木走日記

場末の時事評論

深井智朗さんと小保方晴子さん〜自分のついた嘘を真実だと思い込む人たち

東洋英和女学院は深井智朗院長(54)の著書などに捏造(ねつぞう)や盗用があったと認定、深井氏を懲戒解雇とすることを決定しました。

(関連記事)

東洋英和の院長を懲戒解雇に 著書での捏造や盗用を認定
https://www.asahi.com/articles/ASM5B4GVBM5BUCVL00K.html

本件に関して東洋英和側は公式サイトで「研究活動上の不正行為に関する調査結果について」をPDFファイルで公開しています。

f:id:kibashiri:20190511154919p:plain
http://www.toyoeiwa.ac.jp/daigaku/news/topics/news_2019051001.html

その公開PDFファイル「東洋英和女学院大学における研究活動上の特定不正行為に関する公表概要」から、本件の概要を検証しておきます。

不正行為の具体的内容。

(3)特定不正行為の具体的内容

①本件著書第 4 章「4 ニーチェキリスト教批判の神学的援用」中に登場する「カール・レーフラー」なる人物は存在せず、当該人物が著したとされる論文「今日の神学にとってのニーチェ」は、被告発者による捏造であると判断する。また、本件著書の197 頁から 198 頁までにおいて、ヴォルフハルト・パネンベルク著『組織神学の根本問題』(近藤勝彦・芳賀力訳 日本基督教団出版局、1984 年)の 277 頁から 278 頁までにおける記述とほぼ同一の記述、同様の表現・内容の記述が、引用注が記されないまま計 10 か所認められたため、被告発者による盗用がなされたものと判断する。

②本件論考中に述べられている「エルンスト・トレルチの家計簿」の根拠資料となる1920-23 年のトレルチ家の借用書や領収書等の資料は実在せず、被告発者による捏造と判断する。

http://www.toyoeiwa.ac.jp/daigaku/news/news_201905100101.pdf

つまり引用されている論文「今日の神学にとってのニーチェ」はその著者「カール・レーフラー」なる人物も含めすべて著者による捏造であったと認定されています、また別ページではヴォルフハルト・パネンベルク著『組織神学の根本問題』から引用注のないまま2頁にわたり文章が盗用されていました。
さらに借用書や領収書等の資料は実在せず著者による捏造と断定されています。

そもそもこの不正問題、日本基督教学会で、昨年9月学会誌において「質問と応答・会員から会員へ」と題し、同学会員である小柳敦史氏(北海学園大学准教授)の深井智朗氏への公開質問がきっかけであります。

週刊誌の取材での小柳准教授の発言。

「深井先生の書籍および論考に関し、問題だと感じている部分が2点あります」

 こう指摘するのは北海学園大学准教授(ドイツ宗教思想史)の小柳敦史氏だ。その問題点は、9月25日発行の神学年報「日本の神学57」に概要が載ったことで表面化した。改めて小柳氏に説明してもらうと、

「1点目は、深井先生の著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神―ドイツ・ナショナリズムプロテスタンティズム』に、創作、敢(あ)えて申し上げれば捏造に相当する疑いがあるということ。彼はカール・レーフラーなる人物が書いた『今日の神学にとってのニーチェ』という論文に依拠して、当該書の第4章4節を展開していますが、カール・レーフラーなる人物も『今日の……』という論文の存在も確認できないのです」

 続けて2点目は、

「深井先生が雑誌『図書』の2015年8月号に寄稿した『エルンスト・トレルチの家計簿』という論考で、彼が依拠した資料が存在しているか疑わしいこと。その論考を読むと、深井先生はあたかもドイツにあるトレルチ資料室の管理責任者から資料を入手したように書いていますが、私が確認したところ、そうした事実はなかったのです」


神学の大家「東洋英和女学院長」に浮上  神をも恐れぬ“論文でっちあげ”騒動 より
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181025-00550703-shincho-soci&p=1

私が本件で感じたことは、この人の歴史的真実への不誠実な態度です。
ドイツの宗教上の「人物」とその「人物が著した論文」を完全に捏造してしまいます、こうなると、これは学問ではなく「小説」に近い、しかも自著にて大胆にも堂々と社会に広く公開していたのです。

学者として自己の論説に対する知的誠実さが欠如しています。

興味深いことは、他人の論文を勝手に盗用する行為・剽窃(ひょうせつ)、これはもちろん学術的かつ倫理的に重大なルール違反なのですが、ここにも見られることです。

思い出すのは4年前の小保方晴子氏による「STAP論文」です。

当時工学系教職である当ブログは、徹頭徹尾「STAP論文」を全否定してまいりました。

2014-03-12 学生時代からの剽窃常習犯である小保方晴子さんは完全にアウト
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140312

以下のエントリーは少なからずネット上で話題をいただきました、お時間のある読者は是非ご一読あれ。

小保方論文は"全否定"しなければならない
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/20140410/1397107527

東洋英和女学院の深井智朗院長と「STAP論文」の小保方晴子氏には、共通の資質を見出します。
共にあたかも「小説」を書くようにあるストーリーに執着し、そこには学者として「真実の追求」するという姿勢よりも、自説を補完するためにいかに「真実」を捏造するか、そのためには手段として剽窃もいとわないことです。

そして小保方晴子さんの涙ながらの「STAP細胞はあります」会見や、こたびの深井智朗院長の調査経過(言い訳に終始し最後まで自説に執着)をみるにつけ、言い方は悪いのですが、自分の嘘にいつのまにか自分も騙されている、そんな姿に見えてしまうのです。

自分のついた嘘を真実だと思い込む人たち。

深井智朗さんと小保方晴子さん。

学者よりも小説家にむいていたのかもしれません。


(木走まさみず)

男系男子維持を主張する孤高の保守メディア「産経」〜このパターン(読売・日経が日和見して産経孤立)の場合、政府も世論に日和見することが多い

今回は皇位の安定的な継承について、メディアの主張を取り上げたいです。

男系男子を維持し続けるのか、女系や女性天皇を認めるのか、意見がきれいに別れていて興味深いのです。

主要5紙の社説では、朝日、読売、毎日、日経の4紙が女性・女系容認派です。

各紙社説の当該部分を列挙します。

朝日社説。

 ■先送りできない課題

 代替わりを受け、いよいよ検討が迫られるのが、皇室活動をどう維持し、皇位を引き継いでいくかという年来の課題だ。

 30代以下の皇族は7人しかおらず、うち6人が女性だ。結婚すると皇籍を離れる決まりのため、野田内閣は7年前に「女性宮家」構想を打ち出したが、直後の政権交代で登場した安倍内閣は検討を棚上げした。

 さらに深刻なのは皇位継承者の先細りだ。今のままでは、秋篠宮家の長男悠仁さまが伴侶選びを含めて、皇室の存続を一身に背負わされることになる。その重圧はあまりに大きい。

 男系男子だけで皇位をつないでいくことの難しさは、かねて指摘されてきた。しかし、その堅持を唱える右派を支持基盤とする首相は、この問題についても議論することを避けている。日ごろ皇室の繁栄を口にしながら、実際の行動はその逆をゆくと言わざるを得ない。

 国会は退位特例法の付帯決議で、政府に対し、法施行後、この問題について速やかに検討を行い、報告するよう求めた。

 新天皇即位でお祝い気分が社会を覆う。その陰で、天皇制は重大な岐路に立たされている。

(社説)即位の日に 等身大で探る明日の皇室 より
https://www.asahi.com/articles/DA3S13998717.html?iref=editorial_backnumber

読売社説。

天皇皇嗣への支えを

 陛下は今年2月、「時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方も変わってくる」と発言された。今後も新たな皇室像の模索が続くことになろう。

 宮内庁は、陛下、秋篠宮さまと十分に意思疎通を図り、必要なサポートをしなければならない。

 代替わりにより、皇位継承権を持つ男性皇族は3人に減り、戦後最少になった。陛下の叔父の常陸宮さまは83歳、秋篠宮家の長男悠仁さまは12歳である。

 今後、結婚により、女性皇族の皇籍離脱が予想され、公務の担い手が減るのは避けられない。

 安定的な皇位継承と皇室の維持を実現する上で、女性宮家の創設などを検討していくべきだ。

天皇の即位 時代の幕開けを共に祝いたい より
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190501-OYT1T50328/

毎日社説。

「女性・女系」論が焦点

 59歳の新陛下が高齢になれば、53歳の秋篠宮さまも高齢になっており、即位をめぐり、議論になる可能性もある。次の世代の悠仁さまがいずれ皇位を継承するとしても、男系男子で皇統を継ぐことへの重圧は計り知れない。

 皇位継承をめぐって最も重要な論点は「女性・女系天皇」を認めるかどうかだ。菅義偉官房長官はいったん、即位から間を置かずに皇位継承の議論を始める考えを示したが、その後、即位関連の儀式が終わる11月以降にすると軌道修正している。問題の重要性を考えれば、速やかに議論を始めるべきだ。

 すでに2005年11月、小泉政権下で有識者会議が女性・女系天皇を認める報告書をまとめている。だが、秋篠宮紀子さまの第3子懐妊を機に皇室典範の改正は見送られ、次の第1次安倍政権は議論そのものを棚上げにした。

 右派の人は男系男子でなければ天皇制の性格が根本から変わると主張する。しかし、男女のどちらを優先するかなどの問題ではなく、天皇制そのものの危機である。

 皇室の公務を担う皇族全体としても先細りしている。女性皇族は結婚すれば皇室を離れる。結婚後も皇族として残り、公務を続けられるように、女性宮家を創設することも検討する必要がある。

 イデオロギーの対立を超えて、建設的な議論を進めるのは政治の責任である。

天皇陛下が即位 令和の象徴像に期待する より
https://mainichi.jp/articles/20190502/ddm/005/070/033000c

日経社説。

女性・女系含め議論を

さかのぼれば、2005年、当時の小泉純一郎首相のもと、若い男性皇族が不足し、皇位の継承に支障が出るおそれがあるとして法律家や学者らからなる有識者会議が開かれている。

会議は10カ月にわたる議論を経て「女性・女系天皇」の容認などを柱とした報告書をまとめた。小泉首相皇室典範の改正に前向きだったが、秋篠宮紀子さまの第3子懐妊を機に、国会への提出が見送られた経緯がある。

2年前に成立した退位特例法の付帯決議でも「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について、天皇陛下の即位後、速やかに検討し国会に報告するよう政府に求めた。

小泉首相時代の報告書も踏まえ、政府は一刻も早く新たな有識者会議を開くなどして議論を前へ進めるとともに、国民各層から幅広く意見を聴くべきだろう。

新しい「令和」の時代、国の内外ともに課題は山積しており、象徴としての天皇陛下の務めや皇族方の活動への期待もますます大きく、かつ多様になるだろう。

長い歴史と伝統を尊重しつつも、社会の変化に柔軟に対応する皇室の姿を多くの国民は待ち望んでいるのではなかろうか。

[社説]社会の多様性によりそう皇室に より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44369560Q9A430C1SHF000/

ポイントを簡単にまとめればこんな感じ。

(朝日社説)野田内閣は7年前に「女性宮家」構想を打ち出したが、直後の政権交代で登場した安倍内閣は検討を棚上げした。
(読売社説)安定的な皇位継承と皇室の維持を実現する上で、女性宮家の創設などを検討していくべきだ。
(毎日社説)右派の人は男系男子でなければ天皇制の性格が根本から変わると主張する。しかし、男女のどちらを優先するかなどの問題ではなく、天皇制そのものの危機である。
(日経社説)長い歴史と伝統を尊重しつつも、社会の変化に柔軟に対応する皇室の姿を多くの国民は待ち望んでいるのではなかろうか。

さて、産経新聞社説は強く男系維持を主張しています。

【産経社説】天皇陛下ご即位 新時代のご決意支えたい 伝統踏まえ安定継承の確立を
https://www.sankei.com/column/news/190502/clm1905020002-n1.html

産経社説の当該部分を丁寧に見ておきましょう。

まず「次の世代の男性皇族は、秋篠宮殿下のご長男の悠仁さまお一方」と「皇位の安定的な継承」対する危機感をあらわにします。

 まず、皇位の安定的な継承を確かなものとしなければならない。天皇陛下と、皇嗣(こうし)となられた秋篠宮殿下の次の世代の男性皇族は、秋篠宮殿下のご長男の悠仁さまお一方である。

「古代から現代まで、一度の例外もなく貫かれてきた大原則は男系による継承」なのであり、「万世一系の皇統を守ってきた」のだと主張します。

 古代から現代まで、一度の例外もなく貫かれてきた大原則は男系による継承である。父方をさかのぼれば天皇を持つ皇族だけが皇位継承の資格がある。

 この原則が非皇族による皇位の簒奪(さんだつ)を防ぎ、万世一系の皇統を守ってきた。女系継承は別の王朝の創始に等しく、正統性や国民の尊崇の念が大きく傷つく。

そして「今も親族として皇室と交流のある旧宮家皇籍復帰」を検討するよう主張します。

 今も親族として皇室と交流のある旧宮家皇籍復帰により、皇室の裾野を広げるよう検討してもらいたい。皇族はそもそも一般国民とは異なる特別な地位にある。男女平等の原則にしても、伝統に支えられた天皇の本質を損なうことは、憲法上も許されない。

女性宮家」に対しては、「いわゆる女性宮家の創設は、安定継承にはつながらない」と全否定しています。

 国会の譲位特例法の付帯決議が「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」と「女性宮家の創設等」を別の事柄と位置づけた点を強調しておきたい。いわゆる女性宮家の創設は、安定継承にはつながらない。

私は各紙の性質を左から右順に、朝日>毎日>日経>読売>産経と並べてみていますが、ある種の問題、この皇位継承問題や靖国参拝問題などでは、読売や日経は保守「産経」を裏切り左派陣営の論説になびいていきます。

これは読売や日経は世論の動向に極めて敏感である種の日和見主義者なのだと、私は見ています。

今回も世論は圧倒的に女系を支持しています。

朝日新聞の最新の世論調査では、女性天皇や母方だけに天皇の血をひく女系天皇を認めるのかと尋ねたところ、女性天皇については76%、女系天皇は74%が、それぞれ認めてもよいと回答、また、今後の皇室の活動を維持するために、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設については、50%が賛成、37%が反対と答えています。

共同通信の最新の世論調査でも、皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡り、女性天皇を認めることに賛成は79.6%で、反対の13.3%を大きく上回っています。

(関連記事)

「容認」7割超、女性天皇女系天皇も 朝日世論調査
https://www.asahi.com/articles/ASM4H42NFM4HUTIL00P.html

天皇陛下に「親しみ」82%
女性継承賛成79%、共同通信
https://this.kiji.is/496581864020624481

孤高の保守メディア「産経」は、与論の動向には関係なく、自己の信じる論説を主張し続けるのです。

しかし、過去事例では靖国参拝問題のときもそうでしたが、このパターン(読売・日経が日和見して産経孤立)の場合、政府も世論に日和見することが多いのですが・・・

うーむ。

とりあえず、がんばれ産経、負けるな産経。



(木走まさみず)

韓国司法で日本企業資産売却命令申請、ついに韓国は「ルビコン川」を渡った〜日本政府は速やかに対抗策を検討・準備し、実行すべき

元号令和で迎えた初日5月1日に、韓国から異常なニュースが飛び込んできました。

韓国の元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らが日本企業に損害賠償を求めた訴訟で、原告側の代理人弁護士は1日、既に差し押さえた日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越の韓国内の資産売却命令を出すよう裁判所に申請いたしました。

一連の訴訟で資産売却命令申請は初めてです。

原告側が1日に売却命令を出すよう裁判所に申請した内容を確認しておきます。

日本製鉄の場合は、韓国鉄鋼大手ポスコとの合弁会社「PNR」の株式19万4千株を売却し、9億7千万ウォン(約9300万円)の現金化をはかるとしています。

不二越については上告審の判決が出ていませんが、裁判所は同社が韓国企業と合弁で設立した「大成・NACHI油圧工業」の株式7万6千株の仮差し押さえを3月に決定しています。売却で7億6千万ウォン(約7300万円)の現金化を想定しています。

三菱重工業に関しても、4月24日付で韓国資産の開示請求手続きを取りました。すでに商標権と特許権を差し押さえていますが、他にも差し押さえ可能な資産がないか調べる目的です。裁判所が資産の提示を命じ、それに応じない場合は韓国内での金融取引に制約が生じ得るといいます。

(関連記事)

日本企業2社の資産売却申請 元徴用工訴訟で原告側
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44389110R00C19A5I00000/

なお、裁判所の決定と企業への売却命令書の送達には、一定の時間が必要とみられ、原告側は「実際の売却までには3カ月以上かかる」との見方を示しています。

ついに国際条約(日韓基本条約)を破り、日本企業の固有資産が韓国司法により一方的に没収され現金化される異常事態となりました。

この異常事態に韓国政府は「韓国民の権利行使の手続きという観点から、政府が介入することではない」(康京和(カン・ギョンファ)外相)と静観の構えです。

(関連記事)

「政府は介入できない」 日本企業の資産売却申請に韓国外相
2019.5.2 15:00国際朝鮮半島

 【ソウル=名村隆寛】韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は2日、いわゆる徴用工訴訟の原告側が、差し押さえた日本企業の資産売却命令を裁判所に申請したことに対し、「韓国民の権利行使の手続きという観点から、政府が介入することではないと思う」と述べ、韓国政府が司法判断に介入できないとの見解を改めて示した。

 韓国メディアを対象とした記者会見で語ったもので、康氏は「被害者(元徴用工ら)が納得できる方策が重要だ」とし、李洛淵(イ・ナギョン)首相を中心に韓国政府が進めている対応策については「状況を引き続き分析、検討している。対外的に政府が発表できる時期ではない」と述べた。

 康氏は会見の冒頭で、「天皇の即位で新たな時代を迎えた日本とは歴史を直視する中で、未来志向の関係発展を持続的に推進していく」とも語った。

https://www.sankei.com/world/news/190502/wor1905020016-n1.html

とんでもない発言です。

韓国政府は、韓国では1965年から両国で守られてきた日韓基本条約国際法)よりも韓国内の判決(国内法)が優先されると言っているわけです。

国際法では国家間の合意順守が原則であり、条約は3権(司法、立法、行政)を超越して国家を拘束します。

『条約法に関するウィーン条約』にも第二十七条(国内法と条約の遵守)に「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない」と明記されています。

第三部 条約の遵守、適用及び解釈
第一節 条約の遵守

第二十六条(「合意は守られなければならない」) 効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。

第二十七条(国内法と条約の遵守) 当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。この規則は、第四十六条の規定の適用を妨げるものではない。

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm

国内法で条約を否定されていたら、国家間の外交は成り立ちません。

したがって徴用工判決は明確な「国際法違反」なのであります。

この事実は一部韓国メディアも気づいています。

(関連記事)

反日の代償」は高い
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/05/2018120580029.html

たとえば朝鮮日報上記記事では、「外交条約にまで口出しできる司法権を持つ裁判所は、経済協力開発機構OECD)加盟国にはほかにない」と極めて「大韓民国の裁判所らしい」と判決の異常性を記しています。

国家間の約束を破り、国際法違反の状態をつくっている責任は全て韓国側にあります。

1965年に結ばれた協定の内容を確認しておきます。

「日韓請求権並びに経済協力協定」の内容を抜粋すると次の通りであります。

第一条で対韓国経済援助の金額と方法が具体的に明記されています。

第一条 日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する
日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

第二条では、これにおいて「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」と明記されています。

第二条 両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html

この第二条は極めて重要です。

これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

これは2005年にも当時の盧武鉉ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれている、徴用工問題は韓国政府が担当すべきである、との見解を示しています。

現在の文大統領は当時の側近だったことを忘れてはいけません。

この第二条により国家対国家としては「その国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」がすべて「完全かつ最終的に解決された」わけです。

これの意味するところは、「個人の実体的請求権の完全消滅」ではなくて、請求権の行為の対象が日本政府から韓国政府に移行した、ということであります。

これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。

わかりやすく図示するとこうです。


※作成:当ブログ

繰り返しますが、この考えは日本政府だけでなく歴代韓国政府も共有してきたものなのです。

しかるに、韓国政府は個人補償よりも自国の経済成長を優先します。

この協定による日本からの資金で韓国は「奇跡」といわれるほどの戦後の経済発展を果たしたのです。

ここで徴用工の個人補償を韓国政府ではなく日本企業に求める韓国の判決は、二重取りといえましょう。

まとめます。

日本政府はかねて韓国側に「あらゆる選択肢を検討している」と通告してきました。

日本政府はさらに「企業に不利益が及ぶことになれば、何らかの対抗措置を取らざるを得ない」との認識を示しています。

ときはきました。

もはやここまでです。

韓国は本件で最後まで国際法よりも国内法を優先し、ついに日本企業の資産の現金化申請というトリガー(ひきがね)を引いてしまったのです、韓国は二度と戻れない「川」を渡ってしまいました。

韓国のこの出鱈目な認識を改めさせるには、報復的施策しかありません。

日本政府は速やかに対抗策を検討・準備し、実行すべきです。



(木走まさみず)

「不当な国籍条項見直せ」(朝日社説)〜国籍条項廃止で発生する諸問題に対する危機感が希薄なグループが存在する

働き者で知られるアリに我々は思わず共感します。

だが、生態を観察すると、働きアリの7割はボーッとしており、1割は一生働かないことが分かってきました。

しかも、働かないアリがいるからこそ組織は存続できるという事実が、最新の生物学者の研究結果からわかってきました。

・・・

アリやミツバチのように女王を中心に巣を作りたくさんの個体が集団で生活する社会性昆虫がおります。

アリの集団(コロニー)には、女王アリのもとにたくさんのワーカー(働きアリ)がおりますが、彼(彼女)らはすべて女王アリの娘であるのが一般的です(中には複数の女王が併存している例外もあります)。

ワーカーの仕事は、・女王の世話、・卵や幼虫の世話、・巣のメンテナンス、・食料収集、など多岐に渡りますが、興味深いのは簡単な条件反射しかできない知能の彼らのコロニーが実に見事に分業されており、また敵の侵入や大雨などの非常時にも、集団として実に秩序だって正しく行動することです。

最近の研究でわかったことは、ワーカーの刺激に対する個体差が、社会性昆虫が集団行動を制御する仕組みを構成しているという事実です。

実は平時には働きアリの過半数は巣の中で仕事らしい仕事を何もしないでじっとしていたりうろうろしているだけです。

実はこの働かないワーカーに意義があったのです。

今外で食料収集中のアリがセミのなきがらを発見したとします。

これはアリにとって天からの贈り物、大変ありがたい食料です、しかし早く巣に持ち帰らないと他のコロニーや他種の生物に横取りされてしまいます。

もちろん一人では当然運べませんから、発見したワーカーは地面に道しるべになるフェロモンを付けながら巣に急ぎ帰り、巣にいる他のワーカー達に大量の食料があることを知らせます(実際には刺激を与えます)。

このときこの刺激に対しての個体差(反応閾値(はんのういきち)=「仕事に対する腰の軽さの個体差」といいます)があり、刺激を受けたすべてのワーカーが反応するわけではなく、何割かのワーカーだけが食料(セミ)のもとに行くことになります。

こうして複数のアリでセミを運ぶことになりますが、数がまだ足りなくてセミを動かせない場合、何匹かが巣に戻りまた巣の中にいる仲間に刺激を与えて数を増やしていきます。

こうしてやがてセミを運べる十分な数になり食料を巣に持ち帰ることができるのです。

ここで興味深いのはこの大忙しの最中にも、巣の中でじっとしている働かないワーカーが存在することです。

彼(彼女)は、「食料が発見された」という刺激に対して反応閾値が高い個体で、その刺激で働こうとする反射が起こりにくいと考えられています。

この個体差こそアリがコロニーを高度に分業して維持するために大切な役割を持っているのです。

ワーカーの仕事は食料収集以外にも、・女王の世話、・卵や幼虫の世話、・巣のメンテナンス、などたくさんあります。

大量の食料が発見された情報を得たからといって女王の世話や卵や幼虫の世話を放棄してしまったら、巣の維持は不可能になります。

あるワーカーは幼虫が出す「もっとエサをくれ」といった刺激に極めて敏感でその他の刺激に対しては反応閾値が高くほとんど反応しないために、卵や幼虫の世話「係り」に結果としてなっていると考えられています。

こうして平時には働きアリの過半数は巣の中で仕事らしい仕事を何もしないでじっとして待機しているのです。

彼(彼女)らは大量のえさが発見されたときに仕事をし出す個体もいれば、大雨が降ってきて巣の出入り口を閉じるときに活躍する個体もいれば、さまざまなタイミングと刺激により働き出すことに備えているともいえましょう。

ワーカー個々によってある刺激に対する反応閾値に著しく個体差がある、これが社会性昆虫が集団行動を制御する仕組みを理解するためには欠かせない概念であり、これを「反応閾値モデル」(仮説)と生物学者は呼んでいます。

(参考文献)

働かないアリに意義がある (中経の文庫) Kindle
長谷川 英祐 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E5%83%8D%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%81%AB%E6%84%8F%E7%BE%A9%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B-%E4%B8%AD%E7%B5%8C%E3%81%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D-%E8%8B%B1%E7%A5%90-ebook/dp/B01HHLWYBC

「個」と「社会」の関係を考察する上で、「反応閾値モデル」は実に多くの示唆に富んでいるといえましょう。

個々が高度な知能を有する人間社会とほぼ刺激に対する反射行動のみの知能を有するアリ社会を単純比較することは無論できませんが、我々人間社会でもこの個体による反応閾値の差というのが顕著な事例があると思われるからです。

例えばこの国の国籍条項問題。

外務公務員や公職政治家などは法律で明白に国籍条項が規定されています。

それ以外の公務員に関しても「法の明文の規定が存在するわけではないが、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには、日本国籍を必要とするものと解すべきである」とする内閣法制局の見解(「当然の法理」)が示されており、公務員は日本国籍を必要することは当然の法理となっております。

政治家や公務員だけではありません、サッカー日本代表やオリンピック日本代表も日本国籍が前提となっています、オリンピック憲章では「競技者の国籍」が明記されています。

46.競技者の国籍*
1- オリンピック競技大会に出場する競技者は、その競技者の参加登録をおこなうNOCの国の国民でなければならない。

オリンピック憲章 Olympic Charter 1996年版 (財)日本オリンピック委員会 より
https://www.joc.or.jp/olympism/charter/chapter5/45_46.html

これら明文化されている、もしくは暗黙(「当然の法理」のように)の国籍条項について、ことごとくその「閉鎖性」に反対を唱えているグループがおります。

メディアでは朝日新聞がその代表格です。

26日付け朝日新聞社説は日本相撲協会の「国籍条項」に噛み付きます。

白鵬と協会 不当な国籍条項見直せ
https://www.asahi.com/articles/DA3S13993008.html

白鵬の三本締めに「たしかに褒められる話ではない」としたうえで社説は論点を国籍条項にすり替えます。

白鵬をめぐって協会が真に考え、対処しなければいけない問題は別にある。

 日本国籍を持つ者でないと親方になれないという、時代遅れで理不尽な規定である。

朝日にとって国籍条項は「時代遅れで理不尽な規定」なわけです。

実は朝日新聞は、多くの個体(国民)がコロニー(国家)の危機と感知した刺激をまったく感じていない、危機感が希薄なグループに属しているのだと思います。

外国人移住者が増え続けている日本で一部の国籍条項を外してしまうと多くの問題が発生するという危機感は、私たち社会構成員である国民に、強い刺激を与えています、この問題で多くの個体の反応閾値を乗り越え反応を起こしている、そう思えます。

生物学的に解釈すれば、多くの個体が、国籍条項を支持しているのはこの問題を社会(コロニー)存続に関わる重大な問題と捉えているのだと思います。

しかし、多くの個体が感知しているこの刺激に対して無反応でいる個体ももちろんコロニーには存在してしかるべきです。

多くの個体がコロニーの危機と感知した刺激を彼らは感じていません、朝日新聞がまさにそうです。

国籍条項は「時代遅れで理不尽な規定」だから廃止せよ、の一点張りです。

公務員から国技まで、危機を感知していないから彼らの口からは呑気な話ばかりでてきます。

彼らはアリ社会で言えば、大きな刺激がもたらされても巣の中でまったく動かないワーカー(働きアリ)と同列なのでしょう、社会性を持つ人間集団においても、反応閾値が極めて高い集団が存在するということです。

「反応閾値が極めて高い」、これすなわち鈍感と言います。



(木走まさみず)

「安倍首相の特使と向き合って座った習主席」(韓国メディア)~よその国の特使の「席の位置」で大騒ぎって、しかし、めんどくせえなあ

小ネタです、肩の力を抜いて読み流してくださいませ。

さて自民党きっての親中派とも称される二階総務会長が、安倍晋三首相の特使として中国の習近平国家主席安倍晋三首相の親書を手渡したのでございます。

(関連記事)

二階氏が中国主席と面会、首相の親書渡す 北京で交流会
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDE23H0B_T20C15A5PE8000/

で、習近平国家主席が親書を受け取ったときの二階総務会長との距離感がまた近いのです。

こんな感じ。

f:id:kibashiri:20190426142918j:plain
日中観光交流イベントで、自民党の二階総務会長(左)から安倍首相の親書を受け取る中国の習近平国家主席(23日、北京の人民大会堂)=共同
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO8720547023052015I00001&dc=1&ng=DGXLASDE23H0B_T20C15A5PE8000&z=20150523

座席も上座下座もなく当たり前なんですがタメなのですが距離も近くて、二階氏の前のめり感もほどよく出ていていい写真なのであります。

さすが親中派二階氏であります、だてに地元(和歌山県)にパンダ7頭いるわけじゃないのです。

まあ中国側にしてみればアメリカとのこじれた関係から戦略的に日本に近づいているだけなのでしょうけどね。

まあたわいのない話ではあります。

さてです。

国際政治外交上のどうでもいい習さんと二階さんの写真が、ある国で波紋を呼んでいるのであります。

日本特使の扱いが韓国特使とは違うとの、記事が韓国・中央日報に掲げられるのでございます。

中央日報記事)

安倍首相の特使と向き合って座った習主席、韓国特使とは違う…
https://japanese.joins.com/article/748/252748.html?servcode=A00§code=A00&cloc=jp|main|ranking

記事は「習主席が二階幹事長と対等な位置で向かい合って座」っていることに驚きます。

習主席はこの日、日本首相の特使を向かい合って座った。中国国営の新華社通信など中国メディアの25日の報道によると、習主席が二階幹事長と対等な位置で向かい合って座る写真が掲載されている。あたかも両国首脳が会って拡大首脳会議をしているような場面だ。

だって韓国の特使の時は「上席と下席」だったとお怒りです。

これまで韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領は2人の特使を送ったが、その当時の状況とは異なる。李海チャン(イ・ヘチャン)元首相が2017年5月19日に訪中して習主席に会った時は「上席と下席」という声が出てきた。

当時の写真付きです。

こんな感じ。

f:id:kibashiri:20190426144616j:plain
2018年3月12日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が文在寅ムン・ジェイン)大統領の特使として訪中し、中国の習近平主席に会っている。(北京共同取材団
https://japanese.joins.com/photo/306/1/206306.html?servcode=A00§code=A00&cloc=jplarticlelpicture

・・・

ふう。

これはついていけないなあ。

よその国の特使の扱い、しかもその外交内容ではなく、どうでもいい「席の位置」で大騒ぎする国ってどうでしょう。

しかし、めんどくせえなあ。

読者の皆さん。

どう思われますか。




(木走まさみず)

暴走運転で尊い2人の命を奪った男を「さん」付けで報道する日本のメディア

妻と3歳の娘を亡くした夫が会見で訴えた全文です。

「少しでも運転不安な人は考えて」 池袋暴走、遺族の夫(会見全文)
https://www.asahi.com/articles/ASM4S5VMQM4SUTIL05T.html?iref=com_rnavi_r1

お悔やみ申し上げます。

そしてこの悲劇の中で告別式当日というタイミングでの、まだ心を癒やすほどの時が全然十分には流れてはいないはずなのに、できうるかぎりの感情を抑制した冷静な会見に、心打たれました。

さてです。

今回は日本のメディアの事件報道について一言いいたいのです。

朝日新聞報道によれば、車を暴走させた男(87才)は最近は車庫入れも覚束なかったとの近所の目撃談が出ています。

 飯塚さんと同じマンションの住人男性は今年、飯塚さんが駐車場にうまく車を止められず、前後に何度も動かす様子を見たという。「奥さんが外に出て『もっとハンドル切って』などとやっていた」。男性は「事故を心配していた。ショックです」。

「運転やめる」告げていた87歳 猛スピードの目撃情報 より
https://www.asahi.com/articles/ASM4M5CQTM4MUTIL037.html?ref=huffpostjp

上記記事で事故を起こした男を「飯塚さん」と敬称付きで呼称していることにすごく違和感があるのですが、なんだろうこの男の暴走運転で二人も尊い命が奪われたというのに「さん」ですか。

逮捕された神戸バス事故の運転手は呼び捨てか容疑者扱いです。

逮捕=有罪、逮捕されない=無罪ではもちろんありません、日本のメディアのわからない基準のひとつに『容疑者』という言葉が多く使用されていますが、しかし、逮捕されていない被疑者については『容疑者』と言わずに他の表現がされることが散見されます、「氏」とか「さん」とか「メンバー」とか「院長」とかです。

一般論でいえば、逮捕されていれば、その人物が捜査対象となっていることが明らかですが、逮捕されていなければ、犯罪の疑いをかけられて捜査の対象となっているかどうかを一義的に判断する基準がないため「容疑者」使用を躊躇するようです。

しかしながら、今回の飯塚幸三の場合、現場の状況から「犯罪の疑いをかけられて捜査の対象」になっておるのは明白であり、そのような容疑者に敬称を付ける報道に理解できません。
彼が逮捕されないのは「事故後けが(胸部骨折)で入院している」ためだけでしょう。

逮捕されていない飯塚幸三には敬称「さん」を付け、逮捕された神戸の運転手には敬称なく報道されるのです。

暴走運転で尊い命を2人も奪った男を「さん」付けで報道を繰り返す日本のメディアの曖昧な基準に怒りを覚えるのです。



(木走まさみず)

立憲民主党よ、独自候補を擁立できず、自主投票に回っておいてなにが「受け皿となる」だ〜君たちが無能だから自民党が慢心してしまうのだ

夏の参院選の前哨戦と位置付けられた衆院大阪12区、沖縄3区の両補欠選挙は、自民党の2敗で終わりました、両選挙とも自民党にとって勝機のない完敗だったと申してよいでしょう。

まず大阪ですが、維新候補が強い、強すぎました。

大阪12区では、7日にあった大阪府知事と市長のダブル選挙に続き、大阪都構想が大きな話題となり、知事選の勢いを保ったまま補選に突入したと見ていいでしょう。

次に沖縄ですが、この半年余りを振り返れば、昨年9月の知事選、今年2月の県民投票に続き「辺野古ノー」の民意が三たび示されたことになります。

安倍政権として埋め立ての土砂投入に踏み切った上での3連敗であります。

こちらも完敗であります。

政権にとりこの衆院補選2敗の持つ意味は重いです。

22日付け日経社説は「安倍1強とおだてられ、慢心はなかったか」と安倍政権を批判しています。

敗因は都構想と普天間移設だけだったのか。安倍1強とおだてられ、慢心はなかったか。閣僚らの相次ぐ失言騒動などもさりながら、その際の事態収拾の遅さは安倍政権と民意の間に距離があることを示している。

衆院補選2敗の重みをわかっているか(日経社説) より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44018550R20C19A4SHF000/

さてこの自民党内の慢心ですが、22日付け毎日社説も指摘しています。補選2連敗を「織り込み済みと強がる空気」が自民党内にあるようです。

 自民党内には沖縄3区の負けを織り込み済みと強がる空気があった。第2次安倍政権以降の国政選挙で自民党は沖縄で敗北が続いても全国的には勝利を重ねてきたからだ。

衆院沖縄3区補選 政権に問う3連敗の重み(毎日社説) より
https://mainichi.jp/articles/20190422/ddm/005/070/029000c

自民党内にくすぶる、沖縄と大阪は普天間と都構想という特殊な事情のある地域の選挙戦であり、ここで負けても政権批判には当たらない、仕方ないとするの敗北「織り込み済み」論でありますが、当ブログは与しません。

この補選2連敗を反省なく慢心を放置していけば、この敗戦はもしかしたら将来「長期政権の終わりの始まり」だったと、見なされるターニングポイントになるかもしれません。

・・・

さて野党諸兄が「へんちくりん」な勝利宣言です。

まず国民民主党

【談話】衆議院沖縄3区補欠選挙の結果を受けて
https://blogos.com/article/372421/forum/

玉木代表は「私たち国民民主党も共鳴し、全力で支援を行いました」と力強く勝利宣言です。

 屋良候補は、ジャーナリストとして長きにわたり沖縄の基地問題に取り組み、その解決策を模索し続けてきたエキスパートです。今回の選挙戦では、基地問題のほか、子ども子育て支援、沖縄経済振興など明確なビジョンを示し有権者に訴えました。その姿勢に、私たち国民民主党も共鳴し、全力で支援を行いました。

全力で支援をしても支持率1%の御身の政党としての弱さは見えないのでしょうか。

次に立憲民主党

立憲・長妻選対委員長、補選完敗の自民に「失速感じる」
https://www.sankei.com/politics/news/190421/plt1904210040-n1.html

長妻選対委員長は「自民党の失速を感じ」たと宣言です。

参院選に向けて自民党の失速を感じている。野党共闘を強力に進めていきたい」

アベノミクスの評価やこれまでの安倍晋三政権の数々の問題点について、無党派の方々も含めて厳しい判断があるのではないか」

立憲民主党が(そういった批判の)受け皿となることが必要だ」

立憲民主党が受け皿となる」と高らかにおっしゃいます。

なんだ、この説得力のない「へんちくりん」な勝利宣言は・・・

いいですか、立憲民主、国民民主両党は、大阪12区では独自候補を擁立できず、自主投票に回ったのです。

さらにです、立憲民主党は沖縄3区補選でも自主投票だったではないですか。

立憲民主党などの野党は選挙戦で存在感を示す局面はまったくありませんでした。

自民党敗北を自分たちの勝利だなどと勘違いしないでください。

本来なら立民、国民の野党諸氏が敗北宣言をすべき状況なのです。

君たちが無能だから自民党が慢心してしまうのです。



(木走まさみず)