

(前略)

●「漂着ゴミ」と様相が酷似する「大型クラゲ大量発生問題」

 最近話題になっている大型クラゲの大量発生の問題でも、中国沿岸で生まれたクラゲが大量発生して対馬海流に乗り日本海若狭湾辺りで吹き溜まり巨大群となり日本各地の沿岸に漂着しているわけですが、これも「漂着ゴミ」と酷似した海流の下流に位置する「日本列島」が受け皿になってしまっている問題であります。

 ここまで大量発生して海流に乗って日本列島にやって来てしまっては、対策といっても打てる手は限られているのであって、やはり「漂着ごみ」の問題と同じで、流出地域で抜本対策を講じないと「漂着地域」ではお手上げな状態なわけです。

 日本の水産総合研究センターや韓国の国立水産科学院で専門家が科学調査していてそのレポートが指摘されている、この大型クラゲ大量発生のメカニズムですが、いくつかの科学的推測がされています。

クラゲの異常増殖の原因及び研究計画

最近、韓国の周辺沿岸海域で大型Nemopilena nomurai が大量出現し、漁業に莫大な被害をもたらしている。2003 年の場合、8 月下旬から韓国南海及び西海南部海域を中心に出現し、9〜10 月には、韓国の東・西・南海の全海域に大量出現した。東海中部海域及び西海南部の一部海域では、12 月まで出現する様相を呈している。このような出現様相から考えると、Nemopilena nomurai は、西海南部及び南海から対馬暖流によって東海に移動・拡散されたものと推定される。西海の場合、半閉鎖的な海域で、水深40〜50mぐらいの浅海であるため、流入したクラゲが引き続き停滞・成長するものと判断できる。すでに明らかにされているAurelia aurita (表1)の時期別分布様相から、クラゲの分布が海流と密接な相関性のあることが分かる。

クラゲがこのように大量増殖・出現する原因については、次のような幾つかの仮定をすることができるが、これはまた、今後の研究で究明しなければならない課題でもある。

1.1990 年代末以降、持続的に水温が上昇し、2003 年夏季の沿岸水温は平年に比べ非常に高かった。沿海・近海水温の上昇と共に対馬暖流が我国周辺海域にかなり大きな影響を及ぼしていることから、このような海流が、クラゲを南海から東海・西海に移動させることに貢献したと判断できる。特に、西海と東海で広範囲に出現したのは、毎年、西海南部及び東海南部に形成される冷水帯が2003 年度には形成されておらず、これらのクラゲの移動がより容易になったのが原因ではないかと考えられる。

2.2003 年夏季・秋季、韓国の東海・南海にはコックロディニウム赤潮が大量発生し、これがクラゲの餌料生物として利用された可能性がある。しかし、これに関する研究は、今後、更に深く行われなければならない。

3.クラゲを食べるウマヅラのような資源が急激に減少したことによって、クラゲに対する捕食圧が減ったことが、クラゲ増殖に関わりがあるものと推定される。

このような幾つかの仮定を立証するため、2004 年度から研究を促進する計画が立てられている。研究の主な内容は「クラゲ出現の分布と調査」、「クラゲの異常増殖原因に関する研究」である。クラゲ出現の分布調査は、大型netting と目視調査、そして、定置網・トロールの調査などを実施する予定である。クラゲの異常増殖原因に関する研究では、コックロディニウム赤潮生物がクラゲの餌料生物として有用であるかどうかについての室内実験に、焦点を置くことになっている。

(2004年2月24日 大型クラゲに関する国際ワークショップ講演要旨集より)

(韓国国立水産科学院 : 康英實)
http://150.26.214.105/~aquadb/cgi-bin/speciesinfo.cgi?LANG=jp&TTAXID=197916&TARGET=1

 仮定の域は出ていませんが、地球規模の温暖化に影響された海流温度の上昇、中国沿岸流域における(大河からの汚染物質含む)海洋汚染によるクラゲの餌料生物の大量発生、クラゲを補食する魚類(ウマヅラ等)資源の乱獲による急激減少等が考えられているのです。

(後略)

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051025/1130211273

 日本の水産総合研究センターや韓国の国立水産科学院の科学調査レポートは越前くらげの大量発生と中国沿岸流域における(大河からの汚染物質含む)海洋汚染に強い因果関係があることを推測しています。



●越境汚染がこれ以上深刻な事態になる前に日本は中国に強く働きかけよ

 酸性雨に光化学オキシダントに海洋汚染と、空からも海からも、主に中国からの越境汚染によると思われる環境汚染が日本各地で報告されはじめています。

 日本政府はこの越境汚染に対して3つの対策を早急に施すべきです。

1.中国政府に対し、環境汚染垂れ流しを強く抗議し即刻対策を講じるように強く促す。  (場合によっては汚染垂れ流し企業との取引停止など経済制裁も躊躇しない)

2.日本の持つ環境技術を中国に導入しやすいように、日中政府間で協力、技術移転のための民間ビジネスを支援

3.日本国内および近辺の汚染監視体制の強化。

 越境汚染がこれ以上深刻な事態になる前に、日本は中国に強く働きかけなければなりません。

 日本列島にも越境汚染による影響が出始めている以上、これ以上中国企業の汚染物質の大気や海への垂れ流しを認めるわけにはいきません。

 中国政府の重い腰を上げさせるためには、この件に関しては経済制裁も含む強硬な姿勢が不可欠です。

 日本は、中国政府が問題のある中国企業の汚染物質の垂れ流しを放置しつづけるならば、即刻、取引停止や輸入停止などの制裁措置を実施すべきです。

 ・・・

 いずれにしても日本国内および近辺の大気と海流の汚染監視体制の強化は急ぐべきです。

 私は中国国内で今後20年で建設乱立が予定されている原発のことも心配しております。

 万が一、その原発における事故に起因するチェルノブイリのような広域核大気汚染が発生した場合、その事故の規模にもよりますが偏西風「かざしも」の日本が汚染される可能性が否定できないからです。

 ・・・

 どれひとつとっても、抜本的な対策は、「海洋汚染」にしても「大気汚染」にしても「風下(かざしも)」の日本で可能なことは少なくて、やはり「風上(かざかみ)」の中国に施さなければなりません。

 日本にとって、「海」にも「大気」にも国境などないわけで、この問題で偏狭なナショナリズムに陥っても何の解決にもならないし、国際協力するしか方法はないわけです。

 しかし、私たちは、酸性雨光化学スモッグと年々深刻化する中国からの越境環境汚染をただ傍観しているわけにはいきません。

 将来の国際協力のためにも、まず日本は即刻、中国企業の汚染物質の垂れ流しを、制裁してでもやめさせなければなりません。

 日本における中国からの越境汚染が、光化学スモッグではすまなくなる深刻な事態を招く前に手を打つべきです。



(木走まさみず)



<関連テキスト>
■宇宙空間までゴミをまき散らす国にオリンピックを主催する資格はあるのか?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070129/1170061262
■「死の海」との距離感が気になる輸入アサリたち〜実は「中国産」よりも「北朝鮮産」のほうがまだマシなんじゃないの?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060728/1154074073
■日本語はおかしいが主張は正しい日経社説〜「かざしも」日本の憂鬱
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051025/1130211273
■量産される中国アスベストを警戒せよ〜恐怖の大王が日本に舞い降りる?
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050805/1123214871