日本の感染者数の状況は予断を許さない〜「日本の感染者数」を関数に例えればその一次導関数は明らかにプラス
さて現在日本の新型コロナウイルスの感染状況について、国際比較をしつつ検証してまいりたいと思います。
現在、各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況の正確な情報が公開されているのは外務省の以下のサイトです。
まずは中国を含めて国別感染者数推移を外務省サイトより見てみます。
■図1:新型コロナ国別感染者数推移①(3月11日現在)
※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
中国、イタリア、イラン、韓国の感染者数が突出していることが確認できます、イタリアも1万人を超えてしまったのですね。
イタリア、イラン、韓国をグループAとします。
グラフの縦軸に着目してください、感染者数8万の中国までグラフに入れると日本(568人)はほぼフラットな線に見えます。
次に、上記4国を除いた各国の感染者数推移はこちらです。
■図2:新型コロナ国別感染者数推移②(3月11日現在)
※外務省 公開サイト『各国・地域における新型コロナウイルスの感染状況』より
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html
やはりグラフの縦軸に着目すると、最大が1900人と拡大されていますので、明らかに2つのグループが存在していることが見て取れます。
感染者数および伸び率から、上位のフランス、スペイン、ドイツ、米国をグループB、日本、スイス、オランダ、英国をグループCとします。
このように国際比較すると、日本は中国を除けば感染者数とその伸び率は比較的低い第三グループCに位置づけられます。
この状況を見て、医師の中村ゆきつぐ氏は「新型コロナウイルス対処 日本は上手くいっている」とBLOGOSにエントリーしています。
中村ゆきつぐ
2020年03月11日 09:32
新型コロナウイルス対処 日本は上手くいっている
https://blogos.com/article/442023/
中村氏も指摘していますが、WHOも日本とシンガポールを名指しで「封じ込めに成功している」と評価しています。
WHOは日本やシンガポールなどは封じ込めに成功しているとし、「勇気づけられている」(緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏)と対策の成果を評価した。
日経新聞記事 新型コロナ「パンデミックが現実味」 WHO事務局長 より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56596050Q0A310C2000000/
ここまで異論ありません、日本政府は中国からの観光客を長く受け入れてしまった初動の遅れや、クルーズ船対策などいくつかの対応にミスがありましたが、ここまでよく抑えていると思います。
しかしながらです。
上述の2つのグラフの縦軸は万人単位、千人単位と、粗いですので、当然ながら日本のグラフも傾きが低く抑えられます。
当ブログで集計してきた、感染者累計のグラフをご覧ください。
■図3:日本国内の感染状況(3月11日現在)【発生数累計】
※クルーズ船・チャーター機を除く(ただし帰宅後の感染確認は含む)
※『木走日記』作成
縦軸を600人とすれば、日本の感染者数は明らかに総数、伸び率共に増しています。
指数関数的とまでは言えませんが、二次関数的に増えているとは言えそうです。
次に感染者の【日別発生数】の推移をグラフ化してみます。
■図4:日本国内の感染状況(3月11日現在)【日別発生数】
※クルーズ船・チャーター機を除く(ただし帰宅後の感染確認は含む)
※『木走日記』作成
明らかに増大傾向にあるわけで、この事実を数学的に表現すれば、「日本の感染者数」を関数に例えればその一次導関数は明らかにプラスだと思われます、つまり、残念ながら日本の感染者数は拡大しつつあることをグラフは示しています。
この【日別発生数】の増大率がマイナスに転化(数学的には二次導関数がマイナス)すれば、結果として元の感染者のグラフは収束に向かうことでしょう。
しかしもし、【日別発生数】の増大が当面止まらないとしたら(数学的には二次導関数がプラスもしくはゼロ)ならば、結果として元の感染者のグラフは、最悪、指数関数的な増大、つまり中国やグループA国のように、拡散に向かうことでしょう。
日本の現在、この局面はまさに分岐点なのだと思います。
数学的には日本の感染者数の状況は予断を許さないものと考えます。
(木走まさみず)