木走日記

場末の時事評論

ホリエモンは『不死身』ではなく『破壊者』だと思います

 この日記でも行きがかり上ニッポン放送株をめぐるライブドアVSフジ・サンケイグループに関するテキストが続いていて、書いている木走としても身勝手ながらいささか食傷気味になっております。とは言いつつも今日もこの話題から・・・(汗
 
 今日の産経新聞Webニュースによれば、『フジ、TOB成立の見通し 33%も視野』(http://www.sankei.co.jp/news/050307/kei055.htm)だそうです。

フジ、TOB成立の見通し 33%も視野

 ニッポン放送株をめぐりライブドアと激しい争奪戦を繰り広げているフジテレビジョンによる同放送株公開買い付け(TOB)が7日午後に締め切られることに関連し、日枝久フジテレビ会長は同日午前、記者団に対し「25%は順調に来ている」と述べた。

 目標の25%超取得が確実でTOBは成立する見通しとなった。

 日枝会長は、株主総会で重要事項に拒否権を発動できる3分の1超取得については「あす(8日)話す」などと述べ、視野に入っていることをうかがわせた。

 TOBの結果は8日午前に発表される見通し。

(後略)

(共同)(03/07 12:04) 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/050307/kei055.htm

 まあ、成り行きはいまだ予断を許さない状況のようです。
 ところで、『青い炎の日記』さんの『ライブドア対フジテレビ面白すぎ』2005年03月06日http://blog.livedoor.jp/hamaguri1101/)のテキスト経由で知ったのですが、ライブドアニュースで、あの元フジテレビニュースキャスターでもある政治評論家の俵孝太郎氏が痛烈にフジテレビを批判しておりました。

『「興味本位の報道は困る」とは笑止のフジテレビ』(http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1018155/detail)と題したそのコメントは、フジテレビ社長の「興味本位の報道は困る」発言に対し、お前らだけにはいわれたくない、とかなりお怒りになっております。

 (前略)
 しかし星霜移り人は去り、「話題性」や「絵づくり」を最優先にする手合いがニュースを仕切るようになって、黄金は鉛と化した。いまやどこのテレビニュースも似たような体たらくだが、「面白くなければテレビじゃない」と放言して興味本位の先鞭をつけたのがフジテレビの現経営陣であることは確かだ。

 ホリエモンを意外性のあるタレントとしてクイズに起用したのも、興味本位路線だ。テレビマンは自局の番組に出演してもらうことを、偉そうに「使う」というが、「使った」つもりの男に使われそうになって周章狼狽したのが、いまのフジテレビの姿だ。

『「興味本位の報道は困る」とは笑止のフジテレビ』より

 有名な元フジテレビ関係者が他ならぬライブドアニュースにおいてフジテレビ批判をしているのが実に興味深いわけですが、まったくもって、私が『フジサンケイグループダブルスタンダード』(http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050304)で指摘した批判と共鳴する記事であります。

 この『青い炎の日記』さんのテキストでは、不肖・木走の拙稿にも評論いただいており恐縮至極でありますが、このテキストの結語、

最近のブログの記事の中には上質なものが増えてきていて,本当に侮れないですね。テレビも雑誌も全部インターネットに飲み込まれる時代がくるかもしれませんね。

『青い炎の日記』より

これは、個人的には期待も込めてですが全く共有できる予感であります。やはりネットサイト(ブログ含め)の情報発信能力は、既存メディアと対抗できるかは予見不能ですがこれからますます強くなることでしょう。

 ただ、ネットメディア(この場合メディア網かしら)が力を付け社会的影響力が大きくなるに連れて、報道の実証性も含めたメディアリテラシー論的な議論はもっとされるべきでしょうねえ。自分のテキストの話で恐縮ですが、『ホリエモンの元部下の話』は話題性からでしょうが、会話の最後の「僕は死なないんですよ」発言だけが一人歩きして、何か『ホリエモン不死身伝説』みたいなネタ情報と化してしまいました。(苦笑)

 おかげで堀江派の人から妙に突っ込まれたり某日本TVから問い合わせが来たりと少々迷惑したのですが、それはさておき、私個人は堀江支持派でも堀江批判派でもないスタンスを取っています。

 私的には彼は『最適化された秩序破壊者』(http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050302)なのであり、彼の評価は評価する人の立場と評価するタイミングで違うと思うのです。

 かつて私は同業者として彼を見てたときにどうしても心情的に彼によって最適化される側に立ってしまうので、彼の行動には批判的でした。しかし、今回のように彼がIT業界の外側に矛を向ければ、正直に言いますと「うん。なかなかの行動力だよなあ、せいぜい、がんばってください」と傍観できるので肯定的に見なせるわけです。

 ライブドアニュースを見たついでに久しぶりにホリエモンの公式ブログ『livedoor 社長日記』を拝見したのですが、最近(3月3日)の彼のテキストがとても興味深かったです。

3/3(木) 見出しの解釈で読者の印象は変わる・・・
(前略)
私の基本スタンスは、今までどおりでそこそこうまくいっているものはそのまま残し、少しずつ時代に合わせてよくしていく。それにプラスアルファで全く新しいことをしていくといったスタンスです。ネットの双方向性を取り入れた、実験的で挑戦的なことも取り入れていきたいですが、それが全てになってしまうわけではありません。問題があることは社会に淘汰されていくと思いますしね・・・
(後略)

livedoor 社長日記』2005年03月03日(http://blog.livedoor.jp/takapon_jp/

 おお、正に最適化された秩序破壊者たるコメントですね。しかし、この人は正直だなあ・・・(汗


関連テキスト

ホリエモン考〜最適化された秩序破壊者
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050302
ホリエモンの元部下の話
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050223
フジサンケイグループダブルスタンダード
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050304
●進化を忘れた放送業界
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050305
●破壊者ホリエモンが投じた一石〜悪しき秩序は守られたか
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050308
●蟷螂(とうろう)が斧(おの)を取りて隆車(りゆうしや)に向かう〜今こそ撤収の時
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050311
●木走教授のトンデモ講義〜ホリエモン報道におけるメディアリテラシー
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050312
●最適化すすむホリエモンVS捨て身の焦土作戦
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050314
●今こそ、勝利の凱歌をあげよ〜秩序を破壊したホリエモン
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20050324