木走日記

場末の時事評論

「最高レベルの進化をとげる日米同盟」と「訓練すらできない米韓同盟」を嘆く韓国保守メディア~米国の対韓国軽視は文大統領のデタラメ外交がまねいた自業自得

18日付けの読売新聞が次世代戦闘機の日米共同開発を米側が提案してきたと報じています。

F35機密 米が開示提案…F2後継 共同開発視野に
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190418-OYT1T50095/

(会員記事)なので直接の引用は控えますが、要約すると現在の最新ステルス戦闘機F35のソフトウエアを米が開示しそれを改良、さらにハードウエアは史上最強のステルス戦闘機と呼ばれているF22の機体を活用して新戦闘機を日米共同開発しようという米側の提案なのであります。

この提案のすごいところは8カ国共同開発したF35ですがそのソフトウエアはいままで米国が独占していてアメリカ空軍にとって最高機密に属している情報なのでありますが、それを日本には開示しようという点と、さらに驚くのは史上最強の戦闘機と呼ばれるF22に関しては米国以外には一切使わせていない、同盟国から要望があっても機密保護のため完全に情報が遮断されていた戦闘機なのであります。

提案の中身がすごすぎてにわかに信じられない内容の読売スクープなのですが、まあしかしこの内容の共同開発案は昨年あたりから日米双方から情報がリークされていました。

昨年10月の毎日新聞記事ではすでに「F22をベース」と報じられています。

防衛省
F2後継、日米共同開発へ F22をベースに
https://mainichi.jp/articles/20181029/k00/00m/010/126000c

昨年11月の日本経済新聞記事ではアメリカ側から共同開発が提案されていることが報じられています。

米ハネウェル幹部、F2後継機「日米共同開発を」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38387790Q8A131C1XA0000/

もし読売報道が事実だとした場合ですが、これは日米同盟にとって画期的なトピックとなることでしょう。

アメリカが共同開発した同盟国にさえ開示を認めなかったF35のソフトウエアを日本にだけ開示しなおかつ機体は完全機密だった最強のF22をベースにして共同開発する、これは米側が同盟国として日本を高く信頼している証でもありましょう。

まあ、うがった見方をすれば、アメリカは金のかかる次世代戦闘機開発で日本を巻き込んだともいえそうですが。

日本側が開発している独自のストレス技術や小型エンジン技術がアメリカ側の高い関心をもたれていることもアメリカの態度を後押ししたようです。

読売記事によれば、世界最高水準の後継機を日米で共同開発するという構想であります。

さて、この共同開発報道にショックを受けたのがアメリカの同盟国韓国なのであります。

韓国メディアが大騒ぎしています。

朝鮮日報
対韓技術移転に消極的な米国、日本にF35戦闘機の機密提供を提案
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/19/2019041980079.html
中央日報
米「F35機密、日本に開示」…世界最高ステルス機の共同開発視野に
https://japanese.joins.com/article/494/252494.html?servcode=A00§code=A00&cloc=jp|main|top_news

朝鮮日報記事は日本への特別扱いをこう報じています。

■日本に対する類例なき破格の措置

 専門家らは、日本が当初F35の共同開発に参加しなかった国だという点を考慮すると、米国のこうした措置は類例のない破格の措置だと指摘した。F35は米国のほか8カ国が投資して国際共同開発の形で作られた。米国は、投資額の規模によって「レベル1」から「レベル3」まで分類し、差をつけた待遇を行ってきた。20億ドル(現在のレートで約2240億円)以上を投資した英国が唯一の「レベル1」国家で、「レベル2」国家にはイタリア・オランダ、「レベル3」国家にはトルコ、オーストラリア、ノルウェーデンマーク、カナダが属する。米国は、極秘技術の結晶体であるF35を、共同開発に加わった国を中心に販売してきた。共同開発に加わらなかった国でF35の販売を認められた国は、韓国をはじめ日本、ベルギーの3カ国しかない。

韓国にはアメリカの技術移転を拒否したくせに、と不満げなのであります。

■韓国への技術移転には消極的な米

(中略)

 米国のこうした対日アプローチを巡り、専門家らは「韓国への先端技術移転に消極的だったのとは対照的」と指摘した。韓国がF35を配備する際、米国は当初、韓国型戦闘機(KFX)開発のため25分野の技術を移転すると決めた。ところが最終的に米国は、フェーズドアレイ(AESA)レーダーシステム統合、赤外線捜索・追跡(IRST)装置、電子光学標的追跡装置(電子光学照準ポッド、EOTGP)、電波妨害装置(RFジャマー)統合に関する4分野の中心技術移転を拒否した。

記事の結びは今の韓国保守メディアの嘆きの心情をよく表していると感じました。

このところ韓米同盟が訓練をしない「象徴的同盟」へと衰えつつあるのとは対照的に、米日同盟は最高レベルの情報を共有するほどに進化しているのだ。

「最高レベルの進化をとげる日米同盟」と「訓練すらできない米韓同盟」を嘆く韓国保守メディアなのであります。

しかしです。

米国の対韓国軽視は文大統領のデタラメ外交がまねいた自業自得なのでありませんか。



(木走まさみず)

「司法判断の独立性が完全に担保されない国からは撤退」〜遂に始まった日本企業の韓国撤退

株式会社フェローテックホールディングスのホームページはこちらです。

f:id:kibashiri:20190417153802p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/

で、トップページに4月16日付けのプレスリリースがPDF形式で2本公開されています。

2019-04-16
韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ picture_as_pdf PDF [150.0KB]
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164002.pdf
2019-04-16
韓国子会社における CVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ picture_as_pdf PDF [174.0KB]
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164001.pdf

まずは「韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ」の主文。

f:id:kibashiri:20190417154534p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164002.pdf

19年2月に同社と元従業員3人が不正競争防止および営業機密保護に関する法律違反の罪で韓国検察当局に起訴されていた件で、韓国東海カーボン株式会社から民事訴訟をおこされたことを報告しています。

一方の「韓国子会社における CVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ」の主文はこちら。

f:id:kibashiri:20190417154548p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164001.pdf

ポイントはココです、韓国から撤退する理由は「昨今の韓国における日系企業に対する司法判断等を鑑みた場合、同国における司法判断の独立性が完全に担保されない懸念があることから、ステ−クホルダーの皆様へ与える影響を
考慮し、潜在的なリスクを現段階で最小化」、つまり日本企業として、とても韓国における裁判のリスクを抱え込むことはできないという判断です。

撤退費用は4〜6億円かかる見込みだそうです。

このニュース、早速日本経済新聞電子版が速報します。

半導体フェローテック、韓国事業撤退 司法判断受け
エレクトロニクス 朝鮮半島
2019/4/17 10:06

半導体関連部材のフェローテックホールディングスは16日、韓国子会社が部材事業から撤退することを発表した。同社を巡っては2月、韓国子会社と元社員3人が不正競争防止と営業機密保護に関する法律違反の罪で韓国検察から起訴されていた。事業撤退で4億~6億円の損失を見込む。韓国子会社は今後、別の事業に転換して存続させる方針だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43828650X10C19A4EAF000/

Bloomberg記事が続きます。

韓国の司法判断懸念で現地子会社の事業撤退-半導体フェローテック
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-17/PQ306F6TTDS101

Bloomberg記事によれば韓国撤退発表を受けて「17日の同社株は一時前日比3.3%高の1340円まで買われた」とされています、同社の韓国撤退判断を市場は評価しているようです。

当然の判断です。

韓国では日本企業への訴訟が今この時も加速をつけて増えています。

日本経済新聞の調べによると(2018年10月30日付「徴用工訴訟、70社超が対象に 訴状未着の企業多く」)、これまでに徴用工関連では計960人の原告から15件の訴訟が提起されており、日本製鉄、三菱重工業不二越の他、日立造船横浜ゴム清水建設住友化学熊谷組大林組、フジタ、クボタ、IHI日産自動車宇部興産王子製紙三井金属、森永製菓、三菱電機、鹿島、大成建設古河機械金属パナソニック東芝三菱マテリアルなど、71社に及ぶ日本企業がターゲットにされています。このリストに、新たに72社目として「日本コークス工業」という社名が加わったのです。

(参考記事)

韓国で「元徴用工」が増え続ける理由 被告日本企業は72社に
https://blogos.com/article/371473/

この日本企業に対する不当な徴用工裁判の乱造ですが、韓国政府は完全に沈黙、見守るように黙認しているのです。

フォローテックの「昨今の韓国における日系企業に対する司法判断等を鑑みた場合、同国における司法判断の独立性が完全に担保されない」という判断は、真に正しいのです。

日本企業の韓国撤退が遂に始まりました。

経営者が正しくリスク判断をすれば、韓国での「司法判断の独立性が完全に担保されない」訴訟は無視できないリスクでしょう。

日本企業の韓国撤退、今後加速する可能性は大きいと考えます。



(木走まさみず)

WTO敗訴に関して日本政府は冷静に敗因分析をせよ〜韓国に対上級委員会ロビー活動で圧倒されたのではないか?

誠に残念です。

NHKの報道によれば、WTO世界貿易機関が韓国側の主張を認めたことについて、韓国地元メディアや市民団体からは「日本に衝撃が広がっている」とか「国民の安全が勝利した」といった声が上がっています。

韓国メディアなど「国民の安全が勝利」「日本に衝撃」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190412/k10011882161000.html

JBPRESSの記事でも韓国がお祭り騒ぎと報じています。

WTOで日本に「逆転勝訴」の韓国がお祭り騒ぎ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56112

「今回、久々に「国際的に」日本との争いに勝利した」のだそうです。

 文在寅政権がこのところ、異常な反日攻勢を行ってきたのは、周知の通りだ。だが、慰安婦財団解散、旭日旗掲揚拒否、レーダー照射、徴用工判決、天皇への謝罪要求・・・と、ことごとく国際的には「失笑」を買ってばかりだった。それが今回、久々に「国際的に」日本との争いに勝利したのである。

幼稚な韓国の反応は勝手にすればよろしいでしょう、ここでは無視します。

さてです。

韓国による福島など8県産の水産物輸入禁止措置をめぐる世界貿易機関WTO)判決は日本にとって事実上の「敗訴」となりました。

国際法を盾に突破口を開く外交戦略は見直しを迫られたわけです。

ここは今回の判決を冷静に振り返る必要があります。

WTOの上級委員会の判決は、日本産食品の安全性を認めた一審の判断を変えていません。

韓国が日本に対する措置を強化する際に周知義務を果たさなかった点でもWTO違反を認めています。

しかし、輸入規制措置そのものがWTO違反だという肝心の主張が受け入れられなかったのです。

一審は韓国の措置が日本を不公正に差別しており「過度に貿易制限的」だとしていました。上級委はその判断を取り消したのです。

この敗訴により日本はWTOという国際法に基づく交渉カードを失ったわけです。

WTOで一審の判決が上級委で覆る例はあります。政府関係者は「食品の安全性に関するデータが非常にしっかりしていて自信を持っていた」と語っており、一審が日本の意見とほぼ同じだったことが誤算を招いたかもしれません。

日本の逆転敗訴は、今後の日本産食品の輸出戦略に影を落としました。原発事故に伴う各国の輸入規制が足元で徐々に撤廃されてきたタイミングだけに韓国の勝訴は各国の動きに水を差します。風評被害の払拭は大きな課題となることでしょう。

原発事故後、54カ国・地域で日本産食品の輸入規制が導入された。現在も23の国・地域で規制が残っています。昨年11月には中国で新潟産のコメが輸入解禁になるなど緩和の動きが広がりつつあっただけに残念です。

今回の逆転判決、日本にとって敗因の分析はしっかりしなければなりません。

ネット上では今回の判決自体を大したことはないと軽んずる論調も散見しますが、当ブログはそのような論には与しません。

今後の対韓国では徴用工問題で、仮定の話ではありますが韓国の狼藉を国際司法裁判所(ICJ)に提訴することもありましょう。

日本は国際会議や国際裁判等の対応で非常に水面下の活動が弱いのは「捕鯨問題」でも露呈しています、少しお行儀が良すぎることはないでしょうか?

ひとつの側面としてですが、今回の「逆転」で韓国に対上級委員会ロビー活動で圧倒された点は否めないでしょう。

韓国の水面下の活動を報ずる日経新聞記事より。

(前略)

第一審にあたる紛争処理小委員会(パネル)が2018年2月、輸入禁止は不当な差別だとして韓国に是正を勧告すると、韓国は同年4月、判決を不服として上訴した。

並行して韓国の産業通商資源省、海洋水産省、外務省など8省庁を横断する「紛争対策チーム」を立ち上げた。通商分野を専門とする外部の弁護士も交え、パネルの判断を上級委員会で覆す戦略を練った。

韓国が日本だけに特別厳しい輸入禁止措置を取ることの妥当性をアピールするために引き合いにしたのが、汚染水処理や廃炉など原発の事故処理がなお続く日本の現状だ。対策チームには原子力安全委員会も加わった。

「パネルの判断は、韓国がそのような状況にある日本と海でつながる隣国であるという特別な状況について考慮していない。そこを強調した」。韓国政府関係者は語る。

韓国、WTO「逆転勝訴」の舞台裏 日本の「状況」訴え より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43669670S9A410C1FF8000/?n_cid=SPTMG002

そして今回7人定員の上級委員が4人空席で3人しかいなかったことも、結果論ですが「逆転敗訴」を招く韓国の水面下の活動に有利だったかもしれません。

(関連記事)

WTO上級委員の再任を米国が拒否、紛争処理機能まひの恐れ
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2018/09/221108.php

7人よりも3人だけなら影響を与えやすいともいえそうです。

いずれにしてもです。

将来のために、WTO敗訴に関して日本政府は冷静に敗因分析をすべきです。

「風評」に「科学」が負け続けるわけにはいかないのですから。



(木走まさみず)

日本の政治に特有の概念「首相の任命責任」について考える〜本来大臣がダメならばダメなのは大臣の責任なだけだ

今にして振り返ればですが、桜田氏は昨年11月の就任記者会見で「東京オリンピックパラリンピック担当大臣」と自己紹介するところ、オリンピックという単語は飛ばしてしまいパラリンピックをうまく発音できず3度言い直し、グダグダの自己紹介をしていたのでありました。

(会見動画参考サイト)

第4次安倍改造内閣閣僚記者会見「櫻田義孝大臣」
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg17757.html

当時は緊張からのミスかとも思えたのですが、その後の桜田氏の国会等における繰り返される失言の様子を伺っていると、これはきつい表現かもしれませんが、この方の日本語の能力になにか問題があるのではないかと疑うようになりました。

「レンポウ」と何ども議員の名前を間違えたり、オリンピック予算で「億」を何回も欠落させたり、被災地石巻を何ども「イシマキ」と言い間違えたりと、一度間違えた日本語のミスを修正がうまくできず何ども繰り返してしまうわけです。

また今年2月には、競泳の池江璃花子選手の白血病公表について、桜田義孝五輪相が「本当にがっかりしている」と失言した点ですが、「病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿に戻ってもらいたい」と真摯な受け止めを発言してるんですよね。

その後で、記者とのやり取りで「金メダル候補」というのが「トリガー」になるのですが、彼は「金メダルへの期待」というフレーズから(日本のメダル減るのは)「がっかり」と、心のうちに浮かんだ「がっかり」という単語をそのまま発言してしまうのですね。

 --きょう、競泳の池江選手が自らが白血病であることと、しばらく休養することを発表しました。大臣として、これについての受け止めをお願いします

 「正直なところ、びっくりしましたね。聞いて。本当に。病気のことなので、早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿に戻ってもらいたいというのが、私の率直な気持ちですね」

 --競泳の中ではですね…

 「本当に、そう、金メダル候補ですからねえ。日本が本当に期待している選手ですからねえ。本当にがっかりしております。やはり、早く治療に専念していただいて、頑張っていただきたい。また元気な姿を見たいですよ。そうですね」


「がっかり」だけではなかった 桜田五輪相発言全文
 より抜粋
https://www.sankei.com/sports/news/190214/spo1902140029-n1.html

そして今回の「復興以上に大事」失言なのであります。

さすがに、もはやここまでです、安倍首相は「任命責任はもとより私にあるとお詫びしています。

「被災者の皆さまに深くおわび申し上げたい。任命責任はもとより私にあり、こうした事態に至ったことについて、国民におわび申し上げる」

安倍首相「任命責任は私に 国民におわび」 桜田五輪相辞任へ
https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/010/242000c

それにしてもです、ここまで日本語の能力に問題がある(と思われる)お方が、千葉県柏市議から千葉県議を経て衆議院議員を7期連続で務めているというベテラン政治家のポジションに居られることが不思議といえば不思議なのであります。

選挙や議会、いろいろな場面で有権者や他の政治家の前での演説や討論の場があったことでしょう、その時はどう過ごされてきたのか?

いずれにしても任命責任は私にあると認めている安倍首相なのであります。

さてです。

良い機会なのでこの「任命責任」について、みなさんと考えてみたいのです。

任命責任ですが、この概念は極めてわかりづらいですね、日本政治特有の結果責任のことです。

会社で技術者を採用するとき最後に社長が最終面接して合格を決定したとします。

ここで技術者が採用に値するスキルがあるのかどうかこの採用の瞬間は社長に確かに任命責任があるのは事実です。

しかし、この技術者が数年後犯罪を犯して逮捕されたとして、社長の任命責任が時間をさかのぼり問われることはありません。

個人として行動に責任を負う独立した社会人だからです。

例えばアメリカ大統領は副大統領以下を次々に任命していくわけですが、任命された政治家がどんな理由で途中辞任したとしても大統領の任命責任が問われることは絶対にありません。

スキャンダルで辞任すればまずその政治家個人が責められます、ときに大統領は支持率低落という形で巻き込まれますが、それだけのことです。

独立したそれぞれ行動に責任を負う政治家たちだからです。

任命責任という結果責任、言うならば一種の連帯責任なわけですが、日本の政治に特有の概念と考えてよいのではないでしょうか。

首相の任命責任という結果責任を認めれば、内閣に受け入れた首相の責任とは別に、このような人物を在庫一掃で大臣に推挙した二階氏にも推挙責任があると思えます。

さらに言えばです、このような人物が連続当選している千葉8区の有権者のみなさんにも投票責任があると思えます。

それこそ、この政治家に関わる関係者をすべて連帯して責任を負わせる、芋ズル式責任論になってしまうと思います。

大臣がダメなら任命した首相がその責任を連帯して負う、これですね、部員が暴力事件を起こせば野球部全体で責任を負い地区予選を辞退させるみたいな高野連的な浪花節論理に近いのです。

大臣がダメならばダメなのは大臣の責任です。

別人格である総理大臣は、選良である大臣のその過ちを連帯して責任を取ることは本来その必要はないはずです。


ふう。



(木走まさみず)

新一万円札の肖像となる渋沢栄一が韓国メディアで騒がられている件〜少し日本のことはほっておいていただけないかなあと、思ってしまうのは私だけ?

新紙幣であります。

麻生太郎財務相は9日午前、2024年度上期をめどに1万円札と5千円札、千円札の紙幣を刷新すると発表しました。新しいお札の顔は1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎となり、明治維新以降の日本の実業や女子教育、医学研究を切り開いた人物が選ばれました。

(関連記事)

新紙幣のデザイン発表 1万円札は渋沢栄一5000円札は津田梅子氏 千円札は北里柴三郎
https://www.fnn.jp/posts/00044622HDK

うむ、新元号の「令和」改元発表と10日後のシンクロする新紙幣発表、このタイミングです、いかにも政治的な臭いがプンプンするわけです。

ここで若干うんざり(失礼)するのがこのニュースです。

日本の新貨幣に激しく反応する韓国メディアなのです、韓国・朝鮮日報記事から。

日本、新天皇即位に合わせ20年ぶりに新紙幣
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/10/2019041080105.html

そして同じく朝鮮日報は一万円札の渋沢は「韓国経済収奪を主導」した主犯であると批判します。

日本の新1万円札に渋沢栄一、植民地時代の韓国経済収奪を主導
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/04/09/2019040980264.html

記事は「大韓帝国で発行された最初の紙幣に渋沢の顔が描かれていた」との怨念から語られます。

 渋沢栄一は韓国の歴史でもよく知られた人物だ。日本による植民地時代の1902-04年に大韓帝国で発行された最初の紙幣に渋沢の顔が描かれていたからだ。渋沢は日本で設立した第一国立銀行韓半島に進出させ、日本による利権収奪を主導した。当時、渋沢は第一銀行を大韓帝国中央銀行にするという野心を抱いていたが、韓国統監だった伊藤博文がこれを阻んだ。渋沢は代わりに、第一銀行の紙幣に自身の肖像画を入れて恨みを晴らしたのだ。

記事は渋沢は「日本では実業家として仰がれた人物」だがとんでもない、朝鮮半島では「植民地収奪の柱だった貨幣発行と鉄道敷設の二つの事業を主導」した人物だったとします。

「我が国の至る所で資源を収奪して日本に送った」人物だと言い切ります。

 渋沢は日本では実業家として仰がれた人物だが、韓半島では植民地時代の経済収奪の主役とされている。渋沢は植民地収奪の柱だった貨幣発行と鉄道敷設の二つの事業を主導した。京仁鉄道合資会社を設立し、我が国の至る所で資源を収奪して日本に送った。 また、黄海道(現在は北朝鮮側)に農業拓殖会社を設立して朝鮮人小作人から小作料を過剰に搾取し、黄海道の小作争議(農民運動)を触発した。

一万円札に渋沢を採用したのは「安倍政権の歴史否定の基調が反映されたものとの解釈も出ている」と結ばれています。

 日本政府が新紙幣の人物として渋沢栄一を採用したのは、安倍政権の歴史否定の基調が反映されたものとの解釈も出ている。安倍首相は長期政権を実現するために、戦後の反省を否定する歴史観を前面に出してきた。韓国大法院(最高裁判所に相当)による強制徴用賠償判決、歴史教科書歪曲(わいきょく)などによって韓日関係が悪化する中、日本の今回の決定は摩擦をいっそう激化させるとの見方も出ている。

うーん、日本の新紙幣に関して早くも批判を始めた韓国メディアなのであります。

そういえば新元号「令和」にも強い関心を示していました。

関連エントリー

恐るべき病的な韓国起源説が新元号「令和」をも襲う
https://kibashiri.hatenablog.com/entry/2019/04/04/121513

しかし新一万円札の肖像となる渋沢栄一が韓国メディアでは「我が国の至る所で資源を収奪した」男として、今現在猛烈な批判の対象となっているわけです。

ちなみにですが、1902年から1904年にかけて大韓帝国で発行された初期の第一銀行券の1円、5円、10円券には当時の経営者だった渋沢の肖像が描かれていたわけですが、この第一銀行券を「一国の紙幣が日本の民間銀行の銀行券を使用しているのはいかがなものか」と韓国独自の中央銀行(後の朝鮮銀行)へと切り替えたのは韓国統監時代の伊藤博文でありますが。

しかし、日本の事物にしつこい韓国なのであります。

ここまでくると、若干うんざり(失礼)してしまいます。

少し日本のことはほっておいていただけないかなあと、思ってしまうのは私だけでしょうか。

ふう。



(木走まさみず)

野党が選挙でここまで弱くなってしまった理由

さて統一地方選の前半戦が終わりました。

目立ったのは大阪維新の健闘ぶりと全国的には自民党の底堅さでありましょう。

それにしても「安倍一強」などとメディアで揶揄されるこの自民党「選挙無双」状態なのでありますが、自民党が強いというよりも野党が弱すぎるというのが実情のようです。

なぜ野党はここまで選挙に弱くなってしまったのか?

今回の統一地方選の象徴的な二つの選挙に注目してみましょう。

まず北海道知事選、選挙結果をNHK速報サイトから。

北海道知事選
f:id:kibashiri:20190409154457p:plain
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/touitsu/2019/01/14033/skh44689.html

自民・公明・大地が推薦した保守系の鈴木直道氏(38歳)が勝利したわけですが、注目していただきたいのは、その得票数と得票率です、1621171票、62.7%と、野党系候補にダブルスコアに近い大差をつけている点です。
北海道といえば社会党時代以来伝統的に革新系が強い土地柄です、各野党の基礎票を単純に積み上げただけでもこのような大差がつくわけはないはずなのです。

地元北海道新聞も革新系の敗北の要因について社説にて分析しています。

新知事に鈴木直道氏 名実ともに「道民目線」で
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/294237?rct=c_editorial

当該部分を抜粋。

 道知事選は、統一地方選で行われた11知事選で唯一の与野党対決型だったが、投票率の低迷傾向は変わらなかった。

 与野党の候補選びが迷走した影響は否めない。鈴木氏は自民党の対応が決まる前に名乗りを上げることになった。構図が固まったのは告示の1カ月半前だ。

 候補者の公約提示はさらに遅れた。政策論争を深める時間が足りなかった大きな要因である。

 とりわけ野党側は、IRや泊原発の再稼働といった争点化しやすい課題がありながら、組織力や鈴木氏のイメージを基にした与党側の厚い壁を破れなかった。

野党側が御贔屓の北海道新聞は、例によって野党側の準備不足や組織の連携不足などを敗因に上げておりますが、それだけでこれだけの大差が説明付くわけではありません。

ズバリ、タマつまり候補者の差でしょう。

30才から財政破綻夕張市長を8年勤め上げ実績をあげた鈴木直道氏は、38才の若さながら、夕張の経験をうまく組み込んで語る演説もすばらしく上手で、ルックスもご覧のとおり精悍であり、多くの道民にこの人に投票しよう、北海道の未来を委ねてみよう、と期待させたのでありましょう。

鈴木直道氏には夢も華も(経験も)あったということです。

言い過ぎかもしれませんが、鈴木直道氏ならば立憲民主などの野党系で立候補しても勝利していたことでしょう。

鈴木直道氏、党派性よりも人柄で圧倒したのだと思います。

なぜ野党はここまで選挙に弱くなってしまったのか?そのひとつの解として、野党のタマが悪すぎる、鈴木直道氏のような夢のある希望のある勢いのある若い候補者が野党側に見当たらないことが挙げられましょう。

もう一つ注目の選挙結果を取り上げます。

大阪府知事選、選挙結果をNHK速報サイトから。

大阪府知事
f:id:kibashiri:20190409154225p:plain
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/touitsu/2019/27/14983/skh46221.html

大阪維新の吉村洋文氏(43歳)が勝利したわけですが、注目していただきたいのは、その得票数と得票率です、2266103票、64.4%と、小西氏にダブルスコアに近い大差をつけている点です。

自民・公明・立民・国民・共産の基礎票から考えるとここまでの大差がつくことは考えづらいのですが、北海道知事選と同じです、ズバリ、タマつまり候補者の差でしょう。

吉村氏も35歳の若さで政界入りしています、大阪府議、大阪選出の衆議院議員、そして大阪市長としての実績を積み上げてきました。

特に市長時代には2016年度から5歳児の幼稚園・保育所の保育料を無償化など子育て支援に取り組み、大阪市民からその政策は圧倒的に支持されてきました。

演説もすばらしく上手で、ルックスもご覧のとおり精悍であり、多くの大阪府民にこの人に投票しよう、大阪の未来を委ねてみよう、と期待させたのでありましょう。

吉村洋文氏には夢も華も(経験も)あったということです。

よいタマ(候補者)が用意できれば、自民党系候補もダブルスコア近くですっ飛んでしまうということであります。

まとめます。

「安倍一強」などとメディアで揶揄されるこの自民党「選挙無双」状態なのでありますが、自民党が強いというよりも野党が弱すぎるというのが実情のようです。

そしてなぜ野党はここまで選挙に弱くなってしまったのか?

要因のひとつには間違いなく、よいタマ(候補者)が用意できていないからなのだと考えます。

地方選は、タマが良ければ党派性は二の次の結果が生じやすいのであります。

北海道知事選の鈴木直道氏や大阪府知事選の吉村洋文氏のように、有権者に夢を与えてくれるような情熱ある若い候補者が野党系(大阪維新を除く)に絶対的に不足しているのであります。

日本の野党弱体化、その真の問題はその深刻な人材不足にあると考えます。



(木走まさみず)

二重規範(ダブルスタンダード)が見事に表出する朝日社説〜同じ選挙結果でも沖縄では「民意」を付け大阪では「民意」を取る姑息メディア

大阪維新の会が圧勝しました、大阪府知事大阪市長のダブル選は7日投開票され、知事選は前大阪市長の吉村洋文(ひろふみ)氏(43)、市長選は前大阪府知事松井一郎氏(55)が、いずれも初当選を決めました。

投票率は知事選が49・49%(前回45・47%)、市長選が52・70%(同50・51%)と、ともに前回より高い投票率を記録しました。

都構想実現を左右する府議選と大阪市議選のうち、府議選で現有議席を10以上増やして過半数を獲得しました。市議選も現有議席を上回り、わずかに過半数には届かなかったものの、4つの選挙、大阪維新の会の圧勝と表現してよろしいでしょう。

今回、都構想をめぐる公明党との協議が決裂したことから、維新が局面打開を図って選挙を仕掛けました。松井、吉村氏が今後4年の任期を確保しようとポストを入れ替える「奇策」だっただけに、その手法も争点になりました。

結果、大阪府民、大阪市民は、維新のとった選挙の「奇策」の是非も含めて、この4重選挙の結果を大阪維新に与えたと評価すべきでしょう。

大阪の「民意」は明確に示されたのです。

選挙結果を受けて松井氏らは、大阪市民らの信任が得られたとして、住民投票の実施に向けた動きを加速させることでしょう。

だが、住民投票を行うためには府議会、大阪市議会の同意が必要なことに変わりはありません。府市の両議員らで構成する法定協議会で制度案をつくり、両議会が可決する手続きだからです。

市議会では過半数を得ることができなかった維新にとって、都構想反対の他党・他会派との真摯な話し合いは必須となることでしょう。

いきさつからまず公明党との関係修復をはかることになると思われます。

さて維新大勝利を伝える朝日新聞の興味深い社説です。

(社説)大阪4重選挙 都構想巡る議論深めよ
https://www.asahi.com/articles/DA3S13969327.html?iref=editorial_backnumber

この朝日社説がメディアの言論として異彩を放っているのは、選挙で圧勝し「民意」を得たはずの大阪維新の会を、ボロクソに批判していることです。

「維新による脱法的な行為は看過できない」とお怒りです。

 忘れてならないのは4重選挙となった経緯である。府知事と市長の任期途中での辞職と立場を入れ替えての立候補という、維新による脱法的な行為は看過できない。

「不意に選挙を仕掛け、自らが率いる政党の押し上げを狙った松井氏と吉村氏は反省すべき」、「今後の都構想論議で「奇策」を弄(ろう)してはならない」と批判します。

 維新代表で大阪府知事だった松井一郎氏と政調会長大阪市長だった吉村洋文氏がそろって辞職したのは、任期満了に伴い予定されていた府議選と市議選に首長選を重ね、議会選に臨む同僚を後押しする狙いだった。辞職した2人がそのまま府知事と市長に再選しても、公職選挙法の規定で任期は辞職前の残り期間に限られる。それをすり抜けようと、立場を入れ替えての「クロス選」に打って出た。

 再選を目指す現職が有利になるよう、辞職によって選挙の時期を選ぶ事態を防ぐのが法の趣旨だ。不意に選挙を仕掛け、自らが率いる政党の押し上げを狙った松井氏と吉村氏は反省すべきであり、今後の都構想論議で「奇策」を弄(ろう)してはならない。

この社説には朝日新聞論説室が大好きなはずの「民意」という単語が見当たりません。
大阪府知事選、市長選、府議選、市議選にことごとく「大阪維新」が勝利しても、朝日新聞論説室には選挙結果に「民意」が見えていないのです。

ところが同じ知事選でも沖縄でデニーさんが勝利すると朝日新聞はそこに「民意」を見つけます。

(社説)沖縄知事選 辺野古ノーの民意聞け
https://www.asahi.com/articles/DA3S13703471.html

法的拘束力が何もない沖縄県民投票にさえ朝日は「民意」「民意」とうるさく主張しています。

(社説)沖縄県民投票 民意を反映する回路に
https://www.asahi.com/articles/DA3S13745976.html
(社説)沖縄県民投票 結果に真摯に向きあえ
https://www.asahi.com/articles/DA3S13908412.html

朝日社説は沖縄選挙には「民意」が反映されていると繰り返し主張しますが、今検証したとおり大阪維新が圧勝した大阪選挙には「民意」のミノジも出てこないのです。

この朝日社説がメディアの言論として異彩を放っているのは、選挙で圧勝し「民意」を得たはずの大阪維新の会を、ボロクソに批判していることです、そして朝日新聞のその言論の二重規範ダブルスタンダード)が見事に表出していることです。

政治的主義主張の自己との親和性によって、政治家の選挙結果という客観的事実報道を「民意」を付けたり取ったり簡単に歪めてしまう朝日新聞なのでありました。

同じ選挙結果でも沖縄では「民意」を付け大阪では「民意」を取る姑息メディア、それが「社会の木鐸」を自認している朝日新聞の正体なのであります。

ふう。



(木走まさみず)