木走日記

場末の時事評論

「司法判断の独立性が完全に担保されない国からは撤退」〜遂に始まった日本企業の韓国撤退

株式会社フェローテックホールディングスのホームページはこちらです。

f:id:kibashiri:20190417153802p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/

で、トップページに4月16日付けのプレスリリースがPDF形式で2本公開されています。

2019-04-16
韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ picture_as_pdf PDF [150.0KB]
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164002.pdf
2019-04-16
韓国子会社における CVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ picture_as_pdf PDF [174.0KB]
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164001.pdf

まずは「韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ」の主文。

f:id:kibashiri:20190417154534p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164002.pdf

19年2月に同社と元従業員3人が不正競争防止および営業機密保護に関する法律違反の罪で韓国検察当局に起訴されていた件で、韓国東海カーボン株式会社から民事訴訟をおこされたことを報告しています。

一方の「韓国子会社における CVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ」の主文はこちら。

f:id:kibashiri:20190417154548p:plain
https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/201904164001.pdf

ポイントはココです、韓国から撤退する理由は「昨今の韓国における日系企業に対する司法判断等を鑑みた場合、同国における司法判断の独立性が完全に担保されない懸念があることから、ステ−クホルダーの皆様へ与える影響を
考慮し、潜在的なリスクを現段階で最小化」、つまり日本企業として、とても韓国における裁判のリスクを抱え込むことはできないという判断です。

撤退費用は4〜6億円かかる見込みだそうです。

このニュース、早速日本経済新聞電子版が速報します。

半導体フェローテック、韓国事業撤退 司法判断受け
エレクトロニクス 朝鮮半島
2019/4/17 10:06

半導体関連部材のフェローテックホールディングスは16日、韓国子会社が部材事業から撤退することを発表した。同社を巡っては2月、韓国子会社と元社員3人が不正競争防止と営業機密保護に関する法律違反の罪で韓国検察から起訴されていた。事業撤退で4億~6億円の損失を見込む。韓国子会社は今後、別の事業に転換して存続させる方針だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43828650X10C19A4EAF000/

Bloomberg記事が続きます。

韓国の司法判断懸念で現地子会社の事業撤退-半導体フェローテック
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-17/PQ306F6TTDS101

Bloomberg記事によれば韓国撤退発表を受けて「17日の同社株は一時前日比3.3%高の1340円まで買われた」とされています、同社の韓国撤退判断を市場は評価しているようです。

当然の判断です。

韓国では日本企業への訴訟が今この時も加速をつけて増えています。

日本経済新聞の調べによると(2018年10月30日付「徴用工訴訟、70社超が対象に 訴状未着の企業多く」)、これまでに徴用工関連では計960人の原告から15件の訴訟が提起されており、日本製鉄、三菱重工業不二越の他、日立造船横浜ゴム清水建設住友化学熊谷組大林組、フジタ、クボタ、IHI日産自動車宇部興産王子製紙三井金属、森永製菓、三菱電機、鹿島、大成建設古河機械金属パナソニック東芝三菱マテリアルなど、71社に及ぶ日本企業がターゲットにされています。このリストに、新たに72社目として「日本コークス工業」という社名が加わったのです。

(参考記事)

韓国で「元徴用工」が増え続ける理由 被告日本企業は72社に
https://blogos.com/article/371473/

この日本企業に対する不当な徴用工裁判の乱造ですが、韓国政府は完全に沈黙、見守るように黙認しているのです。

フォローテックの「昨今の韓国における日系企業に対する司法判断等を鑑みた場合、同国における司法判断の独立性が完全に担保されない」という判断は、真に正しいのです。

日本企業の韓国撤退が遂に始まりました。

経営者が正しくリスク判断をすれば、韓国での「司法判断の独立性が完全に担保されない」訴訟は無視できないリスクでしょう。

日本企業の韓国撤退、今後加速する可能性は大きいと考えます。



(木走まさみず)